憔悴報告

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FF12連載「回顧録」第14章:放浪者たちの物語

2006年05月01日 | ゲーム
【エンディング後レポートです。ネタバレ注意】

イヴァリースとは、幻の大地だ。
主人公たちも、道行く人々も、対立する者たちも、それぞれの方法で自由を追い求め、その末にこの物語はひとつの理想郷へと辿り着く。
自らの自由のために、他のすべての自由を奪い取る道を選んだ男・ヴェイン・ソリドールは散った。
そしてその背後にいた、黒幕とすら思われた存在ヴェーネスは、誰よりも自由を望み、神であることを止め、異端者となり、放浪者となり、自らの野望を果たした。
自由をもたらす英雄をプロデュースし、イヴァリースを理想郷へ導くという野望を。
プレイヤーは、ゲームの外側から幻の大地にコネクトする。

『ファイナルファンタジーXII』において、プレイヤーはどこにいたのか?
主人公と一体化していたのか?
そうでありたいという願いは、ゲームプレイヤーならば持っていて当然だろう。
が、それは現実ではない。
プレイヤーは、カメラマンのように主人公たちの後ろにいた。
後ろから主人公たちの背中を見て、操っていた人形使い、それがこのゲームのプレイヤーだ。
視点が狭い、見づらいという指摘は多く、おれだって確かにそう思う。
だけど、それは単なる不親切ではきっとない。
プレイヤーの立ち位置を常に意識させる「演出」、そう、ゲームの演出とは本来こういうものではないのだろうか?

ゲームじゃないとか『FF』じゃないとか、そういうのは本当にどうでもいいことだ。
ゲームって何?と尋ねられたら、おれは「画面とスピーカーとコントローラーを駆使して何かを表現するもの、それがゲームだ」と答えよう。
『FF』って何?と尋ねられたら、「常に変化し、実験を繰り返し、いつまで経っても完成しない青臭いゲーム」というのがおれの答えだ。
そして、『ファイナルファンタジーXII』はどんなゲームだったか?と尋ねられたらこう答える。
「ゲームの世界と一体化したいがために、自らの自由な時間をゲームに捧げたプレイヤーを、実に気持ちよく現実へ送り返してくれる、欠点だらけだけどそれ以上の凄まじい魅力を備えた傑作」と。

我々はみな、放浪者だ。
それを忘れていない限りは。
『ファイナルファンタジーXII』は、すべての放浪者へ向けられている

あとがき
●これで終わりっぽいですが、あと1、2記事書くつもりです。
まあ、補足的な内容になるとは思いますが。
●松野ファンとしてのひいきをなるべくしないように見ても、『8』以降ではズバ抜けていい
個人的には、『3』『4』『7』に匹敵するか、ある面では最高傑作かと。
●この作品の賛否両論は、おおいに歓迎すべき事態だとおれは思っている。
なぜなら、今日本のゲームって、かつて栄華を極めた日本映画が衰退し始めたときと同じような状況だと思うから。
つまり、「ゲームってこうじゃなきゃいけない」というのがあまりにも強すぎる、型にはめすぎる。
よく続編モノが批判されるけど、続編モノだからダメなんじゃなくて、型にはまった同じようなものばっかりなのがマズイわけで。
任天堂の宮本さんが「いまさらゲームを作ろうなんて思わない」と発言していたのも、そういう意図があったんだろうと思われる。
●ていうか、これを最後までやって「シナリオがダメ」っていう人の感性がおれには信じられないんですが。
●最大の弱点は、レイスウォール王墓くらいまでが事実上のチュートリアルみたいになってることかな。
チュートリアルにしても長すぎ(約10時間)だろ。
そこを過ぎないと、なんにも始まりません。
なんで、最初の10時間を大目に見られない人は、すぐやめて「駄作だ」で終わりかと。
それはそれで、別の楽しみを見つければいいかなと思いますが。
人生、やることはいっぱいあるからな。
●クリアするまで約70時間、平均レベルは50くらいでした。
おれはこの70時間、人生の無駄使いだとは思わなかったからそれで十分。
●オススメFF12レビュー
->KAY.sakゲームの館
->奇想庵
->naoyaの日記

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ゲームの演出 (Hepon)
2006-05-02 17:32:18
>ゲームの演出とは本来こういうものではないのだろうか?



の部分に強く共感。

ゲームのムービーの部分だけとりあげて

「このゲームは演出がよかった」

とか言ってる人みると「えー」って思いますもん。
返信する
ムービー (ryodda)
2006-05-06 07:56:31
ムービーとかって、小説の挿絵くらいでしかないですからね。

そうでしかないことを承知で使うならそれなりの工夫も必要でしょうし。

個人的には、FF12の高解像度ムービーは要らなかったです。

少なくとも人物画は、普段の絵で統一して欲しかった。

なめらか絵よりも、職人ドット絵の方がカッコ良く見えるんですよね。

それが、松野組クオリティ。
返信する
オンとオフの境 (たましょく)
2006-05-08 13:08:18
 TBありがとうございますm(_ _)m



 今回「FF12」をプレイしてみて

「FF11(オンライン)」で培った

システムをいかにオフラインで活かせ

るかとゆー試みがされていたよーに感

じました。



 お話自体は、主人公に活躍の場がな

いよーに感じたのですが、それを補う

意味でもパーティメンバーそれぞれの

エピソードは良かったかと。



 ムービーに関しては、何も言うこと

ないですね。FFならではのクオリティ

だと思います。家庭用でこれだけ再現

出来れば文句の言いようもないです。
返信する
たましょくさん、コメント感謝 (ryodda)
2006-05-08 13:25:14
>「FF11(オンライン)」で培った

システムをいかにオフラインで活かせ

るかとゆー試みがされていたよーに感

じました。



というのは確かにありましたね。

ただ、スタンドアローンゲームとしておもしろくなるように、という工夫が感じられて、そこがよかったかな、と。

まあ、自分はオンラインゲームはまったくやったことないんですけど。



>お話自体は、主人公に活躍の場がな

いよーに感じたのですが、



これについては、いろんなところでバッシングされてますが、ゲームとしてはごく普通のことなんじゃないかな、と。

ひと昔前、主人公が大活躍するゲームに対して「主人公がでしゃばるな!主人公はプレイヤーなんだから!」という意見が非常に多かったことを思い出したりしました。

そこはケースバイケースかな、と思います。



FF12の場合、ヴァンとパンネロというある意味「何もしない存在」がすごく大きいと思います。

彼らが物語上の「目」の役割を果たしていることに気が付かないと、本当に意味のない人物に思えてしまうかもしれませんが。
返信する
TB、コメントありがとうございます (Yin Yan)
2006-05-08 15:44:23
記事の内容が深くて、もう一度ゲームを堪能した気分になりました。ファイナルファンタジーXIIとはどんなゲームなのか?と言う部分にはとても共感しました。

ボクは単純にシームレス戦闘のテンポが好きで、今でもちょくちょく戦ったりするんですよ。アイテムをコンプしたいなあ、とか楽しみもまだまだあるので。それにヤズマット退治してないし(^^;



次回作も楽しみですね、体壊さない程度に頑張ろうと思ってます!

返信する
戦闘 (ryodda)
2006-05-09 17:26:26
コメントありがとうございます、YinYanさん。

戦闘は、たまにやったりするとそれだけで楽しいですよね。

スタンドアローンでこの臨場感を作り出したことだけでもすごいと思います。

後々、同じようなことを狙ったゲームが出てくるのかもしれませんが、これだけの感覚を作り出せるか、というのはなかなかハードルが高いでしょうね。

ただハイテンポにしても、それによって失われるものは大きいでしょうし、FF12はそのへんが絶妙だと思います。
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Unknown (都営新宿線@急行)
2006-08-09 17:47:42
都営新宿線@急行です。

空中要塞バハムートまで行きましたが、

ガブラスの2回目で必ず負けてしまいます。

ラスボスを倒せれば僕のFF12攻略レポートも

めでたく完結するのですが・・・
返信する
データ破損 (都営新宿線@急行)
2006-08-13 14:05:51
ガブラスの2回目とヴェインは勝てましたが、

ヴェイン=ノウス戦で必ず負けてしまいます。

なので、経験値稼ぎをしたあとセーブしようとしたら、

ブレーカーが落ちてセーブデータが破損・・・

ラスボスを倒せなかったのは残念です。
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