河井案里参議院議員が車上運動員(いわゆるウグイス嬢)に法定上限額の2倍に当たる報酬を支払っていた疑いがあること、そして夫である河井克行衆議院議員もこの事件に関与していた可能性があることが大問題になっている。
この事件には不可解な点がいくつかある。
(1) 規則違反の知識
案里氏は広島県議を4期務めており、公職選挙法には通暁しているはずであるにもかかわらず、なぜ規則違反を犯したのか。これまでも同じ違反を犯しながら、バレなかったので今回もバレないと思ったのか。夫の克行氏も選挙違反については十分な知識があるはずで、妻の違反行為に気づいていたはずだが、なぜ諫めようとしなかったのか。
(2) 車上運動員の養成
案里氏は数少ない熟練運動員を獲得するために、高額の報酬を払うことになったと推測する。熟練者が望ましいとはいえ、素人でも短期間の訓練で運動員として使えるようになると思うが、なぜ限度額の3倍もの報酬を支払う選択をしたのか。
(3) 熟練運動員の不足
運動員はいつ仕事があるか分からない上に、短期間の仕事である。一方、人手不足という事情があるし、地域差もある。こうした事情を勘案すると、運動員の謝礼に上限を設けることに無理があるのではないか。たまたま案里氏の違反が明るみに出ただけで、他の地域でも同じ問題が起きているのではないか。
(4) 案里氏の説明責任
昨日の記者会見において、案里氏は法定上限額を超える報酬を支払ったことを否定しなかった。領収書の存在が明らかである以上、否定しなければ肯定したも同然である。それでも同氏が口を割らないのはなぜか。
(5) 違反の罰則
公職選挙法に違反したら、どういう罰則があるのか調べてみると、公職選挙法第221条第1項に次の規定があることがわかった。
「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたときには3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する」
この規定において、50万円以下の罰金はともかく、「3年以下の懲役もしくは禁錮」が課せられたら、事実上議員の職を続けることは不可能である。案里氏が肝心なことについては口を割らないのは、この罰則があることを知っているからなのか。一方、選挙違反を犯した議員がこの罰則を適用された実例はないように思うが、頑固爺が呆けて記憶が薄れただけなのか。
いずれにせよ、天下国家を揺るがす大事件ではないから、あまり気にすることはないか。(笑)