姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

菱の門その3 ー背面攻撃ー

2017年06月11日 | 作事
菱の門は池田時代の華麗な正門です。でも、それは平時のことであり、防城戦に於いては一見ひ弱に見えるこの門が実は重要な役目を果たします。



菱の門の大きな扉を打ち破った攻城側は次に目の前にある「いの門」を突破しようとします。しかしながら、菱の門は大きな扉を打ち破られただけで攻撃された後でも櫓門として残っている筈です。しかも、この門の2階へ入る入口は1階からではなく西の丸から入るのです。下の絵は菱の門を裏側から見たところです。



「城郭建築の至宝 姫路城」 萩原一義編著 より



従って、菱の門を突破したと思った直後、西の丸から多数の兵士が菱の門の2階に入り背面から攻城側を攻撃するのです。菱の門の裏側を見て下さい。



城内側にもかかわらず、窓の格子が漆喰を塗り籠めてあります。
白漆喰の格子はこちらをどうぞ。
窓の違いはこちらをどうぞ。

姫路城最強の「ぬの門」でさえ裏側(城内側)の窓は白漆喰ではありません。



だから、菱の門は背面攻撃を意識した門だと三左衛門は推理しています。
さらに、最初の写真で分かるように三国壕があるため、攻城側は兵を散開させることが出来なく固まって「いの門」に向かうことになります。すると、西の丸の土塀の狭間から側面攻撃(横矢)を受けることになります。そして、菱の門から背面攻撃!挟み撃ちなんです。

平時は御殿への正門。そして、戦時は背面攻撃の重要な門というのが三左衛門の考えです。
ただし、本多時代以降は「桐の一門」が御殿への正門だったと思います。






コメント
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