宣セーショナル

宣承をひらく

主がお帰りの日

2015-06-05 19:41:27 | 日記
看取り期とされている98歳のTじっちゃん。

今日、隣町のご自宅へ外出してくることができた。


『米を食いたい。』
『家さ帰りたい。』


その言葉を繰り返していらしたTじっちゃん。飲み込みも少々不安がありつつも、お粥なら…と提供し、その他にも喉越しの良い物を食べてもらおうとやってきた数日間。
ご家族も、苺のムースが好物だったからと作ってお持ち下さったり…。

続くは、やはりご自宅で少しでも過ごすこと。

ただ、大農家を経営し、販売までやっていらっしゃる息子さんご夫婦にしてみれば、長い時間の滞在は中々難しいわけで、短時間でも住み慣れたご自宅の居間で過ごせないものか、そして、長年大事にされてきた田畑をお見せできないかとご家族に相談したのが、今週初めだった。

一度目は、遠距離移動のことや、自宅に帰れば米が食べられると思っているのではないか等々の理由もあり、断られてしまう。

しかし、Tじっちゃんの家に対する思いからすれば、引き下がれない私たち。
増してや、今、意識がはっきりしているチャンスは、看取り期の今だからこそ、今しかないのだ。また折をみて…というような時間の保証もないわけで…。

もう一度、難色を示されていたご家族にお願いをする。


『私たちがついていますから…。今だからこそ、Tさんの大事にしていらした場所に行って、少しでも喜びになればと思うのです。』


ご家族は、オッケーしてくださった。

しかも、実現した今日、Tじっちゃんが働いてきた田畑のすぐ淵まで案内してくださったり、家に入ると、Tじっちんが「いつもゴロ寝してた場所」にリクライニング型車いすではありながら、その定位置で過ごさせてくださる配慮。

Tじっちゃん、徐々に長いドライブの疲れもとれたような和らいだ表情へと変わっていく。

じっちゃんのために、息子様の奥様が美味しいお粥を炊いてくださる。
さらには、私たちの分まで昼食を用意くださって。
息子さんがおっしゃった。


『じいさんも、我が家の居間で、みんなで食事すれば嬉しいだろうと思ってさ♪』


話が持ち上がったときは難色を示されていた息子さんの、この粋なはからいと父親を大事にしている深い思いがそこに存在していた。
娘さん夫婦や、甥さん(90歳)も駆けつけてくださって、昔話、思い出話に花が咲く。

話が盛り上がる中で、Tじっちゃんは、息子さんの奥様手作りである大好物の苺のババロアを頬張っている。

何というやさしき時間。

移動時間2時間で滞在時間も2時間という、短いひと時ではあった。
…が、そこには、愛や思いがいっぱい溢れていた。

帰りの車中、疲れなのか安堵感なのか、ぐっすりと爆睡するTじっちゃんの安らかな寝顔に、私たちもとっても心地好い時間をいただけたのだった。


さて、またやれることを少しでも…。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
1000さま (M&M)
2015-06-06 06:12:08
本当に素敵な、愛と想いに溢れた優しき幸せな時間が流れたのですね。よかったですね。

…私には、決して訪れることの無い時間のようにも思えてしまいますが…、ご家族さまや、光寿苑スタッフさまの、おじいちゃまへの想いが感じられて、今日を、明日を、あったかくて優しい気持ちで過ごせそうです。
ありがとうございます。
M&M さま (1000)
2015-06-10 22:29:43
 とてもとても返事が遅くなりごめんなさいぃ(汗)

 とても温かい時間でした。

 今日も、Tじっちゃん、穏やかにやさしく生きていてくださってます♪

 人の心の力…つむがれる力を感じます。

コメントを投稿