「丸森町に駅はありますか?」と聞かれれば,鉄道の知識がある方ならば,「阿武隈急行の丸森駅」と答えることでしょう。当然正解なのですが,丸森町には,知られざる「駅」があるのです。それは,丸森町中心部から国道113号線を東に進んだ金山地区。昔ながらの街道を思われる町並みの中に,こんな看板が。
そして,建物をよく見てみると…
民家というよりも,昔ながらの木造駅舎!
実はこの「駅」,駅は駅でも「バスの駅」なのです。いや正確には,「『バスの駅』だった」というところでしょうか?
国鉄時代,角田市・丸森町の地域の足は角田に拠点を置く国鉄バスでした。国鉄バスは国道113号線を中心に路線を伸ばし,船岡へ,白石へ,そして県境を越えて福島県の相馬まで乗り入れていたのです。
国鉄バスは,営業上国鉄の鉄道線に準じた取扱いが行われていました。バス路線沿線の主要地域には,この写真のような「駅」が設置され,駅員が配置されるとともにきっぷの発売や荷物の取扱いが行われていました。
国鉄の分割民営化後,バス路線はJRバス東北に引き継がれますが,利用者の減少から,平成11年に撤退。現在は地域のタクシー会社が運行する「町民バス」が,地域の足を担っています。
(U)