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台湾大好き

台湾の自然や歴史についてのエッセーです。

トイレ事情

2012年09月14日 | エッセー
 ナオミちゃんは6歳、日本人の父と中国人の母との間に生まれた女の子です。今年の春に来日し、私の家の近くの小学校に入学したピカピカの1年生です。生まれは北京とのことで、標準語の北京語は話しますが、日本語はまったくわかりません。学校の先生方も、北京語がわからないので、授業がたいへんな状況であり、そこでボランティア活動している私の妻がお手伝いすることになりました。私の妻は、台湾出身なので、台湾語、北京語、日本語が話せます。授業を円滑にするため、ナオミちゃん専用の通訳として、授業に参加して、ナオミちゃんのそばに座って日本語教えてあげています。
 ナオミちゃんはくりくりした大きな目で明るくてかわいい子ですが、性格には強いところもあり、妻がわかっていることを説明すると、ナオミちゃんは「わかってる!」といって説明を受けつけないところもあるとのことです。
 あるとき、ナオミちゃんとお話しをする機会があり、わたしは妻の通訳で、いくつか質問しました。
「学校で楽しいことはなに?」と聞くと、
「ブランコとかすべり台」とこたえます。
「給食はどんな感じ?」
「みんなおいしくて、自分の家よりもおいしい。」とこたえます。
わたしはすこし考えてから、ナオミちゃんが日本についてどんな印象をもっているか聞いてみたくなりました。
「中国にいた時と比べて、日本は何が一番違いますか?」と質問しました。
ナオミちゃんは、すこし考えてから、
「トイレかな。」とこたえました。
台湾や中国のトイレ事情を知っているわたしは、興味を覚えて、さらにいくつか質問しました。
そのこたえは次のようでした。
ナオミちゃんは、日本に来る前は保育園に通っていたとのことなので、こたえの対象はその保育園のことのようです。トイレには、戸はなく、紙もおいてなく、まして水など流れようもないとのことで、トイレに行く時は紙をもっていくとのことでした。わたしにはある光景が浮かびました。戸のないトイレは男女の区別もなく、がらんとした木造の建物の一方の壁際に男子用の小便器が並び、その反対側には戸のない女子用の便器が並んでいます。はたして、白い便器などあるのでしょうか?
 わたしは、20年ほど前に台湾南部の屏東県の山地の小学校に行ったことがありますが、そこで小用をたした時のトイレは、がらんとしていて男女の区別はなく、男子の小便器は、水が流れるように木を組み合わせただけあり、女子用は足を乗せる二本の板の間に、同じように水が流れるように木を組み合わせたものがあるだけでした。日本でみる陶器製の白い便器はありませんでした。
 現在の台湾では、すっかり改善されて、昔の面影はありませんが、中国大陸はまだ遅れているようです。台湾のおばさん達が中国へ旅行に行った時の笑い話は、「トイレに行く時は、折り畳み傘を持参せよ。」というのがあります。つまり、中国のトイレには、戸がないので、パンツをおろしたときは、折り畳み傘を広げてガードするということのようです。中国のトイレにはご用心を! 以上

台湾流のお付き合い

2012年09月13日 | エッセー
 台湾人とお付き合いしていて、日本人の私には理解できないことがあります。
1年ほど前のことですが、妻の兄の嫁さんが自分の妹を連れて日本の私の家に泊まりに来ました。日本の観光にお金をかけたくないため、宿泊所として私の家を選んだわけです。
 驚いたのは、滞在日数が2週間と長い期間だったことです。自分のことにおきかえてみましたが、私だったら兄弟の家に行って2週間も泊まる勇気はありません。
「こういうところが台湾人なのかなあ!」と思いました。
 私の妻と兄嫁は長い付き合いがあり、歳も同じでよい話相手ではありますが、何の気兼ねもなく他人の家でくつろぐ台湾からのお客様を見て羨ましくも感じました。

 妻も私も会社勤めをしており、朝食後はでかけます。台湾からの客人は、私たちを送り出した後は、東京見物をしたり、ショッピングをしたりしていたようですが、夕飯時にはきちんと帰宅して一緒に食べます。
 食事の用意やお客様へのもてなしは妻がやるので、1週間もたった頃には、「けっこう疲れるよね。」と弱音を吐きました。とはいえ、「こういう客はお断り」という意味ではなく、時と場合によっては、逆に自分たちが、相手の家に泊まることもあるわけで、お互いさまというくらいに考えているようです。
 このように気兼ねなく人の家に泊まるのは、台湾人の長所なのかもしれません。遠慮ばかりしている日本人と違って、マイペースで振る舞えることは、真の意味での「お付き合い」なのかもしれません。 ふと、若い頃のことを思い出しました。友達の中には、夜中に平気で電話をかけてきたり、夜更けて泊まらせてくれと転がり込んできたりするやつがいましたが、今になって考えると、そういうやつのほうがいい友達だったと思われてなりません。   以上

台湾人のアイデンティティ

2012年09月11日 | エッセー
台湾人は自分の国をどう思っているのだろうか?
台湾生まれの妻は、日本の国籍を取得して永住しているが、台湾人が中国人とひとくくりにされることを極端に嫌います。「一緒にしないでよ!」というわけだ。台湾と中国は同じ漢民族であり、同じ長い歴史をもっていますが、現在の台湾が一つの国として独立していることを強調したいのだと思います。
 先日、開催されたロンドンオリンピックの入場行進では、台湾は「中華台北」のプラカードをもって行進していましたが、このこと自体が大いに不満なのです。この背景には、アメリカや日本をはじめとする多くの国が、大陸の共産政権と国交を回復し、台湾と国交を断絶したことにありますが・・・・、こんなことを話していたらきりがないので止めますが、台湾人の99.9パーセントは、台湾は独立した一つの国であり、大陸の中国とは別の国と考えています。
 ただ面白いのは、独立国であるとの認識は共通でありながら、その表現方法が人により異なるので複雑に見えるのだと思います。たとえば、台湾の第一党の国民党の考え方は、台湾が独立しているのは歴史的にも経済的にも自明のことだが、独立ということをあからさまに叫ぶと大陸の共産政権が怒るので、独立とい言葉は出さずに経済的な利益を求めて友好関係を推し進めようとします。別ないい方をすれば、「名を捨てて実を取る」グループです。
 もう一つのグループが、野党第一党の民進党の考えです。民進党は、独立国である台湾を、国際的に認めてもらうことを最優先で考えています。オリンピックの行進では、台湾と書かれたプラカードをもちたいし、国際連合にも加盟したいのです。大陸が腹を立てて戦争しかけてきたらどうするかといえば、共産党が嫌いなアメリカが守ってくれると考えているし、場合によっては一戦交えてもいいくらいに考えています。台湾は今でも徴兵制があり、場合によっては国を守るために戦うことは当然であると考える人達もいるグループです。
 台湾人の本音でいえば、ほとんどの人が民進党の考え方に共鳴していますが、一部の政治家は武力衝突を避けるために、独立などと過激なことを叫ばずに、経済的な利益を求めて大陸とひたすら仲良ししようという涙ぐましい努力が続けられているのが現在の台湾です。
 すこし難しいこと書きすぎたかなと反省しています。つぎからはもう少しリラックスした内容にしたいと思います。    以上