のんびり主婦のPCライフ

黒柴「ころたん」の平凡な暮らしと、
散歩と読書の記録です。

西日の町 / 湯本香樹実

2003-02-25 | 読書(~2005.09)
文藝春秋・2002.9.15

僕は両親の離婚により母親と二人で細々と暮らしていたが、そこへ母の嫌いな祖父がころがりこんでくる。頑固で周囲の人たちを翻弄していた「てこじい」を僕の母「さー」は実は理解しようと寛容でありたいと思うのだが、うまく折りあえない。祖父にも母にもそれぞれの思いがあるのに・・・ 昭和45年、僕が10歳の時期を中心に描かれていく。

親子関係というのは、いつの時代でもなかなか思うようにはいかないもの。自分がその年齢にならなければ分からないということは数多い。親子だからこそ理解し合え、また親子だからこそ許せない。もどかしいがそれも事実・・・(03/02/25)


聖(さとし)の青春 / 大崎善生

2003-02-20 | 読書(~2005.09)
講談社・2000.2.18

村山聖は幼少の頃からネフローゼという病気を背負いずっと病院での生活を余儀なくされた。しかし、その病院のベッドの上で、自分の目標を見つける。それは棋士、それも「名人」になることだった。持ち前の集中力を生かした聖は、さまざまな困難に出会いながらもどんどんと腕を上げ、森信雄に弟子入りした。森との師弟関係は二人のユニークとも思える性格上からも強い絆で結ばれていく。聖は「名人谷川」をたおすことを目標にするが、ネフローゼの再発、そして新たな病気と戦いながら強く、激しく、生きていく。実話なだけに胸に迫る一冊。

この本は作者に興味があって読んでみたのだが、将棋を知らない私でも感動を覚えながら読み終えた。実話であり、名前だけは聞いたことのある棋士も多く、将棋の世界の厳しさも胸に響く。目標のある人間は力強い。限られた命を精一杯生きる姿はとても輝いている。私もできることはきちんとしようと思う。(03/02/20)