『月島慕情』 浅田次郎 著
TOMさんからの借り本。
「読む場所、考えて読めよ~」
と一言。
これは7編からなる短編集。
大変申し訳ないのですが、最初の「月島慕情」はあまりピンっとこなくて
この勢いでいくと辛いなぁと正直思ってしまったのですが。
いや~、徐々に徐々にきましたね。
「冬の星座」がダメでした。
しかも金沢出張の電車の中で読んでて、もぉどうしよう・・・って感じでした。
隣の席のおじさんには怪しまれたんじゃないかと思います。
両親が離婚したために、遠縁の親戚の家のおばあちゃんに育てられた解剖医の雅子。
そのおばあちゃんが亡くなったという連絡が入り、お通夜へ。
教え子とのやりとり。
おばあちゃんとの思い出の回想シーン。
お通夜でお香番をしてるときに次々と焼香へ訪れるさまざまな人々。
生前「人の役に立ちたい」と言ってたおばあちゃん。
おばあちゃんの生きてた姿は直接描かれてなくても、その“生き様”みたいなものに涙がとまらなくなりました。
雅子さんもきっと同じような思いだったんじゃないかなぁ。
それで・・・
「献体をお願いしたい」
というおばあちゃんの遺言。
おばあちゃんからの最後のクリスマスプレゼント・・・
たとえ会ってなくてもずっと雅子のことを気にし続けていたおばあちゃん。
そのおばあちゃんの思いと雅子の気持ちを思うと・・・
また泣けてしまいました。
最終章の「シューシャインボーイ」も泣けました。
「人」ってやっぱり最後はその人の「生き様」なんでしょうね。
「下を向いてるのは自分だけでいい。男だったら上をめざせ」
って。
その言葉が結局、最高の贈り物で目標で人生の指針みたいで。
かっこいい男の生き様をみせられたような気がしました。
でもそこにはあったかい愛情がちゃんとあって。
最後はちょっと悲しい別れになっちゃったけど。
それも含めて「生き様」なんだろうなぁって思いました。
浅田さんの描く世界ってあとからあとからきますね~
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