姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

天守の勝手口

2019年08月18日 | 作事
大天守への入口は4箇所あります。それぞれの入口の扉は二重扉で外側は防火用の漆喰を塗り込めた土扉、内側はくろがね造りの堅牢な板扉となっています。







上の写真は靴脱ぎ場から大天守地下へ入る入口です。漆喰の土壁が防火シャッターの役割をはたしているのがよく分かります。








これは東小天守へつながるイの渡櫓からの入口です。
同じような漆喰土扉と鉄張りの板扉の二重扉になっています。





こちらは地下の「流し」横にある扉です。
台所櫓からの入口ですが、普段は閉じられたままなので外側の状態は見ることが出来ません。
実はこのようになっています。




萩原一義編著「城郭建築の至宝 姫路城」より


さて、問題は大天守1階から「二の渡櫓」そして西小天守へつながる入口です。




こちらも通常閉じられていますので、外側が全く分かりません。写真も捜しましたが見つかりませんでした。そこで、昭和の大修理で活躍された元文部技官 西村吉一さんにお尋ねしたところ工事報告書の写真を見せて頂きました。すると、予想通り写真の板扉には鉄板が貼ってあり、その外側は漆喰土扉でした。
この様に大天守入口は防火仕様かつ堅固な造りになっています。

ところが、不思議なことに小天守の入口は極めて貧弱な造りです。
次の図をご覧ください(大天守入口周辺は実に複雑な構造になっていますが、都合上簡略化しています)




現在の天守群出口が小天守のへの入口です。





内側から見ると




どうですか?漆喰土扉どころかこれではまるで「勝手口」ではありませんか!
ある時期天守への入口と出口が反対になったことがありました。現在の出口から天守へ入って行ったのですが、三左衛門はその時大変な違和感を感じました。なんだこの扉は?敵兵を迎え撃つという感じでは全くない。ところが、この扉に関する質問は外国人からも日本人のお城マニアからも受けたことがありません。でも、不思議だと思いませんか?
そこで、三左衛門はある推理をしてみました。その推理は次回で。













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吉田正久文庫

2019年08月04日 | VEGA


吉田正久さん、私達姫路城英語ガイドの大先輩ですが、昨年夏惜しくも他界されました。
吉田さんは英語でのガイドはもちろん、中国語でのガイドでも活躍されそのガイド回数は2200回以上にもなります。さらにシルバーガイドとして日本語でのガイドもされていました。そして驚くべきは古文書が読めるのです。姫路城城主酒井忠以公の玄武日記も原文で熟読されていました。三左衛門が吉田さんから学んだものは数多くあり、私にとって師匠同然です。その吉田さんのご遺族から吉田正久さん所有の貴重な蔵書の寄付の申し出がありました。ご遺族の方が作られたそのリストは膨大なものであり、リストの作成自体も大変な作業だったと思われます。

その中で、城郭に関する書籍を選び、吉田さんのご遺族に譲渡を申し出ました。その結果、
姫路城ガイドにとって旧約聖書ともいうべき「姫路城史 3巻」、新約聖書ともいうべき「姫路市史 第14巻」、姫路城英語ガイド必読のジェームズ.クラベルの “Shogun “ 他、約80冊の貴重な本をご寄付頂きました。あらためて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

吉田さんの寄贈により、姫路城外国語ガイド協会(VEGA)の城郭に関する蔵書は以前からの蔵書と合わせて大変充実したものになりました。私達も吉田さんに少しでも追いつけるよう姫路城外国語ガイドの研鑽に励みたいと思っています。
コメント (1)
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