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Rock Climber 洋楽レビュー

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ビースティ・ボーイズ

2009-01-04 21:50:00 | HIPHOP
Check Your Head Check Your Head
価格:¥ 1,126(税込)
発売日:1992-03-31

Beastie Boys 「Check Your Head」1992年US
ビースティ・ボーイズ「チェック・ユア・ヘッド」

1.Jimmy James
2.Funky Boss
3.Pass The Mic
4.Gratitude
5.Lighten Up
6.Finger Lickin' Good
7.So What'cha Want
8.Biz Vs. The Nuge, The
9.Time For Livin'
10.Something's Got To Give
11.Blue Nun, The
12.Stand Together
13.P.O.W.
14.Maestro, The
15.Groove Holmes
16.Live At P.J.'s
17.Mark On The Bus
18.Professor Booty
19.In 3's
20.Namaste
 
マイクD(マイク・ダイアモンド)
MCA(アダム・ヤウク)
アドロック(アダム・ホロヴィッツ)
 
 
ビースティ・ボーイズといえば、私的にはこのアルバムです。
一般的には1st「ライセンス・トゥ・イル」か4th「イル・コミュニケーション」かもしれないけど。
 
 
このアルバムからは、野外とかフェスティバルでやっているような開放感を感じます。
1stは今聴くとちょっと時代を感じるし、4th以降はちょっとスピーディで、この3rdの中間の感じが凄く好きです。
 
 
ロックとHIPHOPの混ざり具合の配分度合いも、生楽器に回帰し、その後の彼らの路線の基盤になったサウンドも、ちょっとラフでルースな感じも、基本ロックファンの自分にはこれが丁度心地良い。
 
 
86年と言えばRUN DMCがエアロスミスとWalk This Wayを演った年ですが、あたらしい時代にはいりつつあったHIPHOPの先端レーベルとしてリック・ルービンとラッセル・シモンズによって設立されたデフ・ジャムがパブリック・エネミー、LLクールJなどを世に送り出していたような時代でした。
 
世の中的にはマドンナやシンディ・ローパーやプリンスなどMTV的サウンド、LAメタル、ニューウェーブ、みたいな時代でした。
 
 
そんなデフ・ジャムから出たはじめの彼らは、あくまでも自然体で、日常生活の感覚で、白人がHIPHOPをやったらこうなりました、みたいな感じでした。
 
パンクもハードロックもHIPHOPも聴いてる世代が、そのまんま自然なストリート感覚で鳴らした音でした。
 
80年代中盤という多様性の時代に、格好いいなら何でもあり、好きな音をならそうぜ、というビースティ・ボーイズの姿勢は、本来的にはHIPHOPにもハードロックにもパンクにすら共通する大切な、原始的衝動のはずでした。
 
型にはまりかけて面白みの欠けていたそれぞれのジャンルの痛いところを。ビースティ・ボーイズは見事につきました。にもかかわらず、白人の坊ちゃんの遊びじゃねえ、みたいな非難や見方がかなりありました。
 
  
しかし、ロックのリスナー、HIPHOPのリスナーの聴きたい音、はまさしく、同じ感覚をもつビースティーズの音そのものでした。彼らは僕たちがまさに聴きたかった音を作ってしまった。だからこそ彼らのアルバムはバカ売れしました。
 
大きな支持を得た彼らのスタイルは、やがて3rdの本作にいたる頃には、80年代を代表するカウンターカルチャーとなってきました。
 
 
つまり先に挙げたメインストリームをいくポップスや産業ロックに対して、大人の商業的な思惑にははまらない、自由に生きる、新世代の若者の生き方そのもの、を代弁する文化的リーダー、カリスマ的な存在にまで成ってきました。
 
 
そしてビースティーズ彼ら自身も、そうした存在になっていくことを辞さず、自ら選んで行きました。
 
 
ファッションやライフスタイルなど、80年代後半以降の若者ストリート文化に与えた彼らの影響は計り知れないものがあります。 
  
   
この3rdのタイミングでは、自身のレーベル、グランドロイヤルを設立し、型にはまらないアーティストを世に送り出しました。
 
政治的な発言も増えたことは、自分達のような存在が声をあげて世の中を良い方に動かしてゆくべきだ、という自覚に基づいたものでした。
 
チベタン・フリーダム・コンサートを初めとした各種イベント、チャリティ・コンサートなどを主催し、反テロ、反イラク戦争などの活動では、ビースティーズの旗印の下に名だたる現代のアーティストが集うようになりました。
 
 
しかしどんなに大きな存在になっても、彼らがすばらしいのは、いつだって自然体、彼ら自身であろうとするところでしょう。
 
とっても肩の力が抜けていて、彼ら自身の好きなこと、心の向くままに、活動しているみたいです。
 
でも、彼らが偉大なのは、彼ら自身であり続けよう、という意志であり、行動です。
そこに妥協はないし、ある意味ではワーカホリックです。
それは並の凡人には出来る事じゃない。 
  
 
頭が良くって才能があって社会的政治的な意識も活動もできるのに、自由人でいられる、なんて理想的な大人ですね。
 
そんな彼らのルースでタイトな永遠の青春サウンド、チェック・ユア・ヘッド、名盤です。
 

"Pass the Mic"

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"Gratitude"

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"So What'cha Want"

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ジュラシック5「クオリティ・コントロール」

2008-01-03 19:33:17 | HIPHOP

Quality Control Quality Control
価格:¥ 3,808(税込)
発売日:2002-03-19
ジュラシック5「クオリティ・コントロール」
Jurassic 5「Quality Control」2000年6月US
  
1 How We Get Along (Intro)
2 "Influence, The"
3 Great Expectations
4 Quality Control (Intro)
5 Quality Control
6 Contact
7 Lausd
8 W.O.E. Is Me (World Of Entertainment)
9 Monkey Bars (Vocal)
10 Jurass Finish First
11 Contribution
12 Twelve
13 "Game, The"
14 Improvise
15 Swing Set
  
MC:Akil(アキル)、Chali 2na(チャーリーツナ)、Marc 7even(マークセヴン)、Zaakir(ザーキル)
DJ:Cut Chemist(カットケミスト)、Dj Nu-Mark(ヌーマーク)
  
ギャングスタのイメージが強い90年代の西海岸LAにあって、1990年のデビュー以来、彼らはデ・ラ・ソウルやア・トライブ・コールド・クエストなどのネイティブタン一派へのリスペクトを全面に出しつつ、その高いスキルで圧倒的な説得力とHIPHOPの枠を超えたクオリティで90年代の西海岸のアンダーグラウンドで頭角を現し、いわゆるオルタナティブ・ヒップホップの流れの核ともなった6人組。
  
彼らの魅力はニュースクールとオールドスクールの調合使いであり、MCのマイクリレーとハーモニーが実に音楽的で歌心がありつつ、ニュースクール的インテリ感、テクニカルな色があるところだろうか。ふだん今時のHIPHOPを聴かない人でも、このジュラシックなら次々に繰り出される音楽的なフローにはまってしまうでしょう。十分にロックファンや一般の洋楽ファンにまでアピールする内容でありつつ、DJ2人の極上のスキルはマニアを唸らせる圧巻ものです。
  
たとえばオールドスクールというところでビースティーボーイズなんかが好きなロックファンは是非聴いてもらいたいところ。
  
とても楽しくめまぐるしく、「フレッシュ」と形容される彼らの生き生きとした勢いのあるハネたグルーブが本アルバムでは直球でぶつけられます。
 
エンターテイメントでオールドスクールというと、ベタで子供っぽくはならないか、という不安は全く不要。ジャジーで絶妙のセンスが新しく、”今”を体現しており、大人が聴けるHIPHOPになっているわけです。 
オールドスクールを織り交ぜながらも、ハイスキルでオリジナリティに溢れた才能がはじけまくっている感じです。どれをきいても代わり映えしないそこらのHIPHOPとはオリジナリティが違う感じ。
  
2nd、3rdではその溢れる才能をあえて、新境地の開拓へ向けてきました。
2ndではより都会的なサウンドで、いわゆるオルタナな感じ全開で、1stとはまた違う魅力の傑作でした。しかし、2nd後のカット・ケミストの脱退に続き、3rdの後で解散が決まってしまった様子。あまりにハイスキルなメンバーが揃ったJ5が3枚のアルバムを出しただけでも良かったということなのか、これからのそれぞれのソロプロジェクトに注目です。
  
とにかくこの1stと2ndは聞き飽きない、傑作です。