Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」倉阪鬼一郎のミステリ

2014-09-07 08:21:26 | ミステリ小説
                                       

この本は2010年の世界バカミスアワードの受賞作として知られています。このバカミスとは1995年の「このミステリがすごい」で小山正氏によって
これまで奇妙な味のミステリと言われていた内容の物をバカミスと表現され、それ以降バカミスと云う言葉が定着しています。このバカミスと云うのはバカバカしいミステリという意味合いですが、決して
作品そのものを侮辱することではなくて、読み終えた後にそんなバカなと絶句するような通常のミステリを超えた意外性や娯楽性に特化した作品を指す言葉です。

この「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」もミステリファンの人であれば大抵読んでいる作品です。でも、いま興味を持って読んでみようと本屋さんに行っても多分手に入らないでしょう。もちろん文庫化など
されていません。つまりそれだけマイナーな作品なんです。しかし、ミステリファンは知っています空前絶後の仕掛けが施されたこの作品を。読み終えたあとには言葉が出ません。著者の執念に
ただただ拍手を送るだけです。簡単に言えば「良くやるよ」ですが、アイデアを実行するその気概というか精神力に賛嘆します。物語は初めから伏線だらけです。奇妙な記述が続き怪しげな
展開で物語が進みます。謎の招待状で呼び寄せられた大学のあるサークルのメンバーが一人ひとり殺害されます。復讐のために殺人を実行していると犯人のモノローグもありますが
その様子がどこか変です。最後のネタバラシとさらにその後の著者の仕掛けの異様さに絶句すること確実です。たまにはこのようなバカミスも楽しんでみるのも良いでしょう。

決して読み終えたあと壁に向かって本を投げつける、そんなバカバカしいミステリでは有りません。

                                    


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