頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

お知らせ

2022-01-19 09:21:41 | メモ帳
この爺、不覚にも昨日、公園の階段で転倒し、肩を骨折しました。一方、高齢となり、このブログを終了する頃合いを見計らっていたという事情があります。つきましては、この怪我を天の声と捉え、ブログを終了することにしました。

長年のご愛顧に厚く御礼申し上げるとともに、各位の益々のご健康とご清栄を祈ります。



次の総理は林芳正?

2022-01-16 13:08:44 | メモ帳
文芸春秋社が政治・経済分野の記者123名に対し、「次の総理は誰か」というアンケート調査を実施したところ、第1位は31票を獲得した林芳正でブッチギリのトップ。そして、第2位は18票の河野太郎、第3位は16票の茂木敏充だった。ちなみに、4位以下は、岸田文雄、高市早苗、石破茂、安倍晋三と続く。

回答者が林芳正を推す根拠は、防衛相、農林水産相、文部科学相など重要閣僚を歴任して経験が豊富であること、政策通で事務方が作るメモなしで政策関連の質問に答えられる安定感、さらに英語に堪能であることなどである。

そして、その記事は、次のような回答者のコメントを引用している。(赤字)
林の強みは、米中双方にパイプを持つこと。外相として絶妙のバランス感覚を発揮して結果を残せば、総理候補の大本命になるだろう。(通信社・政治)

その「文芸春秋」誌2月号は上の記事の次に「同志を募り、手を挙げる」というタイトルで林芳正氏の談話を掲載しており、同氏は堂々と総理になる意思を表明している。

これの記事を読むと、次の総理は林芳正で八分通り決まりのような印象である。ところが、国際政治学者の藤井厳喜氏がメルマガ「ルネッサンス」(1月12日)で大略、次のような見解を述べている(青字)。

岸田総理とバイデン大統領は11月初旬に英国のグラスゴーで開催されたCOP26の気候変動に関する会合のあと、早急に日米首脳会談を行うことで合意していた。しかし、その日米首脳会談は開催されるどころか、日程も決まっていない。

遅延の理由は、林外務大臣が中国の王毅外相との電話会談で訪中を要請され、「予定を調整します」と回答したためである。日米政府の慣習としては、日本の外務大臣はブリンケン国務長官と会うことを先行させるべきであるが、その日程調整をする前に訪中を約束したのは、林の重大なミステークである

林は日中友好議員連盟の会長だった。外相就任時にその会長職を辞任したとはいえ、米国は林を親中派と認識しており、米国との日程調整をする前に、林が訪中を確約したことは日米のこれまでの慣習を破るものである。

だから、日米首脳会談が行われないのだ。岸田総理は、何かの理由をつけて、林外務大臣を更迭しなくてはならないだろう。

<バイデン政権が親中派として警戒している林外務大臣が、ブリンケン長官と会う前に王毅外相に訪中を約束したことでバイデン政権が気分を害した>という藤井説は一定の信憑性がある。すなわち、上に赤字で示したコメントでは、<林外相は絶妙のバランス感覚がある>と評しているが、実際には<親中>の方に重心があった、というわけだ。

そうはいっても、日米首脳会談が行われていないのは、オミクロン騒ぎで遅れているだけではないだろうか、という観測も成り立つ。マスコミは、出来事は報じるが、あるべきことがないことは報じない。だから、日米首脳会談が行われなくても、国民は気づかない。

この問題にどう決着がつけられるか、興味深く見守りたい。





「愛子天皇への道」はない

2022-01-13 13:42:50 | メモ帳
近所の医院の待合室で時々眺める女性週刊誌を見るかぎり、愛子さまは女性界の大スターである。20歳になって以前より美しくなった感があることが影響しているのだろう。

そんな中、「文芸春秋」2月号に「愛子天皇への道」(石井妙子ノンフィクション作家)という記事が掲載された。

皇位継承順位の第一位は秋篠宮で、第二位は15歳の悠仁さま、第三位は常陸宮であるから、愛子さまが天皇になることはありえない。だが、筆者の石井氏は愛子天皇を願っているようだ。記事から引用する(赤字)。

国民の間では、この数年で、「女性が天皇になってもいいのではないか」、「女性天皇が結婚し、そのお子様が天皇(女系天皇)になってもいいのではないか」という意見が圧倒的になっている(NHKが2019年に行った世論調査では7割以上)。

ところが、こうした国民の声は国会には反映されてはいない。長きにわたった安倍晋三政権は、男系男子主義の立場であり、・・・まったくこの問題には取り組まなかったからだ。

この筆者はあからさまに愛子天皇を主張しているわけではないが、行間にその願望が滲み出ている。そもそも「愛子天皇への道」というタイトルそのものが、愛子天皇を願っていることを示す。

さて、天皇家は初代の神武天皇から126代の徳仁今上天皇にいたるまで、男系継承の伝統を守ってきた。数人の女性天皇はいたが、結婚せず子どもはいなかった。男系にこだわったことが「万世一系」と呼ばれる所以である。

「万世一系」の最大の危機は第26代の継体天皇の時である。第25代の武烈天皇が崩御した時、後継ぎがいなかったため、応神天皇の5代の子孫とされるとんでもない遠縁の人物が即位し,継体天皇となった。即位はしたものの、なぜか大和の都に入ったのは19年後であることはなにかの支障があったことが窺われる。さらに、「継体」という名前自体が<国体を継いだ>いう印象があり、謎を感じさせる。

それでも、天皇家が男系による継承というそれまでの習慣を守ったことは、男系で一貫性を保つことが国民の尊崇の念と権威を維持する根源であると考えたからであろう。

そして、継体天皇以降はさしたる支障もなく男系が受け継がれてきたが、その背景には側室の存在がある。実際に、明治天皇も大正天皇も側室が生んだ子である。

2004年に当時の小泉首相が女性天皇の道を開くことを提唱したが、それは悠仁さまが生まれる前であり、悠仁さまが誕生してからは、女性天皇の案は消えた。

問題点は悠仁さまのあと、男系が支障なく引き継がれるとは限らないことである。万一、悠仁さまに男性の子どもがいなかった場合はどうするか。それには継体天皇の例にならって、天皇家の男系の血統から次の天皇を選べばいい。つまり、「愛子天皇の道」はないのである。

昨日ここまで書いて今日、文面を再度見直してからアップする予定だったが、本日の新聞に皇位継承に関する有識者会議の報告書が提出されたとあった。その記事によれば、有識者会議の案の骨子は、<男系男子の維持を重視する>ことだという。わが意を得たり、である。

今後、この事案は国会で議論されるだろうが、有識者会議の原案通りになることを願う。



「日曜討論」所感

2022-01-10 15:16:59 | メモ帳
今回は、1月9日朝に放送されたNHKの番組「日曜討論」をテーマにしたい。この番組は共通の質問に対して、各党の党首がどう答えるか、という形でまとめられた。以下、各党首の発言から爺が関心を持った部分を赤字で示し、それに対する所感を述べる。

自民党:岸田総裁
(沖縄と山口の両県における米軍基地付近での感染拡大に関し)不要の外出を認めないことで、米軍の合意を得た。

米軍がコロナの感染源になるとは盲点だった。その責任を問う声がないことは、誰もこの盲点に気づかなかった、ということだろう。

今さら兵士たちの外出を禁止しても、もうオミクロン株による感染拡大は始まってしまったが、やらないよりはましである。

この爺も広島県鞆の浦のホテルの1月末の予約をキャンセルした。残念だが、やむをえない。

公明党:山口那津男代表
(文通費に関し)透明性を高めること及び国庫への返納を積極的に進めたい。

その方針は評価するが、それではこの事案に消極的な自民党と仲間割れになりはしないのか(笑)。

立憲民主党:泉健太代表
(憲法改正に関し)現行憲法を変えなくてはならない決定的要因はなにかを問いたい。

尖閣や台湾問題は喫緊の課題であり、万一の事態に備えておかなくてはならない時に、こうして白ばくれているのはいかがなものか。爺としては、<自衛隊の存在は認めず、いざ有事の時には頑張って頂戴ね、という虫のいいことを言うだけでは、隊員たちの意気は上がることはなく、阻喪させるだけだ>と言いたい。

辺野古の滑走路建設はやめなくてはならない。辺野古がなくても、日米関係が毀損するわけではない。

では普天間基地はそのままにするのか。普天間が危険だから、辺野古に移設することにしたのではなかったか。辺野古を止めるなら代案をだすべきだ。鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外だ」という民主党時代の妄言から全く変わっていない。

維新の会は文通費だけを問題にしたが、(使途が問われないことに関しては)政策活動費や政党交付金も同様だから、議論の幅を広げ、全党共通のルールを作るべきだ。

最初にこの問題を取り上げた維新の会とは違うと言いたいらしい。それが本気ならそれでいいが、まさか議論の幅を広げて紛糾させ、時間切れにして先送りにしようというのが本音ではあるまいね?(笑)

維新の会:馬場伸幸代表
(文通費の件)維新の会は領収書添付をすでに始めた。

よしよし、そのようにひとつずつ解決してもらいたい。ついでに、泉健太氏の言うように、政策活動費なども同じように願いたい。

共産党:志位和夫代表
(外交政策に関し)軍事に軍事で対抗していてはきりがない。わが党は平和外交に徹する。

相手が話し合いに応じるならそれでいいが、現実はそうはいかない。万年野党の立場でなくては言えないセリフである。
                            終                                                                            


佐渡金山は日韓の次の火種か

2022-01-07 15:57:53 | メモ帳
佐渡金山は2010年にユネスコ世界文化遺産の暫定リストに登録されて以来、保留になっていたが今回ようやく候補に選ばれ、最終審査に入ることになった。

それはご同慶だが、韓国は佐渡金山登録問題を日本非難の絶好のチャンスと捉え、待ち構えている感がある。実際に、端島(軍艦島)が世界文化遺産に登録された時、韓国はマイナスキャンペーンを展開し、一定の成果を収めたからである。

韓国のハンギョレ新聞は12月29日と1月4日に佐渡金山の件を大きく報じて、次の問題点を指摘している。以下、ハンギョレの記事からの引用である。(赤字)

(1)佐渡金山における朝鮮人労働者の存在
佐渡金山での朝鮮人強制動員は1939年2月に始まった。以後、1942年3月まで6回にわたって1005人を募集で連れて来るなど、計1200人を強制動員*した。
(注)「募集」と「強制動員」は互いに矛盾する概念であることにハンギョレの記者は気づいていないのだろうか。それはともかく、強制動員(徴用)が始まったのは戦争末期の1944年以降であり、1942年は募集による動員だったから、ハンギョレの認識は誤りである。

(2)軍艦島登録の際のユネスコの警告
2015年に端島(軍艦島)を登録する際、朝鮮人強制動員の歴史など、遺産に関する「歴史全体」を伝えるという約束を自ら破り、ユネスコから警告*を受けた事実がある。
(注)日本の当局がユネスコから警告を受けたことは新聞で報じられたが、日本側の対応についての報道はなかったように思う。

佐渡金山は戦後の1952年に大幅に縮小され、1989年に閉山したが、第二次大戦当時、労働者の中に朝鮮半島出身者もいたことは事実である。韓国はその労働条件が苛酷だったことを根拠に日本を貶めることを狙っていると思われる。

さて、この佐渡金山の世界文化遺産申請は日本にとって、マイナス要素の方が大きいと判断する。その理由は(1)ユネスコが信頼できないこと(2)現代の価値観と過去の価値観が異なること。

  • 信頼できないユネスコ
軍艦島の件では、ユネスコは日本に対し“歴史全体を伝えていない”と警告したが、その警告は事実上、“韓国の言い分を十分に取り入れていない“と言っているに等しい。つまり、韓国のマイナスキャンペーンが奏功したのである。

過去にも国連は、クマラスワミ報告で慰安婦が日本軍に拉致されたと断定したことがあり、韓国・中国の主張をそのまま採用する傾向がある(「国連の正体」藤井厳喜著)。

残念ながら、日本は国連におけるプロパガンダ戦争に負けているのである。また、国連における議論において、日本代表が日弁連であり、そのリーダー格は戸塚悦郎というバリバリの反日闘士であることも日本のマイナス材料である。

●現代と過去の価値観の差
韓国はこの案件を「人権無視」という観点から攻撃してくるだろう。昔の価値観では当たり前だったことでも、現代の価値観では人権無視と判断されることがあるのが日本の不利な要素である。

例えば、2014.年に朝日新聞が慰安婦拉致の誤報を認めた時、その同じ紙面で朝日新聞は「慰安婦問題の本質は人権問題だ」と論点のすり替えを図った。戦前は、売春は合法だったのだから、朝日の主張は理屈に合わない。問題点は、知見が十分あるはずの朝日新聞の記者でさえ、こんなミステークを冒すことである。この例からしても、人間だれしも過去の出来事を現在の価値観で判断する傾向があると考えざるをえない。

ともあれ、韓国は現代と過去の価値観の違いを無視して、人権無視を言い募るであろうことは容易に予想できる。仮に、日本がこの論争に勝ったとしても、ネガティヴ感が薄まるだけで、ポジティヴ感に変わるわけではない。

一方、佐渡金山を世界文化遺産として登録するメリットは何か。言うまでもなく、観光資源としての格が上がることである。たしかにそれはメリットだが、人権無視国家として印象づけられるデメリットと天秤にかければ、デメリットの方がはるかに大きい。

ここで爺がゴチャゴチャ言っても、日本は佐渡金山の世界文化遺産登録を推進だろう。それはやむをえないが、せめて歴史的データを十分に用意し、また軍艦島の議論を復習し、韓国を論破できる態勢をしっかり整えて、論戦に臨んでほしいと願う。






出版物の倫理性

2022-01-04 12:57:33 | メモ帳
最近、コロナのために出不精になり、本は新聞広告を頼りにしてネットで買う。その流れで、12月下旬の新聞広告を見て、山口正之著「中国への断交宣言」(以下本書)(新潮社 2021年12月15日刊行)を購入した。

この著者の名前はWiilやHanadaでお馴染みだし、タイトルから判断して中国をこき下ろす内容だと推測できる。多分、ウィグルでの人権蹂躙、香港における民主化運動の弾圧やインチキ選挙、台湾に対する武力威圧などの中国の傍若無人ぶりがテーマだろう。中国の理不尽な振る舞いには爺も呆れているので、識者の意見を知るのもよかろう、と考えことが本書購入の動機である。

ところが、読み始めると内容がなんとなくしっくりしない。「温家宝はいったい何しに日本にやってきたのか」で始まる文章があったので、“はてこれはいつ書かれたのか”、と不審に思い、その項の最後を見て驚いた。なんと、(2007年5月24日号)とあるではないか。今から15年前に書かれた文章らしい。「号」とあるから、週刊誌に掲載したエッセイを転載したのだろう。

そこで最後のページを開いたら<本書は小社刊行の「変見自在」シリーズより再録し再編集したものです>とある。だが、この文章は論理的に成立しない。なぜなら、新潮社に「変見自在」シリーズという刊行物はないからである。この文章は<小社刊行の週刊新潮に掲載している「変見自在」シリーズより再録し再編集したものです>とするべきではないか。

表紙に<変見自在セレクション>とあるのは、そういう意味であることがやっとわかった。そういわれてみれば、時々買う週刊新潮にそういうエッセイ・シリーズがあったような気がする。

そこで、本書の各項の日付を調べると、最も古いのが2006年1月で、最新が2020年3月9日だから1年10カ月前である。発表済の論考やエッセイを単行本にすることはよくある。しかし、15年前から1年10カ月前までに発表したエッセイを、さも最新の話題を集めた単行本のように装うとはいい度胸である。

内容も<再編集した>にしては疑わしい箇所がある。例えば、「格安中國航空は命も安い」という見出しの項に次のような箇所がある。(赤字)

中国に下水はない。生活排水も工業廃水もみなドブに捨て、それが長江に流れ込む。流入汚水は「年間約300億トン」。油脂に重金属も入って、それがコロイド化して長江の流れに適度なトロミをつける。

中国の環境汚染はよく知られたことだが、このエッセイの日付は2012年12月とある。いくらなんでも、この10年の間に長江の水質は改善されているのではなかろうか。

さて、本書の題名は「中国への断交宣言」であるが、内容はその題名とは無関係であり、最近の中国の理不尽ぶりについてはまたく触れていない。これではまさに羊頭狗肉である。本書に書かれていることには共感するが、全体としては古本を新刊書として購入したような印象である。

出版社と著者の立場から見れば、古い文章を集めて新刊書にしたら手間がかなり省けるから、グッドアイディアである。だが、こんな商法が倫理的に許されるのか。出版社だけではない。著者の高山正之も同罪である。

新潮社は日本の一流出版社だと思っていたし、著者もこれまで贔屓にしていただけに裏切られた感がある、残念である。



初日の出at 湯河原

2022-01-01 10:27:30 | メモ帳
令和4年の元旦は好天に恵まれ、見事な初日の出となった。観衆は花火の時よりも多く、推定2千人。今年こそコロナが終息し、いい年になることを祈る。

帰途、千歳川の川べりに立ち寄ったら、カワセミがいた。


Have a Happy New Year, Everybody!



「トヨトミの逆襲」書評

2021-12-30 15:34:08 | メモ帳
「トヨトミの逆襲」(以下、本書)の単行本は2019年11月に刊行されており、今更その書評を書くのは<十日の菊、六日の菖蒲>の感がある。しかし、爺が購入したのは2021年11月に刊行された文庫版なので、時機が遅いことはご容赦頂きたい。

さて、本書の副題は「小説・巨大自動車企業」であることから、モデルはトヨタ自動車であることは容易に想像できる。例えば、本書の前編である「トヨトミの野望」に登場する武田剛平社長の経歴は、1995年から1999年まで社長を務め、退任後、経団連会長になった奥田碩(ひろし)氏の経歴と見事に一致する。

そして、本書の主役である豊臣統一が社長に就任するのが2009年だが、トヨタ自動車の現社長である豊田章男氏が社長に就任したのも同じ年。ほかの登場人物にしても、経歴が符合する実在の人物を容易に推測できるし、トヨトミ自動車の売上高や利益もトヨタ自動車のそれと一致する。

つまり、この小説は実在の企業と人物を骨格にしながら、考え方や行動の大部分は著者である梶山三郎の創作なのである。だが、どこまでが真実なのかわからず、これは読者の判断次第であり、そこが本書の面白さの一つ。例えば、豊臣統一社長の東京妻が登場するが、まさかこれは実在の人物ではないだろう(笑)。

ところで、本書の題名にある「逆襲」とは、EV車開発に出遅れたトヨトミ自動車が画期的技術を持つ小さな町工場と提携して、他社より性能が勝るEV車を作り上げ、凱歌をあげるストーリーを意味する。その時期を本書では2022年としているが、それは本書が刊行される3年前であるから、この部分は著者の想像の産物ということになる。

想像の産物ではあるが、それがいかにも本当らしく思えるのは、著者が本書を執筆するに当たり、業界の現状を克明に取材したからだろう。

本書にはトランプ前大統領やソフトバンクの孫正義氏らしき人物も登場して、スケールが大きいことも魅力の一つである。本書は梶山三郎の第一作であるが、これだけ雄大で面白い作品を発表すると、著者は第二作の構想に難儀するのではないだろうか。ともあれ、梶山三郎の第二作が楽しみである。

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今年も明日で終わりです。このブログの投稿は明日から3カ日は休ませて頂き、1月4日から再開する予定。フォロワー諸氏のご愛顧に厚く御礼申し上げるとともに、各位が良き新年を迎えることを祈念します。


こんなに「おいしい議員特権」

2021-12-28 16:15:26 | メモ帳
WILL誌2月号に「こんなに『おいしい議員特権』」と題した丸山穂高前衆議院議員の寄稿文が掲載されている。

丸山穂高氏は2012年より衆議院議員だったが、去る10月末の衆議院議員選挙では立候補しなかった。その理由や経歴についてはネットでご確認して頂くが、爺としては同氏にあまり好感を抱いていない。しかし、この論文は真実を語っていると判断する。

丸山氏の寄稿文から、興味深い部分を拾って引用する。(赤字)

【使い切れない文通費】東京には格安で住める議員宿舎があるので、滞在費はほとんどかかりません。・・・郵便を利用することはほぼない。・・・・文通費については論点を「日割り」にすり替えるパフォーマンスに、騙されないようにしなければなりません。

【ボンボン入ってくる立法事務費】立法活動に向けた調査などの経費として、「立法事務費」も支給されます。これは議員個人ではなく「会派」に与えられるお金です。・・・議員一人当たり、月に65万円、年間で780万円交付されます。・・・これも領収書不要。

立法事務費は会派に支給されるから、会派本部が各所属議員にいくら渡すか決める権限を持っているはずだが、一人当たりの金額が決まっていることからして、会派本部には何の権限もないことになる。つまり、立法事務費は文通費と並ぶ議員のお財布ということらしい。

ともあれ、この制度の趣旨からして、各議員はそれぞれ立法案を各会派本部に毎月提出することになるが、議員が立案した法案がそれほどあるとは思えない。さらに、領収書不要というのが気になる。

【歳費とボーナス】歳費(給料)はどの議員も一律に、月額129万4千円で、手取りは人によって差がありますが、私は約80万円。(ボーナスは)2020年は一回当たり額面318万円、手取り214万円でした。それが年に2回。

【交通費】新幹線のグリーン車含む、すべてのJR路線を乗り放題できる「JR無料パス」。これは東京からの距離によって3種類のパスが選べます
  • JR無料パスのみ
  • JR無料パス+東京・選挙区間3往復分の航空券引き換え証
  • 1カ月当たり*東京・選挙区間4往復分の航空券引き換え証 
【院車】衆参合わせ議員定数710人に対し、203台の院車(公用車)が用意され、各会派に割り当てられます。運転手つきで、ガソリン代はかかりません。

【政治資金】議員特権とは別のもう一つのお財布ともいえる資金で、企業や個人からもらう寄付、パーティーの収入、税金でまかなわれる政党交付金などが主な収入源です。

【二世・三世議員に有利な政治団体の相続税】通常、親から子に、一定額以上の財産をあげれば贈与税や相続税が発生します。ところが、政治資金として政治団体に入っている分には課税されません。

丸山寄稿文により、議員特権は「文通費」だけではないことが暴露された。野党にはまたとない援護射撃のはずだが、野党議員にもブーメランであり、痛し痒しといったところか。

さて、自民党の茂木幹事長は先の臨時国会が始まった時、「文通費案件は討議する時間的余裕がないので、先送りしたい」と発言した。その意味するところは、<自民党は「使途公開」をまったく否定するか、または一部(例えば、月100万円のうちの50万円)は領収書不要として残したい>のどちらかである。そのどちらであれ、自民党は「使途公開」を渋る理由を次の通常国会で説明すべきである。

また、丸山論文には次のような記述もある。(赤字)

文通費が足りないと言っている議員は、使い道が誤っています。通信費は公の書類を発送するために使うべきところを、自身の会報を送るのに使っていたりする*。・・・足りないという主張は、用途を誤っているとしか思えません。私が議員の折も、足りないどころか使い切れませんでした。

*(注)自身の会報(後援会々報)は文通費の内の通信費に計上できないのか。できないとしても、なにかほかの費目があるはずで、自己負担になることはないだろう

この丸山寄稿文により、法外な議員特権は文通費だけではないことが明らかになった。野党は今度こそ自民党をトコトン追及して、文通費の「使途公開」「余剰金返納」を認めさせるとともに、「立法事務費」等にも切り込んでもらいたいものだ。






日韓政府のコロナ対応と竜安寺の石庭

2021-12-25 15:51:56 | メモ帳
韓国の中央日報が日韓政府のコロナ対応について、京都竜安寺の石庭に例えた面白い記事を掲載したので、かいつまんで引用する(青字)。筆者は中央日報の東京総局長。なお、日本語訳が拙劣なので、多少手直しした。日本語が達者な韓国人が訳したらしい。

 
京都の竜安寺の石庭には、白い砂と15個の石しかない。ところが、どこから見ても石は14個。絶妙に1個隠れる。この庭園は▼世の中のすべてのものを見ることはできない。▼目に見えるものが全てではない・・・という人生の道理を象徴している。

さて、1年を終えるところで、われわれはコロナ対応で何に気づかなくてはならないのか。

【場面1】大統領府は今年5月の韓米首脳会談の成果として、ヤンセン社のワクチン100万回分を獲得したことを「ワクチン外交の勝利」と自画自賛した。そして、疾病管理庁の長官は「効果と便宜性の側面でヤンセンが他社製品よりも優れている。米国が韓国を特に配慮したことを示す」と述べた。

ところが米国疾病管理予防センターの諮問委員会は先日、全員一致でヤンセンのワクチンは避けたほうがよいと勧告した。安全性と効能がどちらも劣るという理由からだ。

 一方の日本政府の対応:ワクチン外交に関心が集まった4月の日米首脳会談のあと、菅義偉首相(当時)は会談内容を明らかにしなかった。担当大臣が「これで日本国内の16歳以上に対して全員接種できる数量が確保できた」と、淡淡と発表しただけである。その成果は後日、「ファイザー5,000万回分」として明らかになった。

「ヤンセン1,000万対ファイザー5,000万」という数字の差が韓国国民を腹立たしくさせ、国民は韓国の大統領と政府の誇張を限りなく恥ずかしく感じた。

 【場面2】韓国政府は接種率を高めるために、アストラゼネカ(AZ)を高齢層に集中的に投じた。そして文大統領は10月のG20会議の時、「韓国が世界最速で世界最高水準の接種完了率を記録した」と、世界に向けて勝利宣言した。ところが実際には、AZを打った人々の抗体量はファイザーの5分の1にすぎなかった。

その結果はウィズコロナから45日後の「ソーシャルディスタンスへUターン」である。

文大統領は批判を意識したのか、21日の国務会議で「試練が成功を導く」と述べた。大統領の自惚れが国民の試練を作り、その対価と侮辱をすべての国民が過酷に支払うことになった。こんな呑気なことがよく言えるものだ。

一方、日本の対応。日本はファイザー・モデルナ・AZの3社のワクチンを自国民を対象にして臨床テストし、その結果に基づき、AZのワクチンは全量開発途上国に譲渡し、自国では使用しなかった。科学を優先し、ワクチンの副作用を先制的に管理した。自慢も、自惚れも、誇張もなかった。

 こうした対応の結果、今月22日の状況は、新規感染者7,456人(韓国)対249人(日本)、重篤患者1,063人対28人、死亡者78人対2人という結果に現れた。人口の違い(日本が韓国より2.34倍多い)を考慮すればほぼ100倍に近い。

コロナ禍が沈静化した日本の岸田首相は、21日に国会で次のように述べた。「ウイルス変異株などの新しい状況に対して、慎重な上にも慎重を期し、先手先手で対策を打ってまいります」。

もちろんこの失敗だけを以て、韓国は間違えていて日本は正しかったと決めつけようとするつもりはない。だが、これだけは言いたい。「すぐに目に見えることや見たいことだけを以て、誇張したり自惚れたりするのはやめよう」と。これが龍安寺の教えである。

日本のコロナ禍が鎮静化した理由がワクチンだけとは思えないが、ここではその問題は論じない。

ヤンセンというワクチンがあるとは知らなかったが、韓国は早い時期にそのワクチンを入手して、軍隊に優先して配布したらしい。早々とヤンセンのワクチンを接種した人たちは、“ヤンセンのワクチンは品質的に劣る”という記事を見てさぞ怒ったことだろう。

それはともかく、この日韓政府の態度の差は、すぐ自慢したがる韓国人と、成果の発表に控え目な日本人の、性格の違いを如実に表している。

そして、有名な竜安寺の石庭を日韓政府の差に例えて問題点を指摘し、韓国政府を皮肉った筆者の機知に感心する次第である。








 



 



コロナと景気の関係

2021-12-23 10:04:04 | メモ帳
株価が連日、大幅上げと大幅下げを繰り返している。日経平均は、12月16日に606円の上げ、その翌日は520円の下げ、週をまたいでの20日は607円の下げ、その翌日は579円の下げといった具合。投資家たちはジェットコースターに乗ったような気分だろう。

この荒っぽい波動は、オミクロン株が今後どうなるか読み切れないという、投資家のナーヴァスな心理を反映していると思う。この爺も10月に“コロナ収束近し”と判断し、JR東日本の株を100株、7,100円で仕込んだ。一時は7,800円まで上げたから、シメタとほくそ笑んだのも束の間、その後は欧米諸国の感染拡大で、最近は7,100円を割っており、元の木阿弥である。

そんな状況で、景気動向の見通しはコロナの先行きをどう読むかにかかっている。日本ではこのところジワジワと感染者数が増加しているが、それでも諸外国と較べれば天国と地獄くらいの差がある。

例を挙げれば、一日の感染者数が米国では13万人、英国では9万人であり、日本とは桁がいくつも違う。お隣の韓国でも、連日7千人を超えて、 “K防疫”という自慢は儚く消えた。

余談だが、韓国ではひと頃「日本はコロナの数字を歪曲しているに違いない」という憶測がもっぱらだった。いくらなんでも、もう妄想から目を覚ました頃だと思っていたが、そうではないらしい。今になっても「世界が認めたK防疫よりも、日本の感染者が少ないなんて、常識的に話にならない」という意見が、最近「ヘラルド経済」紙に掲載された(シンシアリーのブログより)。どんな「常識」があると、そんな認識になるのか、韓国人とは不思議な人種である。

話を本題に戻す。景気動向はコロナ次第になった感がある。いくら日本がコロナを抑え込んでいても、諸外国ではコロナの跳梁が止まるところを知らず、たぶん冬場は好転しないだろう。幸いにして日本だけは小康を保っているが、空港で発見されるオミクロン株を果たして抑え込めるか。今が正念場である。

この爺はワイフとともに、1月末の温泉旅行を予約した。GO TO キャンペーンの再開を当て込んだこともある。観光業界はコロナ禍の動向を固唾を飲んで見守っていることだろう。

ともあれ、来年こそは心安らかな年になってもらいたいものである。

昨日ここまで書いて、本日朝に推敲してからアップするつもりだった。ところが昨晩、大阪でオミクロン株の市中感染が確認されたと報じられた。JR東の株は当分の間、塩漬けになることを覚悟する。

今は、ただただオミクロン株の感染が拡大しないことを祈るのみである。


拉致問題:困窮している北朝鮮

2021-12-20 16:45:41 | メモ帳
北朝鮮による拉致被害者・田口八重子さんの兄で被害者家族会代表の飯塚繁雄さんが、つい最近83歳で逝去した。横田めぐみさんの父・滋さんも昨年、87歳で亡くなった。まさに、時間との勝負である。

拉致事件が起きたのは1970年代。肉親の方々は、40余年の間、片時も心が休まることがないだろう。お察しする。

さて、この拉致事件の解決に長年に亘り、ボランティアでありながら、リーダー的存在として尽力してきた西岡力氏の著書「わが体験的コリア論」(令和3年11月刊)から、拉致事件に関する記述のキモの部分をかいつまんで引用する。(青字)

金正恩政権は六重苦により崩壊の危機を迎えている。
  • 経済制裁による外貨の枯渇
  • コロナの蔓延
  • 大雨と台風による大水害
  • 幹部と人民の不満の高まりと活発化する反体制派の活動
  • 金正恩の健康不安
  • 中朝関係悪化

▼(!)(2)(3)については、2020年10月10日の深夜に行われた閲兵式の際における涙ながらの演説において、金正恩が言及したことであり、世界中が実状を知っている。だが、日本政府が朝鮮総連からの送金を止めたことが大きな影響していることは、マスコミに報道されていない。

▼(4)について補足する。
金正恩は軍と治安関係、および平壌市民だけには優先的に食料などの生活必需物資が行き渡るように指導してきたが、今やこれらの人々から不満が噴出している。

§ 人民軍は有事に備えて、食料を始めとする生活必需品を備蓄しているはずだったが、金正恩がその備蓄物資を市民に放出するよう命じたところ、あるはずの物資がなかった。兵士たちが栄養失調になり、見かねた幹部が兵士たちに放出するよう命じていたのである。メンツが潰れた金正恩は軍の幹部を処罰した。

§ 北朝鮮の体制のシンボルのような金日成綜合大学に「金正恩打倒」「青年に未来がない」と書かれた壁新聞が貼られた。

§ 上述の10月10日の演説では“自分は人民の窮状がよくわかっており、申し訳なく思っているがが、人民は苦しい中でも自分を支持してくれて感謝する”という趣旨の、異例のへりくだりを見せた。これは人民に不満が鬱積していることを物語る。

§ 軍や住民の不満が高まり、金正恩暗殺未遂事件が頻発している。

§ 首都平壌で反体制ビラが撒かれた。ビラは紙質から判断して、国内で作成されたと思われる。

▼(5)の金正恩の健康不安について
彼はひどい糖尿病で血糖値が400を超えており、インスリンが効かなくなって、特別な手術を受けた、という情報もある。確たる状況は不明だが、健康体でないことは確かである。

▼(6)の中国との関係
親中派の張成沢を金正恩が処刑して以来、中國との関係は悪化したままである。中國・丹東から北朝鮮に入るトラックの数は、コロナ以前は一日200~300台だったが、コロナ以降は一日30~40台に激減した。

この六重苦からの脱出口は、米国・日本・韓国に接近して制裁を解除させ、大規模な経済支援を得ることしかない。

日本のマスコミ報道を見ていると、拉致問題は八方塞がりで解決の糸口さえないように見える。だから、岸田首相が“私が解決します”と息巻いても、ただの強がりとしか感じられない。なにしろ、小泉純一郎首相(当時)の時に5人返されて以来(2002年)、もう約20年経過しているのだから。

だが、本書を読むと、西岡氏や政府関係者は北朝鮮が極度に疲弊していることから、拉致問題の解決は近いと判断しているようだ。トランプ大統領(当時)が米国と北との交渉に、核廃棄だけでなく、拉致問題もセットにしたことも日本に有利に影響しているという。

一日も早くこの問題が解決するよう願うのみである。

文通費再論

2021-12-18 13:27:30 | メモ帳
文通費案件は12月9日に論じたが、その後も自民党の態度が気にくわないので再度取り上げる。

「使途公開」と「余剰金の返納」に関して、回答はイエスかノーのどちらかしかないと思っていたが、そうではないらしい。今日(18日)の産経新聞の<文通費 法改正見送りへ>という見出しの記事の一部を引用する。(赤字)

野党が求める使途公開や国庫返納の導入に踏み込んで議論するには、使途公開の範囲や手法など論点が多岐にわたり、「今国会では時間が足りない」(自民国対幹部)との立場だ。

「使途公開や手法など論点が多岐にわたる」とは、会合の相手を知られたくない場合があるから、領収書不要の部分をできるだけ多く残しておきたいというのが自民党の本音だと想像する。

だが、それは野党議員も同じはずだ。それを知りつつ野党が使途公開にこだわらないのは、そういう特殊な会合の回数はあまり多くなく、したがってその支出総額も大したことがないから、自費で負担しようと考えてのことだろう。

さて昨日、維新の会の鈴木宗男議員が予算委員会で質問するというので、この案件を取り上げるだろうと予想し、NHKの国会中継にチャネルを合わせた。鈴木議員は、期待通りこの案件を取り上げ、次のように発言した。(赤字)

「北海道や沖縄の議員と東京の議員が同じ金額であるのは不公平だ」「議員宿舎があるし、鉄道パスや無料の航空券もある」

前半の部分を聞いて、「遠隔地と東京首都圏では交通費・滞在費に差をつけるべきだ」と主張するのかと思ったが、後半部分では「遠隔地在住でもいろいろ恩典があるから、地方議員を優遇する必要はない」と言っているように受け取れる。要するに、何を言いたいのかわからなかった。

これに対し、鈴木財務大臣は「法律をつくるべきだ」、首相は「大いに議論をしてほしい」と発言した。鈴木宗男議員の発言は意味不明だし、財務大臣と首相の発言にしても、何か言わなくてはならないから言っただけ、と言う印象だった。

この意味不明な問答は何だったのか。鈴木宗男議員は「文通費案件も予算委員会で取り上げたよ。頑張っていることをわかってね」と国民にアピールしただけなのか。そして、彼はすぐほかの案件に話題を移した。

野党にとって、この案件は自民党の印象を悪くする絶好のチャンスのはずだが、新聞に見るかぎり、文通費案件が予算委員会で真剣に議論されてはいないようだ。

ことによって、野党もこの事案が先送りになることを喜んでいるのではないだろうか。先送りはやむをえないが、1月の通常国会では与野党とも本気で議論してほしいものだ。








湯河原のリゾートホテルLa Classe de Cienega

2021-12-14 17:54:15 | メモ帳
一泊5千円の県民割に後押しされて、すぐ近くにあるリゾートホテルLa Classe de Cienega(ラ・クラッセ・ド・シエネガ)に行ってきた。交通費は片道1,200円のタクシー代。

かねてよりこのホテルには関心があった。その理由は眺望がいいだろうと想像したから。ところが、実際に訪れてみて、眺望もさることながら、フランス料理のレべルが高いことに驚嘆した。。

当日の献立は次の通り。
アミューズ(小皿)
カツオのミキュイ(ミキュイは「半生」の意。要するにカツオのタタキである)
和牛のブリオッシュ・ヴァプール(和牛の蒸しパン包み)
ヒラメのパイ包み焼
鴨(フランス産)の炭火焼き
デザート(モンブラン)とコーヒー


ヒラメのパイ包焼

どの料理も味は申し分ないが、感心したのはシェフの独創力とその実現力。どれもこれも凝っていて、シェフが工夫し且つ精魂こめて調理したことが感じとれる。例えば、カツオのミキュイにしても、ただタタキを並べるだけではなく、味付けした野菜を刻んでコンモリと上に乗せてあり、この部分を食べ終えるとカツオが現れるという仕組み。ビックリ箱を開けるような楽しさがある。

カツオのミキュイ

鴨の炭火焼き 添えた野菜がカラフル

ディナーだけではない。朝食(特に和食)の食材がしっかり吟味されていて、調理も適切。シェフの心意気を感じる。

さて、数週間前に取り上げたレストラン「蒼い海」の時にも述べたが、真鶴半島から湯河原・熱海・伊東に至る一帯は、海岸線が入り組んでいる上に、大島などの島々がアクセントになって、日本でも指折りの景勝地だと思う。だから、日の出も格別である(写真)。

ホテルのベランダから見た日の出(但し、春から秋は、太陽は左の真鶴半島の後ろから昇る)


朝日に照らされ、オレンジ色に染まった湯河原の街

このホテルは “リゾートホテル”と謳うだけあって、建築に気配りが感じられる。例えば、プールの周囲はノッペラボーのコンクリートではなく、自然感がある石材を敷きつめてある(写真)。写真の右手奥にある石塀は、同じような形の石を積んでセメントで固めてある。


なにかと気ぜわしい師走だし、あまり宣伝もしていないようだから(小規模のホテルは宣伝がペイしないかな)、宿泊客はわれわれ夫婦だけかと思っていたら、なんのなんの、駐車場に札幌ナンバーの2台含め6台の車が停まっていた。“知る人ぞ知る”ということか。

綜合して、気分がリッチになるハイクラスの瀟洒なホテルである。











水面下で揺れる慰安婦問題

2021-12-13 10:14:08 | メモ帳
韓国の中央日報が12月10日、慰安婦問題に関する重要な記事を掲載したが、日本のマスコミは報じる気配がないので、ここに要約して引用する。(青字)

慰安婦イ・ヨンスの主張や活動状況が収録されたドキュメンタリー映画“Justice for Japan‘s Wartime Sex Slaves(日本の戦時性奴隷に対する正義)”が、英国の「チャネル4」の番組 “Unreported World(報道されなかった世界)” シリーズの一環として放映された。なお、この映画の中で慰安婦のイ・ヨンスは「慰安婦問題を国際司法裁判所に付託したい」と語っている。そして、同作品(製作はナンシー・ロバーツ監督)の特別映写会が12月6日、オックスフォード大学の講堂で行われた。

日本人なら、この番組(映画)を観なくても、内容が嘘八百を並べたものであることがわかる。しかし、英国人はまさか「TV番組が嘘八百を流した」とは思わないだろう。韓国の市民団体の巧妙なプロパガンダであり、日本人にとっては腹立たしい話である。

この慰安婦婆さんは以前から、国際司法裁判所への付託を主張しているが、文在寅大統領は黙殺している。多分、「これ以上対日関係を悪化させたくない」と考えてのことだと推測する。しかし、次の大統領がどう考えるかはわからない。

もし、国際裁判所で争うことになった場合、日本政府は「2015年の慰安婦合意によって終わっている」と主張するだろう。一方、イ・ヨンスは「私は日本軍によって拉致され、惨めな人権蹂躙を経験した。それは1992年の河野洋平官房長官(当時)も認めている。2015年の慰安婦合意は、韓国政府がわれわれ慰安婦の意見を聞かず締結したのだから、無効である」と主張するだろう。どちらの勝訴になるかは5分5分だと思う。

しかし、イ・ヨンス(そして、正義連)の狙いは、裁判での勝ち負けではなく、國際裁判という公的な場において争うことで、「日本軍による拉致と非人道的行為」を国際社会に強く印象づけることだと想像する。

一方、日本は裁判に勝とうが敗けようが、国の名誉が傷つけられることには変わりなく、国際裁判に持ち込まれることは避けたところである。いずれにせよ、河野談話が日本のアキレス腱になっていることを今更ながら痛感する。

こうした中、YouTube の動画 
https://www.youtube.com/watch?v=r271tk_XaGM 
によれば、「慰安婦は国際詐欺だ」と主張する一派が現れ、これまで正義連が毎水曜日に集会を開いていたのと同じ場所で、慰安婦たちの嘘を糾弾しているという。この出来事は、日本のメディアは言うに及ばず韓国の大手新聞も報じていないが、まんざら作り話だとは思えない。

この一派の運動が大規模化すると、<国際裁判への付託>も立ち消えになるだろう。日本人としてはそうなることを願うのみである。