「日本は台湾を中華民国に引き渡してはいません。」というご指摘、ありがとうございます。
日本は、敗戦により、台湾を清国の後継である中華民国に引き渡したと書いてしまいましたが、これは正確ではなく、バナナさんがご指摘のように、「放棄した」というのが正しいのでしょう。私はサンフランシスコ講和条約を読んではいませんから、反論という気持ちもありません。
おそらく、バナナさんは、台湾問題についてはかなりの見識をおもちの方のようで、中華民国による台湾領有に疑問をもっているようにも感じました。日本が単に放棄しただけなら、中華民国、つまり国民党による台湾領有は違法ということなのでしょうか。
バナナさんのご指摘をうけて、バナナさんはどいう人なのかと考えています。台湾問題を専門に研究している方のようであり、想像をたくましくすれば、日本にいる台湾人なのかもしれないなどと考えたりもします。
あれこれ想像しながら、台湾人の心について改めて考えました。
台湾は、主に中国大陸から移住してきた人達がつくった国ですが、おおよそ300年以上も中国大陸から分離して発展してきたわけであり、中国人とは違うという意味で明確な「民族意識」が芽生えています。
若林正丈著の「蒋経国と李登輝(現代アジアの肖像5)」には、この台湾人の「民族意識」についてわかりやすく説明されているので引用してみます。(P228)
若林氏は、まず、この「民族意識」が典型的な台湾人の観点である、といいます。
「この民族意識は、戒厳令解除のはるか以前から、台湾意識か中国意識かという議論がなされる以前から、台湾生まれで台湾育ちの知識人と話をすれば、すぐわかったことだ。」といいます。
「ただし、その意識は主流のメディアに載ることのないマイナーな言説として扱われ、時には危険視されたといいます。しかし、李登輝は、台湾人なら誰でもが普通にもつこの意識を、中華民国総統や中国国民党主席の身分で、おおっぴらに述べることにより、体制のメジャーな言説の中に一気に組み入れてしまった。」と述べています。
しかし、この民族意識を李登輝がどうの、メディアがどうのと難しくいう必要はないように思います。私の台湾出身の妻は、マスコミなどで台湾が中国と一緒くたに表現されることに大いに反発します。
妻はこういいます。「中国と一緒にしないでよ!」です。これが、日常的にも、高度に政治的な意味でも、台湾人の本音なのです。
バナナさんが、このようなことまで考えているかどうかわかりませんが、バナナさんのご指摘を受けて、なんとなく上に述べたようなことを考えてしまいました。
以上