というわけで行ってきたよ能楽キャラバン!in札幌
めっっっちゃ楽しかったあああ
かでる行ったの初めて
おれたちの教文様は現在改修工事中ですんで
方向音痴を遺憾なく発揮して迷いかけたりもしたが
めずらしく時間に余裕があったので事なきを得た
いやあれ地下から地上に出た瞬間が一番むずいんよね
アクセスマップに目印はたくさんあれど
それを見つけられない
出口から見える範囲にないんだもの
まずどっちを向けばいいのか
ここから見えるものだけで教えてくれ話はそれからだ
キャパは教文の半分程度ということで満員御礼
そのせいか今までで一番近かった気がする
あるいは単純に久し振りすぎて感覚を忘れただけかもしれないがもうよくわからない
いろんな音がよく聞こえて迫力と臨場感でワクワクした
客席や通路が狭いのは難儀したが結果プラマイゼロくらいかな
ほんと私の周りには誰もいないのに
普段どこに隠れてるんだろうね蝦夷地の能楽ファン
屋根がないのはぶっちゃけとても見やすかった
能楽堂っぽさが減るのは痛し痒しであるが
客席の傾斜がきつめだったので
もし屋根があったら今回のような後方席からは何も見えなかったろう
おかげで音はよく通った
真ん中よりちょい左という優良アングルだったのもよかった
まずは観世喜正先生の楽しいプレトーク
立て板に水を流すが如き名調子
何度か聞いたことあるけどほんとしゃべり慣れすぎてて
あまりの軽快さにちょっと笑っちゃう
敦盛を選んだのは今は小学校や中学校の国語や古文で平家物語を習うから
とおっしゃっていたが
ちょっと待って
私も中学校の古文で敦盛の最後を学んだと記憶しているが
もっと上の世代はそうじゃなかったのか
ていうか「今」の範囲がだいぶ広いなと思ったけど
元をたどれば1300年くらい演じ続けられている能楽の歴史から見ればまあ一瞬かと
妙な説得力で自己完結した
他の演目もそういうことなのかな
もとより土蜘蛛はわかりやすく面白いし
仕舞の曲もある程度タイトルから予想がつく内容だったし
狂言は長尺のコントみたいなものだし
わかりやすさ重視で選んでくれたのかな
ありがたいことです
敦盛(喜多流)
ワキ僧の蓮生法師こと出家した熊谷直実がとてもエエお声
とろんとするのも束の間
半能ということで後シテもすぐ出てくる
あ、敦盛キュンンンーーー!
ロンゲェェェーーー!
サラツヤストレートォォォーーー!
こ、これは融様以来のキタ━━━━(゚∀゚)━━━━感!
顔ちっちゃ!ほんでかわいい!
なにこれビジュ爆発してない?大丈夫?
などと頭悪くブチ上がる一方
なるほどなあ
十六の面をかけて黒髪を垂らせば
どんなオッサンでも小顔の美少年というわけか
よくできてるなあ
などと冷静に分析する自分も他方にはおり情緒が過労死寸前
でも今回のシテ方様は本当にすらっとしてスタイルよく
佇んでいるだけで凛とした高貴さを纏っていて
ゆっくりきれいに動くって相当難しいはずなのに
あの優雅さはただごとではない
舞も所作もほんっっっとうに美しかった
意外と激しめの踊りにドキドキ
すいすいと流れるように舞っていたかと思えば
足や膝を踏み鳴らしたり
ジャンプもするし
急にきれいなターンとか決めるから能は侮れない
それにしても型の美しいこと
一拍で完璧なシルエットにもっていくんよね
すごすぎて驚嘆してしまう
どんなジャンルでも踊りの上手さってそういうことなんだなって
装束は左右で色が違ったのが印象的
右は月の光のように輝く金色
左は夜の海に似て少しくすんだ青色
袴は柔らかな白地に控えめな金色で波の模様
紐は橙色
よく見れば金色の装束の上から青色の衣を片袖だけ通しているようだった
扇の柄は波に入り日に見えた
負修羅扇
ああ
ぐっときちゃう
ラストの男舞というやつで
戦いの前夜から最期までを再現して舞うのだが
途中で小太刀を抜くんだけれども
最後にそれをぽとりと放って
直実に向き合って
弔いを依頼するんですな
憎んだり恨んだりしていたわけではなく
たまたま戦争中だったから
立場が敵同士だったから
出会ってしまった以上
どちらかが討ち討たれねばならなかった
無骨なオッサンは自分の子ほどの若者を涙ながらに手にかけ
戦場に笛を持ち込み奏でるほどの風雅な美少年は武人として誇り高く散った
その笛の音を実は聞いていた
命を奪った方が発心して出家するところまでは原作通りだが
奪われた方が真摯な弔いに応じてむしろ成仏を願い出てくるとか
赦しとでも仏道の友とでも
どんなオブラートで包んでもらっても構わんが個人的にはやっぱり
そ れ な ん て B L ?
としか言いようがないのである
だってなんかこんなん見たことあるもん
一次か二次かも覚えてないけど
絶対見たことあるもん
解説も運命的な二人とか絆で結ばれとか書いちゃってるし
しかも絶妙に気になるところでスパッと終わるのな
これは当時の人々もえっと思ったのでは
室町時代にも腐女子は絶対いたはずなので(断言)
残っていないだけでさぞ捗ったことだろうなと思いを馳せてみたりして
敦盛って太鼓がいないのね
最初から大鼓小鼓能管の3人だけだった
そんな編成もあるんだな
あとでわかることだが太鼓が加わると躍動感とか疾走感が出ちゃうので
なるほどなあと
清水(大蔵流)
人間国宝の爪先立ちとか
とぼけた声や表情がなんともゆるくて愛らしい
客席も自然と笑いがこぼれちゃう
いつも思うけど翻案して現代の芸人さんにやってみてほしい
コント師の狂言再現シリーズ
最近のお笑いが全然わからなくて誰とは挙げられないのが面目ない
休憩を挟んで
宝生流の仕舞3つ
難波は神様とかが出てきて
天下泰平を言祝ぐというおめでたい感じの曲
脇能かな
神男女狂鬼の神ですな
野宮は六条御息所が出てくる
もしかしてとは思ったがやっぱり
鬼の研究でもちらりと触れられた曲だ
葵上では生霊で
野宮では亡霊で
忙しいっすねというか大人気っすねというか
六条御息所で2曲もあるんだということにちょっとびっくり
実在の英雄でもなく
小説の主人公でもなく
言ってみればハーレムもののサブキャラの1人で
この扱いというのは深読みしたくなっちゃう
そうすることで救われる人がいつの世も一定数いたから
これらの曲が作られ現在まで残ってきたのだろう
と思うにつけ感慨深い
鞍馬天狗は牛若丸伝説とかのあれ
仕舞なので囃子方はなく謡5人のみ
1人が前に出てきて舞い他の4人が歌う
それを3交代
まあそれぞれにエエお声のイケオジ揃いでうっとり
本当に動きがなめらかでたおやかで
流れるような心地よさに見惚れているうちに終わっちゃう
仕舞でこんなに感動するとは思わなかった
これが生舞台のチカラか
土蜘蛛(観世流)
みんな大好き土蜘蛛さん
個人的には16年ぶり2回目であるが
持ち前の忘却力により初見のごとく楽しめたので優勝です
太鼓も揃ってなんだか安心感
出番は後場からだけど
トモ従者が若い女性だった
存在は知ってたが生観劇で出会うのは初めてだ女性能楽師さん
しかも可愛らしいお声でおじさんだらけの能舞台に斬新な風が吹く
いつもは美女だろうが美少年だろうがすべからくおじさんボイスで演じられることに
なんの疑問も抱かない程度には順応していたので
そこに本物の女の子の声が混ざるとめっちゃ目立つなあ
でもまあケルビーノみたいなもんか
と思うことで自分の中ではすぐ納得した
ありがとうモーツァルト
ありがとうフィガロの結婚
他の曲だとどんな役で登場するのかなあ
女性だけで上演ってのもEテレで見かけたことある
詞章や解説の字幕助かる
教えてもらえなければ気付けなかったであろうこといっぱい
あんなピアニッシモな地謡もあるのね
通奏低音みたい
モニター位置の正解はわからんなあ
そこだけアンケート答えられなかった
舞台から目を離したくない人もいるだろうし
近すぎると目障りと感じる人もいるだろうし
マタイなら離れてても全然いいんだけどね
音楽だけだから
演劇はむずかしいね
病床の頼光がちゃんと元気のない声してて
わかりやすく弱ってる感がよかった
さっそく怪僧登場
千筋の糸すごい!
質感やばい!
本当に蜘蛛の糸みたいなクオリティ
思わずどよめきが沸いたよ
繊細で軽くてブワッと広がって
ゆっくりじわじわと落ちてきて
いつのまにか絡まっている
剣を抜いて応戦する頼光
お前メッチャ元気やん
さっきまであんなに弱ってたのに
まあそういうことあるよね
なにくそと奮起すると案外パワー出たりしてね
独武者にもノリノリで蜘蛛切に改名しようとか言い出してるし
やっぱりここのくだりはなんかちょっと笑っちゃう
剣の威徳とか
君の威光とか
なんとむなしい響きだろうか
どこか滑稽ですらある
そういうふうに作った曲なんだなって
そういう演出なんだなってはっきりわかる
ちょっとおちょくってる?と感じる時さえあったりして
頼光や四天王の物語もあるけれど
これはそうじゃない
徹底して土蜘蛛さんが主役なんだな
だって応援したくなっちゃう
塚を崩したり火を放ったりと聞くと
やめてそんなに土蜘蛛さんをいじめないでと思っちゃう
後場は蜘蛛の巣の作リ物を突き破っての登場に始まり
見た目も華やかな赤頭に
金銀ビビッドカラーのど派手な柄on柄の装束で
千筋の糸をこれでもかと繰り出して
銀テープか花火かってくらい圧巻のショーを魅せてくれる
こんなの応援せずにはいられない
演劇だから最後は申し訳程度に調伏されるけど
本当にギリギリ直前まで千筋の糸を放ちまくっていて
いつ倒されたのかわからなかったくらい
悲しむ隙も与えないくらい
ほとんど土蜘蛛さんの活躍を堪能する幸せな時間だった
気付けば舞台はもっしゃもしゃで真っ白
皆さんが糸くっつけたまま真顔で退場してゆくシュールな光景を見守るところまでがエンターテインメント
それにしても
あれだけの糸に絡まれながらの斬り組みは本当にすごい
シテなんか視界も悪いのに
一歩間違えばたいへん危険なことになりそうで
見ててハラハラしちゃうけどそこがまたスリリングで魅力的なのかな
糸もちゃんと計算して投げないとアクシデントが怖いから
あれ相当練習するんだろうなあなんて
何気にすごい技術だと思う
でも上演中は
えっいくつ仕込んでるの?
えっいつ投げたの?
って疑問を抱く暇もないくらい
息もつかせぬ怒涛の攻撃でただただ圧倒されたな
最後に附祝言というのをやりますということで
えっこの舞台で?
ハビエルマンの後くらいはちゃめちゃに荒らされたこの舞台でまだなんかやるの?
と慄いたのだが謡だけということで安心した
最後におめでたい歌でお口直しして晴れやかに締め
ああ楽しかったなあ
演目もいろいろ盛りだくさんで贅沢なひとときでした
プログラムがとても立派で
もはやパンフレットといっていいくらいの冊子で
詞章が載っているのたいへんありがたい
敦盛の詞章美しいな
いつか全幕通して見てみたい
---
私やっぱりこれだな
寝食放り出して一晩かけて長文でネチネチ綴らないとだめだ
見終わった気がしない
もういつでもできることではなくなったが
あっ書かなきゃと思ったから
少しほっとした
去年の森麻季さまをいまだに引きずっている
あまりに素晴らしすぎて
言いたいこと感じたこといっぱいあるのに
適切な言葉がまったく追いつかなくて何も書けなかった
時間と気力と語彙さえあれば今でも思い出して書きたいとは思ってる
PMFもSNSには書いたけど
こっちに書いてないのが心残りでちょっと不安
アイツは動向自体がもう怪しいから
ブログもSNSではあるが
こっちはフォロワー0とわかってるので
完全に気楽な壁打ち
どんだけクソ長くダラダラ書いても気にしなくていいし気にならない
私ほんとに社会不適合者だな