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姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

姫路城外国語ガイド協会 "VEGA"

2026年01月06日 | VEGA


三左衛門は姫路城外国語ガイド協会(略称 VEGA)に所属し、姫路城英語ボランティアガイドに励んでいます。 VEGA はその事務所を姫路城管理事務所内に置き、姫路城を訪れる外国人に対して無料で外国語ガイドを 提供しているボランティア団体です。設立は日本語のシルバーガイドさんよりも古く1984年で以来約15万人の外国人に姫路城を案内してきました。ガイドは無報酬、そして食事、交通費ももちろん自前です。全国通訳案内士の国家資格を14名の会員が持っていますが、彼らのガイドも無報酬です。だから、ボランティアガイドといえども、そのレベルは有償ガイドと同等、姫路城に関して言えばそれ以上のレベルを有していると自負しています。現在対応できる外国語は英語、中国語、韓国語、スペイン語、イタリア語、インドネシア 語等で、毎年約90ヶ国から約7000人の外国人観光客を案内しています。また、姫路市長を表敬訪問された駐日大使、総領事に姫路城を案内する事もあります。

毎日、入城口を入った所で、写真のようなプラカードを持ってボランティアガイドが待機しています。 そして、外国人からの依頼があれば約1時間半〜2時間かけて城内を案内します。外国人観光客はVEGA の ボランティアガイドによって、ガイドブックでは得られないより深い姫路城の知識、歴史、更には日本文化 を学ぶことができます。 残念ながら案内中のためガイドが出払っている時もあります。予約は原則受付けておりません。 年1回、審査による新入会員の募集を行い質の高いガイドを目指しています。




このブログは2008年5月28日から始めました
最新の記事は、この記事の前の英文の前ページにあります。
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Discover Himeji Castle with VEGA: Free Volunteer Guides for Foreign Visitors

2026年01月04日 | VEGA


Himeji Castle, a UNESCO World Heritage site, is one of Japan’s most iconic and historically significant landmarks. While its breathtaking architecture and rich history captivate visitors, understanding its deeper significance can be challenging without guidance. This is where the Volunteer Guide Association of Himeji Castle (VEGA) comes in!

What is VEGA?

VEGA is a volunteer organization that offers free guided tours of Himeji Castle to foreign visitors. Established in 1984, VEGA has since guided over 150,000 international tourists, helping them experience the castle in a meaningful way.

Key Features of VEGA's Guided Tours

1. Multilingual Support – Tours are available in English, Chinese, and Korean, among other languages.
2. Easily Accessible – English-speaking guides wait just inside the entrance gate, holding a placard like the one shown in the photo.
3. Immediate Tour Start – The tours start right away for those who request them. No need to wait for a scheduled group tour!
4. Tour Duration – A full tour typically lasts between 1.5 to 2 hours, covering essential points of interest.
5. Deep Cultural Insights – With a guide, you will learn about:
   The castle’s defensive structures and how they were designed to protect against enemy attacks.
   The architecture and unique features of Himeji Castle.
   The history of the castle and its role in Japan’s past.
   Broader aspects of Japanese culture and traditions that relate to the castle.
6. No Reservations Required – VEGA operates on a first-come, first-served basis, and advance reservations are generally not accepted.
7. Commitment to Quality – VEGA continuously strives to provide high-quality, informative, and engaging tours for visitors.
※There are times when all the guides are occupied with tours.


Why Join a VEGA Tour?

Walking through Himeji Castle on your own is fascinating, but a guided tour will bring its history to life. You will uncover hidden details and gain a much deeper appreciation for this architectural masterpiece.

If you’re visiting Himeji Castle, look for a VEGA guide at the entrance and enjoy an insightful, free tour!


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姫路城水曲輪の真実

2025年02月18日 | VEGA
前回の続きです。
まず、この写真を見てください。



「國寶 姫路城」1938年 出版社 姫路市役所 上 P64

1938年(昭和13年)発行の書籍ですから、当然、昭和大修理以前の写真です。
奥に見えるのは「水二門」で手前が「にの櫓」です。

そして、これが現在の写真です。




ここで注目すべきは「にの櫓」に接している土塀の基礎です。現在はその基礎が石垣ですが、昭和13年以前はなんと土塁だったのです。当時と現在では様子がまるっきり違っています。さらに、姫路城公式サイトを見ると「姫路城・昭和の大修理写真」の項目の中に上の写真に続く土塀と土塁が載っています。しかも、その土塁は現在の石垣と違って「水三門」の方へ傾斜している様には見えません。著作権の関係でここにその写真をアップ出来ないのは非常に残念です。そこで姫路城公式サイトの古写真を基に、現在の石垣の上に当時あったであろう土塁を重ねてみました。赤い部分が土塁です。イメージ出来るでしょうか?



下の写真は「水三門」です。門の横に転用石「宝篋印塔の基礎」と石棺の蓋が見えます。






古写真と比べてみましょう。石棺の蓋は見えますが、宝篋印塔の基礎は判別出来ません。そもそも土塀下の石垣の高さや積み方が現状と大きく異なっています。



「國寶 姫路城」1938年 出版社 姫路市役所 上 P70

前回、水一門から水三門へ下り勾配になっているのは巧妙な縄張りだと書きましたが、「水曲輪」が昭和の大修理前と後ではこれほども異なっているため、築城当時、池田輝政公は本当に意識して下り勾配にしたかどうか判断がつきませんし、実際は下り勾配だったかどうかも定かではありません。なぜ、こんな改変がしかも重要文化財である土塀の基礎の改変が昭和大修理で行われたのでしょうか?不思議でなりません。

そこで三左衛門は改めて古写真を幾度となく見つめ直しました。すると土塀周辺は改変されていますが、三左衛門の目にはやっぱり道は下っているように見えます!

以前、私はこう書きました。

三左衛門は若い頃「実証派のガイド」だと恥ずかしながら自負し、事実でないことは言わないようにと努めていました。
でも、観光客の多くは観光に来ているのであって、勉強に来ているのではないと思い始め、最近では私は姫路城観光ガイドだ、楽しんで帰って貰いたいと強く意識するようになりました。だから、伝承の話も三左衛門はすすんでします。ただし、いつお城マニアやたとえ研究者が登城してもきちんと説明できるように準備し、引き出しは多く作っているつもりです。

ということで、今後新しい事実が発見されないうちは、従来の通り「攻め下る水曲輪」として説明を続けようと、姫路城英語ガイドの三左衛門は思っています。



「國寶 姫路城」1938年 出版社 姫路市役所 上 P63

























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「攻め下る」水曲輪

2025年02月02日 | 普請
姫路城天守群の入口とも言うべき「ほの門」は槍を持った兵士が1人だけ通れる狭い埋み門です。





「ほの門」を抜けると柵があり、更に案内板があるので右側に行けば良い事がすぐ分かります。でも、柵も案内板もなければ、突撃の勢いでまっすぐ行ってしまうかもしれません。「ほの門」を抜けた所はこんな感じです。天守へ向かう「水一門」は見えません。



別の角度で見ると、「水一門」が隠れているのが分かります。この辺りは「水曲輪」と呼ばれて名前の由来は諸説ありますが、その内の一つに「見ず」つまり「水」に通じることからその名が生じた説があります。



「水一門」に気付いた攻城兵士は慌ててそちらに向かい、門を破壊しようとするのですが、この門前が攻城側にとって非常に危険な所です。門を破壊するのにまごまごしていると後方の石落としからの射撃、更に側面の石落とし、窓、漆喰で塗り込められた隠し狭間から雨霰の攻撃が想定されます。



さて、運良く「水一門」を突破したとしましょう。ところが、「水一門」から「水三門」へ向かう狭い小道はなんと下り勾配になっているのです。「攻め上る」という言葉はあっても「攻め下る」という言葉はありません。敵兵は城外へ出てしまうのではないかとたじろいてしまいます。その間、頭上の石落としや窓からの攻撃で敵兵がパニックに陥ってしまうのは容易に想像できるでしょう。





「水一門」の位置から「水三門」は、2.66m 下がっています。
土塀の基礎石垣から下り勾配だということが分かります。



なんと巧妙な縄張りでしょうか。「水一門」から「水三門」へ至る道は狭く、頭上にはたくさんの石落し、窓がありその上、疑心を起こさせる下り勾配、外国人観光客に恐怖を感じさるには充分でしょう。ガイドの説明にも力が入ります。

ところが、この「水曲輪」には我々ガイドの説明を覆すような大きな疑念があります。その話は次回で。
Don’t miss it.










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姫路城の防御ー誘っている門その2ー

2024年12月01日 | 普請
前回の続きです。
「いの門」を抜けると、というより「いの門」から次の門が見えます。「ろの門」です。



前回説明しました様に、通常、城郭の門の先はどちらの方向へ行ったらよいのか判断しにくくなっているのに、次の門が見えている。
これは変ですね。「菱の門」から「いの門」が見えているのと同じパターンです。



観光客は右側には行かず、みんなぞろぞろと「ろの門」に向かっています。そう、「ろの門」は「いの門」と同じ様に敵兵を誘っている
のです。そして、観光客もみんな池田三左衛門輝政の術中にはまっているのです。ここから先は段々道が狭くなり、曲りくねって色々
な仕掛けが待ち伏せているのに…

「はの門」その1
埋めてしまう「にの門」



前姫路城を守る会理事長 中川秀昭著「姫路城を歩く」より。
P22-P23に若干の切取り及び書込みをしました。


攻め込んで来た敵兵の動きは天守群から手に取る様に見て取れます。



また、仮に敵兵が「ろの門」へ向かわず、右へ行ったとしてもその先には姫路城最強の二重櫓門「ぬの門」が控えています。
一筋縄では行かぬ姫路城。試しに「いの門」からに右側へ行ってみましょう。姫路城の別の防御システムの顔が見えてきます。




ちなみに、「ろの門」の右側の石垣が新しいのにお気付きでしょうか?
ここはかつて(1937年)映画の撮影の時、火薬の量を間違えて石垣が吹っ飛び崩れてしまったのです。そのため、復元工事が
行われた所です。



さて、「いの門」「ろの門」はともに「菱の門」や「ぬの門」などと比べて貧弱な門です。突破しやすいと思って不思議ではないでしょう。
そんな門が目の前にあるとついついそちらに向かうのではないかと三左衛門は推理しています。実際はどうかはわかりませんが、そう
考えると成程と思いませんか?お城へ行くと攻め手の気持ちになり本丸を目指しましょう。そして、守り手はどのようにして攻め手の侵入を
防ごうとしているのか考えてみましょう。
お城めぐりが一層楽しくなりますよ。






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