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Foreigner「Foreigner」1977年US
フォリナー「フォリナー」
[A side]
1. "Feels Like the First Time" (Jones) - 3:49
2. "Cold as Ice" (Jones, Gramm) - 3:19
3. "Starrider" (Greenwood, Jones) - 4:01
4. "Headknocker" (Gramm, Jones) - 2:58
5. "The Damage Is Done" (Jones, Gramm) - 4:15
[B side]
6. "Long, Long Way from Home" (Jones, Gramm, McDonald) - 2:53
7. "Woman Oh Woman" (Jones) - 3:49
8. "At War with the World" (Jones) - 4:18
9. "Fool for You Anyway" (Jones) - 4:15
10. "I Need You" (Gramm, Jones) - 5:09
ミック・ジョーンズ/ Guitar, Piano, Keyboard & Backing Vocal(英国出身)
エド・ガリアルディ/ Bass & Backing Vocal(米国出身)
イアン・マクドナルド/ Guitar, Keyboard, Saxophone, Flute & Backing Vocal(英国出身)
アル・グリーンウッド/ Keyboard(米国出身)
ルー・グラム/ Vocal & Percussion(米国出身)
デニス・エリオット/ Drums (英国出身)
久々のレビューは今の季節にしっくりくるフォリナーで。
フォリナーといえばJuke Box Heroのタイトルそのままにヒットの多いバンドだが、私的にはこの1stアルバムが一番好みだ。
曲でいえばやっぱり4収録のWaiting For A Girl Like Youがいちばんですけどね。
フォリナーといえば産業ロックと言われた80年代の象徴的な一連のヒットメーカーバンドの一つ、という感じでしょうが、この1stではまだ70年代の雰囲気を多分に残した憂いを含んだとても素敵なアルバムになっています。
産業ロックといえば、悪い意味でいうと、ロックの本質的な気骨やポリシーをなくして、売れ線に走った中身のないロックに興味のない層にも売れればいい耳触りだけがいい方程式にのっとった作り物の音(いいすぎ?)、ということでしょうが、すくなくとも彼らのこの1stアルバムからは、そのようなものは感じません。
たしかにやがて4枚目5枚目になった頃には売れた曲をなぞるような作風についてバンドが分裂し、当のルー・グラム自身が売れ線バラードを嫌って脱退にまで至るわけですが。
むしろ、それだけ普遍的な魅力を持った曲がかけて、普遍的に訴える力量をもったバランスのとれたバンドだった、ということです。
彼らは英国出身の3人と米国人3人を入れたバンドで、中心は歯切れの良いギターのミック・ジョーンズ。
のちのヴァン・ヘイレンの5150やビリー・ジョエルのストーム・フロント、エリック・クラプトンなどの仕事をみても、このフォリナーで果たした音楽のセンスはこの人によるところが多大です。
イアン・マクドナルドはキング・クリムゾンのオリジナルメンバーにして、フォリナーが当初からスーパーバンドと呼ばれた所以。
本作では3.Starriderやシングルカットされた6.Long, Long way from home などでいい味をだしています。
しかし何と言ってもこのバンドはルー・グラムでしょう。
この人のヴォーカルなしにこのバンドの良さは語れない。
おなじ産業ロック、あるいはアメリカン・プログレ・ハードにくくられたジャーニーやボストンなんかと比べても随分と声質が違います。
プログレッシヴロックやハードロックの発展形として、また技術の向上などもあって、スケールの大きな音のロックへと発展していたこの頃のロックに対抗するべくヴォーカルも甲高く伸びのある声のヴォーカルが多い中で、どちらかというとブルージーな憂いを含んだルー・グラムの声質は、どこかブリティッシュロックの香りを残していた、タイプとしてはポール・ロジャース的といえなくもない。それでいてアメリカでも受けるワイルドさもあり。
最高のボーカリストの一人ですね。
私はWaiting For A Girl Like Youに象徴されるような女々しく、抒情的で、引きずる男の嘆き歌、みたいなところがワイルドさの裏にあるところが琴線に触れまくりで、とてもこのバンドが好きですが、この1stあるいは2ndにはアルバムを通して、そのような雰囲気が漂いまくっています。
本作は当時は300万枚、現在まで500万枚以上を売り上げました。
のちのアルバムでは売れたことによる余裕が収録曲のからも感じられるようになりますが、この1stは全編気がみなぎっていて、このアルバムが勝負だったし、それに彼らは成功し、その後の4thの1500万枚などの栄光へ続いたわけで、実質的にはこれが出世作、と言えるでしょう。
また彼らはヒット曲の多いバンドですからベスト盤に近いライブアルバムも超お勧めです。
特に「The Best of Foreigner Live」1982年もお勧めですし、私の愛聴盤です。
飽きることなく長く長く付き合える名盤です。
"Waiting For A Girl Like You"
"Fleels like a first time"