サム・ホーソーンものの初期の作品12編が収められた一冊で、最後に不可能犯罪の名作「長い墜落」が特別収録されています。
1974年の作品から順にサムホーソーン医師が当事を回想し、誰かに酒を飲みながら語って聞かせるという設定になっています。
このため一話完結のミステリではありますが、連作ミステリのスタイルになっています。
どの話も不可能犯罪を扱っていて密室と消失がほとんどですが、どの話もアイデアの良さが光っていて楽しめます。
もちろん現代の科学をもってすれば成立しない話もありますが、そんな野暮は言いっこなしで純粋にパズルを楽しむべきです。
医学校を出て一年、サム・ホーソーンはノースモントに開業し医師としてその地方に住み着いた。卒業祝いに両親が買ってくれた黄色いピアース・アロー・ランアバウトに
乗って患者を診察する毎日。そんなサム・ホーソーン医師が遭遇する謎めいた事件の数々。
エラリー・クイーンズ・マガジンに1974年12月号から78年7月号までの間に発表されたものが順に収められていますが、プロットを思いついたらすぐに
書きたいタイプのようで短編が多く、長編は少ない作家だと解説にありますがそうなのでしょう。 密室と消失の話がいろいろと手を変え品を変え作られてますが
どれも舞台や物語の背景などが面白くて読み耽ってしまいます。そして、最後の「長い墜落」ですが似たようなものを読んだ記憶がありますが、きっとこの作品の
アレンジだったのでしょう。
ビルの一室から窓ガラスが割られ人が飛び降ります。しかし、下には死体が見つかりません。交通整理をしていた警官も何事も無かったと証言します。
でもガラスの破片が散らばっています。ただ、近くで道路工事がありその音でガラスの散乱には気付かなかったのでしょう。
部屋に入った人物は何処にも居ません。そして3時間45分後に道路に死体が現れます。
どうですか、この事件がどう解決したのか気になりませんか?
長い時間をかけて読まなくても良い短編集です。例えば新幹線の車中などで読めば退屈など吹き飛んでしまうでしょう。
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