NPO法人 専攻科 滋賀の会

盲・聾・養護学校高等部への専攻科設置拡大、そして広く特別な教育的ニーズを有する青年たちの教育機会の保障をめざす滋賀の会

2009.07.11 『専攻科 滋賀の会』 結成総会の様子 1

2009年07月19日 13時54分09秒 | 会からのお知らせ
■ Senkouka.iinaa.net
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大阪のやしま学園専修学校から講師を迎え、開かれました。

滋賀民放などに紹介された記事を立岡さま、徳田さまよりいただきました。ありがとうございました。



記事内容:教育の保障を

「専攻科滋賀の会」結成

障害のある青年に教育の機会を保障するため、特別支援学校高等部などに設置される「専攻科」を滋賀県でも実現しようと11日、父母や教師らが近江八幡市内で「障害青年の教育をさらに(専攻科を)保障する滋賀の会」を結成。約50人が参加して、シンポジウムと結成総会を開きました。

障害のある青年の多くは、高等部卒業後に教育を受けたくても、短大や大学に進みにくいため、一般企業や作業所などに就労しています。「専攻科」は、そんな青年らの教育を保障し、豊かに生活していく力を身につけるための施設ですが、全国でも11校しかなく、近畿では三重県に1校あるだけ。

シンポジウムでは、父母や教師らが、「進路に追われず、青春を謳歌したり、生きて行く力をつけていくために、専攻科が必要」「障害があるからこそ、じっくり勉強できる機会を。豊かな生活が送れるように、余暇を楽しむ力もつけてほしい」など、専攻科の実現を願う声が相次ぎました。

総会では、役員に立岡あきら(日に光)会長を選出したほか、専攻科の実現へ広報活動や県との懇談など活動方針を決めました。(滋賀民放 2009.0711)

また、開催のときの写真などもご提供戴きました。









●感想 1 *自閉症で養護学校高等部に行っている母親から


「学ぶこと」が、障害を持つ人と家族の今日と未来を変える

◆活発な意見交換がなされ、いち早く滋賀にも卒業後の選択肢として専攻科を立ち上げて欲しいという願いがあり、さまざまな分野の(福祉、教育など)方々の協力から実現したことを大変嬉しく感じています。

結成総会もそうですが、滋賀では先生や福祉の関係者が真剣に障害者の未来や進学、進路を考えてくださっており、当事者とその家族もまた心強く感じるのではないか、と思います。

他県では、国が語る「税金を払える障害者にする」ということ「タックス・ペイヤー」として障害を持つ子どもたちも、生徒も働くために学ばされ、親も学校も「働くために」障害を持つ子を育てようとしています。養護学校では中学部から、ネジ回しなどの授業があり、作業学習として繰り返されています。ネジ回しに興味が持てずそれをやらないと「作業が出来ない子」として評価されてしまうということが起っています。障害があるからといってなぜ、中学生から作業学習ばかりさせられてしまうのでしょうか。障害があれば、ネジ回しを中学からやらないとならないのでしょうか。

◆障害を持つ生徒たちが、まだまだ学びたいと思っても、またまだまだ働くために必要なチカラを育てなければならないと思うような人でも、みな「就労」または「福祉的就労」をするしか選択肢がありません。

障害者のきょうだいが「俺は大学に行って社会人になるまで、バイトしたりいろいろ学ぶ時間があるけれど、どうして障害者の弟の方が早く働かねばならないのか」と言っているというのは、毎年親の間で交わされる話題でもあります。

自閉症という障害を持ち、人とのコミュニケーションに障害がありながらもやっと「みんなとわたし」ということを感じられるように育ち、「みんながいるからわたしががんばれる」「みんなといっしょにわたしもがんばろう」という働く上で、働くことを継続するための一番大切な思いがほどほどに育ってきたと思う頃にすぐ就職です。

「みんながいるからわたしもがんばれる」という気持ちは自閉症や発達障害の人たちにとっては、「自分のことも他人のことも大事に思う気持ち」となっていきます。さまざまな発達障害の方達の事件が語られますから、なおこの部分を大事に育てたいと思う親は多いのではないでしょうか。作業ができることも、タックス・ペイヤーとして育てられることも大事なことですが、その一方で障害者が起こす、巻き込まれる社会的な事件の報道も多くなりました。そうした報道がなされるたびに親たちは「どう育てたらいいのだろうか」と本当に悩みます。障害があって、1人で作業が出来るようになっても、この部分での悩みや不安は消えることがありません。障害者は1人で作業することと同様に、他人や自分を愛しく思う気持ちを育むことにも、集団での適切な指導や学びが必要なのですが、今養護学校では限られた時間の中で「作業できるように」という方に傾きつつあるのです。

自律していく中で親ではない周囲との関わりが必要な障害者に、このような思いが親や先生の努力でやっと育つようになっても、卒業がすぐやってきます。教師も、親も長年「あと少し時間があれば」と思いつつみな障害者は卒業していくのです。

◆「障害を持つ子どもを留年させたい」と思う保護者が本当に多いのは確かです。

幼稚園も小学校も、中学校でも「あと一年、二年、健常者よりもゆっくり学ぶことができるとこの子たちにはちょうどいい。もう少し学校に通わせてくれないか」卒業式の日、そう言わないお母ちゃんやお父ちゃんはいません。

「働ける障害者づくり」の中で「同級生や先輩や先生との繋がり」が学校の中のカリキュラムから追いやられ、結果的に「コミュニケーション能力に躓きのある障害者」が育てられ働くための作業ができるけれども、仲間や先輩との関わりがうまくいかず、退職、離職していくという姿も多く見られるようです。

健常者であれば、自分がやってみたい部活(スポーツ部や文化部)や塾などに学校で授業を受ける他に「自分が選択し、自己決定して」親や教師との関わりあいから希望し、日々頑張る人も大変多いものです。その中で自分から仲間を作り悩みを語り自分づくりをしながら未来への希望や夢を持ち、頑張ったり、挫折しながらも自分はどうしたいのか、どうあればいいのか、と仲間と支い合つつ考えたりする時間があります。

しかし、障害者は違います。

選択肢が少ない上、そこでうまくいかないと、子どもや生徒たちは「自分が悪い」とか「挫折感」を背負ったまま、自分の未来と1人向き合い、抱えることになってしまいます。今まで「働くために作られた優秀な生徒」であれば、あるほどにその挫折感は大きく、そしてまたその挫折感を語り合う仲間とのコミュニケーションを計る場所も彼らにはないというのが現状です。

障害があるということは、そこにも障害を理解した適切なサポートや教育が必要なのだとも思います。今まで「働ける障害者になるために」として育てられ、教育されてきてうまくいっていればいっている人ほど、卒業後の躓きは家族を巻き込んで挫折していくことも少なくないと思います。次の対策を考える前に、家族ごと「がっかりしてしまう」ことが起きているというのが、現状なのではないでしょうか。がっかりするだけでなく、通う場所を失ってしまう、または探すのが大変困難であるという背景がそこにはあります。

◆専攻科というのは、軽度の障害がある生徒さんにも、また重度の障害がある生徒さんにも13万人と言われている不登校の生徒さんにも卒業後の選択肢が増えることで、青年期の学び、生活を豊かにしていくきっかけになるとも思われます。

さまざまなお子さんに起るさまざまな躓きを「再生するきっかけ」を支えられる可能性を持っているのも、専攻科だと思います。

また、一般企業が受け入れる「障害者」の数は不景気もあり、都心からどんどん減っているという話があります。そのことによって、今まで一般の企業に就職できた障害者が、福祉的作業所に通うことになったり、離職や退職してしまった障害者も福祉的作業所へ通うことになりますから、作業所もどんどん過密化して重度の障害者が通う場所がなくなっているという話もあります。障害者を取り囲む状況も健常者と同じくいや、もっとどんどん厳しくなっている中で、卒業後の選択肢がひとつ増えるというのは親にとっても、当事者にとってもどれだけ希望となることでしょう。

障害者が「また学べる」「まだまだ学ぶ」「挫折したけれど、学び直したい」ということが起ったとき、またその環境が整ったとき障害者と家族の『今日と未来』が違ってくるように思います。

それは健常者も同じではないでしょうか。就職して何かうまくいかないとき「学校に行って学んでまた就職を考えよう」という人もいるはずです。学ぶことによって、「仲間」ができ、未来への糸口を掴むこともあります。健常者以上に、障害者には青年期以降も「丁寧な教育」が必要です。社会で生きて行くためには、さまざまなことを丁寧にその人それぞれに合わせて「教えてくれる場」や仲間と語り合い、健常者が1人でできるようなことを、障害を持つ人たちは仲間と力を合わせてやり遂げることができるようになるからです。いろいろな思いを共に悩み、語り合う仲間や場が障害者にも沢山必要です。しかし、障害者の青年にはそのような場所が少ないのが現状です。「どうか、このことが沢山の方にご理解戴けるように」と願わずにはいられません。









まだまだ当日の写真がありますので、それと合わせて当日の話し合いなどの様子をご報告したいと思います。



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