ジャン・ギャバンと映画人たち

Jean Gabin et ses partenaires au cinéma

ギャバン出演映画リスト1954年~56年 Filmographie, 1954-56

2015-09-26 | ギャバン出演映画リスト
*目下編集中。注とコメントを書き加える予定。

 
(48)われら巴里っ子 L'Air de Paris
 1954年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕マルセル・カルネ
〔原作〕ジャック・ヴィオ〔脚本・台詞〕ジャック・シギュール
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕ボクシングのトレーナーのヴィクトル・ル・ガレック
〔共演〕アルレッティ、ローラン・ルサッフル、マリー・ダエム、マリア=ピア・カジリオ、ジャン・パレデス、フォルコ・ルリ、シモーヌ・パリス
〔封切〕1954年9月24日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕パリの中央市場にボクシング・ジムを開いた元ボクサー(ギャバン)が、スカウトした有望な若者に、自分の果たせなかったチャンピオンになる夢を託し、付きっきりで指導してリングに立たせるという話。マルセル・カルネ監督にしては珍しい内容の娯楽性に富んだ作品だが、ハリウッド製のボクサー物とは違い、人間味の溢れた映画に仕上がっていた。ギャバンの女房役をやったアルレッティが実に良く、あきれながらも夫を支える姿が印象に残る。ボクサー役のローラン・ルサッフルは、カルネ監督が寵愛していた若手男優であるが、主役を演じるだけの魅力がなく、囲われ者の豪奢な女とのラブシーンが長すぎて退屈。ギャバンとアルレッティの夫婦関係を軸にしたまま、映画を展開すべきだったと思う。ギャバンは1954年に公開された『現金に手を出すな』とこの映画で、同年のヴェネチア映画祭で主演男優賞を受賞した。



(49)ナポレオン Napoléon
 1954年 カラー(スタンダード)182分
〔監督・脚本・台詞〕サッシャ・ギトリ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル、ロジェ・ドルモワ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・フランセ
〔ギャバンの役〕ランヌ元帥
〔共演〕レーモン・ベルグラン(主役)、ダニエル・ジェラン、ミシェール・モルガン、ダニエル・ダリュー、サッシャ・ギトリ、イヴ・モンタン、オーソン・ウェルズ、ピエール・ブラッスール、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ジャン・マレー、ミシュリーヌ・プレール、セルジュ・レジアーニ、ダニー・ロバン、マリア・シェル
〔封切〕1955年3月25日(仏)
〔日本公開〕1956年6月
〔ソフト〕なし
〔注〕演劇・映画界の大物サッシャ・ギトリが、フランス映画界のオールスターを出演させ、自ら脚本を書き監督した歴史物の大作。仏・伊合作。ギャバンは死の床についた元帥役でワン・シーンしか登場しないが、日本公開の国際版ではギャバンのシーンはカットされていた。


 
(50)フレンチ・カンカン French Cancan
 1954年 カラー(スタンダード)108分
〔監督・脚本・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原案〕アンドレ=ポール・アントワーヌ〔撮影〕ミシェル・ケルベル〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕興行師アンリ・ダングラール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、マリア・フェリックス、ジアンニ・エスポジト、フィリップ・クレー、ジャン=ロジェ・コーシモン、フランコ・パストリオ、ドラ・ドール、ガストン・モド、ヴァレンティンヌ・テシエ、ミシェル・ピコリ、ガストン・ガバロッシュ、リディア・ジョンソン
〔出演歌手〕パタシュー、アンドレ・クレヴォー、ジャン・レイモン、エディット・ピアフ
〔封切〕1954年12月27日(伊)、1955年4月27日(仏) 
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕大戦中に米国へ渡ったジャン・ルノワール監督が戦後久しぶりに帰仏して作った娯楽ミュージカル映画。パリの興行師(ギャバン)がモンマルトルにムーラン・ルージュを開店し、ダンスのうまい洗濯屋の娘(アルヌール)を仕込んでフレンチ・カンカンを上演するまでのいきさつがメイン・ストーリー。ベル・エポックのパリ風俗が色鮮やかに、ロマンチックな男女の人間模様が明るく楽しく、描かれている。圧巻はラストの熱気あふれるフレンチ・カンカン。ギャバンにとっては初めてのカラー映画。フランス・イタリア合作で、老若男女数多くのフランス俳優のほかにイタリア俳優も何人か出演している。


 
(51)その顔(つら)をかせ Le Port du désir
 1954年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕エドモン・T・グレヴィル
〔脚本・台詞〕ジャック・ヴィオ
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕ルシアン・アグトラン〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕船長ル・ケヴィック
〔共演〕アンリ・ヴィダル、アンドレ・ドバール、ギャビー・バッセ、エディット・ジョルジュ、ジャン=ロジェ・コーシモン
〔封切〕1955年4月15日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕原題は「欲望の港」。邦題は映画の内容にまったくそぐわず、意味不明。マルセイユ港内に沈没した船に関わる犯罪事件の話で、サスペンス仕立てのメロドラマなのだが、お粗末な脚本を二流監督が撮ったため、この頃のギャバン主演作では最低レベルの映画だった。ギャバンはサルベージ船の船長に扮したが、見せどころもないままに終わっていた。ギャバンが潜水服を着るところと、ギャビー・バッセとの共演場面が目を引くだけ。


 
(52)筋金(やき)を入れろ Razzia sur la chnouf
 1955年 黒白(スタンダード)105分
〔監督・脚本〕アンリ・ドコワン
〔原作・脚本・台詞〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本〕モーリス・グリフ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕レイモン・ガブティ〔音楽〕マルク・ランジャン
〔ギャバンの役〕アンリ・フェレ(謎の麻薬密輸業者)
〔共演〕マガリ・ノエル、リノ・ヴァンチュラ、アルベール・レミ、マルセル・ダリオ、ミシェル・ジュルダン、リラ・ケドロヴァ、ポール・フランクール
〔封切〕1955年4月17日(仏)
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕フィルム・ノワールの佳作。原題は「ヤクのガサ入れ」。ニューヨークから帰仏した大物の麻薬密輸業者(ギャバン)がパリの闇の組織に加わるが、真の目的は麻薬の密売ではなかった。ラストに彼の正体が明かされる。パリの暗黒街にある地下賭博場、秘密クラブなどが、そこに出没する怪しげな人々とともにドキュメンタリー・タッチで描かれる。ギャバンの愛人役のマガリ・ノエルが健気で美しい。ギャバンとダリオの久しぶりの共演も見どころ。リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・ジュルダン、ポール・フランクールは『現金に手を出すな』に出演した面々。麻薬中毒の娼婦をやったリラ・ケドロヴァが強烈な印象で、目に焼きつく。彼女は同年製作の『ヘッドライト』では売春宿の女主人だった。


 
(53)首輪のない犬 Chiens perdus sans collier
 1955年 黒白(スタンダード)93分
〔監督〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジベール・セブロン〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ、ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕判事ジュリアン・ラミ
〔共演〕ロベール・ダルバン、ジャン=ジャック・デルボ、アンヌ・ドア、ジャーヌ・マルカン、ジャン・ディド、ジミー・ユルバン、ドラ・ドール、アンヌ・ドア
〔封切〕1955年10月4日(仏)
〔日本公開〕1956年9月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕非行少年救済の仕事に全力を尽くす少年裁判所の判事にギャバンが扮する。無名の少年少女が多数出演。


 
(54)地獄の高速道路(ハイウェイ) Gas-oil
 1955年 黒白(スタンダード)89分
〔監督〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・ベイル〔脚本〕ミシェル・オーディアール(台詞)、ジャック・マルスルー
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕アンリ・クローラ
〔ギャバンの役〕トラックの運転手ジャン・シャップ
〔共演〕ジャンヌ・モロー、ジネット・ルクレール、ジャック・ルクレルク、アンリ・クレミュー
〔封切〕1955年10月18日(仏)
〔日本公開〕1959年7月
〔ソフト〕DVD
〔注〕脚本家のミシェル・オーディアールが初めてギャバンの映画の台詞を担当した。ギャバンとジャンヌ・モローとの共演は2度目だが、この映画でモローは小学校の教師でギャバンの婚約者という重要な役を務めた。


 
(55)ヘッドライト Des gens sans importance
 1955年 黒白(スタンダード)101分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕セルジュ・グルサール〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕トラック運転手ジャン・ヴィアール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、ピエール・モンディ、ポール・フランクール、イヴェット・エティエヴァン、ダニー・カレル、リラ・ケドロヴァ
〔封切〕1956年2月15日(仏)
〔日本公開〕1956年10月
〔ソフト〕DVD
〔注〕原題は『名もなき人々』。ギャバンが初めて新進気鋭の監督アンリ・ヴェルヌイユの映画に出演した。アルヌールが『フレンチ・カンカン』に続いてギャバンの相手役。この映画は、長距離運送のトラック運転手と国道にあるドライヴインの女給との悲恋を描いた名作。ギャバンの戦後の代表作の一本である。この映画でのアルヌールも戦後最高の相手役女優だったと言えるだろ。ルイ・パージュの撮影による陰影深い黒白映像が瞼に残り、作曲家ジョセフ・コスマの物悲しい音楽が胸に滲みわたる。


 
(56)殺意の瞬間 Voici le temps des assassins
 1956年 黒白(スタンダード)113分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本〕モーリス・ベッシー、シャルル・ドラ、ピエール=アリスティド・ブレアル
〔撮影〕アルマン・ティアール〔美術〕ロベール・ギィ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕レストランの主人・シェフ=アンドレ・シャトラン
〔共演〕ダニエル・ドロルム、ジェラール・ブラン、リュシエンヌ・ボガエル、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1956年4月11日(仏)
〔日本公開〕1956年8月
〔ソフト〕DVD
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(57)逆上 Le Sang à la tête
 1956年 黒白(スタンダード)83分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕アンドレ・トーマ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕アンリ・ヴェルダン
〔ギャバンの役〕実業家フランソワ・カルディノー
〔共演〕ポール・フランクール、ルネ・フォール、ポール・フランクール、モニク・メリナン
〔封切〕1956年8月10日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(58)パリ横断 La Traversée de Paris
 1956年 黒白(スタンダード)80分
〔監督〕クロード・オータン=ララ
〔原作〕マルセル・エメ〔脚本〕ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕
〔ギャバンの役〕画家グランジル
〔共演〕ブールヴィル、ルイ・ド・フュネス、ジャネット・バッティ、アヌーク・フェルジャック
〔封切〕1956年10月26日(仏)
〔日本公開〕なし(JSBでテレビ放映)
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕ドイツ占領下のパリを舞台にしたレジスタンスの話。失業中のタクシー運転手がある画家と出会って一緒にヤミ屋をやるが、画家はパリ市内の「横断」は別の目的があると打ち明ける。フランスで観客動員数489万人の大ヒット。


 
(59)罪と罰 Crime et Châtiment
 1956年 黒白(スタンダード)107分
〔監督〕ジョルジュ・ランパン
〔原作〕ドストエフスキー〔脚本〕シャルル・スパーク
〔撮影〕クロード・ルノワール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕警部ガレ
〔共演〕ロベール・オッセン(主役)、マリナ・ヴラディ、ベルナール・ブリエ、ウラ・ヤコブソン、ギャビー・モルレー、ジュリアン・カレット、ガブリエル・フォンタン、ローラン・ルサッフル、リノ・ヴァンチュラ
〔封切〕1956年12月4日(仏)
〔日本公開〕1957年4月
〔ソフト〕なし
〔注〕


 
(60)ローラン医師の患者 Le Cas du docteur Laurent
 1956年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔脚本・台詞〕ルネ・バルジャヴェル
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕医師ローラン
〔共演〕ニコール・クールセル、シルヴィア・モンフォール、アンリ・アリウス
〔封切〕1957年4月3日(仏)
〔日本公開〕なし((NHK衛星第2で『医師』のタイトルでテレビ放映)
〔ソフト〕なし
〔注〕