ジャン・ギャバンと映画人たち

Jean Gabin et ses partenaires au cinéma

ギャバン出演映画リストについて

2015-10-02 | ギャバン出演映画リスト
 このリストを作成するにあたり、以下の著書、インターネットの資料を参照した。
「ジャン・ギャバン」(アンドレ・ブリュヌラン著 清水馨訳 時事通信社) 日本語版巻末のジャン・ギャバン出演映画作品リスト
「シネアルバム62 ジャン・ギャバン 粋でタフなパリ野郎」(責任編集:林冬子 芳賀書店)
「わがジャン・ギャバン」(英知出版)
 インターネット フランス語版ウィキペディア
 インターネット・ムーヴィー・データベース(IMDb)
 インターネット Ciné-Ressources―Fishes Personnalité
 インターネット ユニフランス・フィルムズ(uniFrance films)
 インターネット Movie Walker
 インターネット allcinema(Movie&DVD Database)

 ジャン・ギャバンが出演した映画は、初期の短篇喜劇映画2本を含めないと、全部で95本ある。第二次大戦でギャバンがフランス軍に入隊していた時期で区切ると、戦前が33本、戦後が62本である。ただし、戦前最後の2本はギャバンが米国滞在中に出演したハリウッド製の映画であった。そしてこの2本だけがアメリカ映画で、ほかの93本はすべてフランス映画である。
 この95本の映画のうち、ギャバンの生前、日本で公開された映画は半数に満たない45本である(『ナポレオン』はギャバンの出演シーンがカットされていたので除く)。日本で太平洋戦争前(約5年間)に公開された映画はわずか9本で、ギャバンが映画デビーしてから出演した14本は未公開であった。また、『望郷』以降に作られた戦前作品10本のうち公開されたのは『珊瑚礁』の1本だけで、あとの9本は未公開のままだった。『愛慾』『大いなる幻影』『霧の波止場』『獣人』は戦後(1948年から1950年)公開されている。この4本も含め、また戦中に作られたハリウッド映画2本を加えると、戦後(47年~75年)日本で公開されたギャバンの出演作は36本である。戦後作られた映画62本のうち30本が公開され、半数以上の32本が未公開に終ったわけである。
 ギャバンが亡くなったのは1976年11月15日であるが、日本では未公開だった映画が死後10年後に1本(『サン・フィアクル殺人事件』)、20年後にもう1本(『冬の猿』)追悼上映されている。つまり、日本の映画館のスクリーンで上映された映画は全部で47本ということになる。
 ギャバンの死後、ギャバンの映画は映画館ではほとんど見られなくなった。しかし、テレビで放映されたり(この時私はずいぶんビデオに録画した)、数多くの映画がビデオ化されたので(私はずいぶん買った)、ギャバン・ファンないしはギャバンの出演したフランス映画の愛好者は、自分の家のテレビの画面で彼の映画を鑑賞してきたわけである。そして、近年DVD(フランス版も含め)が一般化し、現在ではインターネットのYou Tube(日本語字幕はない)で日本では未公開だった映画、ソフト化されていない珍しい映画が見られるという時代になった。また、インターネットのおかげで、フランスで作成されたホーム・ページなどもパソコン上で見たり、読んだりすることができるようになった。ただし、フランス版DVDやYou Tubeは、日本語字幕がないので、ある程度フランス語のリスニングができないと鑑賞できず、またインターネットの資料や記事もフランス語が読めなければ参考材料にはならない。私は20代後半から30代半ばくらいまでフランス語を勉強したことがあり、25年ほど怠けていたのだが、最近、フランス映画に接することが増え、フランス語を勉強し直そうと思い始めている。
 この半年間で私はギャバン出演映画を55本見たが、以前見てもう一度見直した映画が24本で、初めて見た映画が31本もあった。同じ映画で2度、3度と見たものも20本以上あるので、100回以上はギャバンの映画を見たことになるだろう。ギャバンの出演していないフランス映画も折に触れて見ているので、かなりフランス映画漬けになっている。あと20本ほど未見の映画を見れば、現在見ることのできるギャバンの出演映画は全部見たことになるので、今後も見続けようと思っている。残念ながら恐らくもう永久に見られない映画が20本ほどあるようだが、これは仕方があるまい。
 
 ギャバンは映画俳優となって本格的に映画デビューする前に、短篇喜劇映画に2本出演している。そのデータを掲げ、ギャバン自身のコメントを引用しておこう。

 
①リレットの遺産 L'héritage de Lilette
 1929年or1930年 黒白 短篇
〔監督〕不明(?ミシェル・デュ・ラック)
〔ギャバンの役〕不明
〔共演〕レイモン・ダンディ(主役)
〔封切〕1930年(?)
〔日本公開〕不明
〔ソフト〕なし
〔注〕別題 Ohé! Les valises(旅行かばん)。ゴーモン社製作の無声映画か?


②調教師を求む On demande un dompteur
 1929年or1930年 黒白 短篇(210メートル)
〔監督〕不明(?ミシェル・デュ・ラック)
〔ギャバンの役〕浮浪者
〔共演〕レイモン・ダンディ(主役)
〔封切〕1930年
〔日本公開〕不明
〔ソフト〕なし
〔注〕別題 Les lions(ライオン)。ゴーモン社のスタジオで無声で撮影され、あとでパラマウント社のスタジオで音入れされたようだ。


――1928年から29年の初めにかけて、ささやかながら映画の仕事を引き受けたことがある。ムーラン・ルージュでの相棒だったダンディとの共演だった。詳しいことは忘れてしまったが、とにかくゴーモンのスタジオへ行き、短編を2本続けて撮った。ダンディと私が、なぜか“例の持ち物”と呼んでいた『リレットの遺産』という作品。それからムーラン・ルージュでやった『もしもし、こちらパリ』というショーの中の寸劇『ライオンと調教師』の、今で言えば映画化だった。ダンディと私の役は浮浪者。『調教師を求む』という貼り紙のある猛獣小屋の前で足を止める。何人かの屈強な男たちがやってきては中に入り、そのたびに猛獣の咆哮が聞こえて、入った男たちが担架に乗せられて出てくる。身長わずか1メートル50。私の肩までしかないダンディが中に入る。すごい叫び声が聞こえてから彼が『ライオンを求む』と書いたプラカードを持って意気揚々と出てくる。と、まあこんなギャグなのだが、結構面白かった。この2本の映画が一般に上映されたかどうかは定かではないし、恐らくもうどこにも存在していないに違いない。(ジャン・ギャバン アンドレ・ブリュヌラン著「ジャン・ギャバン」より清水馨・訳)

ギャバン出演映画リスト1930年~31年 Filmographie, 1930-31

2015-10-01 | ギャバン出演映画リスト

(1)誰にもチャンスが Chacun sa chance
 1930年 黒白(スタンダード)76分
〔監督〕ハンス・シュタインホーフ、ルネ・ピュジョル(脚本・台詞)
〔原作〕ブルーノ・ハルトヴァルデン〔脚本〕リシャール・アルヴェ、チャーリー・レ―リングホッフ〔撮影〕カール・プート、ヴィクトル・アルメニーズ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ウォルター・コロ、ニコ・ドスタル
〔ギャバンの役〕服屋の店員マルセル・グリヴォー
〔共演〕ギャビー・バッセ、ルネ・エリベル、アンドレ・ユルバン、ジャン・サブロン、レイモン・コルディ
〔封切〕1930年12月27日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバンの記念すべき長編映画デビュー作。1930年に製作されたギャバン出演作はこの1本だけ。服屋で働くしがない店員(ギャバン)が劇場のチョコレート売りの女の子(バッセ)と出会い、アヴァンチュールを楽しむオペレッタ映画。仏独合作、パテ=ナタン(仏)とマルセル・ヘルマン・フィルム(独)の共同製作。当ブログの女優の部、ギャビー・バッセの項を参照のこと。



(2)メフィスト Méphisto
 1931年 黒白(スタンダード)164分
〔監督〕アンリ・ドバン、ニック・ヴァンテル
〔原作・脚本・台詞〕アルテュール・ベルネード〔撮影〕ジュリアン・ランジェル、ジュリアン・シャルマン、ポール=ルネ・ナヴァール〔美術〕リュシアン・キーフェル〔音楽〕
〔ギャバンの役〕刑事ジャック・ミラル
〔共演〕ルネ・ナヴァル、ジャニーヌ・ロンスレ、ヴィヴィアンヌ・エルデル、ルシアン・カラマン、フランス・デリア
〔封切〕1931年4月17日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕凄腕の探偵ギャバンが悪の組織メフィストと対決する連続4話の推理もの。原作・脚色者のアルテュール・ベルネード(1871~1937)はフランスの著名な探偵小説家。フィルム・オッソ製作。


 
(3)パリは恋人 Paris Béguin
 1931年 黒白(スタンダード)117分
〔監督〕オーギュスト・ジェニーナ
〔脚本〕フランシス・カルコ
〔撮影〕フリード・ベン=グルンド〔美術〕セルジュ・ピムノフ〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕ボブ(やくざ、押し込み強盗)
〔共演〕ジャンヌ・マルナック、フェルナンデル、ラシェル・ベラント、ヴィオレーヌ・バール、ジャン・マックス
〔封切〕1931年9月10日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕フィルム・オッソ製作。ベルギー出身のオペレッタ女優ジャンヌ・マルナックが主演で実際の彼女と同じ役柄であるが、映画はミュージカルに犯罪ものを加えた内容。準主役のギャバンはパリの暗黒街でボブと呼ばれるダンディなやくざ。背広に白いワイシャツ、きちんとネクタイを締め、ソフト帽を斜めにかぶって、いかにも色男といった感じで登場。相棒役のフェルナンデルは、この頃はまだ浮浪者のように痩せていて、ギャバンとは対照的に風采の上がらないお調子者のやくざの役である。ある夜、オペレッタのスター女優(マルナック)の邸宅へ宝石泥棒に入ったボブ(ギャバン)は、女優に見つかるが、彼女を押さえつけているうちに色気に負けて、ベッドで一夜を過ごしてしまう。その同じ夜、殺人事件があって、ボブは容疑者として逮捕される。顔写真入りの新聞記事でそれを知った女優は、ボブのアリバイを証明した。ボブは釈放され、オペレッタ「パリは恋人」の初日の開幕前に劇場へ駆け付けるのだが……。



(4)何よりも恋が最高 Tout ça ne vaut pas l'amour
 1931年 黒白(スタンダード)87分
〔監督〕ジャック・トゥールヌール
〔脚本・台詞〕ルネ・ピュジョル
〔撮影〕二コラ・ブルガソッフ、アンリ・バーレール
〔美術〕リュシアン・アグタン〔音楽〕ユーゴ・ヒルシュ
〔ギャバンの役〕ラジオ販売店の息子ジャン・コルディエ
〔共演〕マルセル・レヴェック(主役)、ジョスリーヌ・ガエル、マディ・ベリー
〔封切〕1931年10月16日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕中年で独身の薬屋の主人(ルヴェスク)が彼の家に寄宿することになった若い娘(ガエル)に恋をし、いろいろと尽くすのだが、彼女の方はラジオ屋の若いハンサムな男(ギャバン)に惚れてしまうという話。冴えない中年男を主人公としたラブ・コメディで、ギャバンはダンスの上手なおしゃれな若者に扮した。娘役は十代で人気スターになったジョスリーヌ・ガエル。この時彼女はまだ14歳だったというが、17,8歳に見える。明るく大変可愛らしい女優で、当時フランスではアイドル的存在だったようだ。ギャバン(27歳)が彼女と二人の場面では妙にニヤけて、照れくさそうにしていた。パテ・ナタン製作。



(5)グロリア Gloria
 1931年 黒白(スタンダード)
〔監督〕ハンス・ベーレント、イヴァン・ノエ
〔脚本〕ハンス・ツェケリー、ゲオルク・C・クラーレン、フランツ・シュルツ
〔撮影〕フレデリック・フクルサンク〔美術〕エルヴィン・シャルフ〔音楽〕ハンス・J・サルテル
〔ギャバンの役〕飛行機副操縦士ロベール・ヌーリー
〔共演〕ブリギッテ・ヘルム、アンドレ・リュゲ、アンドレ・ロアンヌ、マディ・ベリー
〔封切〕1931年10月30日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ドイツ人俳優によるドイツ語版もあって、ギャバンが出演したのはそのフランス語版。主役のスター女優ブリギッテ・ヘルムはどちらにも出演した。タイトルの「グロリア」というのは大西洋を横断した飛行機の名称で、その操縦士と妻の物語。ブリギッテ・ヘルムは小さな息子のいる妻の役。服装も地味で、美貌、演技ともまあまあ。操縦士役のアンドレ・リュゲは『リラの心』にも出ていたが、当時の中堅人気俳優で、親友役の男優(アンドレ・ロアンヌ)も同様。ギャバンは、この二人に比べればずっと若く、脇役だが、明るくコミカルで面白い役回りだった。映画批評家時代のマルセル・カルネがこのギャバンを見て、将来有望な新進俳優として注目した。パテ=ナタン、マタドール・フィルムの共同製作。


 
(6)一夜のために Pour un soir
 1931年 黒白(スタンダード)77分
〔監督〕ジャン・ゴダール
〔原作〕ロベール・ド・イール〔脚本〕?
〔撮影〕?〔美術〕?〔音楽〕?
〔ギャバンの役〕海軍の水兵ジャン
〔共演〕コレット・ダルフォイユ、ギ・フェラン、シリー・アンデルセン、レジーヌ・ダリー
〔封切〕1933年(月日不明)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし(フラン語版DVDあり)
〔注〕ユニオン・デ・プロデュクトゥール・ド・フィルム製作。フランス本国ではずっとお蔵入りになっていたが、2年後に『ステラ・マリア』と改題し公開。休暇中の水兵(ギャバン)が港町トゥーロンで美しいが気まぐれなパリ出身の歌手に出会い、束の間のアヴァンチュールを楽しむが、やがて男が女を真剣に愛しはじめ、悲劇を招くといった話。


 
(7)リラの心 Cœur de lilas
1931年 黒白(スタンダード)90分
〔監督・脚本〕アナトール・リトヴァク
〔原作〕チャールズ=ヘンリー・ヒルシュ、トリスタン・バーナード〔脚本〕ドロシー・ファーナム、セルジュ・ヴベール
〔撮影〕クルト・クーラン〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕街のやくざマルトゥス
〔共演〕マルセル・ロメ(主役)、アンドレ・リュゲ、マドレーヌ・ギティ、フレール、フェルナンデル
〔封切〕1932年3月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕フィフラ製作。ロシアのウクライナ出身でユダヤ人の血を引くアナトール・リトヴァクはドイツで映画を作っていたが、1930年ナチの手から逃れ、フランスに移住した。そのリトヴァクがフランスで撮った初期の作品で、パリの裏街をサスペンス・タッチで描いた佳作。要塞跡の土手に中年男の殺害死体が発見される。警察は、現場に落ちていた手袋から犯人が「リラ」と呼ばれる若い娼婦(マルセル・ロメ)であると断定し、この女を追う。リラにはやくざの情夫(ギャバン)がいるが、安ホテルのカフェで出会った男(アンドレ・リュゲ)に惹かれていく。しかし、この男は私服の刑事だった。刑事はリラと接するうちに無実を信じ、彼女を愛し始める。ギャバンは脇役だが、後年の当たり役ペペ・ル・モコに通じるような魅力を発揮していた。「ゴムの女」という曲を歌う場面がなかなか良い。主演のマルセル・ロメはアンニュイを漂わせた美人女優だったが、病気を苦にし、この映画が公開された同じ年の冬に、セーヌ川で入水自殺を遂げた。

ギャバン出演映画リスト1932年~33年 Filmographie, 1932-33

2015-10-01 | ギャバン出演映画リスト
 
(8)陽気な騎兵隊 Les Gaietés de l'escadron
 1932年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕モーリス・トゥールヌール
〔原作〕ジョルジュ・クールトゥリーヌ、エドゥアール・ノレ〔脚本〕ジョルジュ・ドレ―
〔撮影〕レイモン・アニェル、ルネ・コーラ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕
〔ギャバンの役〕騎兵フリコ
〔共演〕レイミュ、フェルナンデル、マディ・ベリー、シャルル・カミユ、ドニオ
〔封切〕1932年9月16日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕パテ=ナタン製作。トゥールネール監督が1913年に作った同名映画のトーキー版リメイク。原作はフランスの著名な劇作家ジョルジュ・クールティーヌ(1858~1929)が1886年に書いた戯曲で、舞台では何度も上演されていたようだ。1949年にはパリのルネッサンス座で上演されている。1932年に公開されたこの映画もフランスで大ヒットしたという。時は1880年代、フランス軍51連隊の騎兵たちの悲喜こもごもの話である。ギャバンは正義心の強い意地っ張りの騎兵、フェルナンデルは気弱で曹長に虐待される騎兵、傍若無人な曹長にカミユ、隊員思いで人望のある連隊長にレイミュが扮した。


 
(9)群衆の歓呼 La foule hurle
 1932年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕ジャン・ドムリー
〔原案〕ハワード・ホークス〔脚本〕セトン・I・ミラー、ジョン・ブライトほか
〔撮影〕シドニー・ヒッコックス〔美術〕ジャック・オーケー〔音楽〕レオ・F・フォーブスタイン
〔ギャバンの役〕自動車のレーサー・ジョー・グレール
〔共演〕エレーヌ・ペルドリエール、フランク・オニール、フランシーヌ・ミュッセー
〔封切〕1932年9月6日
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕製作会社ワーナー・ブラザーズ。アメリカで同年ハワード・ホークス監督によって作られた同名映画のフランス語版。



(10)ラ・ベル・マリニエール号 La Belle Marinière
 1932年 黒白(スタンダード)80分
〔監督〕ハリー・ラックマン
〔脚本・台詞〕マルセル・アシャール〔撮影〕ルディ・マット〔美術〕アンリ・メネシエ〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕貨物船の船長
〔共演〕マドレーヌ・ルノー、ピエール・ブランシャール、ロジーヌ・ドレアン
〔封切〕1932年12月3日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕タイトルの船名は「美しき船乗り」の意。貨物を輸送する船の船長(ギャバン)が、自殺しようとしているのを救った美しい娘(ルノー)を愛し、彼女と結婚するが、妻の方は次第に失望を感じはじめ、夫の親友(ブランシャール)と駆け落ちしてしまう話。マドレーヌ・ルノーはすでにスター女優で、ギャバンがルノーと共演した第1作。ギャバンは身もふたもない役だが、ギャバンはこの映画を大変気に入っていたという。パラマウント製作。



(11)楽しい心 Cœurs joyeux
 1932年 黒白(スタンダード)77分
〔監督〕ハンス・シュヴァルツ、マックス・ド・ヴォコルベイユ
〔脚本〕ヘンリー・コスター、ジャン・ギニュベ-ル
〔撮影〕オイゲン・シュフタン〔美術〕アンリコ・メッツネル〔音楽〕ポール・アブラハム、ヘルムート・ヴォルフ
〔ギャバンの役〕映写技師シャルル
〔共演〕ジョスリーヌ・ガエル、ガブリエル・ガブリオ、ポール・アミオ、マルセル・ドゥレトル
〔封切〕1932年12月2日
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕パテ=ナタン製作。フランスのフィルモグラフィーでは1931年製作としてリストのずっと前に置いているが、これは恐らく誤りで、インターネット・ムービー・データベースによる、1932年製作、11本目が正しいと思う。フランスの封切り日も1932年12月2日だからである。映画館の映写技師(ギャバン)が、宝石泥棒のギャングの手下と間違えられ、警察に逮捕されてしまう。しかし、彼の恋人(ガエル)の活躍で、ギャングたちは一網打尽にされ、映写技師は晴れて釈放されるという話。ラストは、彼が映画館の館主になり彼女とめでたく結婚する。人気女優ジョスリーヌ・ガエルとギャバンが共演した2本目の映画。ギャングの親分に無声映画時代からの人気俳優ガブリエル・ガブリオが扮している。ドイツ人俳優によるドイツ語版も作られた。



(12)ヴァレンシアの星 L'Étoile de Valencia
 1933年 黒白(スタンダード)88分
〔監督〕セルジュ・ド・ポリニー
〔原案〕ルドルフ・カッシャー、オットー・アイス〔脚本〕フリッツ・ツェケンドルフ、アクセル・ルドルフ〔台詞〕ジャン・ガルティエ=ボワシエール〔撮影〕カール・プット〔美術〕〔音楽〕リハルト・スタウチ、ハンス=オットー・ボルグマン
〔ギャバンの役〕整備士ペドロ・サヴレンダ
〔共演〕ブリギッテ・ヘルム、シモーヌ・シモン、トミー・ブル-デル
〔封切〕1933年6月24日
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕ウーファ製作。密輸船「ヴァレンシアの星」をめぐる冒険恋愛映画。ギャバンがドイツ人女優ブリギッテ・ヘルムと共演した第2作。



 (13)さらば美しき日々 Adieu les beaux jours
 1933年 黒白(スタンダード)96分
〔監督・脚本・台詞〕アンドレ・ブークレール
〔脚本〕ピーター・フランク、ヴァルター・ヴァッサーマン、ロベール・A・ステムル、ハンス・スゼッケリ
〔撮影〕フリードル・ベーン=グルント〔美術〕エリッヒ・ケッテルフット、マックス・メリン〔音楽〕ハンス=オットー・ボルグマン、エルンスト=エリック・ブーダー
〔ギャバンの役〕技師ピエール・ラヴェルネ
〔共演〕ブリギッテ・ヘルム、トミー・ブルーデル、ミレーユ・バラン、ジネット・ルクレール、アンリ・ボスク、ジュリアン・カレット
〔封切〕1933年10月5日
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕ウーファ製作、ドイツで撮影。ギャバンとブリギッテ・ヘルムの共演第3作。宝石泥棒の美しい女(ヘルム)と彼女に恋をする若い技師(ギャバン)の話。後年、クーパーとディートリッヒ共演のハリウッド映画『真珠の首飾り』(1936年)は、この作品からヒントを得て製作されたという。


 
(14)トンネル Le Tunnel
 1933年 黒白(スタンダード)73分
〔監督・脚本〕クルト・ベルンハルト
〔原作〕ベルンハルト・ケラーマン〔脚本〕ラインハルト・シュタインビッカー〔台詞〕アレクサンドル・アルヌー
〔撮影〕クルト・ホフマン〔美術〕カール・フォルブレヒト、ハインツ・フレンケル〔音楽〕ヴォルター・グロノステイ
〔ギャバンの役〕トンネル建設技師アラン・マッカラン
〔共演〕マドレーヌ・ルノー、エドモン・ヴァン・デール、レイモン・アラン、ロベール・ル・ヴィガン
〔封切〕1933年11月29日
〔日本公開〕
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ヴァンドール・フィルム製作。フランスとアメリカ間の大西洋にトンネルを掘ろうというSF的な設定なのだが、映画は全くSF的ではなく、前半は建設技師ギャバンと妻マドレーヌ・ルノーの夫婦関係の話で、後半はトンネル開削工事の労働者たちのストライキの話であった。



(15)上から下まで Du haut en bas
 1933年 黒白(スタンダード)79分
〔監督〕ゲオルク・ヴィルヘルム・パブスト
〔原作〕ラディスラウス・ブス=フェケテ〔脚本〕アンナ・グメイネル、ジョルジュ・ドレー〔撮影〕オイゲン・シュフタン〔美術〕エルノ・メッツネル〔音楽〕マルセル・ラテ
〔ギャバンの役〕サッカー選手シャルル・ブーラ
〔共演〕ジャニーヌ・クリスバン、ミシェル・シモン、ウラジミール・ソコロフ、カトリーヌ・エスラン、ピーター・ローレ、ミリー・マティス
〔封切〕1933年12月5日(仏)
〔日本公開〕1936年5月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕フィルム・ソノレス製作。ナチから逃れフランスへ渡った名匠ゲオルク・W・パブストが国際色豊かなスタッフ・俳優を使って作った映画で、ウィーンにある二階建ての安アパートに住む人々の暮らしぶりを描いたもの。タイトルの『上から下まで』はアパートの二階と一階を示したもの。ギャバンは管理人の甥で有名なサッカー選手。一階に住み、二階に住む裕福な夫婦のころへ家政婦に雇われた美しい娘マリーに恋をする。

ギャバン出演映画リスト1934年~36年 Filmographie, 1934-36

2015-10-01 | ギャバン出演映画リスト
 
(16)はだかの女王 Zouzou
 1934年 黒白(スタンダード)85分
〔監督〕マルク・アルグレ
〔原作・脚本〕ペピト・G・アバチーノ〔脚本・台詞〕カルロ・リム、アルベール・ウィルメッツ
〔撮影〕ミシェル・ケルベル〔美術〕ラザール・メールソン、アレクサンドル・トローネル〔音楽〕ヴィンセント・スコット、ジョルジュ・ヴァン・パリス、アラン・ローマン
〔ギャバンの役〕水兵、ミュージック・ホールの照明係ジャン
〔共演〕ジョセフィン・ベーカー、イヴェット・ルボン、ピエール・ラルケー、イラ・メルリー、ヴィヴィアンヌ・ロマンス
〔封切〕1934年12月21日(仏)
〔日本公開〕1935年12月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕アリース製作。「琥珀の女王」ジョセフィン・ベーカー主演のミュージカル映画。原題の「ズズ」はベーカーの演じるヒロインの愛称。相手役をやったギャバンは日本のスクリーンに初めて登場した。続いて『白き処女地』『上から下まで』という順で日本公開。ブログ記事あり。



(17)白き処女地 Maria Chapdelaine
 1934年 黒白(スタンダード)75分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔原作〕ルイ・エモン〔台詞〕ガブリエル・ボワシー〔撮影〕ジュール・クリューゲル、マルク・フォサール、ジョルジュ・ペリナル、アルマン・ティラール〔美術〕ジャック・クラウス〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕猟師フランソワ・パラディ
〔共演〕マドレーヌ・ルノー、シュザンヌ・デュプレ、ジャン=ピエール・オーモン、ロベール・ル・ヴィガン、アレクサンドル・リニュー
〔封切〕1934年12月14日(仏)
〔日本公開〕1936年2月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ソシエテ・ノーブル・シネマトグラフィ製作。フランス領カナダのケベックの山村に住む娘マリア・シャプドレーヌ(原題になっている)を主人公に、彼女の結婚候補の若者たちやカトリックの信仰に生きる親族や住民たちとの人間関係を描いた名作。ギャバンは近くの山に住む猟師の青年で、マリアに会いに吹雪の中を下山する途中で遭難死する。現地ロケを敢行し、カナダの自然を映像にとらえている。マドレーヌ・ルノーが主演。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品にギャバンが出演した第1作。


 
(18)ゴルゴタの丘 Golgotha
 1935年 黒白(スタンダード)95分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本・台詞〕ジョセフ・レイモン
〔撮影〕ジュール・クリューゲル、ルネ・リボルト、マルク・フォサール、ロベール・ジュイラール〔美術〕ジャン・ペリエ、アンドレ・ルー〔音楽〕ジャック・イベール
〔ギャバンの役〕ローマ領ユダヤの総督ポンテオ・ピラト
〔共演〕ロベール・ル・ヴィガン(主役)、アリ・ボール、エドウィージュ・フイエール、ジュリエット・ヴェルヌイユ、アンドレ・バッケ、シャルル・グランヴィル、リュカ・グリドゥー
〔封切〕1935年4月10日(仏)
〔日本公開〕1936年11月
〔ソフト〕DVD
〔注〕イクティス・フィルム製作。イエス・キリストの地上での最後の一週間を描いた史劇。カトリック教徒の多くのフランス国民の寄付によって製作された。キリスト役はデュヴィヴィエ監督の秘蔵っ子俳優ル・ヴィガンで、彼の入魂の演技は注目に値する。ユダ役のリュカ・グリドゥーは、後の『望郷』で刑事役を演じた俳優だが、彼も適役。ギャバンはローマ人の総督ピカトの役で、キリストを救おうとしたが、ユダヤ人有力者による多数決に従い、キリストに十字架刑を命じる。


 
(19)ヴァリエテ Variétés
 1935年 黒白(スタンダード)100分
〔監督・脚本〕ニコラ・ファルカス
〔原作〕フェリックス・ホレンダー〔脚本〕ロルフ・E・ヴァンルー、アンドレ=ポール・アントワーヌ
〔撮影〕ヴィクトル・アルメニス〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ハンス・カルスト
〔ギャバンの役〕空中ブランコ乗りジョルジュ
〔共演〕アナベラ、フェルナン・グラヴェ、二コラ・コリン、ジャン・シノエル、カミーユ・ベルト、マルセル・ペレ
〔封切〕1935年10月5日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕ヴァヴァリア・フィルムとフィルムEFの共同製作。日本ではギャバンの出演していないドイツ語版が公開された。サーカスの花形娘と空中ブランコ乗りの二人の男との三角関係の話。アナベラが主演で、フランス語版の相手役二人をギャバンとフェルナン・グラヴェが演じた。この映画でアナベラはギャバンに好意を抱き、次作『地の果てを行く』に友情出演する。


 
(20)地の果てを行く La Bandera
 1935年 黒白(スタンダード)100分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔原作〕ピエール・マコーラン〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク〔撮影〕ジュール・クリューゲル、マルク・フォサール〔美術〕ジャック・クラウス〔音楽〕ジャン・ヴィーネル、ロラン・マニュエル
〔ギャバンの役〕外人部隊の兵士ピエール・ジリエト
〔共演〕アナベラ、ロベール・ル・ヴィガン、レイモン・エモス、ピエール・ルノワール、ヴィヴィアンヌ・ロマンス、ガストン・モド
〔封切〕1935年9月20日(仏)
〔日本公開〕1936年9月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ソシエテ・ノーブル・シネマトグラフィ製作。ギャバンが自腹を切って原作の映画化権を買い、デュヴィヴィエに監督と組んで実現した映画。ギャバンの映画における悲劇的なヒーロー像を決定づける代表作となった。殺人犯が国外逃亡して、愛する女と出会うが、最後は非業の死を遂げるといった主人公である。ギャバンとル・ヴィガンの緊迫した対決と壮絶なラストシーンが見どころ。


 
(21)我等の仲間 La Belle Équipe
 1936年 黒白(スタンダード)101分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク〔撮影〕ジュール・クリューゲル、マルク・フォサール〔美術〕ジャック・クラウス〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕失業者ジャン
〔共演〕ヴィヴィアンヌ・ロマンス、シャルル・ヴァネル、レイモン・エモス、ミシュリーヌ・シェーレル、シャルル・ドラ、ラファエル・メディナ
〔封切〕1936年9月15日(仏)
〔日本公開〕1937年4月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕シネ・アリース製作。失業している五人の仲間が金を出しあって買った宝くじが当たって、大金が転がりこむ。話し合いの結果、パリの郊外にレストランを開く計画を立て、廃屋を買い、全員で改築に取り掛かる。しかし、途中で一人抜け、また一人抜け、もう一人は開店前に屋根から転落死してしまう。そして、最後に残った二人も、悪女の出現で、その関係にひびが入る。ラストはギャバンがシャルル・ヴァネルを銃殺し、警官に逮捕されるという悲劇的な結末だったが、製作側からあまりにも暗すぎるとの不満の声が上がり、公開前にラストだけ撮り直し、ギャバンとヴァネルが和解し、二人でレストランを続けるといったハッピーエンド版を作った。デュヴィヴィエとシャルル・スパークは最初の脚本に忠実なヴァージョンを公開するように主張したようだが、結局、地域によってラストの違う映画を配給する結果になった。日本公開の映画では悲劇的な結末だった。現在、ビデオではハッピーエンド、You Tubeでは両方を二つ続けたものを見ることができる。



(22)どん底 Les Bas-Fonds
 1936年 黒白(スタンダード)95分
〔監督・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原作〕マクシム・ゴーリキー〔脚本〕ユジェーヌ・ザミアティンヌ、ジャック・コンパネーツ、シャルル・スパーク(台詞)
〔撮影〕フェドット・ブルガソフ、ジャン・バシュレ〔美術〕ユージェンヌ・ルリエ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル、ロジェ・デゾルミエール
〔ギャバンの役〕泥棒ぺぺル
〔共演〕ルイ・ジュヴェ、シュジー・プリム、ジュニー・アストール、ジャニー・オルト、ウラジミール・ソコロフ、ロベール・ル・ヴィガン、ルネ・ジェナン、アンドレ・ガブリエロ
〔封切〕1936年12月5日(仏)
〔日本公開〕1937年11月
〔ソフト〕DVD
〔注〕アルバトロス製作。ギャバンが名優ルイ・ジュヴェと共演した唯一の映画。泥棒ペペルは惚れた娘を伴侶にして、どん底生活から自由の天地へ向け旅立っていく。ルノワール監督がゴーリキーの原作戯曲に前後の話を付け足し、ところどころに明るいエピソードを加えて映画化した。


 
(23)望郷 Pépé le Moko
 1936年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔原作〕アンリ・ラ・バルト(別名アシュルベ)〔脚本・台詞〕ジャック・コンスタン、アンリ・ジャンソン
〔撮影〕ジュール・クリューゲル、マルク・フォサール〔美術〕ジャック・クラウス〔音楽〕ヴィンセント・スコット、モハメッド・イグルブシェーヌ
〔ギャバンの役〕ギャング・通称ぺぺ・ル・モコ
〔共演〕ミレーユ・バラン、リュカ・グリドゥー、リーヌ・ノロ、ガブリエル・ガブリオ、マルセル・ダリオ、フレール、フェルナン・シャルパン、ジルベール・ジル、ガストン・モド
〔封切〕1937年1月28日(仏)
〔日本公開〕1939年2月
〔ソフト〕DVD
〔注〕パリ・フィルム・プロダクション製作。戦前のギャバン映画の大ヒット作。ギャバンの魅力が溢れた代表作。


ギャバン出演映画リスト1937年~40年 Filmographie, 1937-40

2015-09-30 | ギャバン出演映画リスト
 
(24)大いなる幻影 La Grande Illusion
1937年 黒白(スタンダード)
〔監督・脚本〕ジャン・ルノワール
〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク
〔撮影〕クリスチャン・マトラ〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕フランス軍中尉マレシャル
〔共演〕ピエール・フレネ、マルセル・ダリオ、エリック・フォン・シュトロハイム、ディタ・パルロ、ジュリアン・カレット、ガストン・モド
〔封切〕1937年6月9日(仏)、1938年9月18日(米)
〔日本公開〕1949年5月
〔ソフト〕DVD
〔注〕第一次大戦中のドイツの捕虜収容所で脱走をはかるフランス軍兵士たちの物語。彼らの団結心と祖国愛、貴族出身のフランス人将校とドイツ人将校同士の共感、ユダヤ系ブルジョワ・フランス人への暖かい眼差し、フランス人脱走兵(ギャバン)とドイツ人の戦争寡婦との愛情の交流など、ルノワール監督が人間愛を高らかに謳い上げた傑作。RAC(レアリザシオン・ダール・シネマトグラフィック)製作。


 
(25)メッセンジャー Le Messager
1937年 黒白(スタンダード)98分
〔監督〕レイモン・ルロー
〔原作・台詞〕アンリ・ベルンスタン〔脚本・台詞〕マルセル・アシャール
〔撮影〕ジュール・クリュージェ〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ、ジャン・ラフィット〔音楽〕ジョルジュ・オーリック
〔ギャバンの役〕ニコラ・ダンジュ、通称ニック
〔共演〕ギャビー・モルレー、ジャン=ピエール・オーモン、ベティ・ロウエ、ピエール・アルコヴェール
〔封切〕1937年9月3日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕アルバトロス・フィルム製作。裕福な妻の会社で支配人をやっていた男が秘書と恋愛し、妻と地位を捨て、アフリカへ行く。しかし、病気になって帰国すると、妻と彼の助手だった若い男とが深い仲になっていた。


 
(26)愛慾 Gueule d'amour
 1937年 黒白(スタンダード)90分
〔監督・脚本〕ジャン・グレミヨン
〔原作〕アンドレ・ブークレール〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク
〔撮影〕ギュンター・リトー〔美術〕ヘルマン・アスムス、マックス・メラン〔音楽〕ロタール・ブリューネ
〔ギャバンの役〕元フランス軍兵士ルシアン・ブールラシュ、通称「口説き魔」
〔共演〕ミレーユ・バラン、ルネ・ルフェーヴル、マルグリット・ドゥヴァル、ジャーヌ・マルカン、ピエール・エシュパール
〔封切〕1937年9月24日(仏)
〔日本公開〕1948年8月
〔ソフト〕なし(フランス版DVDあり)
〔注〕ウーファ製作。『望郷』でペペ・ル・モコのギャバンを恋のとりこにして惑わせたギャビー役のミレーユ・バランが再び淫乱なファム・ファタール(運命の女)に扮し、ギャバンと共演した。原題は「口説き魔」(ギャバン扮する主人公の通称)。ギャバンはバランのために振り回されるが、バランがギャバンの親友をたぶらかそうとしているのを知ると……。


 
(27)霧の波止場 Le Quai des brumes
 1938年 黒白(スタンダード)91分
〔監督〕マルセル・カルネ
〔原作〕ピエール・マコーラン〔脚本〕ジャック・プレヴェール
〔撮影監督〕オイゲン・シュフタン〔撮影技師〕ルイ・パージュ、マルク・フォサール、ピエエール・アルカン〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕モーリス・ジョベール
〔ギャバンの役〕脱走兵ジャン
〔共演〕ミシェール・モルガン、ミシェル・シモン、ピエール・ブラッスール、エモス、ロベール・ル・ヴィガン、デルモン、ルネ・ジェナン、マルセル・ペレ
〔封切〕1938年5月18日(仏)
〔日本公開〕1949年12月
〔ソフト〕DVD
〔注〕グレゴール・ラビノヴィッチとシネ・アリアンヌ製作。ブログ記事あり。


 
(28)獣人 La Bête humaine
 1938年 黒白(スタンダード)100分
〔監督・脚本・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原作〕エミール・ゾラ〔撮影監督〕クルト・クーラン〔撮影技師〕クロード・ルノワール〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕鉄道機関士ジャック・ランティエ
〔共演〕シモーヌ・シモン、フェルナン・ルドゥー、ジュリアン・カレット、ブランシェット・ブルノワ、シャルロット・クラシス、ジャン・ルノワール
〔封切〕1938年12月23日(仏)、1940年2月19日(米)
〔日本公開〕1950年7月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕パリ・フィルム・プロダクション製作。19世紀フランス自然主義の作家ゾラの原作をジャン・ルノワールが脚色・監督した作品。ギャバンは発作的に凶暴になる遺伝性の病気を持つ鉄道機関士の役で、駅の助役の若妻(シモン)に魅せられ、悲劇への道をたどる。呪われた運命に翻弄される人間を描いた映画で、ルノワール監督作品の中では最も暗い。ギャバンは少年の頃、鉄道機関士になることを夢見ていたが、それが映画の役で実現した。


 
(29)珊瑚礁 Le Récif de corail
 1938年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕モーリス・グレッツェ
〔原作〕ジャン・マルテ〔脚本〕シャルル・スパーク
〔撮影〕ジュール・クリュージェ〔美術〕アントン・ウエーバー〔音楽〕アンリ・トマシ
〔ギャバンの役〕トロット・ルナール
〔共演〕ミシェール・モルガン、ピエール・ルノワール、ジナ・マネス、サテュルナン・ファブル
〔封切〕1939年3月1日(仏)
〔日本公開〕1940年10月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ウーファ製作。ずっと消失していたフィルムが2002年ベルグラードで発見され、フランスへ里帰りした。冒険恋愛映画で、オーストラリアと南海の孤島を舞台に、ギャバンとミシェール・モルガンの出会いと熱愛と逃避行の話。喧嘩の果てやくざを殺してしまったギャバンは、例のごとく刑事に追われる逃亡者である。メキシコ行きの密輸船、ジャングル、島の土着民などが出てくるが、ギャバンとモルガンの場面以外は見どころのない凡作。


 
(30)陽は昇る Le jour se lève
 1939年 黒白(スタンダード)87分
〔監督〕マルセル・カルネ
〔脚本〕ジャック・ヴィオ、ジャック・プレヴェール(台詞)
〔撮影〕クルト・クーラン、アンドレ・バック、フィリップ・アゴスティーニ、アルベール・ヴィギエ〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕モーリス・ジョベール
〔ギャバンの役〕労働者フランソワ
〔共演〕ジャクリーヌ・ローラン、ジュール・ベリー、アルレッティ、アルチュール・ドゥヴェール、ルネ・ジェナン
〔封切〕1939年6月17日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕DVD
〔注〕シグマ製作。ラスト・シーンの直前から始まり、事件の発端から次々に回想していくといった構成。カルネ監督によると、こうした大胆な回想形式はフランス映画では初めてだったという。アパートの自室に立てこもった殺人犯ギャバンの心理描写が際立つ。ギャバンに撃たれる憎まれ役に扮したジュール・ベリーは個性の強い舞台俳優であるが、彼の演技にはギャバンも感服したそうだ。アルレッティは、カルネが助監督を務めた『ミモザ館』(ジャック・フェデール監督)でカルネと知り合い、この映画に出演。この後、カルネ監督作品『悪魔が夜来る』『天井桟敷の人々』で重要な役を演じることになる。ギャバンとアルレッティはミュージック・ホールの芸人時代から親しかったようだが、映画で共演するのは初めて。美術デザイナーのトローネルが作ったセット(アパートの建物など)が見もの。

ギャバン出演映画リスト1941年~45年 Filmographie, 1941-45

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(31)曳き船 Remorques
 1941年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕ジャン・グレミヨン
〔原作・脚本〕ロジェ・ヴェルセル〔脚本〕シャルル・スパーク、アンドレ・カイヤット、ジャック・プレヴェ-ル(台詞)
〔撮影〕アルマン・ティラール〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕アレクシス・ロラン=マニュエル
〔ギャバンの役〕救助船サイクロン号の船長アンドレ・ロラン
〔共演〕ミシェール・モルガン、マドレーヌ・ルノー、フェルナン・ルドゥー、ジャン・マルシャ、シャルル・ブラヴェット、ナーヌ・ジェルモン、アンヌ・ローラン、マルセル・ペレ、アラン・キューニィ
〔封切〕1941年11月27日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕DVD
〔注〕1939年7月に撮影開始。大戦勃発で何度もの中断を経て、1941年9月に完成した。暴風雨で遭難した船を救助するサイクロン号の船長(ギャバン)には心配性で病身の愛妻(ルノー)がいるが、ある日救助した船に乗っていた若い女(モルガン)と知り合い、二人は熱烈に愛し始める。男と女二人の三角関係のメロドラマであるが、北フランスの荒海と港町、そして寂寥とした浜辺を舞台に人間の生きざまがドラマチックに描かれ、感動を生む秀作になった。ギャバンとモルガンはこの頃恋愛関係にあったが、二人のラヴシーンを見ているとほんものの愛情が放電して画面から伝わってくるようだ。とくに二人で浜辺を歩いていて、ヒトデを見つけて語り合う場面が印象深い。ジャック・プレヴェールによる台詞の素晴らしさは格別。


 
(32)夜霧の港 Moontide
 1942年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕アーチー・メイヨ
〔原作〕ウィラード・ロバートソン〔脚本〕ジョン・オハラ(台詞)、ナナリー・ジョンソン
〔撮影〕チャールズ・G・クラーク、リュシアン・ボラード〔美術〕リチャード・デイ、ジェイムス・ベイスヴィー、トーマス・リトル〔音楽〕シリル・J・モックリッジ、デヴィッド・バトルフ
〔ギャバンの役〕フランス人の冒険家ボボ
〔共演〕アイダ・ルピノ、トーマス・ミッチェル、クロード・レインズ、ジェローム・コーワン
〔封切〕1942年4月29日(米)、1944年10月25日(仏)
〔日本公開〕1947年2月
〔ソフト〕You Tube(インターネット)
〔注〕米国の20世紀フォックスが製作。ドイツ軍によるパリ占領後、米国へ渡ったギャバンがハリウッドで撮った第1作。ギャバンは英語の台詞を覚えて話した。カリフォルニアの港町で船大工として働くフランス人の男(ギャバン)が殺人事件に巻き込まれ、また一方で身投げするのを救った女(リピノ)と愛し合うが、最後はハッピーエンド。凡作。フランス語のタイトルは、La Péniche de l'amour(愛の小舟)。


 
(33)逃亡者 The Impostor(L'Imposteur)
 1943年 黒白90分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本〕スティーブン・ロングストリート、リン・スターリングほか
〔撮影〕ポール・イヴァノ〔美術〕ジョン・グッドマン、ユジェーヌ・ルリエ、ラッセル・ゴスマン〔音楽〕ディミトリ・ティオムキン
〔ギャバンの役〕逃亡者クレマン、別名モーリス・ラファルジュ
〔共演〕リチャード・ウォーフ、アリン・ジョスリン、エレン・ドリュー、ラルフ・モーガン、デニス・モール
〔封切〕1944年2月10日(米)、1946年7月10日(仏)
〔日本公開〕1950年8月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバンのハリウッド映画第2作でユニヴァーサルが製作。同じく米国に渡っていたデュヴィヴィエが監督した。脱獄した死刑囚(ギャバン)が死んだ人間になりすまして、アフリカ戦線へ赴き、戦死するまでを描いたもの。フランスと日本では戦後公開されたが、不評だった。

ギャバン出演映画リスト1946年~50年 Filmographie, 1946-50

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(34)狂恋 Martin Roumagnac
 1946年 黒白(スタンダード)103分
〔監督・脚本〕ジョルジュ・ラコンブ
〔原作・脚本〕ピエール=ルネ・ウルフ〔脚本・台詞〕ピエール・ヴェリー
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ジョルジュ・ワケヴィッチ〔音楽〕ジョヴァンニ・フスコ、マルセル・ミルーズ
〔ギャバンの役〕建築技師マルタン・ルーマニャック
〔共演〕マレーネ・ディートリッヒ、ダニエル・ジェラン、マルセル・エラン、マルゴ・リオン、ジャン・ディド
〔封切〕1946年12月18日(仏)
〔日本公開〕1949年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕大戦中米国へ渡ったギャバンはハリウッドでマレーネ・ディートリッヒと出会い、二人はすぐに恋に落ち、同棲するまでに至ったが、ギャバン入隊後、離れ離れになった。しかし、終戦後パリで再会し、二人の親密な関係は2年ほど続いた。そんなギャバンとディートリッヒが共演した唯一の映画がこの『マルタン・ルーマニャック』(男主人公の名)。邦題は『狂恋』で、内容もまさしく恋に狂った男の話である。ギャバン自身が戦前に原作権を買い、企画を暖めていた映画だった。フランスの地方都市に中年になるまで独身を通し自分の建設会社まで作って成功している建築技師(ギャバン)がいた。この男には一人の姉がいて、妻代わりに家事をしている。ある日、ボクシングの観戦中に彼はオーストリア出身の美しい貴婦人(ディートリッヒ)に出会い、一目惚れしてしまう。好きになると一途で、男は彼女の家まで建ててやり、求愛する。だが、彼女には金持ちのパトロンと若いツバメまでいた。それを知った男は嫉妬に燃え、挙句の果てに……。ストーリーは面白いのだが、完成した映画は不出来だった。脚本が悪く、監督の力量も不足していた。しかし、興行成績は良く、フランス国内の観客動員数は249万人(うちパリが54万人)で、ヨーロッパ、米国、そして日本にも配給された。


 
(35)面の皮をはげ Miroir
 1947年 黒白(スタンダード)90分
〔監督〕レイモン・ラミ
〔原案・脚本〕ポール・オリヴィエ〔脚本・台詞〕カルロ・リム
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ロラン・ベルトン、ジョルジュ・ワケヴィッチ〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕汽船会社の重役ピエール・リュサック(元地下組織者)
〔共演〕マルティーヌ・キャロル、ダニエル・ジェラン、コレット・マルス、ガブリエル・ドルジア、ジゼール・プレヴィル、シルヴィー
〔封切〕1947年5月2日(仏)
〔日本公開〕1963年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕パリの映画館だけで公開され、フランスおよび国外では上映されずに終わった。リバイバル上映されたのは16年後で、この時フランス国外へも配給された。


 
(36)鉄格子の彼方 Au-delà des grilles
 1948年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕ルネ・クレマン
〔脚本〕チェザーレ・ザヴァッティーニ、チェッキ・ダミコ、アルフレッド・グワリーニ
〔フランス語版脚本・台詞〕ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ピエロ・フィリポーネ、ルイジ・ゲルヴァッシ〔音楽〕ロマン・ヴラド、レンゾ・ロッセリーニ
〔ギャバンの役〕殺人犯・逃亡者ピエール
〔共演〕イザ・ミランダ、ヴェラ・タルキ、ロベール・ダルバン、アンドレア・ケッキ、アヴェ・ニンキ、カルロ・タンベラーニ
〔封切〕1949年9月19日(伊)、11月16日(仏)
〔日本公開〕1951年5月
〔ソフト〕ビデオ(イタリア語版)、DVD
〔注〕仏伊合作。ギャバンがルネ・クレマン監督と組んで作った唯一の映画。フランスで愛人を殺してイタリアのジェノヴァに逃げてきた男(ギャバン)が、食堂で働く女と知り合い、女の家に匿われる。しかし、女には10歳くらいの娘と別居中の亭主がいて、最後に男は警察に逮捕されるという話。戦前のギャバンの代表作『地の果てを行く』と『望郷』に似たプロットをネオ・リアリスムのイタリア人作家が脚本にし、それをルネ・クレマン独特のリアリスムで映画化したもの。


 
(37)港のマリー La Marie du port
 1949年 黒白(スタンダード)88分
〔監督・脚本〕マルセル・カルネ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ルイ・シャヴァンス、ジョルジュ・リブモン・デセーニュ(台詞)
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕アレクサンドル・トローネル、オーギュスト・カプリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕レストラン・映画館の経営者アンリ・シャトラール
〔共演〕ニコール・クールセル、ブランシェット・ブリュノワ、ジュリアン・カレット、クロード・ロマン、ジャーヌ・マルカン、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1950年2月18日(仏)
〔日本公開〕1951年11月
〔ソフト〕DVD
〔注〕港町シェルブールの中年実業家(ギャバン)が内縁の妻(ブリュノワ)の妹マリー(クールセル)に惹かれ、彼女が働いているキャフェを辞めさせ、理髪師の恋人とも縁を切らせて、自分の愛人にしようとするのだが、若い娘のマリーも現代っ子らしいしたたかさで、男の歓心をそそり結婚を迫るという話。ギャバンは終戦後、マルセル・カルネ監督の『夜の門』の主役を降板してカルネとは仲違いしていたが、久しぶりに二人が和解して作った映画。ブルジョワで女たらしといったギャバンの役どころが共感を呼ぶものではなく、感動の薄い作品。


 
(38)天国への門 Pour l'amour du ciel
 1950年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕ルイジ・ザンパ
〔脚本〕チェザーレ・ザヴァティーニ〔フランス語版脚本〕ジャン・ジョルジュ・オーリオル、アンリ・ジャンソン(台詞)
〔撮影〕カルロ・モンチュオーリ〔美術〕ガストン・メダン〔音楽〕ニーノ・ロータ
〔ギャバンの役〕ローマの実業家カルロ・バッキー
〔共演〕アントネラ・ルアルディ、ジュリアン・カレット
〔封切〕1951年2月14日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕伊・仏合作。


ギャバン出演映画リスト1951年~53年 Filmographie, 1951-53

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(39)ヴィクトル Victor
 1951年 黒白(スタンダード)90分
〔監督・脚本〕クロード・エイマン
〔原作・台詞〕アンリ・ベルンスタン〔脚本〕ジーン・フェリー
〔撮影〕リュシアン・ジュラン〔美術〕エミール・デルフォー〔音楽〕マルク・ランジャン
〔ギャバンの役〕ヴィクトル・ルストラン
〔共演〕フランソワーズ・クリストフ、ブリジット・オベール、ジャック・カストロ、ピエール・モンディー、ジャック・モレル
〔封切〕1951年6月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(40)夜は我がもの La nuit est mon royaume
 1951年 黒白(スタンダード)110分
〔監督〕ジョルジュ・ラコンブ
〔脚本〕マルセル・リヴェ、シャルル・スパーク
〔撮影〕フィリップ・アゴスティーニ〔美術〕リノ・モンデリーニ、ルネ・ムラエル〔音楽〕イヴ・ボードリエ
〔ギャバンの役〕盲人レイモン・パンサール(元・鉄道機関士)
〔共演〕シモーヌ・ヴァレール、シュザンヌ・デーリー、ロベール・アルヌー、ジェラール・ウーリー
〔封切〕1951年8月9日(仏)
〔日本公開〕1952年2月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕事故で失明し鉄道機関士を辞めて盲人更生施設に入った男(ギャバン)が、点字の教師をしているやはり盲目の若い女性(シモーヌ・ヴァレーヌ)を真剣に愛するようになるが、実はこの女性には婚約者がいた……。ギャバンが初めての盲人役を熱演し、この映画で1951年度ヴェネチア映画祭主演男優賞を受賞。


 
(41)快楽 Le Plaisir
 1951年 黒白(スタンダード)97分
〔監督・脚本〕マックス・オフュールス
〔原作〕モーパッサン〔脚本〕ジャック・ナタンソン
〔撮影〕クリスチャン・マトラ(第1話2話)、フィリップ・アゴスティーニ(第3話)
〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕ジョー・ハジョ、モーリス・イヴァン(オッフェンバッハとモーツアルトの曲より)
〔ギャバンの役〕ブルターニュの田舎の村人ジョゼフ・リヴェ(建具職人)
〔共演〕ダニエル・ダリュー、マドレーヌ・ルノー、ピエール・ブラッスール
〔封切〕1952年2月29日(仏)
〔日本公開〕1953年1月
〔ソフト〕DVD
〔注〕モーパッサンの短編「仮面」「テリエ館」「モデル」を原作にした3話構成のオムニバス映画。オフュールス監督が話題作『輪舞』(1950年)に続いて作った佳作。ギャバンは第2話「テリエ館」La Maison Tellierに出演。パリの高級売春サロンの女将が田舎にいる弟夫婦の娘の聖体拝領式に出席するため、休暇も兼ねサロンで働く女たちを連れて行き、そこで楽しく過ごすと同時に、教会では心を洗い清められるという話。女将がマドレーヌ・ルノー、田舎(ブルターニュ地方)にいる弟がギャバン、そしてギャバンが惹きつけられ一夜をともにする女がダニエル・ダリュー。ルノーは戦前の映画でギャバンが3度共演した親しい女優だが、ダリューとは初共演。ギャバンとダリューはすぐに打ち解けあい、以後、3本の映画で共演することになる。ちなみに第1話「仮面」にはクロード・ドーファン、ギャビー・モルレー、第2話「モデル」にはダニエル・ジェラン、シモーヌ・シモンが出演している。


 
(42)ベベ・ドンジュについての真実 La Vérité sur Bébé Donge
 1951年 黒白(スタンダード)110分
〔監督〕アンリ・ドコワン
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕モーリス・オーベルジェ
〔撮影〕レオンス=アンリ・ビュレル〔美術〕ジャン・ドゥアリヌー〔音楽〕ジャン=ジャック・グリュネンヴァルト
〔ギャバンの役〕実業家フランソワ・ドンジュ
〔共演〕ダニエル・ダリュー、ガブリエル・ドルジア、ジャック・カストロ
〔封切〕1952年2月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕前作『快楽』でダニエル・ダリューと初共演したギャバンが今度はダリューの先夫のアンリ・ドコワン監督の映画に出演。主役はダリューで「べべ」(赤ちゃん)という愛称で呼ばれるエリザベート・ドンジュ。ギャバンは彼女の亭主役で、結婚10年後の倦怠期に悩む妻に毒を盛られ、今わの際に真実を打ち明ける。シリアスな夫婦間のドラマでドコワン監督の名作という呼び声が高い。


 
(43)愛情の瞬間 La Minute de vérité
 1952年 黒白(スタンダード)109分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔脚本〕アンリ・ジャンソン(台詞)、ローラン・ローデンバック、ロベール・トエラン
〔撮影〕ロベール・ルフェーヴル、ルイーズ・ホルシャー〔美術〕セルジュ・ピムノフ〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕医師ピエール・リシャール
〔共演〕ミシェール・モルガン、ダニエル・ジェラン、レア・ディ・レオ、シモーヌ・パリス、ドニス・クレール、ルネ・ジェナン
〔封切〕1952年10月22日(仏)
〔日本公開〕1954年5月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンが12年前に熱烈な恋愛関係にあったミシェール・モルガンと共演。二人は小学生の娘がいる夫婦役を演じた。仕事熱心な医師で浮気もする壮年の男がギャバン。モルガンは舞台女優で結婚してからずっと夫に尽くしてきた貞淑な妻だったが、ある時若い画家(ダニエル・ジュラン)に情熱的な愛を捧げられ、よろめいてしまう。しかし、夫と娘のいる家庭をとったモルガンは愛する男と別れる決意をするのだが……。監督はジャン・ドラノワで、回想形式を駆使して濃密な心理ドラマを映像化した。妻のモルガンの心の葛藤を主に描出しているため、ギャバンは脇役だったが(クレジットタイトルでもモルガンの次に名前が出る)、映画は「不倫もの」の名作になっている。


 
(44)危険な娘 Fille dangereuse
 1952年 黒白(スタンダード)92分
〔監督・脚本〕グイド・ブリニョーネ
〔原作〕ザバチーノ・ロペツ〔脚本〕アレスサンドロ・デ・スファーニ、カルロ・ムッソ
〔撮影〕マリオ・モンチュオーリ〔美術〕オタヴィオ・スコッチ〔音楽〕ミラン・ビクシオ
〔ギャバンの役〕外科医アントニオ・サンナ
〔共演〕シルヴァーナ・パンパニーニ、セルジュ・レジアーニ、ルネ・ルフェーブル、パオロ・ストッパ
〔封切〕1952年2月6日(伊)、3月29日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕イタリア・フランス合作で、監督はじめスタッフはイタリア人。二か国用のヴァージョンが作られ、フランス語版ではギャバンの相手役女優がシルヴァーナ・パンパーニではなくポーラ・デーリーに代わった。


 
(45)彼らの最後の夜 Leur dernière nuit
 1953年 黒白(スタンダード)98分
〔監督・脚本〕ジョルジュ・ラコンブ
〔原作〕ジャック・コンスタン〔脚本・台詞〕ジャック・セルエ
〔撮影〕フィリップ・アゴスティーニ〔美術〕レオン・バルサック〔音楽〕フランシス・ロペ
〔ギャバンの役〕図書館員、実はギャングの首領ピエール・リュファン、別名フェルナン
〔共演〕マドレーヌ・ロバンソン、ロベール・ダルバン、ギャビー・バッセ
〔封切〕1953年10月23日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(46)ラインの処女号 La Vierge du Rhin
 1953年 黒白(スタンダード)85分
〔監督〕ジル・グランジエ
〔原作〕ピエール・ノール〔脚本〕ジャック・シグール
〔撮影〕マルク・フォサール〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕船会社社長ジャック・ルドリュ、別名マルティン・シュミット
〔共演〕ナディア・グレイ、エリナ・ラブールデット、アルベール・ディナン
〔封切〕1953年11月13日(仏)
〔日本公開〕なし(テレビ放映あり)
〔ソフト〕なし
〔注〕ギャバンがジル・グランジエ監督組んだ最初の映画。戦時中ドイツに失踪していた男が偽名を使ってフランスへ戻り、船会社を経営していたが、再婚した妻に再会するという話。


 
(47)現金に手を出すな Touchez pas au grisbi
 1953年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕ジャック・ベッケル
〔原作・脚本・台詞〕アルベール・シムナン〔脚本〕モーリス・グリッフ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕ギャング通称マックス
〔共演〕ルネ・ダリー、ジャンヌ・モロー、ドラ・ドール、リノ・ヴァンチュラ、ポール・フランクール、ギャビー・バッセ、マリリン・ビュファード、リノ・ポリニ、ミシェル・ジュルダン、ドニーズ・クレール、ポール・ウトリー
〔封切〕1954年3月17日(仏)
〔日本公開〕1955年3月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ジャック・ベッケル監督のフィルム・ノワールの傑作。ギャバンはマックスという呼び名のギャングで、初老の孤独な男の翳りを見せながらも魅力的に演じ、50歳で再び大スターとして評価されるようになった。マックスの長年の相棒で間抜けなギャングに扮したルネ・ダリーも持ち味を出して好演。ベッケル監督がスカウトした元プロレスラーのリノ・ヴァンチュラが悪役で初めて映画出演。愛人役の新進女優ジャンヌ・モローも魅力的だった。ギャング稼業から足を洗ったキャバレーの経営者(ポール・フランクール)の女房にはギャバンの最初の妻だったギャビー・バッセが扮しているが、これはギャバンがベッケル監督に推薦して実現したそうだ。

ギャバン出演映画リスト1954年~56年 Filmographie, 1954-56

2015-09-26 | ギャバン出演映画リスト
*目下編集中。注とコメントを書き加える予定。

 
(48)われら巴里っ子 L'Air de Paris
 1954年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕マルセル・カルネ
〔原作〕ジャック・ヴィオ〔脚本・台詞〕ジャック・シギュール
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕ボクシングのトレーナーのヴィクトル・ル・ガレック
〔共演〕アルレッティ、ローラン・ルサッフル、マリー・ダエム、マリア=ピア・カジリオ、ジャン・パレデス、フォルコ・ルリ、シモーヌ・パリス
〔封切〕1954年9月24日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕パリの中央市場にボクシング・ジムを開いた元ボクサー(ギャバン)が、スカウトした有望な若者に、自分の果たせなかったチャンピオンになる夢を託し、付きっきりで指導してリングに立たせるという話。マルセル・カルネ監督にしては珍しい内容の娯楽性に富んだ作品だが、ハリウッド製のボクサー物とは違い、人間味の溢れた映画に仕上がっていた。ギャバンの女房役をやったアルレッティが実に良く、あきれながらも夫を支える姿が印象に残る。ボクサー役のローラン・ルサッフルは、カルネ監督が寵愛していた若手男優であるが、主役を演じるだけの魅力がなく、囲われ者の豪奢な女とのラブシーンが長すぎて退屈。ギャバンとアルレッティの夫婦関係を軸にしたまま、映画を展開すべきだったと思う。ギャバンは1954年に公開された『現金に手を出すな』とこの映画で、同年のヴェネチア映画祭で主演男優賞を受賞した。



(49)ナポレオン Napoléon
 1954年 カラー(スタンダード)182分
〔監督・脚本・台詞〕サッシャ・ギトリ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル、ロジェ・ドルモワ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・フランセ
〔ギャバンの役〕ランヌ元帥
〔共演〕レーモン・ベルグラン(主役)、ダニエル・ジェラン、ミシェール・モルガン、ダニエル・ダリュー、サッシャ・ギトリ、イヴ・モンタン、オーソン・ウェルズ、ピエール・ブラッスール、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ジャン・マレー、ミシュリーヌ・プレール、セルジュ・レジアーニ、ダニー・ロバン、マリア・シェル
〔封切〕1955年3月25日(仏)
〔日本公開〕1956年6月
〔ソフト〕なし
〔注〕演劇・映画界の大物サッシャ・ギトリが、フランス映画界のオールスターを出演させ、自ら脚本を書き監督した歴史物の大作。仏・伊合作。ギャバンは死の床についた元帥役でワン・シーンしか登場しないが、日本公開の国際版ではギャバンのシーンはカットされていた。


 
(50)フレンチ・カンカン French Cancan
 1954年 カラー(スタンダード)108分
〔監督・脚本・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原案〕アンドレ=ポール・アントワーヌ〔撮影〕ミシェル・ケルベル〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕興行師アンリ・ダングラール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、マリア・フェリックス、ジアンニ・エスポジト、フィリップ・クレー、ジャン=ロジェ・コーシモン、フランコ・パストリオ、ドラ・ドール、ガストン・モド、ヴァレンティンヌ・テシエ、ミシェル・ピコリ、ガストン・ガバロッシュ、リディア・ジョンソン
〔出演歌手〕パタシュー、アンドレ・クレヴォー、ジャン・レイモン、エディット・ピアフ
〔封切〕1954年12月27日(伊)、1955年4月27日(仏) 
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕大戦中に米国へ渡ったジャン・ルノワール監督が戦後久しぶりに帰仏して作った娯楽ミュージカル映画。パリの興行師(ギャバン)がモンマルトルにムーラン・ルージュを開店し、ダンスのうまい洗濯屋の娘(アルヌール)を仕込んでフレンチ・カンカンを上演するまでのいきさつがメイン・ストーリー。ベル・エポックのパリ風俗が色鮮やかに、ロマンチックな男女の人間模様が明るく楽しく、描かれている。圧巻はラストの熱気あふれるフレンチ・カンカン。ギャバンにとっては初めてのカラー映画。フランス・イタリア合作で、老若男女数多くのフランス俳優のほかにイタリア俳優も何人か出演している。


 
(51)その顔(つら)をかせ Le Port du désir
 1954年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕エドモン・T・グレヴィル
〔脚本・台詞〕ジャック・ヴィオ
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕ルシアン・アグトラン〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕船長ル・ケヴィック
〔共演〕アンリ・ヴィダル、アンドレ・ドバール、ギャビー・バッセ、エディット・ジョルジュ、ジャン=ロジェ・コーシモン
〔封切〕1955年4月15日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕原題は「欲望の港」。邦題は映画の内容にまったくそぐわず、意味不明。マルセイユ港内に沈没した船に関わる犯罪事件の話で、サスペンス仕立てのメロドラマなのだが、お粗末な脚本を二流監督が撮ったため、この頃のギャバン主演作では最低レベルの映画だった。ギャバンはサルベージ船の船長に扮したが、見せどころもないままに終わっていた。ギャバンが潜水服を着るところと、ギャビー・バッセとの共演場面が目を引くだけ。


 
(52)筋金(やき)を入れろ Razzia sur la chnouf
 1955年 黒白(スタンダード)105分
〔監督・脚本〕アンリ・ドコワン
〔原作・脚本・台詞〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本〕モーリス・グリフ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕レイモン・ガブティ〔音楽〕マルク・ランジャン
〔ギャバンの役〕アンリ・フェレ(謎の麻薬密輸業者)
〔共演〕マガリ・ノエル、リノ・ヴァンチュラ、アルベール・レミ、マルセル・ダリオ、ミシェル・ジュルダン、リラ・ケドロヴァ、ポール・フランクール
〔封切〕1955年4月17日(仏)
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕フィルム・ノワールの佳作。原題は「ヤクのガサ入れ」。ニューヨークから帰仏した大物の麻薬密輸業者(ギャバン)がパリの闇の組織に加わるが、真の目的は麻薬の密売ではなかった。ラストに彼の正体が明かされる。パリの暗黒街にある地下賭博場、秘密クラブなどが、そこに出没する怪しげな人々とともにドキュメンタリー・タッチで描かれる。ギャバンの愛人役のマガリ・ノエルが健気で美しい。ギャバンとダリオの久しぶりの共演も見どころ。リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・ジュルダン、ポール・フランクールは『現金に手を出すな』に出演した面々。麻薬中毒の娼婦をやったリラ・ケドロヴァが強烈な印象で、目に焼きつく。彼女は同年製作の『ヘッドライト』では売春宿の女主人だった。


 
(53)首輪のない犬 Chiens perdus sans collier
 1955年 黒白(スタンダード)93分
〔監督〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジベール・セブロン〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ、ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕判事ジュリアン・ラミ
〔共演〕ロベール・ダルバン、ジャン=ジャック・デルボ、アンヌ・ドア、ジャーヌ・マルカン、ジャン・ディド、ジミー・ユルバン、ドラ・ドール、アンヌ・ドア
〔封切〕1955年10月4日(仏)
〔日本公開〕1956年9月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕非行少年救済の仕事に全力を尽くす少年裁判所の判事にギャバンが扮する。無名の少年少女が多数出演。


 
(54)地獄の高速道路(ハイウェイ) Gas-oil
 1955年 黒白(スタンダード)89分
〔監督〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・ベイル〔脚本〕ミシェル・オーディアール(台詞)、ジャック・マルスルー
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕アンリ・クローラ
〔ギャバンの役〕トラックの運転手ジャン・シャップ
〔共演〕ジャンヌ・モロー、ジネット・ルクレール、ジャック・ルクレルク、アンリ・クレミュー
〔封切〕1955年10月18日(仏)
〔日本公開〕1959年7月
〔ソフト〕DVD
〔注〕脚本家のミシェル・オーディアールが初めてギャバンの映画の台詞を担当した。ギャバンとジャンヌ・モローとの共演は2度目だが、この映画でモローは小学校の教師でギャバンの婚約者という重要な役を務めた。


 
(55)ヘッドライト Des gens sans importance
 1955年 黒白(スタンダード)101分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕セルジュ・グルサール〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕トラック運転手ジャン・ヴィアール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、ピエール・モンディ、ポール・フランクール、イヴェット・エティエヴァン、ダニー・カレル、リラ・ケドロヴァ
〔封切〕1956年2月15日(仏)
〔日本公開〕1956年10月
〔ソフト〕DVD
〔注〕原題は『名もなき人々』。ギャバンが初めて新進気鋭の監督アンリ・ヴェルヌイユの映画に出演した。アルヌールが『フレンチ・カンカン』に続いてギャバンの相手役。この映画は、長距離運送のトラック運転手と国道にあるドライヴインの女給との悲恋を描いた名作。ギャバンの戦後の代表作の一本である。この映画でのアルヌールも戦後最高の相手役女優だったと言えるだろ。ルイ・パージュの撮影による陰影深い黒白映像が瞼に残り、作曲家ジョセフ・コスマの物悲しい音楽が胸に滲みわたる。


 
(56)殺意の瞬間 Voici le temps des assassins
 1956年 黒白(スタンダード)113分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本〕モーリス・ベッシー、シャルル・ドラ、ピエール=アリスティド・ブレアル
〔撮影〕アルマン・ティアール〔美術〕ロベール・ギィ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕レストランの主人・シェフ=アンドレ・シャトラン
〔共演〕ダニエル・ドロルム、ジェラール・ブラン、リュシエンヌ・ボガエル、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1956年4月11日(仏)
〔日本公開〕1956年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕クリックするとブログ記事へ


 
(57)逆上 Le Sang à la tête
 1956年 黒白(スタンダード)83分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕アンドレ・トーマ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕アンリ・ヴェルダン
〔ギャバンの役〕実業家フランソワ・カルディノー
〔共演〕ポール・フランクール、ルネ・フォール、ポール・フランクール、モニク・メリナン
〔封切〕1956年8月10日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(58)パリ横断 La Traversée de Paris
 1956年 黒白(スタンダード)80分
〔監督〕クロード・オータン=ララ
〔原作〕マルセル・エメ〔脚本〕ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕
〔ギャバンの役〕画家グランジル
〔共演〕ブールヴィル、ルイ・ド・フュネス、ジャネット・バッティ、アヌーク・フェルジャック
〔封切〕1956年10月26日(仏)
〔日本公開〕なし(JSBでテレビ放映)
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕ドイツ占領下のパリを舞台にしたレジスタンスの話。失業中のタクシー運転手がある画家と出会って一緒にヤミ屋をやるが、画家はパリ市内の「横断」は別の目的があると打ち明ける。フランスで観客動員数489万人の大ヒット。


 
(59)罪と罰 Crime et Châtiment
 1956年 黒白(スタンダード)107分
〔監督〕ジョルジュ・ランパン
〔原作〕ドストエフスキー〔脚本〕シャルル・スパーク
〔撮影〕クロード・ルノワール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕警部ガレ
〔共演〕ロベール・オッセン(主役)、マリナ・ヴラディ、ベルナール・ブリエ、ウラ・ヤコブソン、ギャビー・モルレー、ジュリアン・カレット、ガブリエル・フォンタン、ローラン・ルサッフル、リノ・ヴァンチュラ
〔封切〕1956年12月4日(仏)
〔日本公開〕1957年4月
〔ソフト〕なし
〔注〕


 
(60)ローラン医師の患者 Le Cas du docteur Laurent
 1956年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔脚本・台詞〕ルネ・バルジャヴェル
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕医師ローラン
〔共演〕ニコール・クールセル、シルヴィア・モンフォール、アンリ・アリウス
〔封切〕1957年4月3日(仏)
〔日本公開〕なし((NHK衛星第2で『医師』のタイトルでテレビ放映)
〔ソフト〕なし
〔注〕

ギャバン出演映画リスト1957年~60年 Filmographie, 1957-60

2015-09-24 | ギャバン出演映画リスト
*現在編集中です。注とコメントを書き加えていく予定。

 
(61)赤い灯をつけるな Le rouge est mis
 1957年 黒白85分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ドニス・キーフェル
〔ギャバンの役名〕ギャングの首領ルイ・ベルタン
〔共演〕リノ・ヴァンチュラ、アニー・ジラルド、マルセル・ボズッフィ、ポール・フランクール、ギャビー・バッセ、ジーナ・ニクロ
〔封切〕1957年4月12日(仏)
〔日本公開〕1957年7月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンがアニー・ジラルドと初共演。ギャバンの弟の恋人役に扮したジラルドは、男を手玉に取る知的な悪女。リノ・ヴァンチュラが辣腕警部役。監督のジル・グランジエは、ギャバンの映画を12本も手掛けた、いわばギャバンのお抱え監督。何でも屋で独特な作家性がない職人監督だったが、この映画は秀作の部類で、ラストが良い。また、脚本家のミシェル・オーディアールは、ギャバンの座付き作者で、ギャバンの台詞をずっと書いた人。


 
(62)殺人鬼に罠をかけろ Maigret tend un piège
 1957年 黒白119分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ミシェル・オーディアール(台詞)、ロドルフ=モーリス・アルロー
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕警視ジュール・メグレ
〔共演〕アニー・ジラルド、ジャン・ドサイ、リュシエンヌ・ボガエル、オリヴィエ・ウスノ、ポーレット・デュボスト、リノ・ヴァンチュラ、ジェラール・セティ
〔封切〕1958年1月29日(仏)
〔日本公開〕1958年7月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンのメグレ警視シリーズ第1作。ブログ記事あり。


 
(63)レ・ミゼラブル Les Misérables
 1957年 カラー(シネスコ)180分(前篇85分、後篇95分)
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔原作〕ヴィクトール・ユーゴ―〔脚本・台詞〕ルネ・バルジャヴル
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕ジャン・ヴァルジャン
〔共演〕ダニエル・ドロルム、ベルナール・ブリエ、ブールヴィル、フェルナン・ルドゥー、ジャンニ・エスポジト、シルヴィア・モンフォール、ベアトリス・アルタリバ、セルジュ・レジアーニ
〔封切〕1958年3月12日(仏)
〔日本公開〕1959年6月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕撮影は57年4月から半年以上を要した。仏・伊・東独合作。オリジナル版は242分の大作だったが、ビデオ・DVDでは180分の短縮版になっている。1958年封切後の観客動員数は994万人という驚異的な数字を記録した(同年の興行成績第1位はハリウッド映画『十戒』で、『レ・ミゼラブル』は第2位)。ギャバンの出演映画で戦前戦後を通じ、最多の観客を動員した。


 
(64)夜の放蕩者 Le Désordre et la Nuit
 1958年 黒白90分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕ジャック・ロベール〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕ジャン・ヤトヴ
〔ギャバンの役〕刑事ジョルジュ・ヴァロワ
〔共演〕ナージャ・ティラー、ダニエル・ダリュー、ポール・フランクール、ヘイゼル・スコット、フランソワ・ショメット
〔封切〕1958年5月14日(仏)
〔日本公開〕1958年8月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンの相手役はオーストリア出身の若手女優ナージャ・ティラー。ギャバンお気に入りのスター女優ダニエル・ダリューが殺人事件に関わる薬剤師の役で、刑事ギャバンと渡り合う。パリのバー、キャバレー、ホテルなどの雰囲気描写は巧みだが、犯人追跡のスリルと面白みがなく、緊迫感の欠ける映画になっていた。主役のギャバンだけでなく登場人物の設定に疑問を感じた。


 
(65)可愛い悪魔 En cas de malheur
 1958年 黒白(ビスタ)122分
〔監督・脚本〕クロード・オータン=ララ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ピエール・ボスト、ジャン・オーランシュ
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕ルネ・クロエレック
〔ギャバンの役〕弁護士アンドレ・ゴビロ
〔共演〕ブリジット・バルドー、エドウィージュ・フイエール、ニコール・ベルジュ、フランコ・インテルレンギ、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1958年9月17日(仏)
〔日本公開〕1959年1月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕原題は「不幸のときに」。シムノンの小説が原作だが、メグレ警視が活躍する探偵小説とは違い、フランス版「痴人の愛」といった話。中年男は著名な弁護士で、愛人は強盗未遂の不良少女。これをギャバンとブリジット・バルドーが演じた。当時バルドーはスター女優の道を驀進中で、ギャバンとの共演が話題をまいた。監督は文芸映画の得意なオータン=ララだったが、出来上がった映画は期待外れで、安直な三角関係のメロドラマにすぎなかった。ギャバンが若い女にのめり込むといった映画は50年代に数本あるが、なかでもこの映画は失敗作で、これに懲りたギャバンは、以後若い女を恋人にする役を一切演じることはなかった。


 
(66)大家族 Les Grandes Familles
 1958年 黒白(ビスタ)92分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕モーリス・ドリュオン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕ブルジョワ階級の家長ノエル・シュードレル
〔共演〕ピエール・ブラッスール、ベルナール・ブリエ、アニー・デュコー、ジャン・ドサイ、フランソワーズ・クリストフ
〔封切〕1958年11月19日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2でテレビ放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕



 
(67)浮浪者アルシメード Archimède le clochard
 1958年 黒白79分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原案〕ジャン・モンコルジェ(ジャン・ギャバンの本名)
〔脚本〕アルベール・ヴァランタン、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕浮浪者ジョゼフ・ユーグ・ギローム・ブティエ=ブランヴィル、通称アルシメード
〔共演〕ダリー・コウル、ベルナール・ブリエ、ガストン・ウヴラール、ヴィクトル・ラヌー、ドラ・ドール、ギャビー・バッセ、ジュリアン・カレット
〔封切〕1959年4月8日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2でテレビ放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバン自身が原案を出して、脚本を書かせた映画。ギャバンがパリで生活する住所不定の老浮浪者をコミカルに演じた。名前のアルシメードというのはアルキメデスのフランス語読み。この主人公は、ギリシャの犬儒学派の哲学者ディオオゲネスをイメージしたものだろう。飲み屋で大暴れして刑務所に入ったり、取り壊し前のビルに住み着いて追い払われたり、迷い犬をブルジョワの家に届けて豪華なパーティに加わったり、あちこち歩き回るこの不思議な男がいろいろな人たちと出会い、繰り広げる人間喜劇である。この映画には、ギャバンの昔からの仲間の俳優が総出演して、次々にギャバンとからんでいくが、犬を何匹も連れた浮浪者ジュリアン・カレットとの掛け合いは抱腹もので、とくに面白かった。若手の相棒に扮したダリ―・コウルは当時売り出し中の喜劇俳優で、飄々とした特異な演技を見せていた。


 
(68)サン・フィアクル殺人事件 Maigret et l'affaire Saint-Fiacre
 1959年 黒白(ビスタ)97分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ラドルフ=モーリス・アルロー、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕警視ジュール・メグレ
〔共演〕ヴァランティーヌ・テシエ、ミシェル・オークレール、ロベール・イルシュ、ポール・フランクール、カミユ・ゲラン
〔封切〕1959年9月2日(仏)
〔日本公開〕1986年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンのメグレ警視シリーズの第2作。


 
(69)プレリー街 Rue des prairies
 1959年 黒白86分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕ルネ・ルフェーヴル〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕独身労働者アンリ・ヌヴォー
〔共演〕マリー・ジョゼ・ナット、ルネ・フォール、ロジェ・デュマ、ポール・フランクール
〔封切〕1959年10月21日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2で『子供たち』のタイトルで放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(70)ギャンブルの王様 Le Baron de l'écluse
 1960年 黒白95分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕モーリス・ドリュオン
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕男爵ジェローム・ナポレオン・アントワーヌ
ミシュリーヌ・プレール、ジャン・ドサイ、ジャン=ピエール・ジョベール
〔封切〕1960年4月13日(仏)
〔日本公開〕1963年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕


 
(71)古つわ者たち Les Vieux de la vieille
 1960年 黒白(ビスタ)86分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕ルネ・ファレ〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕フランシス・ルマルク、ポール・デュラン
〔ギャバンの役〕自転車屋ジャン=マリー・ペジャ
〔共演〕ピエール・フレネ、ノエル=ノエル、モナ・ゴヤ、イヴェット・エティエヴァン
〔封切〕1960年9月2日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕ギャバンがピエール・フレネと『大いなる幻影』以来の共演。これがフレネの最後の出演作になった。名優ノエル=ノエルとの共演も話題になった。


ギャバン出演映画リスト1961年~65年 Filmographie, 1961-65

2015-09-22 | ギャバン出演映画リスト

 
(72)大統領 Le Président
 1961年 黒白(ビスタ)110分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕モーリス・ジャール
〔ギャバンの役〕元大統領エミール・ボーフォール
〔共演〕ベルナール・ブリエ、ルネ・フォール、アルフレ・アダン、アンリ・クレミュー、ピエール・ラルケー、ラウル・マルコ
〔封切〕1961年3月1日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕


 
(73)親分は反抗する Le cave se rebiffe 
 1961年 黒白(ビスタ)98分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕アルベール・シモナン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕フランシス・ルマルク、ミシェル・ルグラン
〔ギャバンの役〕フェルディナン・マレシャル、通称「おやじ」(ギャングのボス)
〔共演〕マルティーヌ・キャロル、フランソワーズ・ロゼー、ベルナール・ブリエ、モーリス・ビロー、ジネット・ルクレール
〔封切〕1961年9月27日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャングでもニセ札作りの指揮をとるギャバンが良い。手下たちの3人がボスのギャバンを出し抜いてニセ札を奪い取ろうとするのだが……。大女優フランソワーズ・ロゼーとギャバンの初共演が見せ場。


 
(74)冬の猿 Un singe en hiver
 1962年 黒白(シネスコ)99分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕アントワーヌ・ブロンダン〔脚本〕フランソワ・ボワイエ、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ミシェル・マーニュ
〔ギャバンの役〕ホテルの主人アルベール・ケンタン
〔共演〕ジャン=ポール・ベルモンド、ポール・フランクール、シュザンヌ・フロン、ノエル・ロクヴェール、ガブリエル・ドルジア
〔封切〕1962年5月11日(仏)
〔日本公開〕1996年12月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕日本ではギャバン没後20周年にフィルム上映で初公開された。ギャバンが人気絶頂のベルモンドと初共演した映画で、ギャバンはロケ撮影時にすっかりベルモンドが気に入り、オフの時もいっしょにサッカーや自転車競走を楽しんだという。ギャバンとベルモンドの共演作はこの1本だけに終ったが、ベルモンドはその後もずっとギャバンを敬愛しつづけた。映画は、過去の思い出に捉われた孤独な男二人の出会いと心の触れ合いを描いた秀作だったが、娯楽性に乏しく、興行成績は予想はずれだった。


 
(75)エプソムの紳士 Le Gentleman d'Epsom
 1962年 黒白82分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔脚本〕アルベール・シモナン、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕フランシス・ルマルク、ミシェル・ルグラン
〔ギャバンの役〕リシャール・ブリアン=シャルムリ、通称「司令官」(競馬の予想屋)
〔共演〕マドレーヌ・ロバンソン、ルイ・ド・フィネス、ポール・フランクール
〔封切〕1962年10月3日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕フランスの競馬場の有様や馬券を買う人々の一喜一憂が明るく描かれていて、内容も喜劇で面白い。落ちぶれても元貴族の、かくしゃくとした主人公(ギャバン)が詐欺師まがいの予想屋で、顧客に依頼された馬券を裏で操作して、大損したりする。ルイ・ド・フィネスの大げさな演技も笑える。


 
(76)地下室のメロディー Mélodie en sous-sol
 1963年 黒白(シネスコ)118分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕ジョン・トリニアン〔脚本〕アルベール・シモナン、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ミシェル・マーニュ
〔ギャバンの役〕ギャング・シャルル
〔共演〕アラン・ドロン、ヴィヴィアンヌ・ロマンス、モーリス・ビロー、カルラ・マルリエ、ジョルジュ・ウィルソン、アンリ・ヴィルログー、ジェルメーヌ・モンテロ
〔封切〕1963年3月19日(仏)
〔日本公開〕1963年8月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕米国のMGMが製作に加わり、配給した。世界中で大ヒットした。フランスより日本の方がはるかに興行成績が良かったのは、アラン・ドロン人気があってのことだろう。ドロンが大活躍する映画で、ギャバンの出番は主に前半で、後半は車で待機するだけだった。ラスト・シーンのプールの場面は、この映画の圧巻で、いまだに語り草になっている。


 
(77)メグレ赤い灯を見る Maigret voit rouge
 1963年 黒白85分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ジャック・ロベール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕フランシス・ルマルク、ミシェル・ルグラン
〔ギャバンの役〕警視ジュール・メグレ
〔共演〕フランソワーズ・ファビアン、ヴィットリオ・サニポーリ、ミシェル・コンスタンタン、ギ・ドコンブル、ポール・フランクール
〔封切〕1963年9月18日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンのメグレ警視シリーズ第3作だが、これが最終作となった。前2作はドラノア監督作品で心理サスペンスの色合いが濃かったが、監督がグランジエに代わり、凡庸なB級娯楽作になってしまった。


 
(78)ムッシュー Monsieur
 1964年 黒白(シネスコ)105分
〔監督〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔脚本〕クロード・ジュヴェル、ジョルジュ・ダリエ、パスカル・ジャルダン(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャン・マンダルー〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕銀行家ルネ・デュシェン、通称「ムッシュー」
〔共演〕フィリップ・ノワレ、ミレーユ・ダルク、リゼロッテ・プルファー、ギャビー・モルレー、ガブリアル・ドルジアット
〔封切〕1964年4月22日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕


 
(79)思春期 L'Âge ingrat
 1964年 黒白(シネスコ)95分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔脚本〕クロード・ソーテ、パスカル・ジャルダン(台詞)
〔撮影〕ロベール・ルフェーブル〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ジョルジュ・ドルル
〔ギャバンの役〕エミール・マルアン(会社員)
〔共演〕フェルナンデル、マリー・デュボワ、フランク・フェルナンデル、マドレーヌ・シルヴァン
〔封切〕1964年12月23日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバンが人気喜劇俳優フェルナンデルと共同で作った映画会社ギャフェールの第一回作品。34年ぶりの二人の共演が話題をまいた。婚約したカップルの親同士が親戚つき合いをしようと夏のバカンスを一緒に過ごすが、親バカゆえ子どもの肩を持って大喧嘩し、混乱を巻き起こす喜劇。その父親にギャバンとフェルナンデルが扮し、パリ出身とマルセーユ出身の二人の言葉遣いと性格の違いが面白おかしく描かれている。ギャバンの娘役を演じた新進女優マリー・デュボワは、ギャバンの推薦によってキャスティングされたという。フェルナンデルの息子役には彼の実子で人気歌手のフランク・フェルナンデルが出演している。


 
(80)神の雷鳴 Le Tonnerre de Dieu
 1965年 黒白(シネスコ)91分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕ベルナール・クラヴェル〔脚本・台詞〕パスカル・ジャルダン
〔撮影〕マルセル・グリニョン、ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョルジュ・ガルヴァランツ
〔ギャバンの役〕農場主・獣医レアンドル・ブラサック
〔共演〕ミシェール・メルシエ、リリー・パルマー、ロベール・オッセン、ジョルジュ・ジェレ、ポール・フランクール、ダニエル・セカルディ
〔封切〕1965年9月8日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕1965年度、フランス国内での興行成績第7位、400万人以上を観客動員して大ヒットした。


ギャバン出演映画リスト1966年~70年 Filmographie, 1966-70

2015-09-21 | ギャバン出演映画リスト
*現在編集中です。人名の読み方を確認し、〔注〕を書き加える予定。

 
(81)皆殺しのバラード Du rififi à Paname
 1966年 カラー100分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕オーギュスト・ル・ブルトン〔台詞〕アルフォンス・ブダール
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョルジュ・ガルヴァランツ
〔ギャバンの役〕ギャング・ポール・ベルジェ, 通称「ダイヤのポロ」
〔共演〕ダニエル・チェカルディ、ナージャ・ティラー、ミレーユ・ダルク、ゲルト・フレーべ、クロード・ブラッスール、ジョージ・ラフト
〔封切〕1966年3月2日(仏)
〔日本公開〕1967年12月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンがアメリカ暗黒映画の名優ジョージ・ラフトと共演するのが話題になったが、映画は凡作。


 
(82)アルジャントゥイユの庭師 Le Jardinier d'Argenteuil
 1966年 カラー86分
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔原作〕ルネ・ジュグレ〔脚本〕フランソワ・ボワイエ、アルフォンス・ブダール(台詞)
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ジャン=ポール・ブティエ〔音楽〕セルジュ・ゲンズブール
〔ギャバンの役〕庭師マルタン氏、通称「チューリップ親父」
〔共演〕リゼロッテ・プルファー、ピエール・ヴェルニエ、クルト・ユルゲンス、セルジュ・ゲンズブール
〔封切〕1966年10月7日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(83)太陽のならず者 Le Soleil des voyous
 1967年 カラー100分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕J.M.フリン〔脚本・台詞〕アルフォンス・ブダール
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕フランシス・レイ
〔ギャバンの役〕ドニス・フェラン(元ギャング、レストラン経営者)
〔共演〕ロバート・スタッフ、マーガレット・リー、シュザンヌ・フロン、リュシエンヌ・ボガエル
〔封切〕1967年5月31日(仏)
〔日本公開〕1967年9月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕米国テレビ映画「アンタッチャブル」のネス警部役で人気を博したロバート・スタッフをギャバンの相棒役に起用したが、息が合わず失敗。スタッフの声は吹き替えだと思うが、英語訛りのフランス語に違和感があった。ドロンかベルモンドだったら、ずっと良かったのにと思うが……。ギャバンはスタッフとコンビを組んで銀行強盗にまんまと成功するが、スタッフの愛人になった女に奪った大金を横取りされる話。心理描写のうまいドラノワ監督作品としては凡作。


 
(84)パリ大捜査網 Le Pacha
 1968年 カラー(ビスタ)82分
〔監督・脚本〕ジョルジュ・ロートネル
〔原作〕ジャン・ドリオン〔脚本〕アルベール・シモナン、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕モーリス・フェルー〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕セルジュ・ゲンズブール
〔ギャバンの役〕パリ警察本部長ルイ・ジョス
〔共演〕ダニー・カレル、ジャン・ガヴェン、アンドレ・プス、モーリス・ガレル、ルイ・セーニェ、セルジュ・ゲンズブール
〔封切〕1968年3月14日(仏)
〔日本公開〕1968年12月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ロートネルがギャバン主演で撮った唯一の映画。ストーリー展開も面白く、パリの雰囲気描写も巧みで、ゲンズブールの音楽も良い。10年以上前に『ヘッドライト』でギャバンの娘役をやったダニー・カレルが熱演しているのも見どころ。


 
(85)いれずみ Le Tatoué
 1968年 カラー85分
〔監督〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕アルフォンス・ブダール〔脚本〕パスカル・ジャルダン
〔撮影〕サッシャ・ヴィールミィ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョルジュ・ガルヴァランツ
〔ギャバンの役〕伯爵アングラン・ド・モンティニャック、通称ルグラン(退役軍人)
〔共演〕ルイ・ド・フェネス、ドミニク・ダブレー
〔封切〕1968年9月18日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕人気喜劇俳優ルイ・ド・フィネスとギャバンが共演するのは3度目だったが、フィネスが撮影中、演技に凝りすぎるので、ギャバンは辟易し不機嫌だったという。フィネスの方でもギャバンを立て、遠慮したのだろう。そのためフィネスのドタバタ喜劇としては物足りなかったが、興行成績は上々だった。


 
(86)牡牛座の星の下に Sous le signe du taureau
 1969年 カラー78分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作〕ロジェ・ヴリグニ〔脚本〕フランソワ・ボワイエ、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジャン・プロドミデ
〔ギャバンの役〕実業家・航空学研究者アルベール・レナル
〔共演〕シュザンヌ・フロン、ミシェル・オークレール、フェルナン・ルドゥー
〔封切〕1969年3月28日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕


 
(87)シシリアン Le Clan des Siciliens
 1969年 カラー(パナビジョン)117分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本〕ジョゼ・ジョヴァンニ(台詞)、ピエール・ペルグリ
〔撮影〕アンリ・ドカエ〔美術〕ジャック・ソールニエ〔音楽〕エンニオ・モリコーネ
〔ギャバンの役〕マフィアの親分ヴィットリオ・マナレーゼ
〔共演〕アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、イリーナ・デミック、マルク・ポレル、イヴ・ルフェーブル、シドニー・チャップリン、アメディオ・ナザーリ
〔封切〕1969年12月5日(仏)
〔日本公開〕1970年4月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕ギャバン、ドロン、ヴァンチュラの三者揃い踏み。『地下室のメロディー』で意見が合わず仲違いしたヴェルヌイユ監督と、ギャバンは6年ぶりにヨリを戻し、彼の映画に出演した。プロデューサー的能力もあり、俳優としても脂の乗ったアラン・ドロンが要(かなめ)となり、映画もサスペンスに溢れ見せ場も多い一級の娯楽大作となった。20世紀フォックスが配給し、世界的な大ヒットを記録。イタリア・マフィアの映画ブームを到来させ、『ゴッドファーザー』製作への道を開いた。


 
(88)わが領土 La Horse
 1969年 カラー(ビスタ)77分
〔監督・脚本〕ピエール・グラニエ=ドフェール
〔原作〕ミシェル・ランベスク〔脚本・台詞〕パスカル・ジャルダン
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ジャック・ソールニエ〔音楽〕セルジュ・ゲンズブール、ミシェル・コロンビエ
〔ギャバンの役〕オーギュスト・マロワルール(大農場主)
〔共演〕ピエール・デュクス、アンドレ・ウェベール、マルク・ポレル、エレオノール・イルト
〔封切〕1970年2月22日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕ビデオ(タイトル『ドン』)
〔注〕農場経営者でもあったギャバン自身の姿が二重写しになっていたためか、ギャバンの存在感が際立っていた。不品行な孫息子を追って農場に闖入した麻薬組織のヤクザと対決する家父長ギャバンの頑強さが見どころ。警察に頼らず、次々にヤクザを始末していくのは過剰防衛なのだが……。


ギャバン出演映画リスト1971年~76年 Filmographie, 1971-76

2015-09-21 | ギャバン出演映画リスト
*現在編集中です。人名の読み方を確認し、〔注〕を書き加える予定。

 
(89)猫 Le Chat
 1971年 カラー(ビスタ)86分
〔監督・脚本〕ピエール・グラニエ=ドフェール
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕パスカル・ジャルダン
〔撮影〕ウォルター・ウォティッツ〔美術〕ジャック・ソールニエ〔音楽〕フィリップ・サルド
〔ギャバンの役〕ジュリアン・ブアン(元印刷植字工)
〔共演〕シモーヌ・シニョレ、アニー・コルディ、ニコール・ドサイ
〔封切〕1971年4月24日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕ギャバンとシニョレが初共演を互いに熱望し、ついに実現した映画。老夫婦の愛の絆を描いた心理ドラマで、ベルリン国際映画祭でギャバンとシニュレは銀熊賞の男優賞と女優賞を揃って受賞した。名作だったが、残念ながら興行成績は良くなかった。


 
(90)鍋に黒い旗がはためく Le drapeau noir flotte sur la marmite
 1971年 カラー(ビスタ)78分
〔監督・脚本〕ミシェル・オーディアール
〔原作〕ルネ・ファレ〔脚本〕ルネ・ファレ、ジャン=マリー・ポワレ
〔撮影〕ピエール・プティ〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕ジョルジュ・ブラッサンス
〔ギャバンの役〕ヴィクトル・プルバス(虚言癖のある老人の船乗り)
〔共演〕ジネット・ルクレール、エリック・ダマン、ジャック・マラン
〔封切〕1971年10月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕監督のオーディアールは、ずっとギャバンに重用され、映画のダイアローグ(台詞)を書いてきたライターだったが、映画監督に挑戦し、惨憺たる結果に終った。


 
(91)殺し屋 Le Tueur
 1972年 カラー(ビスタ)85分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔脚本・台詞〕パスカル・ジャルダン
〔撮影〕クロード・ルノワール〔美術〕ミシェル・ド・ブロアン〔音楽〕ユベール・ジロー
〔ギャバンの役〕警部ル・グアン
〔共演〕ベルナール・ブリエ、ファビオ・テスティ、フェリックス・マルタン
〔封切〕1972年3月1日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕撮影期間は1971年11月8日~1972年1月7日


 
(92)ドミニシ事件 L'Affaire Dominici
 1973年 カラー(ビスタ)105分
〔監督・脚本〕クロード・ベルナール=オベール
〔脚本〕ダニエル・ブーランジェ(台詞)、ルイ=エミール・ギャレイ
〔撮影〕リカルド・アロノヴィッチ〔美術〕アルベール・ラジョー〔音楽〕アラン・ゴラゲル
〔ギャバンの役〕ガストン・ドミニシ(農夫)
〔共演〕ジェラール・ドパルデュー、ジェラール・ダリュー、ダニエル・イヴェルネル
〔封切〕1973年3月7日(仏)
〔日本公開〕なし (NHK衛星第2で『事件』のタイトルでテレビ放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(93暗黒街のふたり Deux hommes dans la ville 
 1973年 カラー(ビスタ)100分
〔監督・脚本〕ジョゼ・ジョヴァンニ
〔脚本・台詞〕ダニエル・ブーランジェ
〔撮影〕ジャン=ジャック・タルベ〔美術〕ジャンージャック・カズィオ〔音楽〕フィリップ・サルド
〔ギャバンの役〕ジェルマン・カザンヌーヴ(元警部、保護司)
〔共演〕アラン・ドロン、ミムジー・ファーマー、ミシェル・ブーケ、グイド・アルベルティ、ヴィクトル・ラヌー、ジェラール・ドパルデュー
〔封切〕1973年10月25日(仏)
〔日本公開〕1974年4月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕製作はアラン・ドロン(彼の会社アデル・プロダクション)、仏伊合作


 
(94)愛の終わりに Verdict
 1974年 カラー(ヴィスタ) 95分
〔監督・脚本〕アンドレ・カイヤット
〔原作・脚本〕アンリ・クーポン〔脚本〕ポール・アンドレオータ、ピエール・デュメエ
〔撮影〕ジャン・バダル〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ルイギ
〔ギャバンの役〕判事ルガン
〔共演〕ソフィア・ローレン、アンリ・ガルサン、ミシェル・アルベルティニ、ミュリエル・カタラ
〔封切〕1974年9月11日(仏)
〔日本公開〕1975年9月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕製作はソフィア・ローレンの夫カルロ・ポンティ、仏伊合作。ギャバンの生前、日本で公開された最後の映画


 
(95)脱獄の報酬 L'Année sainte
 1976年 カラー(ビスタ)85分
〔監督・脚本〕ジャン・ジロー
〔脚本〕ルイ=エミール・ギャレイ、ジャック・ヴィルフリッド(台詞)
〔撮影〕ギ・タダス・スズキ〔美術〕シドニー・ベテックス〔音楽〕クロード・ボラン、ジョルジュ・バクリ
〔ギャバンの役〕元ギャング・マックス・ランベール(刑務所を脱獄、司教に変装)
〔共演〕ジャン=クロード・ブリアリ、ダニエル・ダリュー、ニコレッタ・マキャヴェリ
〔封切〕1976年4月23日(仏)
〔日本公開〕なし(テレビ放映あり)
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンの遺作。日本では後年テレビ放映された時に『脱獄の報酬』というタイトルが付けられ、ビデオも同名で発売されたが、それまでは原題の邦訳『聖年』または『聖なる年』で通っていた。