光文社・2004.10.25
佐伯は広告代理店の部長。50歳。家族は妻ともうすぐ結婚し子供が生まれる一人娘がいる。最近、どうも物忘れが激しく、倦怠感や不眠の症状が出ていた。仕事が忙しいのが原因かとは思っていたが、うつ病かも知れないと精神科を受診した。そこで医師が告げた病名は「若年性アルツハイマー」だった。まだ50歳であり、娘の結婚が間近だ。遣り残した仕事もある。すでに自分以外に身寄りのなくなった妻も心配だ。佐伯は、だんだんと記憶を失っていくという恐怖におののきながら、毎日メモをとり、日記をつけて、忘れないように気を配っていた。妻も努力を欠かさず、よかれと思うことはすべて実行し、夫を励まし続けた。それでも佐伯の病状は進んでいく。ついに仕事でミスをし、上司に病名も知れて退職を余儀なくされ、日常生活でも次々と失態をおかしてしまう。自分はこの先、どうなっていくのだろう…どうやって生きていったらいいのだろう…
主人公とほぼ同年齢の私には、この本はとても切ない。まるで自分が同じ立場に置かれたような、そんな悲壮感が漂う中で一気に読んだ。
主人公がだんだんと記憶を失っていく過程には、胸が締め付けられた。さっき聞いたことを忘れる。よく知っている道なのに、どこにいるのか解からなくなる。お茶の入れ方も思い出せない。娘の顔は・・・ 妻の顔は・・・
恐怖心から作り始めたメモでポケットはいっぱいになり、日記の文字からだんだん漢字が消えていく。文節の終わりの部分ごとに目が潤み、ラストでは泣かされた。(04/11/26)
佐伯は広告代理店の部長。50歳。家族は妻ともうすぐ結婚し子供が生まれる一人娘がいる。最近、どうも物忘れが激しく、倦怠感や不眠の症状が出ていた。仕事が忙しいのが原因かとは思っていたが、うつ病かも知れないと精神科を受診した。そこで医師が告げた病名は「若年性アルツハイマー」だった。まだ50歳であり、娘の結婚が間近だ。遣り残した仕事もある。すでに自分以外に身寄りのなくなった妻も心配だ。佐伯は、だんだんと記憶を失っていくという恐怖におののきながら、毎日メモをとり、日記をつけて、忘れないように気を配っていた。妻も努力を欠かさず、よかれと思うことはすべて実行し、夫を励まし続けた。それでも佐伯の病状は進んでいく。ついに仕事でミスをし、上司に病名も知れて退職を余儀なくされ、日常生活でも次々と失態をおかしてしまう。自分はこの先、どうなっていくのだろう…どうやって生きていったらいいのだろう…
主人公とほぼ同年齢の私には、この本はとても切ない。まるで自分が同じ立場に置かれたような、そんな悲壮感が漂う中で一気に読んだ。
主人公がだんだんと記憶を失っていく過程には、胸が締め付けられた。さっき聞いたことを忘れる。よく知っている道なのに、どこにいるのか解からなくなる。お茶の入れ方も思い出せない。娘の顔は・・・ 妻の顔は・・・
恐怖心から作り始めたメモでポケットはいっぱいになり、日記の文字からだんだん漢字が消えていく。文節の終わりの部分ごとに目が潤み、ラストでは泣かされた。(04/11/26)