セーラの独り言2

お年寄りの独り言・・・・

一面の銀世界

2014-02-14 | 日記
 仙台では、この冬35㎝の降雪量に見舞われた。これは、78年ぶりの記録で
あったと、二月十日の新聞に掲載されていた。
 あの日の夜、暖かな家の中から窓越しに深々と降りしきる雪を見ていた。
明日の朝の雪よけの大変さも、足元のすべりのことも、また、大雪がもたらす
雪害のことにも思いを致すこともなく、ただ雪の降るのを見ていた。
深く静まりかえった暗闇の中に点る家々の窓の灯りが雪の中に美しい。
 翌朝、窓を開けてみると夕べからの雪はまだ降りやまず一面真っ白な銀世界。
家々の屋根にこんもりと積もった雪、車を丸ごと覆っている雪、綿帽子をかぶった
樹木の枝が重たげに垂れている。
それは、生まれ故郷の冬の風景を懐かしく映し出している。
雪国では長い長い間、雪に埋もれる季節を元気づけるような行事が沢山ある。
札幌の雪まつり、旭川の氷まつり、網走の流氷まつり、山形の樹氷見物などなど、
この時季、雪国各地で開催されている。
 私には雪とともに過ごした楽しい思い出が数々ある。そんな思いでの一つが
スキー遠足。山の上から先生がみかんをまく。いっせいに生徒達が滑り降りながら
みかんを拾う。楽しかった。お昼には冷たくなったおむすびを頬張る。
母の作ったおむすびの中味は梅干しとチーズを一緒ににぎったもので、チーズは
雪山での元気のもとよ、と言っていた。そのとおり、私は転んでも、転んでも
雪まみれになって滑ったものでした。
 こんな詩を見つけました。
      ❄雪の手紙❄    西條八十
  
  さらさらさらと 巻いてゆく 雪の手紙の長いこと

  夜ふけの窓の 玻璃(がらす)ごし 甜菜畠(あまなばたけ)も 丘の木も 

  星もかくして 白々と 家のまわりを 巻いてゆく

  誰に宛てての たよりやら 雪の手紙の 長いこと

なんと穏やかな雪のお手紙でしょう。
ほどほどに降る雪は私の心をほんわかと和ませてくれるのです。

祈りの日

2014-02-04 | 日記
 今朝いつものように5時過ぎに目を覚ました。
ああ、今日は母の祥月命日。あの日からもう三年、いやまだ三年と複雑に
思われる時間の流れがそこにあった。
あの日に戻ってみると、その日も5時過ぎに目覚めた時刻からわずか7時間後に
まさか、母が亡くなってしまうなんて思ってもみなかった。
次第しだいにその日が忍び寄ってきていることを感じ、覚悟はしていたものの
実際にその時が来ると心の中も体もまるで抜け殻みたいに心許なく、糸が切れて
空にふわふわ漂っているあてどもない風船のように思えた。
しかし、それも束の間、我に返り気を入れなおさねばと自分を励まし勇気付けた。
穏やかに眠ったままの静かな母の人生の終りであった。
だんだんと母に似てきた私の手と、だんだんと冷たくなっていく母の手をしっかりと
握っていた。
「もうこれっきりね。お母さんとの手つなぎは。迷い子にならないように
 いつもしっかりと手をつないでいてくださっていたのに」。
と思うだけで悲しみがこみあげてきた。
「きっと、もうひとりで大丈夫よ、私がいなくとも」とお母さんは70歳の
娘の手を静かにそっとお離しになったのですね。
心の中でずっと母と手つなぎをしていた娘のことを母は知っていたのですね。
 あの日は霙まじりの雪の寒い日でした。
今日もあの日と同じように、どんよりとした寒い日です。
立春とは名ばかりで、立春寒波というそうです。

 お母さん、節ちゃんから豪華な花かごが届きましたよ。
 孫娘のるりちゃんからもかわいらしいお花が届きました。
 お花と香りに包まれてよかったわね。
 わたしは赤いスイートピーの小さな花束を飾りました。

夢で逢えたら

2014-02-03 | 日記
       「ゆうべ見た夢」   水谷まさる
    ☆ ゆうべ見た夢    なつかしい夢。
      死んだかあさんに  おんぶした夢。 
      ゆうべ見た夢    もいちど見たい。
      小箱に夢が     しまっておけて。
      見たいとき見れりゃ どんなによかろ。
      でもでも夢は    そうじゃないね。☽

 明日、二月四日は母の祥月命日。三年前の立春の日の旅立ちでありました。
母と過ごした懐かしい夢を見たいこの頃。
 ゆめひとつ 
   鈴蘭狩りに行った日、眩しそうにお日様をいっぱいに受けての
   すずらん畑の中の若い母はきれいだった。ほかのどのお母さんよりも
   美しくし自慢だった。
 ゆめふたつ
   母を囲んでの幼き日のビスケットづくり。食卓を粉だらけにして
   大小のビンや缶のふたでかたちを切り抜いたり、黄身を塗ったりの
   お手伝い。出来立てほやほやのビスケットを割烹着姿の母と頬張った。
   二度と味わうことの出来ないこの世で最高のビスケット。
   あの日の優しい母のほほえみ。
 ゆめみっつ
   あの時、なんであんなに母に叱られたのかわからない。
   大きな父のリュックに勉強道具、教科書、お洋服、大事しているものなどを
   詰め込み、背負わされて縁側から外に出された。
   あまりの重さに立ち上がれずに縁側にもたれ、泣き続けたわ・た・し。
   おばあちゃんが「おかあちゃまにあやまりましょう」とずっと側にいてくれた。
   おかあちゃまがあの時、なんであんなにお叱りになったのでしょうか。
   今も分からない。
ゆめよっつ、いつつ、むっつ・・・・
母との懐かしい夢を沢山見たい。夢を見た日、私は一日中、あの日、あの時の
おかあちゃんに身を委ねて過ごすことでしょう。
魔法の小箱に詰め込まれた遠く過ぎ去った私の夢たち。
魔法の言葉を唱えたら、忘れられていた夢がみられる・・・・
そんなことがあったらどんなにかいいのに。それは、夢みたいなおはなし。
 二月は母、母の妹、そして姉妹の母つまり私の祖母、そして父方の祖母の
祥月命日である。
私と血の繋がりの濃い四人の女人たちが、偶然とはいえ日にちこそ違うけれど
二月がそれぞれの祥月命日とはなんと縁(えにし)の深いことでしょうか。
 
 お母さん、あなたの孫娘みーちゃんからあなたのお好きな色合いの
 可憐な花束が届きましたよ。きれいでしょう。うれしいですね。