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Beyond the Missouri Sky (Short Stories) 価格:¥ 1,940(税込) 発売日:1997-02-25 |
Pat Metheny/Charlie Haden「Beyond The Missouri Sky」1996年US
パット・メセニー/チャーリー・へイデン「ミズーリの空高く」
1. Waltz For Ruth
2. Our Spanish Love Song
3. Message To A Friend
4. Two For The Road
5. First Song
6. The Moon Is A Harsh Mistress
7. The Precious Jewel
8. He's Gone Away
9. The Moon Song
10. Tears Of Rain
11. Cinema Paradiso(Love Theme)
12. Cinema Paradiso(Main Theme)
13. Spiritual
Charlie Haden (bass)
Pat Metheny (acoustic guitars and all other instruments)
久々にジャズを紹介します。
春のドライブにぴったりな、さわやかな一枚で、ジャズファンでなくても十分楽しめます。
現代のジャズ界のもはや大御所ギタリスト、パット・メセニーと、1950年代から活躍するデュオの名人ベーシスト、チャーリー・へイデンの2人による静かな演奏です。
あまりにも心地よくて、空間的な広がりがとっても癒されます。
ギターとベースのデュオというのはとても珍しいですが、基本的にパット・メセニーの独特のスペイシーで突き抜けるように爽やかなギターが堪能できます。
かたやヘイデンの重いベースが静かに寄り添い、渋みを添えて、メセニーの音楽を引き締め、全体として非常に素敵な世界が展開されています。
パットメセニーは80年代からヒット作を連発し、キーズ・ジャレットと並ぶECMレーベルの看板スターになり、レーベルをゲフィンに変わってからもアルバムを出せばグラミー賞という常連になりました。
彼はジャズど真ん中というよりは、爽やかで軽やかなギターのフュージョン、というカテゴリで、サックスでいえばデヴィッド・サンボーン的な聴きやすさで、広くファンを獲得し、ジャズのファン層を広げている方です。
並み居る聴きやすい系イージーリスニングのアーティストらとメセニーがまったく異なる点は何でしょう。
おそらくそれは作曲、アレンジ能力、バランス感覚でしょうか。そしてそれは60年代初めから始まったフリージャズ、オーネットコールマンの影響を受けているとてもジャズ的なバックグラウンドからくるものでしょう。
複雑でフリーなジャズを、彼独特の軽い爽やかな音、ディレイとコーラスを重ねたスペイシーサウンドで、ジャズというカテゴリを飛び越えて、あくまでも心地よく軽やかに、jazzらしくなく、聞かせてしまう。そこが、すごさを感じさせない爽やかな凄みでしょう。
チャーリー・へイデンはそのオーネット・コールマンのバンドに60年代初期に在籍し、名盤を生み出してきた生き証人です。ソロでも政治的なメッセージを持ったアグレッシブな作品を残してきた重鎮です。
本作ではメセニーはソロ作やトリオ作よりももっとシンプルに、伸びやかに、ゆったり静かに演奏している感じがします。
まるで同郷の2人のふるさとミズーリの大きな流れのようです。
スピリチュアルで、アコースティックで、ナチュラルです。
湿地帯の茂みの中で、ゆったり堂々とした静かな川の流れを眺めているような、時にはそのまま夕焼けがかった空へ舞い上がった雲のような。
およそジャズらしくない聴きやすさで、おそらく万人に心地よく、かついまだジャズ界フュージョン界の重鎮となったパット・メセニーのデュオ作。
春らしい爽やかな、こんな作品からジャズに、あるいはパット・メセニーのジャズギターの世界に、入ってみるのもいいかもです。
本作は98年スイングジャーナル誌選定ジャズディスク大賞銀賞、グラミー賞ジャズ・インストルメンタル部門賞も獲得しています。
"Our Spanish Love Song "
"Two for the road"