頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

書評:「クールジャパン!?」

2018-08-31 17:04:52 | メモ帳

「クール・ジャパン」は私が見る数少ないTV番組の一つである。たまたま図書館で「クール・ジャパン!?」(講談社現代新書2015年3月刊 鴻上尚史著)という本を見つけて、「えっ、こんな本があるとは知らなかった」とさっそく借りてきた。

寡聞にして鴻上尚史氏がいかなる人物か知らなかったが、この本を読んで彼が演劇活動からスタートし、映画監督や著述分野など幅広い分野で活動している方だということを知った。そして、英国に留学経験があることから、英会話に堪能である理由も分かった。

さて、外国人が「クール・ジャパン」と評価しているものは何か。放送100回記念番組(2009年)の時に、外国人100人を対象に実施したアンケート調査によるベスト20は次のようであった。

1.洗浄装置付き便座

2.お花見

3.百円ショップ

4.花火

5.食品サンプル…海外のレストランではメニューや写真を展示するだけであり、本物そっくりに作られた食品サンプルが珍しく、お土産としても人気がある。

6.おにぎり…コンビニで簡単に買えることから人気がでた。

7.カプセルホテル…これがクールとは驚きだが、ハイテク・ジャパンの象徴のような存在らしい。

8.盆踊り

9.紅葉狩り…外国では木の葉を愛でる習慣はない。しかし、日本の秋の葉は、赤・黄色・黄緑とバリエーションが豊かであり、その美しさを理解するらしい。

10.       新幹線

11.       居酒屋…欧米では食事はレストラン、飲むのはバーとはっきり分かれているが、居酒屋はその中間。そしてメニューが多彩で、しかも安い。

12.       富士登山…山を神秘的なものとして崇めることは欧米では考えられない。

13.       大阪人の気質…内気で思ったことを口に出さないという一般的日本人の気質と大阪人の気質は違う。

14.       スーパー銭湯…外国人は湯船につかる快適性を日本で初めて知る。

15.       自動販売機…種類が多いことと、どこにでもあることに驚く。日本の治安のよさを示すことでもある。

16.       立体駐車場

17.       ICカード乗車券

18.       ニッカボッカ…土木作業員や鳶職が穿くダボッとしたズボン。特殊な形がかっこいいらしい。

19.       神前挙式

20.       マンガ(喫茶)…外国人は日本文化をマンガで学ぶ。そのマンガを好きなだけ読めるのはクール。

だいたい「そうだろうね」と思うことが多いが、「大阪人気質」は意外である。これがどういうことなのか、東京人はもとより、大阪人さえもわからないと思うので、番組スタッフが大阪で行った実験の結果を本文から引用する。

やることは簡単。外国人が、町を歩く大阪人に突然、葵の印籠を見せて「コノインロウガメニハイラヌカ!?」と、たどたどしい日本語で言うだけです。日本に住んでいる人ならみんな知っている水戸黄門のパロディーです。呆れたことに、いえ、驚いたことに、印籠を突き付けられた大阪人は、9割近い人が、「ははぁー」とひれ伏す真似をしました。・・・東京では、誰一人やってくれませんでした。

私も知らなかった大阪人と東京人の差である。

さて、鴻上氏は、著作「クール・ジャパン!?」の中で、ベスト20以外にも「おもてなし」、「食べ放題・飲み放題」、「宅配便」、「コンビニ」、「駅弁」、「調理パン」、「ラーメン」、その他数多くのテーマを論じている。私は「クール・ジャパン」はもうタネ切れで、終わりにするか、タイトルを変えるしかないと思っていたが、まだまだ続きそうだ。

ともあれ、著作「クール・ジャパン!?」はTV番組の総括であり、裏話でもあるが、それにとどまらず日本文化論になっている。だから面白い。

ところで、「クール・ジャパン」含め、日本人または日本文化を礼賛するTV番組がずいぶん増えた。日本を礼賛するのはいいが、外国人から見ればネガティヴな文化もあり、後者をもっと取り上げるべきである。

例えば、「ゆるキャラ」。多少ならいいが、増え過ぎた。各都道府県や市がそれぞれ「ゆるキャラ」を持っているが、あれは日本人を幼稚だと思わせる。それから、風邪をひいたときに着用する白いマスク。あれは外国人には異様に映り、「えっ、また原発に不具合が発生したの?」とか「なにかの伝染病が蔓延してるの?」(笑)なんてことになる。

「かっこいいジャパン」と「(日本では当たり前でも、外国人から見れば)みっともないジャパン」をバランスよくミックスして、日本の実態を理解させるべきではないのか。

 


慰安婦問題:朝日新聞vs ケント・ギルバート

2018-08-27 16:21:57 | メモ帳

以前このブログで慰安婦問題の解決策は、朝日新聞が慰安婦問題の誤報を英文で謝罪することだと書いたが、私の発言は所詮ごまめの歯ぎしりに過ぎない。だが、私と同じことを考え、それを実行した人がいる。それはケント・ギルバート氏と山岡鉄秀氏(豪州で慰安婦像撤去に尽力している方)である

以下、「月刊WILL 10月号に掲載された『慰安婦問題 朝日新聞の姑息』からの引用である。

朝日新聞は2014年に慰安婦問題に関し謝罪したが、その後も英語版では印象操作を続けてきた。具体的にはComfort Women を次のように定義している。

Comfort women who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II. (第二次世界大戦の前および大戦中に、日本兵に対する性行為を強制された慰安婦)

文中のforced to provide sex は受動態であるが、これでは誰が強制したのかわからない。しかし、前後関係からして、誰でも「強制したのは日本軍」だと解釈する。したがって、この英語表現は「comfort women who worked in brothels regulated by the military authorities.(軍が規制する娼館で働いていた慰安婦)」とすべきである、というのが両氏の主張であり、去る7月に文書でそのように朝日新聞社に申し入れた。さらに、女性を拉致したという吉田証言が虚偽であり、朝日はその記事を撤回した事実を改めて英文で告知するよう求めた。なお、海外メディアは日本の大手新聞の英語版を引用するから、英語版は非常に重要なのである。

だが、朝日新聞はこのギルバート氏と山岡氏の申し入れを拒否した。その根拠は上記のforced to provide sex という表現は「女性のためにアジア平和国民基金」のサイトの英語ページで使われていること。このサイトは日本の外務省が作成したものであるから、朝日新聞は日本政府の公式見解に基づいて英語表現を作成した、というわけだ。

政府の見解を錦の御旗に掲げるなら、両氏には勝ち味はない。ギルバート氏は「月刊WILL 10月号」に掲載された論考の中で、「本件はこれで一段落となります」と敗北宣言した。

なお、桜井よしこ氏も「週刊新潮」(8月16/23合併号)に掲載された『朝日英字報道は今も慰安婦で印象操作』と題した論考の中で、このギルバート対朝日新聞の論争を取り上げ、朝日を批判している。

https://yoshiko-sakurai.jp/2018/08/23/7590

以下、頑固爺の意見。

慰安婦に関する日本政府の見解は1993年の河野発言がベースになっている。今さら日本政府はその見解を修正するわけにはいかず、これが足枷・手枷になって動けない。だから、民間がやるしかないが、その適任者は当事者の朝日新聞を置いてほかにはない。

朝日新聞が日本を代表する言論機関を自認するなら、国益かメンツかの板挟みになれば、躊躇なく国益を選ぶはずだが、そうならなかった。私は朝日新聞が“腐っても鯛”だと思っていたのだが(多分、ギルバート・山岡両氏も)、残念だ。朝日新聞の発行部数激減は自業自得である。

 

 


ラオスダム決壊の責任は日本にある?!

2018-08-25 11:03:04 | メモ帳

7月31日にこのブログで、日本のマスコミがラオスのダム決壊に関する報道を控えていると書いたが、その後も日本の大手新聞とTV各社はこの事件に対し沈黙を守っている。しかし、YouTubeで『ラオスダム決壊』で検索すると、情報がゾロゾロでてくる。

その中に、「なんだ、これ?」と呆れるものがあったのでご紹介する。

https://www.youtube.com/watch?v=vJRP-r0vXBc

要するに、「ダムを建設したSK建設も設計図を作成した某社も素人同然。そういうグループが実施するプロジェクトに融資する方が悪い。そして、融資したタイの銀行団には三菱UFJ銀行が76%の株式を有する某銀行が含まれるから、ダム決壊は日本に責任がある」という論理だ。

まさに言いがかりである。このジャーナリストにはビジネスの知識が欠如しているようだ。そんなお笑いのような論理に対しては、動画の中で「ネットの声」が十分に批判しているので、それ以上論じる必要はないだろう。


映画評 オーシャンズ8

2018-08-23 16:14:42 | メモ帳

通常、映画はあらすじを知らないで見る方が面白い。しかし、『オーシャンズ8』はあらすじがある程度わかっていないと、十分楽しめない。そのわけは、注意深い人ならそれぞれの場面の意味をしっかり頭に入れてストーリーの展開を追っていくだろうが、私のようにボーッと画面を見ている凡人には、場面の変化のテンポが速くてストーリーに追いつけないのだ。

ということで、あらすじをご紹介する。

刑務所を出た女泥棒(サンドラ・ブロック)が、1億5千万ドルの超豪華ネックレスを盗み取る話がテーマである。そのネックレスは、下のURLを開けて出てくる動画の中で見ることができる。

http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/

ストーリーの構成は、第一段階が特殊技能を持った仲間を7人集める部分。第二段階はカルチェの店頭で3Dコピー機によって実物のコピーを取り、偽物を作る部分。そしてクライマックスは大晩餐会の最中に、女優(アン・ハザウェイ)が身につけているネックレスを偽物とすり替える部分。どうやってすり替えるかはこの映画のキモなので、説明を控える。映画を見てのお楽しみである。

この映画は二度観る価値がある。二度目なら「そーか、この場面はそういうことだったのか」とわかるだろうと思うからである。一言で表現すれば、垢抜けした大人のためのお伽噺、である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(続)有料になった(?)Outlook

2018-08-22 16:05:55 | メモ帳

去る8月12日、このブログに「有料になった(?)Outlook」を掲載したが、今回はその後日談である。

現在、私のパソコンでメール画面を開けると、Outlook Office 365という表示がでてくる。図らずも、有料のOffice 365を購入したらしい。では、Office 365とは何だ?

Office 365で検索して出てくるMicrosoft の説明画面を見ると、家庭用と一般法人向けがある。迷わず家庭用を選択して出てくるプランの最安値は、年間12,744円のOffice 365 Solo。これは私が支払った料金の倍だ。私が、沢山アプリケーションがあるプランでなく、Outlook Word Excel の三つだけのプランを選んだため、半分の料金で済んだらしい。不幸中の幸いというべきか。だが、なぜか私が選んだプランが画面で紹介されていない。

もう一つわからないことがある。それはOutlookを購入したとき、Office 365と他のOutlookとのチョイスが提示されなかったこと。提示されていれば、Office 365を選択しなかったと思う(ことによって、その選択肢があったことに気づかなかった可能性もあるが・・・)。

わからないことだらけだが、1年経たないと変更できないので、とりあえずは問題先送りとする。


情報を隠蔽する韓国のマスコミ

2018-08-19 10:50:52 | メモ帳

日本在住の韓国人評論家シンシアリー氏のブログに、韓国人ジン・ミョンヘンが2011年にブログに掲載した論考「挺対協中心の慰安婦問題、真実はどこにあるのか」の翻訳が掲載されている。もちろん、原文は韓国語。 

http://sincereleeblog.com/2018/08/18/

この論考で注目すべき点は次の通り。

(1)   元慰安婦たちの証言には、数々の矛盾をあることを指摘していること。何十年も前のことを語る以上、記憶が定かでないことは当然で、思い違いもあるだろう。しかし、彼女らの証言はその都度内容が異なるから、信ぴょう性に欠けるのである。

(2)   文ばぁさんが1992年に下関郵便局を相手に訴訟し、郵便貯金の払い戻し請求を行った事実が記載されていること。請求金額はとてつもない金額であり、彼女が売春で得たことは明らかである。

日本ではこの2点はすでに周知の情報だが、一部の韓国人も知っているということに注目したい。このブロガーが知っているということは、韓国のマスコミも知っているはずだ。つまり、彼らは韓国にとって都合が悪い情報は報道しないのである。ことによると、朝日新聞の謝罪も報道していないのではないか。

このブログは現在閉鎖されている。何らかの圧力がかかったのだろう。

韓国は慰安婦問題研究所を設立した。この研究所もマスコミ同様、都合が悪い情報は無視するのだろう。そして、「慰安婦記念日」が制定されたという。「どうぞご勝手に」というほかない。

ところで、70年も昔の慰安婦問題をさらに研究するのであれば、現在米国で活躍(?)している韓国人売春婦たちについても研究してほしいものだ(笑い)。

 

 

 


「神風」は本当に吹いたのか?

2018-08-17 11:24:50 | メモ帳

8月5日付けの当ブログにおいて、“差別と天皇家”を論じたが、その文中で“神風嘘っぱち説”に言及した。今回は、その“神風嘘っぱち説”を検証する。

多くの日本人は「13世紀に蒙古の大軍が二度博多周辺に襲来したが、その都度台風が来て、蒙古軍は壊滅した」と理解していると思う(私も同様である)。しかし、それではラッキーすぎて、眉唾感がある。

この疑問解明に、服部英雄氏*の二つの研究書「蒙古襲来」(2014年山川出版)および「蒙古襲来と神風」(2017年 中公新書)を引用する。なお、前者は井沢元彦氏が「逆説の日本史23」の中で推奨した著作である。

本論に入る前に、なぜ蒙古(元朝)は日本に襲来したのかについて述べる。当時、日本は蒙古の敵対国である南宋に火薬の原料となる硫黄を輸出していた。だから、蒙古は南宋への硫黄の供給源を断つと同時に、自分もその硫黄を入手したかった。つまり、日本攻撃は一石二鳥の効果が期待できた。最初の日本侵攻(1274年)の後、蒙古は南宋を滅ぼした(1279年)。第二回目の日本侵攻はそのあとで (1281年)、その時は旧南宋の軍勢も動員した。

以下、服部説の受け売りである。

●文永の役(文永11年 ―1274)

蒙古軍は103日に対馬に到着し、11日に壱岐で、2024日に博多(早良郡警固山周辺)で、戦闘が行われた。筥崎宮の炎上があったものの、戦況は互角か蒙古やや優勢だった。そんな状況で、蒙古軍は博多の海から消えた。対馬到着から約1ヶ月後である。

この蒙古軍退散に関し、複数の教科書は「蒙古軍は嵐のために一夜で退却した」と書いているが、「一夜で退却した」と書いてある史料は存在しない。

ところが、『八幡愚童訓』という文献に、“夜中に筥崎宮から白衣の神30人ほどが現れ、弓矢を射かけた。あまりの恐怖で我を失った蒙古人は、箱崎の街が燃える炎が海に映るのを見て、「海が炎上している」と驚き、我先に逃げ出した。蒙古兵は朝には完全に姿を消した”という記述がある。

そんな荒唐無稽の話は信ずるに足りないが、当時の貴族の日記である『勘仲記』に「にわかに逆風が吹いて、凶賊が本国に帰った」という記述があり、『高麗史』にも「たまたま大風雨に見舞われた」という記述があることから、「嵐のために一夜で消えた」というストーリーが作られたと思われる。

蒙古が来襲した時期は太陽暦では11月末であり、台風は来ない。しかし、冬になると北風が吹き荒れるし、食料の補給も不安定になることを考慮して、蒙古軍は退却することを決意したのではないか。高麗史には、「俄かに逆風」「夜に大風雨」とあるが、いつのことか特定していない。多分、滞在中に強い風雨に遭遇したことで、帰国を正当化したのではないか。

●弘安の役(弘安4年―1281年)

蒙古軍は東路軍(高麗軍)と江南軍(旧南宋軍)の二手に分かれて襲来した。

東路軍は、5月末に対馬経由、壱岐に到着、5月26日志賀島に上陸して基地化。6月6~8日志賀島周辺の海上にて合戦。6月9日長門侵攻。6月12日~19日博多湾岸(鳥飼干潟)に上陸して戦闘。そして、閏7月1日に志賀島にて台風に見舞われた。しかし、被害は僅少で、台風一過後も数日間戦闘が行われた。

この部隊の人数は兵士9,960名、水夫17,029名、合計26,989名という記録がある。その内の生還者は19,397名だから帰還率は72%。台風で船が破壊されたにしては高い生還率である。高い生還率については、高麗船は江南船に比べて堅牢だったからだ、という説がある。一方、江南船は造りが悪かった上に、老朽船が多かったという。

江南軍は7月15日鷹島到着、翌月の閏7月1日に台風に遭遇、但し、台風通過後も閏7月7日までは戦闘が行われた。この部隊の人数は兵士だけで10万とされるが(水夫の人数は不明)、東路軍と合わせた数字である可能性もあり、この部隊だけの人数は7~8万だった可能性もある。志賀島と鷹島はかなり離れており(地図参照)、東路軍と江南軍はコミュニケーションを取ることは不可能だったと考えられる。

江南軍の船の数は、3,500隻とあるが(高麗史)、大戦艦(自力で外洋を航海できる船)は1,000隻程度だったと思われる(1隻に百人乗っていたとして10万人になる)。その内、嵐で沈没した大戦艦は2050隻だったと推定される(そうであれば、沈没しなかった大戦艦は帰国したのか。または、航海に耐えないほど損傷したのか。この点についての史料はないようで、服部氏は言及していないー頑固爺)。

嵐の時、船内に留まっていたのは必要最低限の船員だけだったはずで、大部分の兵士は陸上でテントを張るか、民家に泊まったであろう(そうであれば、生き残ったはずの数万人の兵士はどうなったのか。この点についての史料はなく、服部氏も言及していないー頑固爺)。

一方、閏7月1日の暴風で蒙古軍が壊滅したという報告を受けて、貴族たちが神の加護によるものと歓喜した様子が記されている(『壬生官家日記抄』)。すなわち、朝廷は武士たちの奮戦を無視した。

ここまでは服部英雄氏の受け売り。タイトルの「神風は本当に吹いたのか?」に対する結論は次のようになる。なお、「神風」とは「日本を助けた暴風雨」と定義しておく。

●文永の役

蒙古軍は日本軍(武士)の予想を超える頑強な抵抗に遭い、季節が冬に向かう時期になって、これ以上日本に滞在することの不利を悟り、退却に踏み切った。すなわち、この時には「神風」は吹かなかった!

●弘安の役

志賀島にいた東路軍は暴風によって損害を被ったが、その後も数日間は戦闘を続け、その7割ほどが本国に逃げ帰った。一方、鷹島にいた江南軍の船のほとんどが沈没または損傷し、帰国不能となり、かなりの人数(数万人)が日本にとどまることになったと推測する。それでも、台風一過後も戦闘が行われた。すなわち、この時は「神風」は吹いたことは吹いたが、蒙古軍を完全に壊滅させたのではない。

「神風嘘っぱち」説の根拠は、(1)文永の役では暴風・台風は発生していない (2)文永の役・弘安の役ともに台風一過後も戦闘が行われたのだから、台風が日本の勝因ではない、である。

しかし、文永の役はともかく、弘安の役では、蒙古軍は台風で被害を蒙ったために戦闘意欲を喪失し、その後間もなく退散したと考えるのが適切ではなかろうか。朝廷が「神風」だけが日本の勝因と評価したことは誤りだが、「神風嘘っぱち」説は「神風」を過小評価していると思う。

明治以降、日本政府(軍部)は元寇をナショナリズムの高揚に利用した。すなわち「日本には神の加護があるから、負けるはずがない」という神話である。神風特攻隊もその思想の流れに沿ったものである。

(注)1949年生、東京大学文学部国史学科卒業、現九州大学名誉教授


有料になった(?)Outlook

2018-08-12 11:32:46 | メモ帳

約1ヶ月前から、メール画面(Outlook)を開くと、毎回“サブスクリプション期間が間もなく終了します。継続を希望するなら、申し込んでください”という表示がでるようになった。無料のはずのOutlook が有料になるといことらしい。そんな話は聞いたことがないし、ネットに詳しい知人数人に相談すると、全員が「ほっとけ」という意見。ことによると、これは巧妙な詐欺なのか。

ところが、数日前にメールを受信できるものの、返信含め送信画面が出てこなくなった。アドレスを変えずに、メールソフトを変える方法もあるはずだが、考えるのが面倒だ。メールアドレスの変更を通知するには時間がかかるし、中には金銭的問題が絡む相手先もあり、ただちにメールを打てないのは困る。

やむなくサブスクリプション継続申し込み画面を開けると、6,480円を支払うよう要求された。月額500円プラス消費税ということだろう。支払先はMicrosoftである。全面降伏するしかない。カードで支払う手続きをすると、約30分でOutlook のソフトが再インストールされ、送信が可能になった。腹立たしいが、一件落着である。

さて、私だけがOutlook有料になったはずがない。思い当たることは、1年前にパソコンを買い替えたこと。推測だが、Microsoftはパソコンを1年前に買い替えたユーザーから課金を始めたのではないか。課金を嫌って、他のメールソフトに切り替えたユーザーもいるだろうが、私のようにすぐ降参するだらしないユーザーも沢山いることだろう。Microsoftは巨大な収入源を手中にした!

Outlookをお使いの方々は、メールソフトを変更する準備をしておくようお勧めする。私も、来年は過ちを繰り返さぬ積りである。

 

 


「旭日旗を掲げた自衛隊の行進」後日談

2018-08-11 11:04:17 | メモ帳

7月18日のこのブログで、フランスの革命記念日の軍事行進に日本の自衛隊が招待され、日章旗と旭日旗を掲げてシャンゼリゼ大通りを行進したことを取り上げた。

この件に韓国人がイチャモンつけるのではないかと思っていたら、案の定フランス大統領にクレームした市民団体がある。但し、韓国発ではなく、アメリカ発で、慰安婦問題をテーマにするアジア人(中国人が中心らしい)の市民団体である。

https://www.youtube.com/watch?v=Lg3IPUnJyJQ

マクロン大統領がそんなクレームに本気で対応することはないと思うが、頑固爺としては大統領がその市民団体に次の質問をしてほしいのである。

(1)旭日旗がハーゲンクロイツと同類である根拠は何か。そして、だれの意見か。

(2)日章旗はOKで、旭日旗がダメの理由は。(笑い)

 

 


夏時間の利害得失

2018-08-09 17:28:55 | メモ帳

夏時間はこれまで何度か議論されては立ち消えになることを繰り返してきた。しかし、今回は日本のオリンピック組織委員会(IOC)が提案しているので、本格的な議論になるかもしれない。多分、IOCは最近の日本の異常高温を考慮し、東京オリンピックで特定の競技(例えばマラソン)を早い時間に実施したいのだろう。

夏時間の利害得失はウィキペデイアに詳しく述べられているので、そちらをご覧いただくとして、私はアメリカで30数年間Daylight Saving Time (以下、夏時間)を経験したので、私の夏時間に関する感想を述べたい。

●節電効果

夏時間が始まる時は、点灯するのが遅くなるから、確かに節電効果はあると思う。しかし、それならばなぜ1年中夏時間にしないのだろうか、という疑問が生じる。

●経済効果

夏時間が始まる時は、戸外での活動時間が長くなり、その結果カネを使う機会が増えるというが、その経済効果は夏時間が終わる時に相殺され、1年通じてみれば、同じことにならないか。

●余暇時間の充実

勤務先から1時間早く帰宅して、明るいうちになにかしようとするなら(例えば息子とキャッチボールするとか)、確かに「余暇時間の充実」ということはあるだろう。私個人としても、ゴルフできる時間が長くなる(つまり、プレー開始が遅くなる)のは大きなメリットだった。しかし、「余暇時間の充実」はあくまで夏時間の副次効果であり、メインではない。

●交通事故・犯罪の減少

車を運転する時、明るいほうが運転しやすい。したがって、交通事故は減少する(但し、なぜか交通事故が増えるという統計もあるらしい)。そして、犯罪も減ることは期待できる。しかし、これも副次効果である。

要するに、私は夏時間のメリットは認めるものの、喧伝されるほどのことではないと考える。一方、夏時間の始めと終わりに時計の針を進めたり遅らせたりすることには、季節の変わり目を感じるわけで、日常生活にメリハリがつく、という副次効果があると思う。

一方、日本には、夏時間は睡眠不足になるという懸念を示す人もいるが、私はそんな心配をしたことがない。土曜日の夜中に時間が変わるのだから、日曜日の朝に寝たいだけ寝て、起きた時に時計の針を進めるだけのこと。日曜日の昼間から夜に至る間に体が適当に時間の変化に適応する。そもそも、米国の東と西では3時間の時差があるから、時差がある場所に旅行する時の方が夏時間よりも、調整が難しかった。夏時間程度で睡眠不足になっていたら、アメリカでは生活できないーとはチト大袈裟だが。

ところで、昨日(8月8日)朝7時のNHKのニュースは、夏時間に関する世論調査の結果を報道した。それによれば、賛成が50数パーセントで、反対が30数パーセントとなっていた。夏時間は、過去何度も議論されては消えた経緯からして、私は不賛成の方が多いだろうと想像していたから、賛成が過半数だったことは意外だった。

ところが、その世論調査の結果はその晩のニュースでは報じられなかった。通常、NHKは朝に報道したことを昼や夜にも繰り返すが、この件は朝だけだった。これは異例である。反対派がNHKに圧力をかけたのだろうか。

 

 


部落差別と天皇家

2018-08-05 17:06:38 | メモ帳

日本にはいわれのない差別がある。とか、、エタ()と呼ぶ差別がそれである。顔形が同じ日本人なのになぜそのような差別が生まれたか。歴史を辿っても、起源がよくわからないし、定説もない。

ところが、たまたま読んだ「逆説の日本史 第22巻 西南戦争と大久保暗殺の謎」(井沢元彦著)の補遺編に納得できる解答を見つけた。しかし、「民差別」の起源を説明する井沢氏の論理は、護憲派を批判する方向に展開する。

「動物を殺すこと、その肉を食べることをタブーとしない先住の縄文人がいるところに、肉など食べなくても生きていける稲作民族である弥生人が優秀な武器(青銅器・鉄器)を持って侵入し、縄文人を征服支配し隷属させたために生じた差別・・・」と井沢氏は説明する。

つまり、差別は二千年数百年も昔から存在したということになる。牛や豚を日常的に食べ、皮革製品を日常的に使用する現代人が、そのを生業とする人々を差別するのは理不尽な話だが、現実にはその差別は存在する。

さて、弥生人は九州から勢力を広げ、まず西日本を制圧したから、差別は西日本に厳しく残り、東日本には少ない。そして、天皇家の宗教儀礼には大嘗祭など稲作に関するものはあっても、「血や肉」に関するものはない。

朝廷の行動様式の基本は穢れ忌避だから、奈良時代までは天皇が亡くなるたびに遷都した。平安時代になると経済性の理由で遷都は廃止されたが、朝廷は治安・軍事を東国の武士たち、すなわち縄文人の末裔に任せるようになった。天皇家は軍事権を放棄したが、天皇家は神の子孫であり、他の家系も取って代わることはできないということと、穢れからもっとも遠い存在であることで権威が維持された。

元寇の時に嵐が来たとはいえ、上陸した元軍を追い払ったのは鎌倉武士だが、朝廷は武士たちになんの褒美も与えなかった。勝利は神風すなわち神の力だと考えたのである*。

すなわち、日本人には「軍事は悪」という深層心理があったが、それでは国の安全保障に支障が起きるので、明治時代になると中国の朱子学と日本古来の神道をミックスした思想を創造した。それが昭和20年の敗戦とともに,一気に平安時代の「穢れ忌避」にまで戻ってしまった。すなわち、憲法9条を守れば戦争は起きないという護憲派の思想であり、神に祈れば戦争に勝てると考えた平安時代の朝廷の思想に通じるものである。

しかし、それでは自衛隊の存在をどう説明するのか。自衛隊の存在は認めないが、仕事だけはやってほしいという護憲派の主張は自衛隊員に対する差別にほかならない。

井沢氏の主張の概略を述べたが、理路整然としており、私には反論の余地が見つからない。

(注)日本側の資料にも元側の資料にも、日本の勝因は台風だと記されている。しかし、実際には元軍は地上戦で鎌倉武士に敗れたのだ、という説がある。日本の朝廷としては、鎌倉武士の奮戦を認めたくなく、勝因は八幡神の霊験によるものとしたかった。一方、元としても、武力で日本に敗れたと認めたくなかったので、台風のせいにした。つまり、台風は両サイドのでっち上げだという。そして、井沢氏は“神風でっち上げ”説を支持している。


安田純平氏の国籍は韓国?

2018-08-01 14:00:18 | メモ帳

2015年、シリアに取材に行って、武装集団に拘束されたはずの安田純平氏が、本日NHKの画面に武装集団に銃をつきつけられている姿で登場した。日本語をしゃべっているらしいが、私には聞き取れなかった。私は「日本政府は身代金を払わされるのかな」と思いつつ、それで終わっていた。

ところが、YoutTube の画面で見ると、「私の名前はウマルです。韓国人です」と言っているという字幕の説明があった。そして、なぜかテレビ朝日とTBSは、この発言部分をカットしたらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=0B2bbL_wU0g&t=47s

安田氏は在日韓国人なのか。それならば、救出に当たるのは韓国政府であるはずだが、はてどういう展開になるのだろう?