先々週、父が逝った。
覚悟はしていたが知らせは突然にやってきた。
急いで帰省し、深夜に実家で父と対面した。
今月の初め、病に寝ていた時も反応は薄かったが、それとなく表情を感じ取ることが出来た。生ある父と過ごしたのはそれが最後であった。
2ヶ月ぶりに病院から自宅に帰って来て、広い表座敷に母や妹に見守られてぽつんと寝ている父を見た瞬間、言葉にならない慟哭がこみ上げてきた。
その日の午後、一人で逝った父は何を感じたのだろうか。苦しかっただろうか、痛かっただろうか、誰かの声を聞きたかったのだろうか、誰かに語りたかっただろうか、誰かに体を触ってもらって、そのぬくもりを感じたかったのではないだろうか。
それとも深い睡魔を感じて眠っていったのだろうか。安らかな、眠っているような表情であった。もう、痰に苦しめられることもないだろう。良かったな・・・・・・・・
葬儀が終わって数日が経った夕暮れ時、雲に隠れていた大山が顔を出していた。
すぐにカメラ片手に日野川の土手に向かった。
何も考えずに無性にシャッターを切った。
父に送った写真は見てくれただろうか。お袋は見せたと言っていた。父には見えていただろうか。
中腹に白く移る建物がある。大山ロイヤルホテルだ。父がよく会合などで利用していたようで、お袋がそのホテルが見えると話した時、父は泣いていたという。懐かしかったのだろうか。二度といけない悔しさから悲しさがこみ上げたのだろうか。
父の死後、同じ日野川土手に立ち変わらぬ景色を見ている。この世に父が居ても居なくて、山の姿と川の流れは変わらない。
人には必ず訪れる死。そして悲しみ。すがるのは時のみ。じっと時の流れに身をゆだね、悲しみが消えるのを待つしかない・・・・・・・・
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