古民家SHIKIORI日記/Homenaje Project

アジア・アフリカ・ヨーロッパ、古民家SHIKIORIを舞台につながる音楽。
コントラバス奏者、松永誠剛のブログ。

喜望峰寄り生活4~自分の路~

2009-04-03 02:04:39 | Weblog
毎朝、目が覚めると「あと5日、4日」とカウントしている自分に気がつく。
心がざわざわして落ち着かない、日本に戻る事を畏れているのかもしれない。

アフリカ、特にケープタウンと云うのは不思議な場所だ、
世界中から音楽家だけでなく、色んな人が集まって来て、と云うか吸い寄せられている。

「おいしい食事し、休息を取り、次に目指す場所を決める土地」
次への希望を得られる場所だから、ここは喜望峰/Cape Of Good Hopeと云う名で呼ばれている。


せっかく、時差がほぼ無い経度/緯度にメンバー全員揃っているので、
オランダに居る(はずの)、セブとスカイプでの打合せ日の準備。
「オランダ戻った?」
「うん、市内の方が便利だから、明日からアムステルダムのBrad Mehldauの奥さんの家に3週間くらい居る。」
「Brad Mehldau??居るの?」
「いやNYに居ると思う。ツアー中かな.....」

小さな世界だ。
Brad Mehldauが演奏するAlfieを聞きながら、朝食を取ったばかり、
派手なソロを弾くわけでもなく、ただ美しいメロディを謳う、
現代最高のピアニストだろう。

「全ては与える事から、与えられる。そして、尊敬し、受け入れる事。」
「美しい音」を得るために必要な事は。良い人間の関係を得るための方法と同じだとHeinは語る。

ここ数日、自分の音楽について考えている、
食事もあまり喉を通らない。
トリオではなく、ビッグバンドやストリングス、オーケストラで自分の曲をやりたいと云う気持ちが高まっている、ただ、いくら譜面を書いても、定期的に20人以上の演奏家を集める、自分の作品を育てて行く事は何処の国に居ても難しい。

しばらく、大学のような「修道院」的な場所で時間を過ごすべきなのかと云う想いがめぐる......Heinの元でコントラバスを学びながら.......
そんな中、オランダに戻ったHeinからメールが届いた、
「Seigo、自分はもう個人的に教える事は止めたんだ。Scarboroughで過ごした時間は自分にとっても特別な物だった。なにより、お前は誰かについて学ぶ必要はもう無い。必要な事は自分自身で考え、学ぶ事。
自分の道を突き進め!お前はもっともっと美しい演奏家になれるし、今ももう既に美しい演奏家だ」

彼のメールを読んだあと、一時間以上、何も出来なかった。


数年前、何処を拠点に活動をしようかと悩んでいた時、
「2~3年ヨーロッパで生活し、その後、アフリカに行ってみよう」
と自分の頭の中で計画を立てた。

しかし、物事は自分の頭の中で描いたように進む事はない、
「思った通り」にはならなかった。
自分はとても「傲慢」だった。
人生に対しても、音楽に対しても、楽器に対しても。

気がつけば、1年も経たないうちにアフリカに足を運び、生活をしている自分が居る。
そして、ヨーロッパに居ても、出逢えなかっただろう、素晴らしい「師」にも出逢えた。

自分の出逢った師匠はみな「音楽より大切な物が人生には沢山ある」と云う言葉を初めにかけてくれた。

いつも、アフリカと云う大地、そして世界の様々な場所で人の「無償の想い」に助けられている自分が居る。

全ての出来事が有機的に結びついている、
決して、無駄な物、出来事は一つもない、
自分が無駄と決めつけなければ。

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2 コメント

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深いなぁ (suzubo)
2009-04-03 09:05:45
「音楽より大切な物が人生には沢山ある」深いなぁ
結局音楽の事だけに偏らずに色んな事を経験して懐の深い人間になればおのずと音楽にも深みが出るって事なんだろうな
井の中の蛙にならないようにって事だろう
突き詰めた人が言う言葉には重みがあるなぁ
それが判るように努力をして行こう
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Unknown (seigo)
2009-04-03 14:20:38
「ただの音楽だ」って云う表現をします。
音楽に狂ってしまって、ヒドい人生を送ったミュージシャンを多く見て来ている人達だからなのかもしれません。
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