薄れていくもの あれこれ

　最近「力」というフレーズのつく語句が私の中から失われつつあることに気付かされる。
例えば体力、視力、脚力、気力、集中力、精神力、記憶力などなどまだまだ沢山ある。
高齢者ともなればこれらのことは誰しも差はあるとしても失われていくものと思っていたが
とうとう私の身にも起って来た。病院で治せるものなら治しもしましょう。
体力、気力、集中力などは減っても仕方ないさと思いつつも、少しでも現状維持を保たねばと自分を煽て励ましている。
　ただ、私が一番恐れているのは記憶力を失うことである。
記憶力がなくなった行く先は認知症ではないのかとの思いが頭をもたげてくる。不安しきり。
すこしでも防ぐにはどうしたらいいのであろうかと考える。
何度も頭の中で繰り返し記憶を焼きつけようとしてみたり、必ずメモをしたりしている。
これらも記憶力低下防止策の一つになるかも知れないと私なりの知恵をしぼってはいるものの
医学的な面からみれば笑われそう。
　思い立って先日こんなことを試みてみた。
ケーキが食べたくなったので作る前に材料、それぞれの分量、手順など書いてみた。
それをレシピノートと照らし合わせてみると見事一致。
焼きあがったケーキは美味しかった。これならまだまだ大丈夫かもと少しばかりホッとした
心地でティタイムを過ごした。こんなおもいをしてと涙が滲んできた。
最近観たテレビ料理番組の献立もレシピ通り書けた。ほっ！
集中力に関しては一気に本を読むことが無くなった。目が疲れることも一因だ。
前日読んだところから2頁ほど読み直してから読み始めるので読み終えるには時間がかかる
ことになったこの頃。
　あれもこれもと失っていく「力」にはあらがえない。
何年か前に買った気に入ったハンドバックも重たい、お気に入りのコートも重たい。
そのうち靴もメガネも重たくなるに違いない。
買い換えなくちゃあ！それならばまずは断捨離？まだまだ使えるのにというもったいない気持ちがむくむくとわいてくる。それらは押入れへと姿を消す運命となる。そうならないためには
物に対する未練を断ち切らねば。
ここまで書いてみると、なんだか寂しく心許なくなってきた。だから書くのをやめにしよう。
これからは細心の注意力をもって失うということに恐れず立ち向って行かねばならないわ。
全身力と前進力で毎日を過ごして行こう。