以前にも書きましたが、運転している時にFMを聞くようになって、その話しことばの豊かさに改めて思い知っています。
ラジオのパーソナリティーを務めることができるのは、とても凄い人間力を持った方たちばかり。そうでないと話しことばだけで、ひとを楽しませてくれることはできないでしょう。
ユージさん吉田明世さんコンビ然り、リリーフランキーさん、落合陽一さん然り。
そんな中、最も気になっている2人の著作を読んでみました。1人は、中島岳志さん(「思いがけず利他」、「リベラル保守」宣言)、もう1人はロバート・ハリスさん(「ワイルドサイドを歩け」、「地図のない国から」)。
どれもとてもすばらしいですが、「リベラル保守」宣言は政治的な本なので、少し退屈するかもしれません。
その他の3冊は読みやすく、とても内容のある本なので、絶対おすすめします。
特に名著の部類に入るのは、中島岳志さんの「思いがけず利他」かと思います。これは、東京工業大学未来の人類研究センターの「利他プロジェクト」に在籍する中島さんがそれを進める過程で書かれたもの、と言うことで多くの方の知見が集約されているとのことでした。
そのような中から生まれたきただけあり、納得できる内容の濃さがあります。
中島岳志さんが浄土真宗親鸞に影響を受けたことはラジオの中でもよく話されることですが、「他力本願」と言うことは、どういうことなのか、全く明快に、しかも、立川談志師匠の言葉を参照しつつ、落語「文七元結」を題材に説明する語りぶりは全くお見事というしかありません。
その他にも、ヒンズー教国の与格的考え方、九鬼周造の偶然の問題などが、利他的行為をめぐり考察されています。
ラジオのパーソナリティー同様、平易な言葉で深い内容を伝えていて、色々な意味で参考になる書物ではないでしょうか。
本書からの引用ですが、この本の結論としては、
“可能性が必然性へ発展するところに運命としての仏の本願もあれば人間の救いもある。”
と言うことになるかと思います。
立川談志師匠が、「文七元結」の利他行為を説明つかないものとして、問題提起していたことは、凄いなあと思いました。
また、立川談志師匠の問題提起に、親鸞の教えを見て、見事な解答を与えた中島さんは凄い人だと思いました。
今は亡き談志師匠が読んだら、深く納得する内容かと。