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姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

修理後の姫路城天守その3

2015年05月10日 | 修理
今回の大天守公開で一番驚いたのは3階の四隅にある武者隠しでした。



なんといつもは閉じられていた扉が開けられ、内部が公開されたのです。
赤い矢印の部分です。



そして、判ったのは内部が上下2部屋に分かれていて驚く程狭いということでした。



この武者隠しは大変わかり難い構造ですが、人気お城サイト「お城めぐりFAN」に素晴らしい図示があります。

「姫路城武者隠し」でこれほどの詳細な説明を三左衛門は見た事がありません。興味のある人は是非参照してください。サイト管理者の岡さんに感謝です。

さて、気になっていた雨水抜きはご覧の通りです。



以前「雨水抜きその2」にで取り上げたことがありますが、西の丸百間廊下の様な修理をした雨水抜きだったら、どうしようと思っていましたが、従来のままだったので一安心です(^_^)



また、鳩の糞まみれであった出格子窓の石落としもこんなに綺麗になりました。
窓に取り付けられた針金が功を奏しているのかもしれません。



すぐ近くで見える新たに塗り直した漆喰が真っ白で、この白漆喰が姫路城の白を際立たせているのが良く分かります。



本当に見所多しの大天守です。





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修理後の姫路城天守その2 (大柱)

2015年04月17日 | 修理

グランドオープン後、ようやく登城しました。少しは落ちついてきただろうと思っていましたが、天守はかなり混んでいて、ガイド所要時間は約3時間でした。早速 iPad でAR を使用しましたが、結構効果的に活用できました。これは使えそうです。でも、課題も少なからずあります。例えば、東西の大柱(心柱)です。大柱を説明するポイントは
1. 東の大柱(心柱)は創建当時の樅の木ではあるが、昭和の大修理の時に根元を切り檜材で継いだ。
2. 西の大柱(心柱)は状態が良くなかったので、昭和の大修理の時に取り替える事になった。
創建当時は3階で継いでいたが、東の大柱が根元で継がれたため、修理では強度を考え一本ものにしようとした。
3. 25m以上の檜を見つけるのは困難を極めたが、やっと木曾山中で発見した。ところが、運搬中にその檜はまっ ぷたつに折れた。
4. 仕方が無いので、木曾の檜と姫路近郊の笠形神社の檜を3階で継いだ。
5. 後で判ったことだが、一本材では組み立てることが不可能であった。だから、400年前の大工は西の大柱をわ ざわざ3階で継いでいた。

では、AR は大柱をどのように説明しているでしょうか?





西の大柱はこのように継いでありますという説明が流れますが、これだけです。
これでは説明が足りないと思うのですが如何でしょう?
実は西の丸に詳しい説明があります。長い檜がトロッコから落ち、折れた写真もあります。だから、西の丸で予習してから大天守に入らなければなりません。でも、混雑時は皆天守へ直行しますよね。やっぱりガイドがいた方が絶対良い!
ところで、心柱の説明をした後こんな質問を受けることがあります。
「いったいどの様にしてこんな大きな柱を取り替えたのだ?」
三左衛門、ここで二タッと微笑み、おもむろに昭和の大修理を説明を始めます。

さて、今回の修理後、展示ショーケースを取り除いたため思わぬものが日の目を見るようになりました。
それは東の大柱の継ぎ目です。



これは武者隠しが初めて公開されたのと同じ位感激ものです。
その武者隠しは次回説明します。
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修理後の姫路城天守その1

2015年03月22日 | 修理
いよいよ姫路城がグランドオープンしました。
三左衛門はまだ登城していません。けれど、姫路城グランドオープン前に、シルバーガイドさんと私達姫路城外国語ガイド協会(VEGA)のための天守内部見学会が2時間ずつ4回行われました。修理中に入会した会員は最初で最後のチャンスと必死で研修していたのは言うまでもありません。

6年振りに入った内部の様子はこんな感じでした。





ご覧の様に展示物が一切なくなりました。展示台を置いていた型が残っています。照明も電球色のLED に替わりました。



武具掛けの火縄銃や槍もなくなりました。その代わりスマホやタブレットを使うとARのアプリでこんな動画が見られます。



説明板も各階一つしかなく、スマホやアプリで見る事になります。



でも、そういう手段のない人はどうするのでしょう?
今回パンフレットが刷新され解説が詳しくなったので、そちらを参照して欲しいということかもしれません。この件は次回に触れたいと思います

地階と1階には以前は無かったこんなものがあります。





これは耐震補強材です。
その中はこうなっています。



これは鹿島建設のホームページから引用しました。
http://www.kajima.co.jp/tech/himeji_castle/progress/restoration_2/index-j.html

大変興味深いサイトです。

窓にはステンレスの針金が張ってあります。
鳥よけでしょうか。



次回に続きます

おまけ
先日の祝賀式典で披露されたブルーインパルスの写真です。




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白すぎ城 Pure White Castle

2014年07月21日 | 修理
修理した姫路城があまりにも白いため、白鷺城(しらさぎじょう)をもじって「白すぎ城」という言葉がそこかしこで見られるようになりました。誰が考えたのか知りませんが、言い得て妙です。

さて、素屋根がほとんど取り除かれ、真っ白な姫路城が姿を現しました。



でも、平日はまだクレーンが建築部材を取り除いているため、このような写真は撮れません。



日曜、祝日はクレーンもお休み。



見学、写真撮影は今しばらく日曜、祝日がお薦めです。
それでは、素屋根を取った「白すぎ城」をご覧あれ。

Photos of Pure White Castle in Japan, Himeji Castle













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姫路城の屋根はなぜ白い?

2014年04月22日 | 修理
今、姫路城下でよく聞く挨拶は「だいぶん見え出しましたね。」
そう、みんな待っているのです。そして、次に出る言葉が「白いですね。」



以前こんな事を書きました。

>昭和の大修理が終わり真っ白な天守を見た時、ほんまに“白鷺城”だと子供心に思ったのをよく覚えています。平成の修理も終わった時はきっと驚くような真っ白い白鷺城が現れるでしょう。けれど、屋根目地漆喰が既に灰色に変色している小天守や周りの櫓、土塀と対比して違和感を覚えるかもしれません。少し心配です。



左の小天守と比べると違いは歴然と判ります。
ただ、この漆喰の白さは1年ぐらいで漆喰に生えるカビによって変色してきます。ということは足場解体が終了する1年後の一般公開時にはもう既に変色し始めていることになります。
ではどうするか?
実は防カビ剤を塗布しているのです。出来るだけ長く生まれ変わった新しい姿を見てもらいたいのでしょう。
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まゆから白鷺

2014年03月30日 | 修理
姫路城開城まであと1年になりましたが、先日の神戸新聞の記事はこんなタイトルでした。

「灰色の繭から白鷺 平成の大修理の姫路城、公開まで1年」

>「平成の大修理」が最終段階に入った世界文化遺産・国宝姫路城で、大天守がほぼ3年半ぶりに姿を現し始めた。解体が進む
>素屋根(工事用建屋)の工事用ネットの奥で、灰色の繭に包まれたように白鷺は目覚めを待つ。

その工事用ネットが取り外され、白鷺が微かに見えるようになりました。



三左衛門は少しずつ姿を現し始めた白鷺にドキドキしています。
再生された白鷺は4年前とは明らかに違います。





Grey heron から Egret への変身です。
5月の中頃から最上階の屋根が見える予定だそうです。
乞うご期待!

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天空の白鷺終了

2014年02月22日 | 修理
天空の白鷺が成功裏の内に閉じられました。
直後の壁にはこんな文字が飾られました。



天守の修理は実質的に終わっており、あとは巨大な足場を外すだけになりました。

修理状況を簡単に振り返ってみるとこんな感じです(50年に1度の写真です)





















そして、これが最新の写真です。
職人さんの姿が小さく見えます。



で、肝心のガイドですが、これから氷河期を迎えます。天空の白鷺が閉まっただけでなく、備前丸(本丸)にも入れません。外国人観光客は来るのだろうか?黒田勘兵衛に関心のある外国人なんかいるのだろうか?
にもかかわらず、ガイド仲間は以前と同様の人数が登城しており、案内時間も1時間半から2時間と通常コースと同じぐらいかけています。寒さにも負けずみんな頑張っています。
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間近で見た大天守(工事エリア見学会)その1

2013年02月11日 | 修理
普段は「天空の白鷺」のガラス越しにしか見られない大天守を、なんと工事エリア内に入り手の届きそうな近さで見て来ました。一般公募された工事エリア見学会に行って来たのです。わずか20分でしたが、南面以外の東西北面の最上階を見学しました。一生に一度のことです。





白漆喰が塗りたてのため、今が一番きれいです。数年すると漆喰の色が灰色になります。中国から多量の汚染物質が飛来しているので変色も早いかもしれません。







近くで見ると屋根のそりが実感できます。
さて、ここの鬼瓦に注目。こんな揚羽の鬼瓦があります。


さて、これは東面の屋根ですが、窓が二つあります。何の窓でしょうか?



実はこれ最上階の天井裏から外へ出られる窓なんです。
以前「外へ出られる窓」で紹介した事があります。
http://blog.goo.ne.jp/sanzaemon01/m/200811



最上階のこの天井から天井裏へ入り、この窓から外へ出て屋根の上に上がり屋根の修理をするのです。

見学会のお話は次回に続きます。お楽しみに。
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屋根目地漆喰

2013年01月02日 | 修理
明けましておめでとうございます。
元旦早々初登城してきました。但し、ガイドはしませんでした(^_^;)
開門20分前で既にこんなに人が並んでいました。元日は無料といえ驚きました。



さて、修理状況ですが、最上階の屋根はほとんど完了しています。Before/Afterをどうぞ。













ここで注目は屋根の丸瓦と丸瓦の継ぎ目に施された屋根目地漆喰です。



全国の天守のうち屋根目地漆喰を施工している建物は、姫路城と熊本城と伊予松山城だけです。
ところが、姫路城は築城当初から屋根目地漆喰が施されていた可能性は低いと言われています。ではいつから屋根目地漆喰をされたのでしょうか?多分、築城間もない時期から屋根の修理に漆喰を使い始めた事をきっかけに施工された始めたのだろうと思われます。

昭和の大修理が終わり真っ白な天守を見た時、ほんまに“白鷺城”だと子供心に思ったのをよく覚えています。平成の修理も終わった時はきっと驚くような真っ白い白鷺城が現れるでしょう。けれど、屋根目地漆喰が既に灰色に変色している小天守や周りの櫓、土塀と対比して違和感を覚えるかもしれません。少し心配です。


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天守修理工事状況

2011年08月13日 | 修理
天空の白鷺の壁の向こうではどんどん修理が進んでいます。
ご覧のように5層目、4層目の瓦はすべて取り除かれて現在選別中です。





傷んだ瓦は新しいものと取替えますが、使えるものは再利用します。50年前の大修理の時に大部分取替えられたのですが、その50年前の瓦のダメージは極めて少ないそうです。素晴らしい。

漆喰壁を落とし、窓も取り外しました。



線で取り囲んだところですね。



大天守最上階の鯱も下ろされ「りの一渡櫓」に展示されています。

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天空の白鷺

2011年03月26日 | 修理
ついに姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」に行って来ました。3/26正式オープンに先立つプレオープンに招待されたのです。今までは通れなかった備前門を約1年振りにくぐると、天空の白鷺の入口がありました。
「天空の白鷺」の英訳、"Egret's Eye View" は bird's eye view から考えたもので、なかなか好いじゃないかと三左衛門は自画自賛しております



エレベーターで一気に8階まで行くのですが、途中大天守のライトアップされた石垣が見え、気持ちが高まります。



さて、8階に着きました。



写真右が大天守側です。いよいよ大天守とご対面!!!





間近で見る大天守は想像通り凄い迫力です。
偶然私達の前を作業員の人が通りました。今後は瓦や漆喰を直す職人さんの作業風景が見られるのでしょうか?



漆喰の剥がれ落ちているところがよくわかります。やはり直さなくちゃ。





見慣れた大天守からの風景ですが、窓が大きいため広々と見えます。



少し下がった7階からの大天守はこんな感じです。





パンフレットに「期間限定の特等席」とありました。まさしくその通りです。2013年の春までなのでお見逃しなく!

ところで、大天守を至近距離から見る事で驚くことを見つけました。



お気付きですか?池田氏の家紋、揚羽に混じって羽柴秀吉の五三の桐、木下家定の五七の桐紋があります。これはいったいどういうことなのでしょうか??? 大天守を建てたのはもちろん池田三左衛門輝政。ところが、秀吉も家定も大天守ができる前の城主です。なぜ彼らの家紋瓦がこんなところにしかもたくさん有るのでしょうか?

この話の続きは次回で!
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姫路城天守線画

2011年01月04日 | 修理
明けましておめでとうございます。
本日、初登城しました。けれど外国人観光客は少なく、7人のガイドが事務所で待機していたのですが、結局案内できたのは三左衛門を含めて4人だけでした。早くV字回復して欲しいです。

さて、観光客呼び込み作戦として大天守保存修理で建設中の素屋根の側面に、実寸大の大天守を描いた線画が現れました。

東側





南側





西と北はまだです。

実寸大のはずなんですが、何か微妙に違和感を感じてしまいます。この微妙さは写真では表現しにくいものですが、修理担当の城周辺整備室の人から聞いてやっと判りました。線画の位置と実際の天守の位置が違うのです。足場の関係上線画の方が天守よりだいぶん前に来ているのです。それと素屋根の高さの関係上、実際の天守より5m程低い位置に線画が来ているらしいです。それと素屋根が天守よりかなり大きいため天守が小さく感じてしまうのでしょう。これはもう仕方がないですよね。




左上のパネルが2ヶ所開いている所は修理見学施設「天空の白鷺」の窓になるそうです。
「天空の白鷺」はV字回復の切り札ですから楽しみです
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いよいよオリの中

2010年10月31日 | 修理
姫路城大天守は鉄骨の素屋根足場に囲まれ、いよいよオリの中状態になりました



以下は大加戸コレクションの写真。
http://blog.goo.ne.jp/sanzaemon01/e/4d1a9d4b7ff42288a0736c2c300cbdad

50年前の素屋根足場です。


再び、現在と50年前の比較。







鉄骨の今回の素屋根足場は凄い技術で建設中ですが、今となって思えば50年前の木製素屋根足場も凄い技術です。周りに姫路城より高い建物はなく、台風の時は直撃なんですから。

さて、前回そして今回修理を請け負っている鹿島建設が姫路城大天守保存修理工事のホームページを公開しています。大変興味深いです。

http://www.kajima.co.jp/tech/himeji_castle/index-j.html
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姫路城修理のすごいクレーン

2010年08月29日 | 修理
今回の姫路城改修工事では大天守東西南北の瓦の葺き替えや漆喰壁の修理をします。だから、大天守の四方に足場を組まなければなりません。ところが、大天守の西側と北側は大変狭いのです。



矢印のところを見て下さい。こんな狭い場所に足場が組まれています。
ここは天守中庭や現在靴脱ぎ場として使われている場所です。





ではどのようにして資材を運び込んだのでしょうか?
この写真を見て下さい。なんとクレーンで資材を釣り上げ、大天守の上を通り越して狭い場所に下ろしているのです。







下から見るとヒヤヒヤしますが、本当にすごい技術です

さて、平成22年8月29日現在の改修工事状況です。





このブログも段々姫路城修理写真集のようになってきました。
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まだまだ大丈夫

2010年07月25日 | 修理
順調に姫路城改修工事は進んでいます。
7月25日現在の進行状況は以下の通りです。





こんな状況下でも外国人旅行者は多く、今日も親子のアメリカ人を案内しました。
案内時間は約1時間45分。天守閉鎖前は約2時間ですから以前と大差ありません。そして、お客さんのツアー満足度も同様です。他のガイド仲間も同じように言っています。

大天守の南側は写真のようにかなり隠れてきていますが、実は西側や北側からはまだまだ美しい姿が見えるのです。







もちろん西の丸百間廊下、化粧櫓も入れます。
見どころはまだまだたくさんあります。是非ご来城を
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