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姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

姫路城天守はカラッポ?

2018年11月23日 | 作事
トリップアドバイザーの英語版を読むと姫路城が5点満点で4.5の評価がされていました。
まあまあかなと思っていると、なんと「とても悪い」”Terrible” という評価が少なからずありました。
“退屈。中は何にも無い”
“外観はきれいだけど、中は見る物がない。”
“お金を払う価値が無い”等々厳しい意見がありました。

でも、この感想は必ずしも誤りではないと思います。三左衛門がお城に興味がまだ無い時、彦根城へ行っても天守の中は何にも無くて拍子抜けした記憶があります。けれど、今ではこれが隠し狭間か、煙出しはどこだ、石落としがないとか当時はカラッポに見えた内部も見るところが一杯あります。基本的な知識があるのと無いのでは当たり前ですが見るところが大きく違います。

天守を見る時の一番基本的なこととは何でしょうか?
そう、天守は信長以外誰も住んだことがないという事です。天守は権威の象徴でありかつ戦の時の最後の砦なんです。住むところではないので家具なんか置いていません。はっきり言ってしまえば、平和時は大きな倉庫なんです。だから、中はカラッポなのは当たり前です。三左衛門は繰り返しこの事を説明します。





ご覧のように姫路城天守の内部は巨大な梁がむき出しで、天井がはっていません。天井がはっていないのは大抵倉庫とか物置きです。このことからでも天守は居住性が低いことが分かります。では、最上階はなぜ天井がはってあるのでしょうか?よく見ると壁の仕様も全然違う。



ほら、見る所がたくさんあるでしょう?
日本人観光客が長押の上にある釘のような物をじっと見て「あれは何なんだろう」と話しているのをよく聞きます。



そんな時はあれは火縄銃の火縄や弾薬袋を釣っていた釘で竹で出来ています。だから緊急時には火縄を引っ張って竹を折り火縄を掴んだのですよと説明してあげます。



これは武具掛け。火縄銃や槍をかけていました。その上には火縄や弾薬袋を引っ掛けていたフックの様な物も見えます。姫路城は有識者の助言?命令?で飾り付けをせず、素のままを見てもらうように主眼を置いているらしいです。しかし、説明がなければ全然わからない。まして、欧州からの観光客は自国の城と重ね合わせるから家具や調度品のない城は退屈でしょう。模型の火縄銃や槍を武具掛けに飾り、火縄や火薬袋を竹釘から釣っていたら理解しやすいのにとつい愚痴が出てしまいます。元々倉庫なんだから鎧、兜を保管している状態を見せれば良いのにと思いませんか?
素のままを見せている姫路城において外国語ガイドの役目は本当に大切だと自負していますが、ガイドがいなくても日本城郭が理解出来る姫路城であって欲しいと思います。ちなみに、西の丸百間廊下には説明パネルがたくさんありますが、残念なことにそこを訪れる観光客は少ないです。

おまけ(^^)
これは大天守にある煙出しです。平時は雨や鳥が入らないように漆喰で塗り固めていますが、いざの時はそこを破って火縄銃の煙を出すようにします。





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