姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

「はの門」その1

2016年09月22日 | 作事


「はの門」は櫓門ではありますが、同様の「菱の門」や「ぬの門」と比べると見るからに貧弱で、ガイドブック等にも柱の礎石に使われている転用石のみが紹介されている場合が多いです。



でも、この門は「菱の門」の背面から「いの門」、「ろの門」の背面まで見通すことができるのでこの辺りの司令塔の役目をもった重要な門です。それ故細部をよく見ると色々なことが解ってきます。では、一つずつ見ていきましょう。

まず、この門はその荷重を石垣にかけず、柱で支えているということです。





これはどういうことでしょうか?
敵兵がこの門を攻めてきたらまず門扉を閉めます。
次に石垣を崩し、その石を利用して門を埋めてしまうのです。「はの門」は柱で支えられているので、たとえ石垣を崩しても倒れない構造になっているのです。
さらに注目は門の前の通路です。



門扉を破壊する時は通常長くて太い材木を多人数で抱えて門扉にぶつけるのですが、前の通路の奥行きが短いため長い材木が使えない仕組みになっています。

また万が一門を突破され、門の櫓部分に立て篭もったとしましょう。
そこからは天守群がまる見えです。



しかしながら、門の反対側と側面には窓がないのです。だから、攻め手側はたとえ「はの門」を攻略してもこの門を利用することができません。



以上が通常三左衛門が外国人相手に説明している内容です。転用石の話よりもこちらの方が興味深いでしょう?
さて、このブログを読んでいる日本人の皆さんにはもう少し詳しい説明を。
それは次回です。どうぞお楽しみに。
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