夏は雨
秋は風
亡き人を恋ふる藤袴
女郎花は思ひ草
まみゆことかなわぬひとを
あくがれこがれて
ひとめあいたかったと
おもったろうか
あるいはいつか
まみえたろうか
ゆめのなかででも
めぐりあえたろうか
おもいつづけたたましいが
からだをはなれてさまよいあるき
あのひとのもとへ
ただひとめだけ
筆の中に
紙の中に
時を越えて
ことばを越えて
次の百年の
その向こうへ
金泥は神の眼
鬼の涙
銀泥は月の光
夜の雫
人が思うのは失われしもの
ひるまのなごりの淡い光が
見えなかったものを照らしだすから
いたんだ心に寄り添うように
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