内分泌代謝内科 備忘録

運動してもやせないのはなぜか?

運動してもやせないのはなぜか?

 
内分泌代謝内科医には是非読んでもらいたい本。長年、二重標識水法でヒトや類人猿の消費カロリーを測定してきた人類学者が書いていて、語り口は軽妙だがヒトの代謝について示唆に富んでいる。
 
いくつも面白い論点を含むが、最も重要なのはヒトの消費カロリーは運動量によってほとんど変わらないというもの。アフリカの狩猟採集民は米国人の 10倍ほど活動的だが、体重で標準化した消費カロリーは米国人と変わらない。また、フルマラソンを走れるようにトレーニングした場合は、運動し始めにはわずかに消費カロリーが増えるがその後は運動量によらず消費カロリーは横ばいになる。
 
これはなぜかというと、運動によるカロリー消費が増えると、基礎代謝を減らして、トータルのカロリー消費量を減らすから。運動をすると慢性炎症など必要がない活動に回すエネルギーが削られるので、代謝疾患が減るのではないかと議論している。
 
その他、内分泌代謝内科医として考えさせられたのは、カロリー計算には全く根拠がないという指摘。すなわち、目標体重に身体活動度から決める係数をかけて摂取カロリーを求める方法には生理学的な根拠はない。ヒトの代謝についての理解はようやく始まったばかりなんだと思い知らされた。

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