MIYAGI VILLAGE

夏は雷、冬はからっ風、人は義理人情を重んじる・・・。

史上最高

2006-02-12 23:12:15 | ラグビー
今日は日本選手権2回戦、VSトヨタ戦へ。

試合は早稲田が28対24で勝利。

すべてはこの日のために佐々木組は戦ってきたといっても過言ではありません。学生がプロに勝つ・・・、普通に考えてありえない快挙。大学選手権の優勝の喜びを上回る史上最高の感動を俺たちに与えてくれました。

では、とにかく何から書いていいのか分からないのでまずは試合の経過から。

試合はまず早稲田の勢いが際立ちました。特にFW戦。激しすぎるFW。社会人相手に不利と見られていたスクラム・モールで相手を圧倒。モールではかなりのゲイン。そして、ラインアウトは100%の成功率。それに加えてトヨタのミスもあり、セットプレーではトヨタ相手にまさかのアルティメットクラッシュ。FWのこだわりは半端じゃなかったです。

先制は早稲田。トヨタ陣内での相手のペナルティー後に早稲田は迷わずPGを選択。五郎丸が確実に2本決めて6対0とリードします。(途中に曽我部はDGを狙ったりしていました)

さらに圧巻だったのは次のプレイ。曽我部がハーフライン付近から蹴ったタッチキックが、相手ゴールラインすれすれに落下。会場からは大きな拍手。とんでもないコントロール力。そこから早稲田ボールラインアウト。そして、モールを組み、そのままトライ!

なんと先制トライはモールトライという歴史的瞬間でした。去年はあれだけ攻めても一回もトライできなかったのに、今年はモールでトライしてしまうなんて・・・。佐々木組が諸岡組よりはるかに強いんだということを見せつけられた気がします。これで11-0

しかし、その後、トヨタの内藤慎平の素晴らしいランから5番フラベルにパスが渡り、フラベルが菅野・今村・首藤をなぎ倒し、一気にトライ・・・。11-7。外人の強さを見せ付けられました。このときは、勝てない・・・、と正直思いました。トヨタが本気を出したらこんなトライをされてしまうのかと。フラベルは桑江なんてもんじゃない・・・。

しかし、そんな流れを早稲田に呼び戻すのがファンタジスタの仕事。直後に曽我部がやってくれました。パスするのかと思いきや自分でゴールめがけて一直線。キレキレのステップでトヨタディフェンスはツルッと転倒。余裕でダイブトライ!18-7

その後、五郎丸のPGで21-7とし、トヨタが2トライしても同点にしかならないという点差をつけました。そのあとも早稲田はトヨタの速い展開に対してナイスディフェンスをします。

ただ、前半終了間際。どうしても止められない男、内藤慎平がまたしてもライン際を猛然とダッシュ。五郎丸を子どものようにいなし、ティアティアにパスが渡り、トライ・・・。21-14。トヨタが意地を見せて前半は終了しました。

後半はまず絶望のスタート。今度はトヨタが風上になり、強風の影響でキックがものすごく飛ぶようになりました。いきなり早稲田陣内深くに入り込み、素早い展開で開始数分で15番水野がトライ・・・。うわぁぁ・・・、会場にため息が漏れます。これがプロかと、思い知らされました。

が、その直後、トライが取り消しに!トヨタの選手が池上のタックルを妨害していたことが発覚。オブストラクションでことなきことをえました。よかったー。

そして、早稲田に一筋の光明が!内橋が敵のパスをインターセプト!トヨタ陣内を爆走。インゴールに一気に飛び込みトライ!やはり内橋はやってくれる。しかも本人は完全に読んでいたんだとか、すごすぎです。このトライで観客は沸きかえります。勝てる!勝てる!と誰もが思いました。

しかし、ここから涙涙の早稲田劇場、本当の幕開け・・・。後半残り30分は絶望との戦い。とにかくトヨタの速い攻めに早稲田はまず苦しみます。内橋のトライの直後、今度は曽我部のパスを内藤慎平がインターセプト。グラウンドの半分の距離を独走してトライ・・・。内橋、慎平と諸岡組の面々によるトライ合戦。意地と意地のぶつかり合い。これで28-21。

トヨタの攻めはさらに途切れることなく続き、早稲田には悲壮感すら漂います。早稲田の選手はひたすらタックルするのみ。そんな厳しすぎる環境の中、よかったのがトヨタの5番フラベルがシンビンになったこと。モールで相手を殴ったりしていたので危険なプレート判断され退場となりました。(ちなみに、サッカーだったら1発永久退場だけど、ラグビーの退場は10分間の退場のみというルールです)

これでFW戦は少し楽になります。が、トヨタは選手をどんどん入れ替えてきます。ついに去年、早稲田を絶望に叩き落した男、セコベ・レアウェレが登場。さらに25分には廣瀬がなんとPGを選択。これを決めます。プロが学生相手にPGを選択なんてありえない・・・。トヨタも本気でした。28-24。あと1トライで逆転されてしまうところまで追い上げられてしまいます。

残り時間は15分。15分守り抜くということがどれくらいタイヘンなことか・・・、観客の誰もが理解していました。ここからの秩父宮はすごかったです。巻き起こる早稲田コール。秩父宮が一つになります。俺はもう泣きそうでした。

選手は無心にタックル、ひたすらタックル。ボール支配率は圧倒的にトヨタだったと思います。圧巻だったのが早稲田ゴール前スレスレでの攻防。これが最後の試練。廣瀬のやばすぎるステップにうわぁ~!と思っても、ディフェンスが必死のタックル。トヨタの重量FWのサインプレーに対してもFWが懸命に止めます。この攻防はすごすぎました。やはり佐々木組のディフェンスは史上最強です。身体能力とかではなく、魂が史上最強でした。

このピンチを脱した後半ロスタイム。長すぎる3分。トヨタがボールを継続し続けます。佐々木組は誰もが無心にタックル。事後談ですがこのときすでに骨折を押して出場していた選手が3人いたとか、意識のなかった選手がいたとか・・・。ありえません。すばらしいくらいの観客の大声援と選手の思いが一つになって、早稲田は戦い続けました。

最後はものすごいタックルでトヨタ選手をタッチ外にはじき出してノーサイド。

歓喜・・・。俺は隣にいた友人と抱き合い、「よっしゃぁぁぁぁぁ!」と雄たけび。涙も自然とこぼれました。スポーツ見て泣くって最高です。長野五輪のジャンプと日本選手権、この二つの涙に共通するのは「感動」。どれだけ多くの人がこの試合を見て涙したことか分かりません。選手ももちろん号泣してました。

 (歓喜の輪)

特に菅野は試合終了後、しばらく経ってもずっと泣いたまま。付き添われながら会場を後にしました。そして、キャプテン佐々木隆道には涙はありませんでした。次も勝つ!という闘志がみなぎっていました。ここで終わりじゃない、そんな目をしていました。

 (史上最強・佐々木隆道)


 
(試合終了後も涙が止まらない・・・)







なんというか今日の試合はもはや「伝説」だったと思います。俺も試合中に「歴史を作れ!!」と叫んでましたがまさにその通りで歴史的な勝利になったと思います。すさまじい感動に身が震えました。

早稲田のひたむきさ、激しさ・・・、これは他の追随を許しません。この試合を観戦した日本代表のヘッドコーチ・エルサルド氏は感動のあまり、グラウンドに飛び降りたとか。この先の日本代表のあり方にもおおきな提案を行なった試合だったといえるでしょう。弱いものが強いものにいかにして勝つか、そこにある早稲田魂。魂がなければ勝負は勝てません。

他の大学チームは早稲田に負けない魂がなければ永遠に早稲田には勝てない。今の時点で勝てるのは慶應だけ。(ちなみに、来年の早慶戦は今年以上にタイトなものになると俺は予測しています。慶應は今日の早稲田みたいな感じで早慶戦に来ますから。そういった意味では、明治は・・・、どうでもいい。もうライバルじゃないですから。学生は熱いけど選手が熱くないから話になりません。)

さて、話が若干ずれましたが、来週の試合は国内最強の東芝府中が相手。絶対に勝てません。しかし。何が起こるかわからないのが清宮流。俺は2年前の大学選手権決勝を忘れてません。史上最強の関東学院相手に前半0-0。あの関東より東芝府中の方が強いのはいうまでもありませんが、早稲田もパワーアップしています。何かが起こるかもしれないという期待感はあります。

一番期待するのは選手がワセダを体現してくれること。今日の試合にあったひたむきさ、激しさ、これがあれば俺は全力で応援します。俺の中の荒ぶる魂は止まりません!






PS.そういえば、今日の早稲田はアタックが変則的でしたね。スクラムの後ろに立っているのがスタンドオフではなく今村でした。今村のパスがうまいのは知ってましたが、スタンドオフ的なことももできちゃうんですね・・・。また、ラインにFWが参加していたのもおもしろかったです。展開していくとその先に青木がいる、というおもしろさ。対社会人用のスペシャルメニューが炸裂していました。

来週も奇策があるのかもしれません。期待しましょう。