双葉社・2003.5.20
「風紋」の続編。
母親を学校の教師に殺されてから7年の月日が流れた。高浜真裕子の父親は再婚し、姉は結婚して子供をもうけた。が、真裕子は今でも事件を風化できず、ますます心の傷は深くなっていた。その事件の犯人松永の妻だった香織は、二人の幼い子を長崎の実家に預け一人で東京で暮らし、かつての主婦の面影はない。実家に預けられた大輔と絵里は事実を知らないまま、香織が実の母親とは知らされないまま、小学5年と2年に成長していた。ある日、隣に住む従兄弟が暴行を受けて死亡した。その事件を担当した新聞記者の建部は、以前に真裕子の母の事件も担当していたことから、また香織と出会う。そして、被害者、加害者の家族がそれぞれが心に深い溝を残したままであることをリポートし、事件が関係者に与えた過酷な運命を再確認していく。
上下巻で1200ページを越す大長編だが、それを感じさせない流れだった。本編は殺人犯の息子である大輔が、小学5年生という年齢ながら中心的に描かれているが、なんともやりきれない。事実を知ることの辛さ、そして自分の未来への絶望。母を殺された真裕子よりも過酷ではないかと思ってしまう。さらに続編が期待できそうだ。(03/07/25)
「風紋」の続編。
母親を学校の教師に殺されてから7年の月日が流れた。高浜真裕子の父親は再婚し、姉は結婚して子供をもうけた。が、真裕子は今でも事件を風化できず、ますます心の傷は深くなっていた。その事件の犯人松永の妻だった香織は、二人の幼い子を長崎の実家に預け一人で東京で暮らし、かつての主婦の面影はない。実家に預けられた大輔と絵里は事実を知らないまま、香織が実の母親とは知らされないまま、小学5年と2年に成長していた。ある日、隣に住む従兄弟が暴行を受けて死亡した。その事件を担当した新聞記者の建部は、以前に真裕子の母の事件も担当していたことから、また香織と出会う。そして、被害者、加害者の家族がそれぞれが心に深い溝を残したままであることをリポートし、事件が関係者に与えた過酷な運命を再確認していく。
上下巻で1200ページを越す大長編だが、それを感じさせない流れだった。本編は殺人犯の息子である大輔が、小学5年生という年齢ながら中心的に描かれているが、なんともやりきれない。事実を知ることの辛さ、そして自分の未来への絶望。母を殺された真裕子よりも過酷ではないかと思ってしまう。さらに続編が期待できそうだ。(03/07/25)