りりあんのめーぷるしろっぷ

季節感あふれる身辺雑記。

振りまわされる日々

2012-05-29 | Weblog
ローカル線の最寄り駅のプラットホームと車道との間の細長い三角地に、青の紫陽花が咲き乱れていました。六月にはまだ少し日にちがありますが、紫陽花とくれば総司ですよね。ホームで電車を待ちながら、紫陽花の花に散った血を思い(もちろんCGはカットです)、しばし静かな悲しみにひたった朝。大阪から帰ったあと、あれこれあってあたふたしていましたが、ようやく日常が戻ってきました。

一年ほど前だったでしょうか、東京に住んでいる友人から猫をもらってくれないかという話がありました。その友人のそのまた友人が癌に冒され、余命宣告を受けたので、飼っている猫の引き取り先を探しているという話でした。2年数か月前にリリアンを見送ったあと、自分の年齢も考えて、もう生き物を飼うのはやめようと思っていたのですが、この話は断れませんでした。積極的に飼う気持ちはなかったけれど、縁というのはこういうものだなと。闘病中の飼い主さんの気持ちも当然ながら二転三転して、いつ引き取るのかといった具体的な話は進まないなか、「下谷万年町・・・」観劇の折に、飼い主さん宅にお邪魔して、顔合わせだけはすませました。さほど気難しそうな様子にも見えなかったので、ひと安心。その後、飼い主さんの気持ちに即して、私が5月の終わりごろに引き取りにいくことに、話はいったん決まったのですが、飼い主さんの病状が急変して、至急引き取ってほしいという話に。現在、彼女の世話をしている友人たちが相談したものの、すぐに動ける人も見つからなかったので、仕方なくペットの宅配サービスで送ってもらうことになり、先週の土曜日に家に到着しました。
到着後すぐに籠城したのが浴槽の中。慣れるまで時間がかかるだろうからと思っていましたが、事のほか人懐っこい甘えん坊で、三日目には就寝中の私の枕元に来て、何やら鳴いて訴え、その朝には私の膝まであがってきました。可愛がられていたには違いないのですが、何しろ老いた雌猫と長年しずかに平和に暮らしていたので、好奇心旺盛な三歳の雄猫の世話は手が焼けます。家のルールに慣れてもらうべく奮闘中ですが、とくに困っていることが二つ。私も相当、宵っぱりな生活をしているほうなのですが、ともかくモモ(養子に迎えた子の名前です)の昼夜逆転ぶりといったら。そろそろ寝ようかと私が寝床に入ると、部屋の中をうろうろ、うろうろ・・・ああ~~眠れない。仕方なく、現状では夜は住み分けをしています。もう一つの困り事は、高い所に興味がありすぎること。まあね、どちらも猫の習性としては当たり前のことなのですが、今まで飼ってきた猫たちは、ほぼ床に這いつくばって生活していたので(こちらのほうが猫としては特殊?)、できたら触ってほしくないもの(たとえば、芝居のパンフレットとかね)を高めの場所にぽんぽん置いているんですよね。とっくに忘れていた若い男(笑)との生活のペースに慣れるまでは、長い間、絞る必要がなくなっていた知恵を絞る必要があるのかな・・・。

話をとうとつに変えますが、numeroの手の写真はインパクトがありました。ろくでなしの撮影以来の繰上さんとの仕事ですね。たった一枚の手の写真なんですけど、とりあえず立ち読みですませたの悔んだりしています。

圧巻の双龍図

2012-05-23 | Weblog
京都は何年ぶりになるのか、記憶が定かではありませんが、今回は洗面器のHさんと二人旅。限られた時間のなか、ともかく組!がらみの場所に行きたいと希望して、壬生寺を目指しました。タクシーの運転手さんに教えられた小道を進むと、まずは前川邸が見えてきました。残念ながら、週末以外は非公開ということで、門前から中をうかがっただけで、筋向いの八木邸へ。こちらは「誠」の旗はあるし、お抹茶にお菓子つきのガイドツアー?ありで、観光客に至れり尽くせり。せっかくなので、説明を拝聴し、緋毛氈の茶店でお抹茶いただいてきました。うれしかったのは、組!のポスターがまだ貼られていたこと。つくづく皆さん、若かったなあと感慨もひとしおでした。Hさんの「太郎くんもいたのよね」のひと言にしんみり。そこから5分も歩けば壬生寺。思った以上に大きなお寺で、とりあえず墓所へ。受付を通って左手に見える池には大きな金の竜が。橋を渡ったところに新選組隊士の墓碑が並び、いちばん奥まった場所に鴨さんのお墓がありました。さすがというか、墓前にお酒が供えられてありました。ガイド氏によると、文武両道に秀でた鴨の唯一の弱点が酒ということで、ゆるりと組!の鴨暗殺の場面などを思い出した壬生寺参りでした。
壬生寺からHさんお薦めの黒七味のお店のある祇園へ。おかげさまで、老舗にふさわしい店構えの名店でよい買い物ができました。お店の名前を失念したので、いま調べてみたところ、へえっという情報が――このお店、創業は元禄時代で、なんと赤穂浪士の原惣右衛門のご子息が創始されたとか。歴史が息づくというのはこういうことなのでしょうか。そこから目と鼻の先の花見小路をぶらぶら歩いていると、前方に龍の図の案内が見えてきました。山門に近づくと、そこが建仁寺。以前このブログで書いたことのある「龍をめぐる古都の旅」で紹介されていたお寺です。まずは宗達の「風神雷神図屏風」から方丈の襖絵「雲龍図」(海北友松筆、桃山時代)を拝見。複製なので撮影OKでした。この方丈には他に同じ絵師による「竹林七賢図」も。屋根?の修復中だったためにお庭をゆっくり見られなかったのが残念でした。方丈から法堂へ。お堂へ入って、高い天井を見上げたとたん息をのみました。大天井を埋め尽くした双龍図。細部がどうのこうの以前にそのスケールに圧倒されました。龍に気をとられたあまり、仏像にあまり気が回らずじまい・・・。それでも辰年に古都で龍の図を見られてよかった。このあたりで時間切れとなり京都駅へ。お世話になったHさんと別れ、帰路につきました。観劇も京都も大満足の二泊三日の旅の終了。

まだまだラギのことをゆっくり思い出したい時期に、新しい舞台の話と豊田監督の映画のマスコミ試写の情報が出て、風のように去っていきそうなラギの袖をつかんで引き戻したい心境なのですが、双龍図にからめてダブルドラゴンのことを少し。試写会の記事だけ見ると、そこまでぶっちゃけなくてもと思わないでもなかったですが、動画を見るとよい雰囲気だったので、手ごたえありなのかなと。発言内容はさほど変わらなくとも、最近はますます自由度が増してきたように思います。なんとなく、これまでの蓄積で「根拠のある」自信がついてきたのかな、などと思ったり。何も足す必要はない、今までの積み重ねを出せばいいだけだから、と撮影に臨まれた源監督とそこから生まれた「遺恨あり」。それとは対照的に、今までの演技を徹底的に否定し、追い詰めて撮影をした豊田監督。どういう作品が生みだされたのか、興味津津。それにつけても地元での上映あるんだろうか・・・。


風のように

2012-05-21 | Weblog
大阪・京都から帰ってきて、もう一週間たってしまいました。なんだか盛りだくさんの一週間で、今頃どっと遠征疲れが出ているような気がします。何から書いたらよいのかと迷いつつ、忘れないうちにだらだらと書いてみます。
5月12日の大阪は、寒かった! 天気予報をチェックして寒そうだとは思っていたのですが、大阪だから大丈夫だろうと高をくくって薄着で出かけたのが失敗でした。おそろしく暑いイメージしかなかった大阪・・・が寒いなんて、極端すぎて参りました。まあ、劇場に入ってしまうえば、なんの問題もなく、熱い舞台を堪能できたので、くりごとはここまで。
物語の内容には触れないつもりですが、うっかりネタばれする恐れもないとは言えませんので、これから観劇の方はその点、ご了承くださいませ。

ラギのことを何かの雑誌のインタビュー(numeroだったかも)で、「風のような」人物というご本人の表現がぴったりの役柄でした。さわやかな風のように若々しく颯爽として、一途に恋をして、重いものを背負って苦しんでも、前を向いて生きていく。どろどろした部分はあっても、これまでの役柄に慣れているので耐性はついているし、劇団のカラーがふんわり包み込んでくれるので、それほど深刻にはならずに胸のうちで何度も「かっこいい」と言える幸せな観劇でした。二十代から三十代への狭間の時期に、これまでの役柄の要素(それも魅力的な)があれこれ詰まった、これまでの芝居の集大成のような役柄で、しかも、これまでで最もエンターテインメント性の強い芝居にしっくり溶け込んでいたと思います。この時期にこの芝居を観られて嬉しかった。二度の観劇のうち一度は、舞い散る桜が膝に降りかかってくる席でした。桜を浴びるのは心地よかったですが、終盤に舞う、もいひとつのものは浴びるのがかなりきつかったです。あれから、中島さんがこれを書きたかったのエンディングへとつながるのは、この時期の芝居のありようとしてしっかり受け止めるべきことなのでしょうね。
生で初めて見た共演の方々。それぞれに見せ場があって素敵でした。克美さんはテレビ放映の「写楽考」を見たときに、失礼ながら舞台ではこんなに恰好よいんだと思ったことがありましたが、期待を上回る格好よさと存在感でした。古田さんは、はっきり悪だけど、舞台で見ると、足元が軽やかでつい笑ってしまうような愛嬌がある。そんなフットワークの軽さが殺陣になると抜群の切れのよさになって、お見事でした。組!の亀弥太以来、ひいきの三宅さん。高田さんの「意外性はないかもしれないけど、『待ってました!』みたいなものにはなれる・・・」(シアターガイドの克実さん、三宅さん、高田さんの対談より)というのがぴったりの役で楽しませていただきました――おまけに、ほろりともさせてもらって。高田さんもじゅんさんも「待ってました!」の役で、初めての新感線の舞台で、そういう感想もなんだかな、ですけど、でも、そうとしか言いようがない。じゅんさんはとことん愛らしい役で、最後はううっ・・・でしたが、大いに笑わせていただきました。あと有起哉さんも河野さんも中谷さんも・・・話し始めるときりがない。魅力的な役者さんたちをいっぱい見られて、とっても楽しかった。

で、千秋楽の日は、一緒に観劇したHさんと京都へ。この日は5月とはいえ、少し汗ばむほどの陽気でした。旅の続きはまた明日――長くなりそうなので。