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Rock Climber 洋楽レビュー

Rock、HM/HR、Alternative、Jazz、ラーメン

ザ・バンド「ザ・バンド」 1969US

2008-07-12 18:50:06 | アメリカンロック

The Band The Band
価格:¥ 1,927(税込)
発売日:2000-08-29

The Band 「The Band」1969年US
ザ・バンド「ザ・バンド」
 
1 Across The Great Divide (02:53)
2 Rag Mama Rag (03:04)
3 Night They Drove Old Dixie Down, The (03:33)
4 When You Awake (03:13)
5 Up On Cripple Creek (04:34)
6 Whispering Pines (03:58)
7 Jemima Surrender (03:31)
8 Rockin' Chair (03:43)
9 Look Out Cleveland (03:09)
10 Jawbone (04:20)
11 Unfaithful Servant, The (04:17)
12 King Harvest (Has Surely Come) (03:39)
13 Get Up Jake (bonus track, outtake) (02:17)
 
 
リヴォン・ヘルム - ds, madolin, vo
ロビー・ロバートソン - gt
リック・ダンコ - b, gt, vo.
リチャード・マニュエル - key, vo
ガース・ハドソン - key, sax
 
忙しくてなかなか書き込めませんでした。
久々の書き込みは最近また聴いていたザ・バンドの傑作で。
 
昔、ザ・バンドの音楽に出会ったとき、まだそれほど長くはないロックの歴史にこれほどの深さを感じさせてくれる音楽があることを知り、ますますロックという音楽の幅広さ奥深さに感動し、わくわくするような気持ちで、ロックにのめりこむきっかけになったことを思い出す。 
 
反戦の歌、反体制の歌、アジテーションの歌に疲れ、ヒッピーのユートピアの夢は失望に変わりつつある時期に、古いアメリカの、南部の土臭い歌、が世界中のロックファンのハートを撃ち抜いたのは何故だろう。
 
ディランがバイク事故の後の隠遁生活の中で、まだホークスと名乗っていた後のザ・バンドのメンバーと地下室でセッションを繰り返したのは、それまでの批判の歌ではなく、その先にあるべき本来の自分たちの生きてゆく歌、だったのだろうか。
 
おそらくはディランに、自分の言葉で、オリジナルな歌を歌うこと、を学んだ彼らは、オルガンやアコーディオンなどといった楽器と南部のアーシーなフレーバーたっぷりの音を使って、自分たちの歌を歌い始めたのだと思う。
 
つまり、古い手段を使いながら、今のアメリカを生きるものとしての歌を歌ったのだろう。ニール・ヤング同様そんな役目を担った彼らがカナダ人ということはつくづく面白い。懐かしいような古くから馴染んだような音でいながら、実は誰も聴いたことのないアヴァンギャルドなオリジナルな音楽。アメリカ人ではなかったからこそ出来たアメリカ音楽の解体と再生だったのだろう。
 
地下室セッションの卵のような1stからさらに成長した本作2ndでは、完全にザ・バンドとしてのオリジナリティが確立された。まるで昔から歌い継がれてきたような歌。音楽の神が降りてきたような曲の数々。時代に求められた音楽を歌う使命をザ・バンドが与えられたかのような必然さえ感じさせるずっしりとしたアルバムである。
 
味わい深いボーカル、渋い節回し、オリジナリティに溢れた曲構成、すべてが地に足のついた全くもって正攻法のロックフレーバーに溢れていること、ロックミュージシャンとしての真っ正面からの実力に充ち満ちていること、そして歌詞も含めそられ全てが、大人のロック、とでも言えるような中身であることが、ミュージシャン受けするミュージシャン、特に英国流ブルースロックからいかに脱却するか暗中模索していた英国ロック勢、クラプトンからフリーからビートルズから挙げれば切りがないほどの、オリジナリティを求めていた世界中のロックに与えた影響は計り知れない。だれもが、これだ!と思わせれたはずだろう。20代でこの渋さと実力はやはり神が降りたとしか言いようがない。
 
ロビーロバートソンのギター、リック・ダンコのベース、リヴォン・ヘルムのドラムと土臭いボーカル、リチャード・マニュエルのピアノ、ガース・ハドソンのキーボード、それぞれが混然となって、シンプルなのに不思議な分厚さで全体としての音の厚みが生まれる。ゆっくりしたリズムの中から、揺るぎのないグルーブが生まれる。  
 
ロックの旨味が凝縮された味わい深い作品、聴きかえすたびに何かを感じさせてくれる、不朽の名作、定番です。
 

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ルー・リード「トランスフォーマー」 1972年

2008-06-14 16:24:29 | アメリカンロック

Transformer Transformer
価格:¥ 1,530(税込)
発売日:2002-10-22

LOU REED 「Transformer」1972年
ルー・リード「トランスフォーマー」
 
1. Vicious 2:57
2. Andy's Chest 3:19
3. Perfect Day 3:45
4. Hangin' 'Round 3:34
5. Walk On The Wild Side 4:14
6. Make Up 2:59
7. Satellite Of Love 3:42
8. Wagon Wheel 3:19
9. New York Telephon Conversation 1:33
10. I'm So Free 3:10
11. Goodnight Ladies 4:22
 
 
Barry DeSouza ( Drums )
Herbie Flowers ( Bass )
John Halzey ( Drums )
Klaus Voorman ( Bass )
Lou Reed ( Guitar )
Mick Ronson ( Guitar Piano )
David Bowie ( Vocals (Background) )
David Bowie、Mick Ronson ( Producer )
 
 
  
長い間、ルー・リードに関しては、「ベルリン」が最高作だと思ってきました。
若い頃は、映画仕立てのようなストーリーとルー・リードの幻想的な声が醸し出す大人の世界を渋がっていたわけですが、いい年になって改めて聞き直してみて、ゾッとしました。。なんて恐ろしいアルバムだったのかと。
 
それはおいて、ともかく、当時は流してしまっていた本作「トランスフォーマー」が、今は最高に格好良く感じられます。
歳によって、感じ方は変わると言うことですね。
どちらも傑作には違いないですが。
  
 
本作も一筋縄ではいかない大人のアルバムです。
大前提として、ルー・リードの魅力は、まずその声質だと思います。
内面から出るモノもあるでしょうが、大人の男の色気と艶を感じます。
この色気はそんじょそこらの大人にだせるもんじゃない。
  
 
ヴェルヴェッツの頃からのテーマと同じく、性倒錯者への共感、その生き様に対する同士のような感覚の歌。ボブ・ディランの影響はまぬがれない、リアリズムを徹底した唱法。同時代のヒッピームーブメントとは遠く離れた地点でのドラッグ賛美、自らの欲求に正直に向き合うところに真実の生き方があり、それが性的に倒錯していようと、都会生活の中で奇妙に歪んでいようと、いわゆる世間的なモラルに反していようとなかろうと、ありのままでいること、そのための勇気、それらをあくまでクールに、リアルに、淡々と歌うのがルー・リードのロックであり、歌詞世界だった。
 
本作はベルヴェッツ後のソロ2作目であり、当時「ジギー・スターダスト」で絶頂を迎えていたデヴィッド・ボウイとミック・ロンソンのプロデュースによって、リードのアングラでアートな暗い世界が、最高のロックンロールアルバムとして両立してしまった傑作だ。
 
ルー・リードの声は、とても男性的で、ただただクールに淡々と語られる場合と、特に次作「ベルリン」で全開になるようなストーリーテラーとなったときの、何とも言えない役者のようなロマンティックさを湛えた不思議な声、の2面が共存している。
 
しわがれていながら、あくまでも淡々とディラン調で語るように歌うその声からは、ニューヨークの夜の世界で、酸いも甘いも、モラルのはみ出し者としての天国と地獄もかみしめてきたことを想起させる、現代社会の縮図としての世界一の都市NYの夜の生活者の歌。
 
人の悲しい性と、生き様を、愛すべきものという視点でみつめつつも、あくまでもリアリズムに徹しつつ、語る知性。ディランの影響を受けつつも、ボウイの世界と相通じるヴェルヴェット・アンダーグラウンドの知性、そして知性からにじみ出る色気、とヴェヴェッツよりもロックのテイストが合わさったバランスの上で、成り立っている本作。
 

ヴェルヴェッツに連なる彼の影響の範囲は半端ではない。
自らのサガと向き合う者全てにとって、時代を超えて響く彼の不器用な、淡々とした応援歌。しみじみと、そして何よりも力強く、我々を勇気づける。

 
これ、いろんな人が歌ってます。

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ワイルドサイドを歩け

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フライング・ブリトー・ブラザース

2008-04-29 12:27:15 | アメリカンロック
The Gilded Palace of Sin/Burrito Deluxe The Gilded Palace of Sin/Burrito Deluxe
価格:¥ 1,397(税込)
発売日:2004-08-09

フライング・ブリトー・ブラザース
The Flying Burrito Brothers  
 
「The Gilded Palace Of Sin:黄金の城」1969年US
/「Burrito Deluxe:ブリトー・デラックス」1970年US
 
 
「The Gilded Palace Of Sin」
1 Christine's Tune
2 Sin City
3 Do Right Woman
4 Dark End of the Street
5 My Uncle
6 Wheels
7 Juanita
8 Hot Burrito # 1
9 Hot Burrito # 2
10 Do You Know How It Feels
11 Hippie Boy
 
 
「Burrito Deluxe」
12 Lazy Days
13 Image of Me
14 High Fashion Queen
15 If You Gotta Go
16 Man in the Fog
17 Farther Along
18 Older Guys
19 Cody, Cody
20 God's Own Singer
21 Down in the Churchyard
22 Wild Horses

 
グラム・パーソンズ(ギター、マンドリン、キーボード、ボーカル)
クリス・ヒルマン(ギター、ベース、マンドリン、ボーカル)
スニーキー・ピート・クレイノウ(ペダル・スティール・ギター、ギター)
クリス・エスリッジ(ベース、ピアノ、キーボード、ボーカル)
+バーニー・リードン(ギター)
バイロン・バーリン(バイオリン)
ジョン・コーネル(ドラムス)
サム・ゴールドスタイン(ドラムス)
エディ・ホー(ドラムス)
ポペイ・フィリップス(ドラムス)
+マイケル・クラーク(ドラムス)
ミス・パメラ(ボーカル)
 
 
フライング・ブリトー・ブラザース、グラム・パーソンズの偉大さはなんだろう。
象徴的なのはバーズのヨーロッパツアーで知り合ったストーンズやブラインドフェイスのリック・グレッチら、異国のR&B、ブルースの本質を探し求めるミュージシャンにパーソンズのファンがいたことだろうか。
 
1946年、アメリカ南部はフロリダのオレンジ農園のお金持ちの家に生まれるも父親が12歳、母親が18歳の時に自殺。ハーバード大学に入り神学を志すもドロップアウト。
  
南部で感じていたであろう人種差別を初めとする社会的な意識、ルーツミュージックとしてのカントリーへの想い、両親を不幸な形でなくした孤独の陰。そして、それら全てのパーソナリティが、純粋に濾過されたように、そのまま反映されたような声。
不器用で未完成で、時に消え入りそうで、哀切きわまりない、どこまでも悲しく青い空のような声。
アメリカの南部や西部の荒野であれば、どうひびくのか、また違った響きがあるのだろう、と想像してしまう。
 
 
いずれにしても、だれにも真似できない、オリジナリティと、胸に迫るような本質的なインパクトを持ち得てしまったパーソンズのカントリーとロックの融合、というミクスチャー。その深い深い孤独な人生そのものをかけた表現力ゆえに、カントリーロックというジャンルの創始者となりながら、だれの追随をもよせつけない孤高の存在として、彼はいまだに屹立している、ということか。
 
 
グラム・パーソンズとしては、ニューヨーク時代のインターナショナル・サブマリン・バンド期、LAに来てのバーズ期に続くFBB期に残した2枚の名盤の2in1CDで、この後にFBB解雇後のヨーロッパ旅行の後のソロ期へと至る。バーズ - FBB - ソロと時系列で、この人特有のパーソナルな深さが濃くなってゆくので、その中間的な本作は、カントリーロックとしては最も充実している、とも言えるかもしれない。 
 
 
本人達は相当”HIPだ”という意識があったかもしれないが、HIPすぎて当時は5万枚しか売れなかった。
しかし言うまでもなく、特に1stの”The Gilded Palace Of Sin”は、全く捨て曲のない傑作。
 
テーマソングのような1曲目では軽いスティール・ギターがロックとカントリーの融合をあくまでHIPな感覚できかせてしまう。退廃都市LAを歌った2曲目、有名R&Bの3,4曲目。特に4曲目は出色だ。
 
R&Bとカントリー、南部の音楽としての絡みあいの中で分かちがたい両者の音楽が、パーソンズを通して自然にとけ合っている。しかもこのR&B、作者は白人のダン・ペンというところが深い。GPという人、つくづく得体が知れない。
 
たそがれた曲の後での5も効いているし、また6、7もいい。
 
そして、ハイライトの名曲「Hot Burrito #1」。
続く#2はブラッククロウズがカヴァーしているのも素敵だ。
 
 
2ndでは元バーズのマイケル・クラーク、後にイーグルスに加入するバーニー・リードンが加わる。
ストーンズとパーソンズの交流から、2ndはロック色が強まる。
 
冒頭のバーズ時代の未発表曲"Lazy Days"が、新鮮。
バーズ時代にクラレンス・ホワイトがボーカルをとった名曲"Farther Along"、そしてなんとミック&キースがパーソンズに捧げたあ"Wild Horses"。ストーンズライクなぶっといエイト・ビートの「Older Guys」。
2stほどの緊張感、まとまりがないものの、やはり良い曲がそろっている。
 
 
ストーンズとの交流がきっかけというと聞こえが悪いが、酒と薬でリハーサルにも来なくなったあげく半ば解雇のようにFBを抜けるGP。出かけたヨーロッパ旅行で、ストーンズとの交流を深め、ストーンズは代表作となる「Let it bleed」や「Sticky Fingers」「メインストリートのならず者」でアメリカ南部音楽を自分のモノにしていく。
 

孤独なミュージシャンの魂が産み落としたカントリー・ロック。 
そして再び今の時代、ロックがパーソナルな内省的なこの時代に、GPの、ブリトーズの音が響く時代が巡ってきているということなんでしょうか。
 

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ザ・バース「ロデオの恋人」1968年US

2008-04-27 13:58:30 | アメリカンロック
Sweetheart of the Rodeo Sweetheart of the Rodeo
価格:¥ 1,409(税込)
発売日:1997-02-17

The byrds「Sweetheart Of The Rodeo」
ザ・バーズ「ロデオの恋人」1968年US
  
[A]
1.You Ain't Going Nowhere
2.I Am A Pigrim
3.The Christian Life
4.You Don't Miss You Water
5.You're Still On My Mind
6.Pretty Boy Floyd
[B]
7.Hickory Wind
8.One Hundred Years From Now
9.Blue Canadian Rockies
10.Life In Prison
11.Nothing Was Delivered

[Bonus]
12.You Got a Reputation (03:10)
13.Lazy Days (03:29)
14.Pretty Polly (02:56)
15.Christian Life [Rehearsal - Take #11] (02:58)
16.Life in Prison [Rehearsal - Take #11] (03:01)
17.You're Still on My Mind [Rehearsal - Take #43] (02:31)
18.One Hundred Years from Now [Rehearsal - Take #2] (03:23)
19.All I Have Are Memories [Instrumental] (04:47)

 
クラレンス・ホワイト(g)、クリス・ヒルマン(b)、グラム・パーソンズ(g)、ロジャー・マッギン(g)、ケヴィン・ケリー(d)
 
 
ジーン・クラークが「霧の五次元」で辞め、デビッド・クロスビーが「昨日より若く」の後の「名うてのバード兄弟」制作途中で辞め、制作後はマイク・クラークも辞め、バーズはマッギンとクリス・ヒルマンだけになってしまった。
 

この状況では、マッギンもヒルマンに押し切られても不思議じゃない。
元々ブルーグラス出身で今までのアルバムでもカントリーナンバーで良い味を出してきたクリス・ヒルマン、今まで客演でやはりブルーグラス界のクラレンス・ホワイト、そしてカントリーロックの始祖グラム・パーソンズ、完全に包囲されてます。
  
 
何と言っても1曲目の「You Ain't Going Nowhere」
ディランのカバーとしてはバーズ史上、最高ではないでしょうか。
 
そしてこのアルバムでは冒頭のこの曲とラストの「Nothing Was Delivered 」にディランとザ・バンドの「ベースメントテープ」からの曲が配されているのが一つのポイントでしょう。
 
ただのカントリーアルバムではないバーズなりのオリジナリティ。
ディランとザ・バンドが見いだそうとした自分たちのアイデンティティ探し、体制批判フォークから一歩進んだ、自分たち自身を探す旅路。アメリカのルーツ・ミュージックへの旅路、東海岸のディラン達の心に共鳴した西海岸のバーズ。
  
 
ディランとグラム・パーソンズという要素があったにしても、ふわふわした逃避的なヒッピーカルチャーや、社会を批判するフォーク、ビートルズのビートロックという異国文化に対して、腰の据わった本物の自分を見つめ直そうとしたときに、アメリカのルーツミュージック、カントリーに目が向いたとしたら、今はとても理解できる話だと思える。
  
  
で、本アルバムではバーズ風の明るいハーモニーが目一杯散りばめられたライトなカントリーロックが展開されています。
カントリーのプロの支援を得ながら、本場ナッシュビルで録音された本作。
もともとそれまでのアルバムでもカントリーナンバーが散りばめられて、良い味出してましたからなじみやすくはあったのかもしれない。

  
 
本質的なカントリーロック、というところまでは行かない内容かもしれないし、それはGPのからむこの後の活動を見ればいいとして、本作が与えたシーンへのインパクトは、かなりおおきかったはず。
 
 
本作のきっかけとも鳴ったグラム・パーソンズは、本作制作後のツアーで、南アフリカへのツアーを拒否して、脱退している。ボーカルが彼のものからマッギンに差し替えられたり、ということもあったかもしれないが、GP自身が南部の出身で、人種差別にまみれて過ごした人だと言うことは、記憶しておいても良いかもしれない。1968年といえばアパルトヘイトのアの時も、先進国では知られていない時代なのだ。。
 
さらに個人的には、パーソンズの「Hickory Wind」や「You're Still On My Mind」「One hundred years from now」にバーズらしい明るさが宿っているのが、本作のポイントのような気もします。クリス・ヒルマンも「Blue Canadian Rockies」で良い味出しています。
   
CSN&Yやポコやイーグルスだって、ストーンズだって、クラプトンだって、フリーだって、今どきのオルタナカントリーだって、どうなっていたか分からない。アメリカンロックにルーツミュージックとしてのカントリーを埋め込んだ初めの偉大な一歩、それがこのアルバム。
 
そんなことを気にしないで、ひたすら楽しく、明るく聴かせてくれるのが、本作の凄いところ。
何も気にせず聴けばいい。
なにしろカントリーロックの、これが入り口に過ぎないのだから。。。


グーグードールズ「ディジー・アップ・ザ・ガール」

2008-02-17 17:16:18 | アメリカンロック

Dizzy up the Girl Dizzy up the Girl
価格:¥ 2,127(税込)
発売日:1998-09-18
Goo Goo Dolls「Dizzy Up The Girl」1998US
グーグードールズ「ディジー・アップ・ザ・ガール」
 
 
1. Dizzy
2. Slide
3. Broadway
4. January Friend
5. Black Balloon
6. Bullet Proof
7. Amigone
8. All Eyes on Me
9. Full Forever
10. Acoustic #3
11. Iris
12. Extra Pale
13. Hate This Place
 
 
Robby Takac(Bass), Johnny Rzeznik(guitar/vocal), Mike Malinin(Drum)
 
 
即買いバンドを一つ紹介。
好きな人も多いでしょう、グー・グー・ドールズです。
 
95年の「A Boy Named Goo」が出た頃から私の周りでも、普段洋楽を聴かない人や、それ以前に洋楽を聴かなかった人、もしくは超メジャーな洋楽しか聴かない人にもかなり聴かれていましたし、彼らから洋楽を聴き始める人も多いように見受けました。「グー・グー・ドールズみたいなの他にないですか?」と何度か聴かれたこともあるくらいの人気でしたね。
 
 
ちょっとおさらいするとグー・グー・ドールズは1985年NYはバッファローで結成。ほとんど10年にわたる下積み時代はリプレイスメンツのフォロワーとして見なされる時代が続きましたが、5thの『ボーイ・ネームド・グー~グーという名の少年~』で一皮むけてブレイク。Single cutされた名曲「Name」が大ヒットし、アルバムもプラチナ(100万枚)のヒット。
   
 
ワーナーに移籍し、98年にニコラス・ケイジとメグ・ライアンの「City of angels」の挿入歌で「Iris」が又大ヒットし、一躍全国区というか世界的な人気をGet。Irisはシングルカットされていないにもかかわらず、ラジオのAirplayチャートで18週連続一位を含むロングヒットとなり、本アルバムも300万枚を超えるヒットとなりました。Iris以外にもSlide、Dizzyがヒットし、Black Balloonがグラミーにノミネートされました。
 
 
かれらのサウンドの魅力はいくつかありますが、何と言っても私が感じるのは”色気”です。艶、と行っても良いかもしれませんが、ボーカルとギターに色気があるのです。多分ボーカル兼ギターのジョン・レズニックの感性というかセンスというか美意識でしょうか、切なくて、ロマンティックで、永遠に報われない青春の痛みのような、永遠の青年性のようなものを感じます。まるで五木寛之の昔の小説かイーサン・ホークの大いなる遺産か、という感じ?!私はしばらく「Iris」が入っていたのは「city of angels」じゃなくて「大いなる遺産」の方だと勘違いしてました。両方とも良いサントラでしたね。さらに彼らはルックスも良い。というか売れてから徐々にあか抜けましたね。

 
曲自体は、リプレイスメンツかソウル・アサイラムとフーティー&ザ・ブロウフィッシュとちょっとボンジョヴィを足して3で割ったような?わりとオーソドックスなアメリカンロックなんですが、それらのどれとも違う個性があります。
 
独特のギターサウンドとボーカルが乗るだけで独自の世界が広がるので、それだけで私の琴線に完全にふれてしまうので、いつまでも聴いていられるのですが、さらに加えて曲の出来がすばらしい。無尽蔵にメロディが出てくる出てくる。今回はこのアルバムをPick upしましたし、一番ヒットし評価の高いアルバムですが、基本的にどのアルバムを聴いても私的には全くはずれはありません。ヒットしたシングル「Iris」にしたって、アルバムの中では埋もれてしまうくらい良い曲ばかりです。
 
 
社会的に言えば彼らがブレイクしたのは90年代の後半、ニルヴァーナやパールジャムが世界を席巻した頃ですが、同時にトムペティ&ハートブレイカーズやブルース・スプリングスティーン、さらにはボン・ジョヴィや先に挙げたフーティー&ザ・ブロウフィッシュまで、グランジとは正反対の保守派というかアメリカントラッドな流れは続いていて、特にフーティーズの96年のグラミー独占などはフーティーズがすばらしいのはもちろんだが、グランジの揺れ戻しとも言えるだろう。グー・グー・ドールズはそのどちらの要素も持ったバンドという点でユニークであり、ガレージパンクやグランジの世界的ブレイクを経た90年代後半以降の、新しい国民的バンド、という見方も出来るかもしれない。シンプルなギターバンドサウンドなのにどこまでもドラマティックで切なく、どこか陰を湛え、それでいて飽きがこない。あまたいる売れ線のいわゆるアメリカンロックとはひと味違います。
 
シングルヒットを出せるキャッチーさと、長く聞ける、聞く価値のある味のあるバンド、だと思っています。 
 
グー・グー・ドールズみたいなバンド、他にないですか?という質問に10数年前に何と答えたか、忘れてしまったが、どう答えても多分その人の要望は満たされないでしょう。グー・グー・ドールズから感じる要素の組み合わせのマジックは他のバンドには出せない唯一無二の味ですから。
 

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