『立喰師列伝』『ポセイドン』の手抜き感想文

面倒だけどスルーもしたくないので軽く感想だけ。

『立喰師列伝』（ダメ気味のまあまあ）
紙芝居に解説がついただけのハッタリ悲喜劇。
驚異的（に無駄）なテキストを誰にも理解されない（それどころか聞いてないかも）のを承知で延々と読み上げるナレーション。
それもまたハッタリである。
全部理解しようとする方がバカであり、そんな試みをする信者を押井守は「バカじゃねーの？」と思いつつ「付き合ってくれてありがとね」とねぎらうのかもしれない。
そんなこんなで、確かにところどころ笑える。
しかしところどころ笑いが寒い。
心の底から「好きな人だけどうぞ」という映画。
おれも嫌いじゃないけど感心もしない。
「人のいいお兄さん」タイプである神山健治がどんどん壊れていくのが楽しい。

『ポセイドン』（それなりにまあまあ）
最初からヒューマンドラマをやる気がない。
それ自体を拒否られたらかわいそうな映画だが、まあ嫌な人はオリジナルの方を観りゃいいわけで。
この映画の問題は、人間が描けていないことではない。
人間を描き過ぎているのだ。
ペーターゼンには、意図的に人間味を欠落させて、かつスリリングに（あるいはホラーのように）観客を巻き込む映画を作る能力がなかったのだろう。
ていうか、それはもう去年スピルバーグがやって大酷評（おれを含む一部大絶賛）されてるしな。
どう転んでも負け戦であり、案の定（評判でも商売としても）惨敗した。
「一行がずんずん先に進む、なぜなら後ろからは死が迫ってきているからであり、進むしか方法はないのだ」という狙いは案外達成されている。
でもやっぱりそれ、上下反転した豪華客船でやる意味ないし。
ひとりだけ超人なジョシュ・ルーカスのおかげでだいぶ救われている。
ペーターゼンよりバーホーベンにやって欲しかった。

業務報告
●ペーターゼンとかヤン・デ・ボンってこれからどうするんだろう・・・