八王子市散田町在住のスポーツ好き親父の戯言!

八王子市の学童野球チーム散田ドラゴンズ元管理人(2007年3月~2016年2月)のブログです。

カット打法について(再論)。

2013年08月24日 23時10分38秒 | プロ野球・高校野球

荒井監督と次男海斗との親子鷹話、エース高橋のひととなり、寮生たちの地域活動など優勝校前橋育英にまつわる微笑ましい話題の一方で、ベスト4で敗れた花巻東の千葉選手のカット打法もいまだに議論が続いています

 

論点は大きく二つですね。

 

一つは、あのようなルールがあり、それを適用するのであれば、準々決勝後ではなく、もっと早い段階で知らせるべきだった、あるいは、ルールを知っているかという確認という形で実質的な制限をかけるようなやり方は裁量的でよくない、という議論です。これは、筋論、べき論ですね。

 

もう一つは、千葉選手の打法は、右手と左手を離した所謂バントの形ではないし、バットを止めずにスイングしているので、バントには当たらない、という議論です。これは技術論の話です。

 

いずれにしても、大方は、千葉選手を擁護する論調ですね。

 

私が先日、「大会本部がこうしたことを確認したことの是非はあるでしょうが」と述べたことは、まさに前者についてのことです。これは確かにその通りだと思う反面、3回戦まではあそこまで極端なカット打法はなかったとの報道もあったように、注意するタイミング自体はなかなか難しいものがあったかもしれません。ただし、後半のはっきり止めさせるのではなく、「ご理解ください」みたいな裁量的な指導はいただけませんね(ただし、これも後述するように、ルール自体も明確ではないので、なかなか明確な指導も難しいでしょうね)。

 

二つ目の技術論について言えば、二つの要素を含んでいます。一つは、バントとは何かという問題。もう一つは、バントの定義とカット打法を結び付けていることの意図です。まず一つ目のバントの定義は、スイングしないで内野をゆるく転がすことを意図したもので、手を離すして前で構えるなどの私たちが普通思うバントの形に限らないということです。この点で言えば、千葉選手のように両手をつけているからバントではないという論はあたりません。一方で、「スイングしないで」という言葉が、文字通り、手首が返らずに途中でしっかり止まるということを意味するのであれば、千葉選手の打法はバントには当たりません

次に、なぜ、バントの定義に、カット打法が入っているかです。バントの定義が、文字通り、手首を返さずバットを止めるものだとすれば、ここでわざわざ書くまでもなく、バットを止めた当たりはスリーバント失敗でアウトですし、打つ意思がなくても形式的にスイングになっていればファウルです。しかし、「打者が意識的にファウルにするような、いわゆるカット打法は」とわざわざ書いてあるように、単純にスイングの有無だけのことを言っているわけではないのだと思います。打法とは「振る」ことであり、ここで言うところの、スイングの有無は、しっかり振り切ってファウルにするか、(外形的に手首が返ったかどうかではなく)当てにいっただけのファウルかどうかのことを言っているのだと思います。

 

しかし、残念ながら、これはあくまで私の解釈であり、ここではそこまで明確に述べられていませんし、まったく論点が異なるバントの項目に入っていることで曖昧模糊としたものになって、議論が混乱しているのだと思います。本来ここで明確にすべきは、明らかにダイヤモンド内に転がす意思がないスイングを認めるか否か、あるいは度を越えたカット打法を遅延行為とするかどうか、ということでしょうただし、野球規則自体の中に、これを規定するルールがないがゆえに、論点が異なるバントの項目に入れているので、こうした議論を呼んでいるのだと思います。こうした特別ルールを制定した意図はともかく、現在のルールを厳密に適用すれば、千葉選手の打法は、打つ意思はまったくなくとも、バントにはあたらず、ルール違反にはならないということになると思います。

 

とまあ、ここまでは、論理的に考えたカット打法問題ですが、最初に書いたように、私の個人的な思いとしては、一球二球はともかく、まったく打つ気がなく、合計41球も投げさせるやり方は、好きではありません。高野連的な古臭い道徳的な意味ではなく、この技術はすごいですし、現に準決勝までは、10打数7安打ととてつもない数字を残した打者なんですから、そっちの力を見せてほしいと思います。選球眼で四球を選ぶのは良いですが、本来野球は打って、塁に出て、得点するスポーツです。何十球もカットして四球を選んだのを見ても、私はまったく面白くありませんでした(球場は湧いていたらしいですが…)。

 

また、日本人は判官びいきであるため、156cmの選手というとすぐに「ファウルを打つという特殊技術を磨き、必死にレギュラーの座を獲得したのに、その技術を封印するとは」と、感情的な擁護論が出てきますが、「156cmだから必死でレギュラーの座を獲得した」というのは、決して論理的な推論ではありません。(もちろん努力をしていないということではなく)足も速く、150km超の安楽投手をはじめとする好投手から、10打数7安打というのも、あれだけのカット技術も、必死な努力だけで獲得できるものではありません。どんな世界でも、努力だけでは何ともならない部分があります。そういう意味で、中学時代もシニアでプレーし、花巻東に入学したことからも、千葉選手は間違いなく、野球エリートです。

 

以上、論理的な問題、技術的な問題、感情的な問題と、いろんな次元の問題を含んでいるからこそ、議論が錯綜するのでしょうが、私が思うカット打法問題についての見解でした。

 

 

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