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ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

子供のための「魔笛」(モーツァルト)

2007年01月20日 05時43分27秒 | 音楽(クラシック)
ウィーンはあるこちらの人に言わせればもっとも宣伝の成功した都市で、クラシック音楽が溢れているようなイメージが定着しています。が、はっきり言ってどれくらいのオーストリア人がクラシックを聴くのかを考えるとかなりイメージとはかけ離れているようです。僕の周りにクラシックの好きなオーストリア人はいまのところ居ません。まあ研究所というのはちょっと偏った環境ではあります。

同じような思い込みで、こっちの子供は魔笛のアリアくらい全部知ってるんじゃないかと思っていましたが、どうやらそういうことも無いようです。ですが、もちろん日本よりも親しみがあるとは思います。毎年KinderOperと称して国立歌劇場では子供向けの魔笛をやるようですし、魔笛はもっとも子供に親しみやすいオペラだと思います。

今回はオペラに行ったわけではありませんが、そういうことでDVDの紹介です。ここで紹介するのはメトロポリタンオペラの魔笛です。よくも悪くも明るく深刻にならないレヴァインの音楽とコミカルな演出があいまって、このDVDは子供にはうってつけです。我が家のDVDは擦り切れるほど(実際にはもちろん擦り切れませんが)繰り返し見ています。パミーナをバトルが演じているのはちょっとどうかとも思いますが、これもアメリカらしいですね。


メトロポリタンオペラ
モーツァルト「魔笛」

魔笛は間違いなくモーツァルトの最高傑作の一つですが、同時に子供にも受け入れやすい親しみやすい旋律に溢れています。宗教的な背景は良く分からないのでまあ不思議な部分もありますが、そんなことは気にせずに、でも有名なアリアだけでなくオペラとして楽しむのが一番だと思います。

「コジ・ファン・トゥッテ」 ウィーン国立歌劇場

2007年01月14日 07時37分01秒 | 音楽(クラシック)
今日はGaranceシリーズの第三弾、コジ・ファン・トゥッテに行ってきました。といっても途中で帰ってしまったのですが。。。。


Cosi fan tutte
Wolfgang Amadeus Mozart

Dirigent   Julia Jones
Fiordiligi    Ricarda Merbeth
Dorabella   Elina Garanca
Gugliemo   Adrian Eröd
Ferrando    Saimir Pirgu
Despina     Simina Ivan
Don Alfonso Ildebrando D`Arcangelo

先に断っておくと2幕始まって15分くらいで帰ってしまいました。ひとりで聴いていたんならどんなに悪くても最後まで聴くのですが。しかしよければ何があっても最後まで聴くのも確かです。

今日の指揮者はJulia Jones。名前の通り女性です。最近では女性指揮者は大分増えてきたようですが、私にとっては初でした。と思ったら違いました。私が日本で狂ったように通い詰めていたコンサートでは一度もありませんでしたが、二期会の「ドン・ジョバンニ」が松尾葉子さんの指揮でした。このときのドンナ・エルヴィラの最後のアリアが忘れられないほど印象的で伝わってくる感情の激しさに身震いしたほどでした。前にも書いたかもしれないですが、これは日本語上演でした。さすがに時々不自然というかこっけいに映るのですが、それはオペラは外国語(特にイタリア語など一般に日本人には理解できない言語)で歌われるものという先入観の結果かもしれません。「こうもり」で普通にゲラゲラ笑っている聴衆を見ているとそう思わされました。とにかくそのときの「ドン・ジョバンニ」を聴いて、ああもっとオペラを聴きたいと思ったものです。10年経ってやっと思いが叶いました。

話がそれまくっていますが、私は特にオペラにおいてはもっともっと女性指揮者が出てきて欲しいと思っています。そういうわけで今日の指揮者もポジティブに評価したかったのですが、残念ながらテクニック的にも音楽的にもいいものを感じませんでした。テンポが変るところの入りはあわせられないし、音楽は全般的にテンポが遅く、一幕の最後などは歌い手は明らかに走りたいのにオケがついてこない状況になり、最後はコンマスが指揮より先に行っていたように見えました。

GugliemoのAdrian Erödさんはこの前から3回連続で会ってしまいました。よくもいろんな役をこなすものです。今回は可も無く不可もなくというところでしょうか。Ferrandoの方は声が柔らかく一幕の見せ場のアリアもなかなか物腰柔らかに歌っていました。モーツァルトオペラなのでそんなものかもしれませんが、もっとイタリア人的な色っぽさを表現して欲しかったなあとも思いましたが。

Don AlfonsoのIldebrando D`Arcangeloは最悪でした。とにかく音程がおかしい。彼のせいでアンサンブルが不協和音になっていました。しかもこのオペラは重唱がほとんどで邪魔しまくっていました。彼は重症です。この名前を見たらそれだけで避けるかもしれません。

そしてGranca。今回専門家の意見を聞いて安心しました。あれは典型的な喉を痛めてる歌手の歌い方のようです。前回よりももうちょっと印象派良かったですが、やはり始終セーブしている印象でした。こんなものではないそうです。今後どれくらいウィーンで歌ってくれるか分かりませんが、期待して待ちたいと思います。しかしそんな状況でまだ若い人がこんな頻度で舞台に上がっているのはどうしたものなのか。これで本当に喉を壊さないで居て欲しいものです。声楽家がベストコンディションでしか舞台に上がらないようでは困り者なんでしょうけど。

今日は残念でしたが、まあこういうこともあります。考えてみたら日本でコンサートに行って、良かった!と思うことなんで10回に一回くらいでしたから仕方のないことです。いつも十分に楽しませてもらっています。それからコジ・ファンはたしかに難しいオペラです。ストーリーも恋愛遊びですから軽妙なもので劇的さに掛けるし、だからこそウィーンで聞きたいものでもあるのですが。ベームの名演奏で聴き直したいと思います。


ベーム指揮「コジ・ファン・テュッテ」
(これはCDです。DVDもいろいろあるのですが、見てないものを紹介するわけにもいかないので、間違いなくいい録音ということでこのCDを推薦します)

ウィーン国立歌劇場の「こうもり」

2007年01月08日 03時32分11秒 | 音楽(クラシック)
序曲が余りにも有名がこの作品はこちらでは年末の定番だそうです。年末に引き続いてやっている年始の舞台に、セビリアに続いて行って来ました。

Die Fledermaus
Dirigent          Bertrand de Billy
Gabriel von Eisenstein John Dickie
Rosalinde         Ildikó Raimondi
Prinz Orlofsky      Elisabeth Kulman
Dr. Falke         Adrian Eröd
Adele           Diana Damrau
Frosch          Robert Meyer

指揮は夏にドン・ジョバンニを聴いたde Billy、Dr. Falkeは一昨日のフィガロと同じ人でした。二日後に全然違う役をこなすんだから大したものです。

de Billyの印象は、オケの違い、ホールの違い、席の違いといろいろ違えばかなり変わるもので、とても洗練された印象でした。勢いがいいのは前回と同じです。序曲はこのオケなら指揮者が居なくても相当いい演奏をしそうなもんですが、指揮にちゃんとついていっていたし、それでいてウィーンらしい響き・リズムでした。一箇所、指揮者としては腕の見せ所の、一気にテンポが落ちて徐々に加速するところでオケが完全にずれてしまっていました。ここはやや振りそこなったように見えました。しかしそれ以外は歌い手も上手くコントロール出来ていて好印象でした。この人はそのうちもっとStaatsoperで振るようになりそうな気がします。

歌い手ではOrlofskyが、身のこなしも含めて堂々として(どうしてこんなに男装が上手いのかと思ってしまいますが)ほぼ完璧にこなしていたと思います。他にはRosalindeも良かったですが、私の好みではAdeleを歌ったDiana Damrauが良かった。常に余裕を感じさせる声量と声の艶は際立っていました。Dr. FalkeのAdrian Erödはおとといのほうが全然存在感がありました。声もちょっと出てなかったような。歌い手はコンディションで大分違っちゃいますね。そういう意味では引越し公演で日本で歌うなどどうやってコンディションを整えているのかと思ってしまいます。湿度が高いからもしかしたらでも楽なのかな?楽器の場合も弦楽器や木管などかなり難しいと聞きますが。

ということで文句無く楽しんで来ましたが、やっぱりドイツ語のオペラを聴くと、外国人であることを思い知らされ、語学のモチベーションが高まります。

*なんだか記事の順がおかしくなってしまったので投稿し直します。
ついでにこのオペラにはCarlos Kleiberのライブがあります!
Carlos Kleiberはこの序曲を振らせたら最高でした。今でもウィーンの大学ではあの加速部分がもっとも上手かったのはKleiberだったと教えられていると聞きます。残念ながらウィーンの録音ではないですが名録音なのは間違いありません。


C.クライバー指揮「こうもり」

ウィーン国立歌劇場の「セビリアの理髪師」

2007年01月05日 22時05分43秒 | 音楽(クラシック)
年始早々Staatsoperに行って来ました。
もちろん一ヶ月前から押さえていたチケットです。

お目当ては前回に引き続きElina Garanca。そして指揮がLuisiなのです。

Il barbiere di Siviglia

Dirigent    Fabio Luisi
Graf Almaviva Antonino Siragusa
Bartolo Alfred Sramek
Rosina Elina Garanca
Figaro Adrian Eröd
Basilio Janusz Monarcha

序曲は誰もが知っているあまりに有名な曲ですが、Luiseはやっぱり常に全力。前回と同様、いかにも鞭打ちになりそうな振りできりっとやります。先入観もあるかもしれませんが、Luisiにきちっと振られたオケはウィーンフィル的な響きをあまり感じさせることがなく、ぴしっと演奏していました。私の好みとしてはちょっとしっとりさに欠ける気がしないでもありません。Luisiの振りは一貫してそういった印象でした。

さて肝心のGarancaは、一幕の最大の見せ場では結構な声量ではりのある歌いっぷりを見せてくれましたが、全体的におとなしく、そして例によって舞台巧者ぶりは十分発揮、という感じでした。まだ調子が悪いのか、ハードスケジュールがたたっているのか。いつもこんなものならわざわざ狙い撃ちして行くほどのこともなさそうです。まだ二つあるのでもうちょっと期待して見て行きたいと思います。

他にはBartoloのAlfred Sramekは味のある演技で楽しませてくれましたし、FigaroのAdrian Erödは一番意気がよく、舞台を盛り上げていました。演技も楽しく、声量もありましたが、ちょっと艶に欠ける声でした。彼も調子が悪いのでしょうか?みんな疑ってしまいます。

まあしかしイタリアンオペラはやっぱり楽しいですね。これが日本でオペラを見ていたときのように一万以上払っていたら深刻に聴いてしまってよくないかもしれないですが。

モーツァルト・レクイエム(ルイージ指揮ウィーン交響楽団)

2006年12月20日 23時21分03秒 | 音楽(クラシック)
書き掛けで放っておいたら時間が経ってしまいました。

生誕250周年の目玉の誕生日は逃したものの、やはりモーツァルトイヤーのレクイエムはモーツァルト好きとしては外せません。エリーナ・ガランチャも入っていたStaatsoperでの公演は取り損ねましたが、Symphonikerをとりました。Operで聴くよりはやっぱりMusikvereinの方が良いですし、何よりファビオ・ルイージはまだ聴く機会が無かったのでOKです。(ティーレマンは暑苦しそうですし。。。)

Wiener Symphoniker
Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
Fabio Luisi, Dirigent
Ricarda Merbeth, Sopran
Birgit Remmert, Alt
Herbert Lippert, Tenor
Kwangchul Youn, Baß

Karl Amadeus Hartmann
Symphonie Nr. 1 nach Worten von Walt Whitman für eine Altstimme
und Orchester ("Versuch eines Requiems")
Wolfgang Amadeus Mozart
Requiem d - Moll, KV 626; vervollständigt von Franz Xaver Süßmayr

今回はせっかくのレクイエムなので奮発していい席に座ってしまいました。立ち席以外で一階で聴いたのは初めて。こんなに視界のいいところでコンサートを聴いたのは久しぶり!まあその分高いですが、それだけ良いとなると困っちゃいますね。

一曲目、全く情報が無く聞いたことも無い曲でしたが、なかなか聴き応えのある曲でした。ルイージの意外に熱い指揮に期待が膨らみます。ただ、これくらいの長さの曲になると曲の構成を知らないと辛いですね。

そしてレクイエム。
考えてみたらどういうわけか生でモツレクを聴くのは人生でたったの二度目でした。ヴェルディも二回くらい聞いたことがあるのに不思議です。でも意外に日本で演奏される機会が少ないのも事実だと思います。まあ今年は沢山演奏されたんでしょうけど。
テンポは現代的にというかそれよりももっと早いくらい。「怒りの日」ではヴァイオリンが相当辛そうでした。この曲はモーツァルトが自分でちゃんと書いたところまでは本当に素晴らしくて、その後はどうしても繊細さに欠けるのですが、結構長いこの曲を飽きさせることの無いようにルイージは相当頑張っていたと思います。しかしやっぱり後半が相当長いです。テンポだけ言うんならもっと落ち着いて聴けるところを作ってもらったほうが少し息がつけたんじゃないかと思いました。
それはともかくやっぱりウィーンの楽器でモツレクを演奏されただけでしびれてしまいます。バーンスタインの晩年の録音(映像もありますね)はオケがバイエルン放送響で情熱的なのですが、やっぱりクラリネットが。。。こういう瞬間はウィーンにいる幸せを感じてしまいます。SymphonikerはどうしたってPhilharmonikerの様には行かないのですが(テクニック・アンサンブル)、あっちはスーパーだけど気難しいので、私はこういう演奏会を聞くとこっちのオケのほうが親しみが持てて情熱的で良いなあと思ってしまいます。
そしてもっとも感銘を受けたのは合唱でした。日本の合唱団では有り得ない、個々人の音楽性をのびのびと発揮しているような歌いぶりで、時に伸びやかで時に情熱的で、しかし時々あってなくて、素晴らしく音楽的でした。これは指導の仕方もあるんでしょうけど、文化の違いですね。きっと晋友会のほうが全然上手いんじゃないかと思いますが、それが良いかどうかはまた別問題。
ソリストは結構力量に差があって、アルトがもっとも素晴らしく(前半の曲も歌っていたわけですね)、バスも安定していましたが、テノールは音程もリズムも怪しく、ソプラノはちょっと声が力不足。ここらへんはもうちょっとそろえて欲しいところです。
それでも非常に満足したコンサートでした。
オペラを聴くとオペラは素晴らしい!ウィーンにいるんだからオペラにどんどん行かなきゃ!と思うのですが、コンサートもやっぱりいいんですよね。やっぱりもっと立ち見するかなあ。

国立歌劇場の「薔薇の騎士」(後)

2006年12月13日 01時18分44秒 | 音楽(クラシック)
前回からの続きです。すっかり間が開いてしまいました。

Elina Garabcaについては別の情報が入りました。なんと彼女は次の風邪を弾き7日の公演は代役がたったそうです。彼女だけを前宛に来ている人がかなりいそうなので残念なことですが、私はとてもラッキーでした。

そして期待の彼女のオクタヴィアンはどうだったか?
間違いなく良かった。しかしはじめから私は「ちょっと調子悪いのかな?」と思っていたのでした。私は声の評価を出来るほどよく聞いていないのですが、なんというか彼女の声ののびが余裕がない感じで、その分音楽的な表現の幅が狭かったように思われました。私が聴いてきた一流の歌い手は先ず声の容量が違うと感じるのです。ギネス・ジョーンズのワルキューレ(メトロポリタンオペラのワルキューレ)、ジャネス・マルティンのオルトルート(ドイツ国立オペラのローエングリン)、それに及ぶインパクトはありませんでした。
しかしたとえば3幕はじめ'Nein, nein, Ich trinke kein wein'(いや、いや、私ワインはのめないの)と、かわいこぶるところはあからさまな猫なで声を出して見せたりなかなか芸達者で大胆なところは現代的だなあと思いました。
彼女の評価に着いては1月に沢山また聴くのでそれからにしたいと思います。

さて、久々に聴いた薔薇の騎士、心底楽しめました。そして、ああ、本当にウィーンの情緒に溢れているなあと思いました。多分前回はヨーロッパに対する憧れを抱きつつ聴いていたと思うのですが、今回はウィーン的な「人生、なるようにしかならないさ」という(オペラのストーリー的にはちょっと違うかもしれませんが)風情にぴったり来るのです。そしてオケの生き生きしていること!ワーグナーほど出ないにしてもこういうひっきりなしに引き続けるのは集中力もいるし大変なのではないかと思ってしまうのですが、これは彼らが完全に手中にしている音楽なんだと(当たり前ですが)感じさせられました。ウィーンフィルはやっぱりオペラで聴いていれば良いかなと最近は思っています。1月のモーツァルトオペラシリーズが今から楽しみです。

国立歌劇場の「薔薇の騎士」(前)

2006年12月03日 01時06分16秒 | 音楽(クラシック)
ウィーン国立歌劇場の薔薇は今回2回目。一回目は十年前に日本で、クライバー指揮!
クライバーを生で聴いたことがあるのは物凄くいいネタで、以前オーストリア出身のクラシックオタクの研究者と話したときは、「どうして僕にはチャンスが無かったのに日本住んでる君が聴いてるんだ!」と物凄く羨ましがられました。

更にネタとしていいのはものすごくチケットが高かったこと。ウィーンからの引越しオペラ公演だからコストは掛かって当然で、どれくらい不当に高いのかはよく分かりませんが、一番高いチケットは6万五千円。私のは4万で、東京文化会館の屋根裏のような5階のセンターでした。舞台は本当に見下ろすようで、奥のほうは見えないのですが、文化会館はとにかくセンターがいい、というのが私の持論で、音はとてもよかったです。あそこは不思議なホールで2階でもサイドの端のほうは良く見えないし、音も余り良くありません。一晩で4万は学生の私にはとんでもない出費でしたが、でも学生だから出来た素晴らしい出費でした。

このときの演奏はウィーンでのものがDVD化されてますし、多分この録音のせいで、このオペラはよりメジャーになったんじゃないかと思うくらいですが、キャストも恐ろしく揃っていて(恐らく完全にクライバーの好みで)、素晴らしく完成度の高く、クライバーの魅力たっぷりの演奏だったと思います。

Der Rosenkavalier
Dirigent Adam Fischer
Die Feldmarschallin Deborah Voigt
Baron Ochs Alfred Muff
Octavian, Elina Garanca
Sophie Jane Archibald

で、前置きが長くなりましたが、今回のは演出が完全に同じです。つまり舞台、服装は全く同じ、歌い手は全部違う、と言うことです。もちろん指揮者も違います。演奏はクライバーを意識しすぎなのか、あれがスタンダードになってしまったのか、冒頭からしてクライバー的なテンポで驚きました。が、序曲は快適に飛ばすものの管は完全の後手を引き、かなり怪しげな掛け合いで心配になりました。しかしこのオペラは彼らとしては自分達の為にあるようなものでしょうから、舞台が開いて落ち着けばさすがと言う感じ、私のところからは第二バイオリンがとても気持ちよさそうにのびのび弾いているのが見えました。

さて、私としては今回の注目は(多分聴衆の多くがそうだったと思うのですが)、OctavianのElina Garanca(つづりの最後は多分正確でありません。スペイン語だと思うのですが、読みはガランチャ、ガランシアの中間くらいでしょうか?)。今春ムーティーが振ったフィガロでケルビーノを歌い、別格だったそうで、その評判を聴いて、彼女を目当てにチケットをとっています。新年にはセビリア、フィガロ、コシファンと大忙しです。今度のモツレクにも入っていましたが、残念ながら取り逃しました。まあオペラのほうが絶対彼女の演技を含めて楽しめるに違いありません。

と、ここら辺で長くなったので続きは今度にします。ではまた!



圧倒的。。。

2006年11月16日 04時39分50秒 | 音楽(クラシック)
ふらふらしていたら硬いものが頭にぶち当たったような衝撃でした。

ベルリンフィル・ラトルのショスタコービッチ、予想をはるかに上回ってすごかった。特に前半の交響曲1番。彼らが発する音は常に音が深い、そう思わされました。1番は1番だけにもっと軽く演奏されるものだと思っていましたが、こんなに内容のある音楽だったとは知りませんでした。今日はあんまりいろいろ書かないことにします。

後半の15番はしっかりまじめに聴いたことが無かったのですが、かなり難しい曲です。いい演奏でしたが、この晩年の境地をラトルがものにしているか、これはまだ難しいのではないかと思いました。

とりあえずベルリンフィルをもっと聴きたくなりました。ベルリンはそんなに遠くないわけだから年に何度かフィルハーモニーホールに聴きに行くことを本気で考える気になりました。


ところで、やっぱりウィーンフィルのショスタコは駄目です。ゲルギエフに「モーツァルトのようにやっては駄目だ!」と言われていたそうですが、それがいいところも悪いところも表現しているように思います。少なくとも僕がショスタコに求めるものではないですね。でもまた今度ゲルギエフと4番をやるみたいです。

ベルリンフィル!

2006年11月15日 02時34分43秒 | 音楽(クラシック)
今日は初ベルリンフィル、初ラトル!

ベルリンフィルもウィーンフィルと同じくらいしょっちゅう日本に来ているのにどうしてベルリンフィルだけは行ってことが無かったのかと考えると答えは簡単。もちろんどちらもチケットは競争が激しくてとるのは大変だけど、ウィーンフィルは積年のCDの影響でどうしても聞いてみたい最高のオケ、ベルリンフィルはすごいんだろうけどカラヤン嫌いの私にとっては特別な思いは無かったんですね。
でも以前の記事に書いたこともあってどうしても聴いてみたかったのです。しかしチケットを取るのをうっかりしており、気づいたら2週間前。それでもオルガン脇の安い席は残っていました。公演は二日間あり、今日がショスタコービッチ、明日はドイツ・レクイエム。明日のほうは先に売り切れてしまい、私が取ったときには今日の公演だけ残っていたので自動的にショスタコになりましたが、考えてみたらウィーンフィルで沢山聴いて今一だったショスタコをベルリンフィルで聴けるんだからかえって良かった。

では、これから会場に向かいます!

ウィーン国立歌劇場の魔笛!

2006年10月04日 06時46分15秒 | 音楽(クラシック)
ただただ幸せな時間というのはこういうことを言うんだろうなあ、と帰り道に思ってしまいました。実生活では嬉しいことは沢山ありますが、その前の苦労があってとかいろいろややこしいですからね。

ということで大分久しぶりのエントリーですが、本来の(?)姿に戻って国立歌劇場でモーツァルトの「魔笛」を見てきました。

Die Zauberflöte
Dirigent Alfred Eschwé
Sarastro Walter Fink
Tamino Charles Castronovo
Die Königin der Nacht Jane Archibald
Pamina, ihre Tochter Ildikó Raimondi
Papageno Hans Peter Kammerer

どういうわけか私は小学校の3年あたりで魔笛の主要な曲を学校の音楽の授業で歌っていました。どの曲もとても好きで良く覚えていたのですが、それがモーツァルトの魔笛とはほとんど知らず、なにか先生から説明を受けたのかもしれませんが、全く記憶にありません。受験生の頃に魔笛をCDで聞いて、これ、あの曲じゃん、と言う状態でした。当時の音楽の先生とは全く交流はありませんが、素晴らしい授業をしてくださったことに本当に感謝です。

例えばパパゲーノの登場のアリアは
「おいらーはーちょっとこのー辺で・・・」
ですし、
グロッケンを鳴らしてモノスタトスの一味が踊りだす場面は
「きれいな、音だ、なんだろう?、これは?」
という日本語の歌手で覚えています。
魔笛を知らない人にはちんぷんかんぷんで申し訳ありません。
しかしなかなか秀逸な日本語歌詞なんですね。
モーツァルトは他にもドン・ジョバンニは日本語訳の歌詞で二期会が演奏しているのを見に行ったことがありますが、やっぱり字幕を見ていたのではなかなか舞台にも音楽にも集中できませんし、日本人で演奏するならこれもかなりありだなあと思いました。

そういうわけで魔笛は私にとっては特別な音楽で、特にパ・パ・パなどはもういつも泣いてしまいます。
今日の演奏はやはりまずはやはりオケが素晴らしく、序曲ですでに感激してしまいました。タタタタ・タタ・タラララと弦が掛け合う(意味不明?すみません、好きなもんで)ところではその絶妙な間合いに思わず息を呑むと言う感じでした。これは指揮者うんぬんじゃなくて彼らには染み付いてるんでしょうね。指揮者はなぜか私は日本でニューイヤーコンサート的なものをやったときに聞いたことがあるので(10年くらい前ですが。。)結構なベテランだと思いますが、手馴れたオペラ指揮者と言う感じでしょうか?時々オケの入りが謎にずれていましたが、基本的に安心して聞くことが出来ました。
歌手ではパパゲーノは舞台演技でかなり点数を稼いでいましたが、声質的に天真爛漫なところが欠けているというか、まあパパゲーノは難しいですよね。タミーノは猛々しく、そういう曲ではいいのですが、パミーナの肖像画をみて恋してしまうアリアでは甘さが感じられず、うーん。私としては一番良かったのは(欠点がなかったということですが)パミーナで、声量もニュアンスも十分でした。謎だったのはザラストロで、明らかに音程が怪しいのですが、声量は十分、観客の拍手もかなり受けていましたが、うーん、ザラストロのような役柄で音程がいまいちだとなんというか説得力が無い感じがしてしまいます。これも難しいんでしょうけど。
夜の女王は肝心の高音が苦しく、一幕はなんだか声が出ていない感じでしたが、それでも一番重要なアリアは迫力十分でした。

最後に演出は飾り付けの少ない、あっさりした幾何学的な舞台装置で、やや冷たい感じが私としてはあまり好きではありませんが、まあウィーンの人にとってはいつまでも古臭い演出でもつまらないのかもしれません。いろいろ工夫されいて、ちゃんと笑いを取るところはしっかりとるし、いい舞台であったことは間違いありません。

ドン・ジョバンニを見ても思ったことですが、やっぱりオペラの舞台は行かないとどうしようもない!平日は遅くなるし、なかなか行けないのですが、やっぱりがんばってちょくちょく通おうと思いました。今日は本当に心が洗われました。