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Rock Climber 洋楽レビュー

Rock、HM/HR、Alternative、Jazz、ラーメン

ウィルコ

2009-07-19 00:05:19 | アメリカンロック
Yankee Hotel Foxtrot Yankee Hotel Foxtrot
価格:¥ 1,940(税込)
発売日:2002-04-22

Wilco「Yankee Hotel Foxtrot」2002年US
ウィルコ「ヤンキー・ホテル・フォックストロット」
 
1. I Am Trying To Break Your Heart
2. Kamera
3. Radio Cure
4. War On War
5. Jesus, etc.
6. Ashes Of The American Flags
7. Heavy Metal Drummer
8. I'm The Man Who Loves You
9. Pot Kettle Black
10. Poor Places
11. Reservations
 
Glenn Kotche(Drums),
Jeff Tweedy(Vo,G)
John Stirratt(Bass)
Jay Bennett (G)
Jim O'Rourke(Mixing)

このアルバムによって、ウィルコは名実共にアメリカの今を代表するバンドになったといってもいいだろう。
 
かつてのREMやレディオヘッドがいた場所に、ウィルコが立っている。
いや、それとも少し違う気もする。
 
ウィルコがこんな風になるとは思っていなかった、というのが正直なところだ。
 
もともと繊細な精神性を鳴らすオルタナカントリーバンドではあったが、伝統的な音、アメリカンロック、フォークロック、カントリーロック色が強めに出ていたバンドだった。
 
それだけで十分に愛すべきバンド、優れた現代カントリーロックバンド、ではあったのだが、このアルバムによって現代性を身にまとった、オルタナティブバンドとして実力をもって時代の先頭に踊り出たのだ。
 
それも、とても静かに、とてもゆっくり穏やかに。
自分の気持ちの届く範囲を丁寧に。
  
その静けさ、穏やかさは、とても”時代”とか”社会”とか大げさな言葉は似つかわしくない。 
 
それなのに、時代は彼らなのだ。
 
それは、今までのロックのありかたとはどこか違う風景。
 
それが今なのか。 
 
少なくとも、それがウィルコだ。 
 
 
彼らの金字塔、出世作、(どちらも彼らには似合わない言葉だが、世間はそう呼ぶ)である本作。
 
まず冒頭の1曲目から、本作のインパクトが全開だ。
 
違和感のある音のコラージュ。
ガラスの破片を拾い集めているような不揃いな音が、ひとつひとつ並べられてゆくうちに、ぼそぼそとしたつぶやきともつかないボーカルのなかから、とんでもなくロックな感覚がたちこめてくる。 
 
ストーンズを感じる瞬間もある。ザ・バンド、ニール・ヤングはじめとするアメリカンロックの先輩たちはもちろん、ひとつひとつの音の破片から、とてつもなく重いロックの断片が感じられる。
 
静かな、つぶやくような、おだやかな音から、ストーンズのバリバリのロックと同質の激しさが立ち上ってくる不思議。
 
2曲目のポップさ、優れたソングライティング、それは彼らの元々の魅力であり、本作を名盤たらしめている理由は、そのことが一つ一つの音の実験的ともいえる意図や試みと両立しているところにもあるだろう。
 
3曲目の重さ、4曲目の明るい曲調、5曲目のカントリーフォークタッチの曲、6曲目の憂鬱と7曲目の軽妙、と交互にバラエティさとバランスをとり聴き手を引き込みながら、丁寧に繊細に、精神的な部分、気持ちをなぞっていく作業が続けられる。
 
ひとつひとつの音に意味と意図が込められ、全編にわたって、不穏とさえ言える緊張感が張り詰めている。とてもおだやかでゆったりした音なのに。
 
それにしてもどの曲も素晴らしいソングライティングだ。
 
本作の成功の要因として、まずジェフ・トゥイーディの作曲側の意図があって、その次に、あくまで意図する音作りの手段として、かの音響派ジム・オルークを迎えたこと、がある。
 
決してその順序が逆ではないところが大切だ。
 
特にダークな曲における音の扱いが絶妙で最高にロック。
もちろんソングライティングあってこそだが、既成の概念にとらわれないタメや音の並びに、男の哀愁と曲にこめた精神性のブルースフィーリングが漂いまくる。
 
音の使い方が、本作の特徴としての通称、いわゆる”ポストロック的”かどうかという次元は、超えている、と思っている。
 
必要な音を鳴らすために、新旧問わず、必然的な音を鳴らす、その絶対的な確信、ボキャブラリーと手段の豊かさ、その自由さ、そういったことが、本作の繊細で豊かな表現性に結実している。
 
その手段の豊かさは、たしかにありきたりのロックの常套句を超えているし、ジム・オルークの手柄ではあるだろう。
 
そして、ありきたりのロックを超えたところに、皮肉にも、伝統的なロックにこめられていた豊かで優れたロックの精神性やブルースフィーリングが、再び宿っている、と感じられるのである。 
  
伝統は革新されてこそ、引き継がれるもの。
ポストロックとよばれるものが、もっともロックらしいのなら、もはやポストロック自体がロックなのだろう。  
 
なお本作制作中に難解すぎるという評価でメジャーレーベル(リプライズ)から彼らは解雇され、インディーズのサンノッチから出した本作が、彼ら史上最高の売り上げ(50万枚)を記録したのは愉快。
 
今のアメリカを代表するバンド、Wilcoの傑作です。


オールマン・ブラザース・バンド「フィルモア・イースト・ライブ」

2009-03-15 15:59:32 | アメリカンロック
The Allman Brothers at Fillmore East The Allman Brothers at Fillmore East
価格:¥ 1,441(税込)
発売日:1997-10-14

Alman Brothers Band「At Fillmore East」1971年US
オールマン・ブラザース・バンド「フィルモア・イースト・ライブ」

[1]
1 Statesboro Blues
2 Done Somebody Wrong
3 Stormy Monday
4 You Don't Love Me
[2]
5 Hot 'Lanta
6 In Memory of Elizabeth Reed
7 Whipping Post

Duane Allman (G)
Gregg Allman (Vo, Key)
Dickie' Betts (G, Vo)
Berry Oakley (B)
Butch Trucks (Dr)
Jai Johanny Johanson (Dr)
 
 
あまりにも偉大な、ロック史上のライブアルバムを代表する名作です。
 
 
24歳で亡くなった伝説のギタリスト、デュアン・オールマン。
本作の前に、エリック・クラプトンのデレク&ザ・ドミノスの「レイラ」でクラプトンとギターの競演で名をあげ、クラプトンを大いに悩ませたことはあまりにも有名です。
 
 
いまでは当たり前のように一ジャンルをさすようになったサザン・ロック、あるいはスワンプ・ロックという言葉は、彼らから始まったといっても過言ではありません。
 
 
土臭い、泥臭い、砂けむりにむせそう、そんなアメリカンな豪快な男のロックです。
ポール・バターフィールドはシカゴでした。
彼らは南部ジョージアにとどまって、全国に南部のロックを発信したはじめてのアーティストでした。 
 
それでいてJazzyな要素を取り入れていたり、以外に綺麗だったり、こまかかったりしますね。
 
 
メンバー皆結成前に少しセッションミュージシャンの下積み経験があることも影響してるんでしょうか。
 
 
あるいはデュアン兄弟ともビートルズやストーンズなどのブリティッシュ・ビートロックを聴いて育ったこと、彼ら自身イギリス系の影響を受けている、と言っていることも、影響しているでしょう。
 
  
当然クラプトンと競演するからには、ブリティッシュのブルース・ロック勢への想いも少しはあるでしょう。
 
 
特にデュアンが亡くなった後のBrothers&Sisters以降特に、まるでおしゃれBGMとしても聞けてしまうくらい実は洗練されたブルース・ロック、でもある、というところが奥深いところです。
 
60年代後半に入ってからのブルースロック、ということも音楽性に影響はあるかもしれませんね。
  
 
しかしデュアン・オールマン、これで24歳とはつくづく驚愕。
 
まるで人生の酸いも甘いも知り尽くしたような繊細かつ豪快なプレイ。 
 
 
デュアンのギターは余韻が、空間に糸を引くようにたなびいていく、空に消えていく煙のよう。スカイ・ドッグと称されました。
 
 
オールマン・ブラザースのロックは、まるで男の美学をおとにしたよう。
 
豪快に爆走するところも、長いインプロヴィゼーションの尾を引くような引きずるような余韻も、空に高く舞い上がっていくようなギター・フレーズも、センチメンタルで強がりでいつまでも引きずるくせにちょっとナルシストなところも、仕方がねえな、と思うほど男くさくて、格好つけないありのままの感じ。 
 
アメリカンなトラック野郎みたいな彼らの風貌そのもののような音なんです。
 

弟グレッグのこれまた男臭いボーカルも魅力です。
 
 
1曲目は同郷のブルースマン、ブラインド・ウィリー・マクテルの曲、2曲目はエルモア・ジェイムスの曲。いずれもブルースをデュアンの奔放なギタープレイが堪能できます。奔放なのに絶妙にまとまっていくところが、底知れない感じで、徐々にすべてはデュアンの手中で、自由自在に操られていることに気づかされます。恐るべき天才です。
 
 
3曲目はTボーン・ウォーカーのスタンダードといってもいいスローナンバー。前半は渋いボーカル中心、中盤はギターソロ、その後オルガンソロがはさまり、再びギターソロからボーカルで最後は絡み合って終わる、メンバーそれぞれの力量の高さが安定感を生んでいます。 
 
 
4曲目はウィリー・コブスのブルース。 
ここでもギターが全開、長尺ですがアップテンポなナンバーが最高です。
 
  
LP2枚目の冒頭はインストゥルメンタル、ジャムセッションで生まれたオリジナルナンバーで、これがジャズっぽくなるところがかっこいい。ツインドラム、ツインギター、オルガンにベースとそれぞれの魅力が存分に発揮された曲です。
 
 
そしてなんといってもハイライトは5曲目、エリザベス・リードの追憶。
これもインストゥルメンタルで、ツイン・ギターのもうひとりディッキー・ベッツ作の名作。彼はデュアン亡き後のバンドをリードしてゆくことになります。
  
曲の前半はジャズっぽいというより70年代のフュージョンっぽく始まり、中盤あたりからギターとドラムの絡みが熱くなってきます。ギターソロが熱を帯びてくる5分あたりから、ただの曲ではなくなってきます。ギターソロがオルガンに交代するあたりでは既に歴史的な曲になっています。そこから8分もあるんですから堪能するには純分です。完全にもっていかれます。まったく聞き流すことはできません。ほかの曲にくらべてドラムの存在感が強く、ドライブ感があることが全体に波及して、このノリにつながっている気もしますがどうでしょう。
 
長尺の曲でもハードに攻め続け、まったくたるみがないところがオールマンです。
 
 
ラストのウィッピング・ポストはグレッグ作。定番曲ですが、前の曲のノリを引き継いで最高のプレイが展開されます。最後の3曲の流れは圧巻です。 
 
週末の天気のいい午後に、こんな音楽を流して何だかまともな気分じゃなくなる、現実世界に戻れなくなりそうな、途方もなくロックな気分になる。そんな昔の気分を久々に思い出しました。これが本物のロックですね。
  
 
この後、デュアンとBassのベリー・オークリーが3ブロックしか離れていない場所で相次いで交通事故でなくなります。バンドもやがてグレッグとその他のメンバーでバラバラになってしまいます。
 
モノクロのジャケット写真のみんなの笑顔が最高で、切ない。 
 
重厚で男の美学を詰め込んだロック音楽史上の名盤中の名盤です。 
 
”エリザベス・リードの追憶”

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リトル・フィート「セイリン・シューズ」

2009-01-14 00:31:47 | アメリカンロック
Sailin' Shoes Sailin' Shoes
価格:¥ 776(税込)
発売日:1994-09-22

Little Feat「Sailin' Shoes」1972年US
リトル・フィート「セイリン・シューズ」
 
(A)
1.Easy To Slip
2.Cold, Cold, Cold
3.Trouble
4.Tripe Face Boogie
5.Willin'
6.A Apolitical Blues
(B)
7.Sailin' Shoes
8.Teenage Nervous Breakdown
9.Got No Shadow
10.Cat Fever
11.Texas Rose Cafe

Lowell George (Slide guitar, vo)
Roy Estrada (Bass)
Bill Payne (Piano, key, vo)
Richie Hayward (dr)
 

今の耳でリトルフィートを聴くとするなら、この2ndアルバムじゃないでしょうか。
 
ウィルコとかベックとか聴いてる人は、是非今再び、これ時代なんじゃないでしょうか。
  
 
彼らは、歴史に残る大名盤である次の3rd「ディキシー・チキン」からはメンバーも変わり、一気にニューオリンズ的なディープなシンコペーションのリズムがもちこまれ、枯れた大人のスワンプミュージックに進化してゆくわけです。
  
 
しかし、この2ndではその前夜、本作では、青年らしいすっきりした姿がさわやかです。
ファンキーなテイストがまだ薄いために、11曲中8曲を書いたロウエル・ジョージんもさわやかな青年的ソングライティングが光ります。 
  
 
彼らが偉大である最たる特徴として、カントリー・ロック、スワンプ・ロック、ブルース・ロックを取り込みながらも、決してどれにも属さない、オリジナルなアメリカン・ロックを生み出していたこと、があるとおもいますが、それはこのアルバムでも十分に発揮されていると思います。
 
 
それは、実はロウエル自身が南部に行ったこともなく、LAという人工の都市で、デフォルメされたアメリカンルーツミュージックを、再構築したところから生み出された、オリジナルなアメリカン・ロックだからでしょう。
 
 
その点、カナダ出身のザ・バンドの連中、二ール・ヤングが伝統的なアメリカへの憧憬から彼らの音楽を生み出したこととも通じるものがあるかもしれません。
   
 
この2ndから歩みを共にするプロデューサーで元ハーパース・ビザールのテッド・テンプルマンを初めとする、ワーナーのいわゆるバーバンク・サウンドの人脈という力を得て、リトルフィートは、イーグルスやドゥービーブラザースやスティーリーダンに代表されるウエストコーストロックの全盛期の中で、特異な存在として歴史に名を残しました。
 
 
中でも、やはり、ロウエル・ジョージです。
 
デュアン・オールマン、ライ・クーダーらと並んでスライドギターの名手として歴史に名を残すこの方、元はフランク・ザッパのマザーズ・オブ・インベンションにいましたが、本作にも収録されている代表作「Willin'」が、ドラッグのことを歌っていたためにドラッグ嫌いのザッパから追い出され、同じマザーズのベーシスト、ロイ・エストラーダ、そしてドラムのリッチー・ヘイワード、キーボードのビル・ペインと1969年リトル・フィートを結成します。
 
もっともザッパも、このWillin'を聴いて、グループに居させるよりも自分のグループを作ったほうがいい、といったあたりさすがです。 
  
 
本作は、全体的に、2009年の今、とても新鮮に聞こえます。
 
今の現役のオルタナティブ・カントリー・ロックの新作だといっても、ひょっとすると違和感がないかもしれないくらいです。
 
とても混沌としていて、パンキッシュな空気すら漂っています。
 
アメリカン・ルーツな要素が、いろいろ詰め込まれているカオスな感じ、なのにスワンプやニューオリンズに偏りすぎず、まるで現代のミクスチャーそのものです。 

それでいて、さきにも述べたように青年性というか青さがあり、内省的でちょっと暗めな印象があって、そこもグランジ以降の現代のオルタナ的です。
  
ファンキーで大人な次作以降にはないテイストです。
 
 
冒頭の「Easy To Slip」はさわやかな曲です。次作の冒頭とは対照的です。
 
2曲目は強烈です。
いきなりテンポも雰囲気も変わります。
しかしボーカルが最高です。
 
太いリズムとねじれたスライドギターが絡みつき、これぞリトルフィートって感じですが、ねじりあげた挙句、リズミカルにまとめる曲構成の妙が最高なニュー・オリンズのテイストが圧巻です。
 
3曲めでいきなりバラード「Trouble」です。渋すぎます。
やはりボーカルが最高です。
落差に、完全にやられます。
リトルフィート史上でも有数の名唱でしょう。
 
 
4曲目は再びファンキーにお祭りモードです。
ファンキーに跳ね回るリズムとピアノに、ロウエルのスライドギターの高音が自由に、ほんとに自由な感じで飛び回る感じです。
同じファンキーさでも、後期には少ない奔放さです。
 
 
さて、まってました大名曲「Willin'」です。
ビル・ペインのピアノが効いています。
しかし冒頭のつぶやきのような始まりから、メロディがかぶさってくるあたり、何度聴いても鳥肌が立ちます。
 
自由自在なボーカルも素晴らしい。
 
ゲストのスニーキー・ピートのペダル・スティールも美しさをそそります。
 
彼らの代表曲のひとつであるにとどまらないウェストコースとロックを代表する一曲でしょう。
 
 
6曲目は超ディープなブルースナンバーです。ハウリン・ウルフの影響がかなり感じられますが、節回しや随所にオリジナリティが感じられます。
  
B面冒頭の7曲目は不思議なブルースです。
この一筋縄ではいかない暗さ、かなり個人的なテイストで、オリジナルな感じ、現代のオルタナに通じるな、と思うゆえんですが、いかがでしょう。
 
 
8曲めはブギ調のR&Rです。間奏でのスライドが効いています。

続く9.Got No Shadow、10.Cat Fever、はビル・ペインの作品、ゆったりしたナンバーです。

10はビル・ペインがヴォーカルをとっています。さっぱりしたニューオリンズ・テイストといったところです。やっぱりロウエルのボーカルはいいんだなと正直思ってしまいます。
 
 
ラストは、間奏で変拍子が入り、ピアノやスライドやドラムの幻想的なバトルがあったかと思えば、再び拍子をもどして終わるという不思議なナンバーで締めくくります。
  
  
3rdの「ディキシー・チキン」は聞いたことあっても2ndは聴いたことない、という人がいたら、それはとてももったいない。
 
2ndにしかない、今のロックに通じるテイストがあるとおもいます。 

そして彼らは商業的にはあまり成功しませんでしたが、レッド・ツェッペリン、エルトン・ジョン、ロリー・ギャラガーなどなどミュージシャンの中で彼らの人気は絶大な、ミュージシャンズ・ミュージシャンです。
 
そんな彼らの若さあふれるウエストコースト・ロック史上に残る傑作です。  
 

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Kings of leon

2008-12-21 18:22:15 | アメリカンロック
Only by the Night Only by the Night
価格:¥ 1,666(税込)
発売日:2008-09-23

Kings of Leon「Only by the night」2008年US
キングス・オブ・レオン「オンリー・バイ・ザ・ナイト」
 
1 Closer (03:57)
2 Crawl (04:06)
3 Sex On Fire (03:23)
4 Use Somebody (03:50)
5 Manhattan (03:24)
6 Revelry (03:21)
7 Seventeen (03:05)
8 Notion (03:00)
9 I Want You (05:07)
10 Be Somebody (03:47)
11 Cold Desert (05:34)

カレブ・フォロウィル(リード・シンガー、リズム・ギター)
ネイサン・フォロウィル(ドラムス)
ジェアド・フォロウィル(ベース)
マシュー・フォロウィル(リード・ギター)
 
  
まえに前作(3rd)をレビューしたKings of Leonの最新作、4枚目です。
   
 
いや、わかってますね、彼らは。
古いブリティッシュ・ロックだとか、ドアーズとか、重くて暗くて渋い男のロックです。
かつ、スモーキーでロマンティックでサイケです。
 
パールジャムの1stとか、The musicの1stにあった陰影とか、好きな人にはたまらないはずです。
 
声の感じがエディ・ヴェダーに似てきました。
 
それでいてやっぱアメリカンなサザンでアーシーなテイストも残してます。
 
前作まであったパッツパツの緊張感とか力の入り具合が、ほどよく良い意味でゆるんでいます。
 
 
良い感じの音のすきま感も出てきました。
 
大人の余韻を漂わせています。
 
 
特に冒頭3曲は最高です。
 
 
ところどころツアーを一緒に回ったU2っぽいところもあります。
 
4曲目とか。
 
声も土っぽさも違いますけど、スケール感とかヨシュアツリーっぽいかも。
 
まあスケール感とか1stとか2ndのテイストからは離れていっているのかもしれませんが、僕は3rd以降の感じ、好きです。
 
 
短いフレーズを繰り返しながらグルーヴを醸し出していく感じがサイケです。
 
 
しかし良い曲書きます。
 
 
ちょっと難点を言えば、全体的なアレンジ感、テイストがずっと同じ感じなので、いろんなタイプの粒ぞろいのいい曲が揃っているにもかかわらず、同じような曲にきこえてしまう、というあたりでしょうか。
 
醸し出してる雰囲気が最高なので、ずっとひたっている分にはいいんですが。
 
ヨシュアツリーでいえば、ブリット・ザ・ブルー・スカイ的なメリハリをつける曲がないかな。
 
ミドルテンポの曲が続くので。
 
 
しかし、彼らがぐんぐん成長していることが実感できる手応え十分の内容です。
 
どんどんこれからも成長して、ロッククラシックアルバムを生み出してくれそうな、私の即買いアーティストの一つです。
 
70年代ロックが好きで、最近いいのがない、って思ってる方、買って損はありません。
 
あらはあるかもしれませんが、おすすめです。
 
  
”Closer”

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”Crawl”
 

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LOVE

2008-11-30 21:51:48 | アメリカンロック
Forever Changes Forever Changes
価格:¥ 1,208(税込)
発売日:2001-02-20

LOVE「Forever Changes」1967年US
ラブ「フォーエバー・チェンジズ」
 
 
1. Alone Again Or
2. House Is Not a Motel
3. Andmoreagain
4. Daily Planet
5. Old Man
6. Red Telephone
7. Maybe the People Would Be the Times or Between Clark and Hilldale
8. Live and Let Live
9. Good Humor Man He Sees Everything Like This
10. Bummer in the Summer
11. You Set the Scene
 
 
Arthur Lee (G,Vo)
Bryan Maclean (G)
John Echols (G)
Ken Forssi (Bass)
Michael Stuart (D)
  
 
インターネットの音楽配信、映像配信が一般的になったことは、現代のアーティストの作品の傾向にも大きな影響をあたえている、と思います。
 
へんてこな個性の音楽であっても、発信する側と受け取る側が、少数でも存在すれば、成り立ってしまうから。それは80年代のような、巨大なマス市場でヒットチャートが操作される状況とは全く違う状況です。
  
 
そんな”なんでもあり”な今現在のシーンと、とても多くの共通点が見いだせるのが、70年代前半の音楽かなと思います。
 
 
既成の社会のルールからはみだすことが、自分達自身や人間らしさ、自分らしい人生をとりもどす抵抗と自主のためのアクションだ、とされた60年代後半から70年代前半という時代の状況において、やはり既存のメジャーレーベルから離れたインディーズ、伝統的な音楽性から離れて、自分達の感性を信じたオリジナリティある個性的な音楽、が数多く生まれました。
 
あやしげで、クオリティもまちまちだったりするけど、宝の山のような魅力にあふれた70年代前半の音楽。
 
そして、時代は廻り、「個性」「創造性」「抑鬱感」という要素が、現在のロックにおいて再び、ほとんどのアーティストにあてはまる重要なキーワード、まさに今求められている音楽性、といえるかと思います。
 
 
今回とりあげるLOVEは、まさにそのような個性をそなえた代表的な70年代のアーティストです。
パールジャムにドアーズからの影響が色濃く、プライマルスクリームやストーンローゼスにバーズからの影響が強いように、LOVEからの影響が強く感じられるアーティストには、80年代のネオアコースティック系、ジザメリやマイブラらシューゲイザー系、ペイルファウンテンズ、ティーンエイジ・ファンクラブなどがいます。
 
またラモーンズやザ・ダムドらパンク勢、UFOやアリス・クーパー、ラッシュらハードロック勢にもカバーされるなど幅広い支持を受けました。
 
 
本作では冒頭からアコースティックで、サイケデリックで、かつホーンセクションなどを取り入れた独特のアレンジ、どこかクールで美しい奇才アーサー・リーのボーカルがソフトロック的な雰囲気が全開です。
 
黒人っぽさが表に出てはいませんが、かといって白人アーティストの領域からも逸脱しています。
基本的にはフォークロックなところはバーズの影響はおおきいでしょうが、雰囲気は不穏で不安をかりたてるような不安定さ、全体的なサイケ感はドアーズ的です。
 
アーサー・リーはジミヘンとも交流があったようですが、2曲目のギターは最高です。アナーキーな感じがパンキッシュな一面を見せています。かと思えば3曲目のようにティム・バックリー風アコースティックナンバーで黒人ならでは?の美しいファルセットを聴かせます。
 
あまりにも完璧なヴォーカルの澄み切った透明感と伸びやかさが黒人らしいと言えばそうかもしれませんが、それ以外はほとんど言われなければ黒人とは分からない、そのあたりにはアメリカでは当初全く認められなかったジミヘンと共通する何かが心情的にあったのでしょうか。
 
ビートルズのサージェント・ペパーズに対するアメリカの回答とまで言われましたが、4曲目はちょっとそんな感じもします。
 
全体通して、アコースティックでスパニッシュなギターがジャジーで幻想的なサイケな印象をもたらしています。そういう意味ではサージェント・ペパーズというよりはリボルバーやラバーソウルの雰囲気の方が近いかもしれません。
 
10曲目ではちょっと黒人っぽいパワフルなところも聴かせています。ちょっとラップっぽい。ラストの大曲You set the sceneまで、ポップで美しく、不思議な緊張感を漂わせたアルバムは一曲も捨て曲がありません。
 
極端にツアーをしなかったこと、LAを離れることがなかったこと、作品数が少ないことなどもあって知名度はバーズやドアーズに比べて相当低いですが、本作の評価と後世への影響力は劣らないものがあります。
 
そして何よりも、今聴いてもまったく古びない美しさを保っていること、それが驚異的です。
上に挙げたドアーズ、バーズ、ティム・バックリー、ジェフ・バックリーやレディオヘッド、ソフトロック系が好きな方で、まだ本作を聴かれていない方は、ぜひ必ず聴いてみてください。今は大型レコード店やWebで手に入ります。
 
70年代のエヴァーグリーンなインディー精神が、現代にまで命を保ち続けた希有な名盤の一つです。 
 
"A house is not a motel"最近の

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"My litte red book" 

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"Alone again or"

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