私の行く路傍にも、あやめが絢爛とした花を開いていました。
常緑樹でも、新芽がでてくると、前から持ち越してきた古い葉は、枝を離れて落葉してゆくのです。
ところで、とあるお通夜に出て、94才の天寿を全うされたおばあさんをお見送りしてきたのです。
ときあたかも五月、お通夜に集う参列の親族は、壮年もいれば青年も、少年も、幼児もいるのです。
久しぶりに一堂に会する人々のもろもろの感慨の語らいが続くかたわらでは、幼児たちはいろいろ遊びを見つけては遊ぶのです。
大人たちがふと目をそらしているうちに、幼稚園に上がったばかりのお嬢ちゃんが、祭壇の棺桶ののぞき窓の扉を開けたり閉めたりしているではありませんか。
ママがあわてて、駄目よと静止するのです。
私はその光景を目にして、仏様は、ひ孫に見送られて、嬉しく世を去って行かれたと感じました。
このお嬢ちゃん、おばあさんに無上の供養をしてあげたんだよね。
古いものは去り、新しいものに世界は引き継がれてゆく。
植物界の5月の芽吹きの季節、あやめの季節に、人の世にも、新しい命は引き継がれてゆくという自然の摂理をみた思いがしたものでした。
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