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協会がW杯敗因を分析について雑感?

2006年11月09日 | 日本代表 (ジーコJAPAN)
■ 調整失敗、初戦のダメージ

日本サッカー協会の田嶋幸三専務理事(前技術委員長)は8日、ワールドカップ(W杯)ドイツ大会を総括する技術報告書について記者会見を行い、1次リーグで敗退した日本代表の敗因について「調整の失敗」「初戦を落としたダメージ」などの理由を挙げた。

(後略)

共同通信社 - 調整失敗、初戦敗戦で暗転 日本協会がW杯敗因を分析
ニュースソースを読む限り

1.「コンディション調整の失敗」
2.「初戦を落としたダメージ」


という2つの分析が大きく取り上げられています。これは回避出来なかった事なのでしょうか?!W杯後、選手達の「戦う気持ちが足りなかった」という印象を多くの方が持たれたようですが、少なくとも第1戦に関しては、そんなことはありませんでした。

◆ なぜ当時、こういう状況を協会側は見抜けなかったのか?!
協会の分析を踏まえ再考してみます。
「初戦を落としたダメージ」=「選手及び現場スタッフは、初戦が最も重要だと考えていた」からですよね。
次に「コンディション調整の失敗」=「ドイツ戦頃にピークを持っていってしまった。また、その他体調も万全でなかった。」ということですよね。こう考えると矛盾しませんか?!
つまり、最重要とする試合は、W杯第1戦(オーストラリア)であったにも関わらず、コンディションは、ドイツ戦前後にピークになっていた。コンディションと意識のピークにズレがありませんか?!これは、現場レベル(監督、コーチ、スタッフ)だけの問題でしょうか?協会側のサポート(バックアップ体制)には問題がなかったのでしょうか?!なぜ当時、こういう状況を協会側は見抜けなかったのか?!ここが問題だと思うのです。


◆ オーストラリア戦のポイントについて
ドイツW杯で試合の優先度は、一般的に考えて「オーストラリア≧クロアチア>ブラジル」です。つまり、グループリーグを突破する為には、第1と2戦で勝ち点(6~4)は、必須だった訳です。ちなみに、個人的には日本は、日程面においてオーストラリア、クロアチアより有利だったと思っています。

もう一度、第1戦を振り返って大まかなポイントを確認すれば
a)予想外の先制点によって前半の内からリードしたチームの戦い方をしなければならなかった
b)予想外に試合時間が暑く日本に有利に働くと思われた天候が、意外にも日本選手も辛かった
c)監督ジーコの選手交代の意図がピッチ上の選手に等しく伝わらず困惑していた時間に3失点

しかし、今になって考えると、その責任の全てを現場の監督に押し付けるのもどうかと思う次第です。例えば、好意的に解釈して当時監督であったジーコにすればW杯直前の合宿から本大会までのチーム(現場)のことで手一杯だったかもしれません。だったら、監督を決めた協会が(自分達の保身の為ではなく)その監督をサポート(バックアップ)するような体制を作っておくべきだったのではと思います。私はW杯後の日本代表の総括の中で、初戦に関して「危機管理不足」だと書きました。協会側は、今のオシム監督にしろ前任者のジーコにしろ現場に任せっきりな面があるような気がします。まさに、“考えて”いるのか?と思いたくなるようなことが多過ぎます。

◆ 現場のサポート体制の不足が問題では?
当然、W杯第1戦のプランは、ジーコ前監督の中にはあったはずです。しかし、プラン通り行かなかった。まさに予想外のことが起きた。上記で挙げたポイントについてもう一度考えると・・・
a)、b)に関しては、第1戦のジーコのプランと協会のサポート体制がしっかりしていれば、解決出来たはずです。つまり、この2点について客観的に判断する人がいれば良かったわけですよね?だったら、現場に近い存在でスタッフをサポートする体制を準備しておけば良かったと思う次第です。もし、この辺の事をコーチ陣が分担して行っていたのだとしたら、現場への負荷がかかりすぎです。

c)に関しては、ジーコの責任です。また、監督人事に関する、査定をする技術委員とは別部門を作るべきだと思います。


勿論、協会だけではなく、選手や選手を裏でサポートすべき人たちはベストを尽くしたのか?という“ジーコJAPAN”というチームを支える人たちの分析も必要だと思うのです。JFAの組閣みたいなのを見たら意味不明の役員が多いのですが、もし、これが本当の戦争であれば、現場は丸投げして、本国で文句を言っている政治家みたいなものです。どこぞの国みたいに(自粛)

結局、このレポートの詳細と趣旨が分からないのでなんとも言えない部分が多く、また私の知識不足かもしれませんが、どうも協会と代表の現場レベルとのコンセンサスが取れていない、また現場のサポート体制が乏しい結果だったような気がしてなりません。

■ 今後の日本サッカー界の指針について・・・

◆抽象的な分析の怖さ
そうした傾向を踏まえ、日本に求められるのは(1)守備の意識を変える(ボールを奪いに行く)(2)質、量とも技術認識を変える--の2点。失点リスクを減らすには高い位置からの守備が必要と位置付けている。さらに、待っていれば相手がミスするような甘い環境では「すきのないサッカーの追求は困難」と強調。Jリーグなど国内競技のレベルアップを求めている。

毎日新聞 - 日本のW杯敗因分析リポートを掲載 協会機関紙
これもまた実際にそのリポートを読んでみないことには、こういうニュースソースだけでは、細かい判断は難しいと思うのでなんなんですが・・・全体的にいまいち分かりませんね。

(1)のボールを奪いに行くという事についても“前線からのプレス”って単純に考えれば運動量が求められるわけで、結果的にドイツW杯の時のような気象条件下でこういうプレーをした場合は、同じ轍を踏むことになると思うのです。日本人の特性のアジリティのような“走る”部分に着眼をし過ぎて基本のオンザボールの重要性を失いそうで怖いです。また、必ずしも前からボールを奪うことだけが守備ではないということも付け加えておきます。

(2)の“質、量ともに技術意識を変える”というのも抽象的な感じがします。
例えば、攻撃の選手(FW等)がシュートを打たない状況の意識を変える事でしょうか?そして、それに伴う技術も含めてってことであれば分からないでもないですけど・・・

どうも全体的に抽象的過ぎるって思うのは、私だけでしょうか?多分、このリポートを購入したらもう少し個別具体的に記載されているのでしょうかね?


◆ 日本のスタイルは、このままでは確立されない
リポートでは日本の課題である「高さ」や「運動量」「1対1の対応力」なども改めて指摘。指導者養成やユース世代育成の場で徹底し、「数的優位での攻守、ボールと人が動く」日本のスタイル確立を目指すとしている。

時事通信社 - 敗因は調整の失敗、初戦のダメージ=サッカー協会がW杯分析
この点に関しては、いつも拝見させて頂いている『droguba ~football colum~』さんが私が読んだブログの中では唯一?!指摘されていましたが、基本的に私も同感です。
私的には。日本に必要なのは「協調」「和」よりも「個」「スペシャル」なんじゃないかなぁと思っているのですが、そういう素質を潰さないようにしてもらいたいですね。

droguba ~football colum~ - 日本協会がW杯敗因を分析 の記者会見」について分析

以前、中田英寿がW杯1年前に「残り1年は、個々の能力を上げることが重要」というような趣旨の発言をしていました。結局、これまでの日本代表は、チーム(組織)としてある程度まで出来上がると最終的には個々の能力(例えば、FWの得点力など)って、根本的な原因にぶつかってきました。個々→組織→個々まるでリピートされているようにね。

別に「チームとして戦う事」より「個々の能力」が優先されるべきという意味ではないので誤解のないように。日本の良い所は“組織として戦い方を忠実にこなす事が出来る”点だと思います。ということは、チーム戦術みたいなのは、監督・コーチが良ければ時間と共に解決することだと思うのです。あくまでもこの辺は、現場のボスの問題だと思います。


◆ 選手の育成を考える際にはトータル的なバランスを・・・
では、何が問題なのか?と言いますと、個人的には、協会であったりお上の決める事ってのは、決定した事項に意識が行き過ぎるばかりにバランスを欠いてしまうような気がするのです。事実、トレセンを作った事によりそこで鍛え上げられた若手の選手の能力は向上したようですが、一方では、画一化されてしまった感もあるなんてのを読んだこともあります。さらに昨今の教育現場のゴタゴタを見れば分かりますよね!?“ゆとりの教育”とか言って、別にゆとりを必要としない、むしろゆとりを与えるべきでない場合もあるわけで・・・

要は、選手の育成を考える際にはトータル的なバランスが大事だと思うのです。
例えば、俊輔や小野のようなテクニック志向の選手もいれば、今野、羽生のような運動量で特徴を出す選手も必要だと思うのです。ただ、現状を踏まえて、その選手育成のバランスを中長期的な視点で観て欲しいと思うのです。
現在は、オシム監督がA代表の指揮を取っているから・・・みたいな深読みをすれば、そんな方向にベクトルが向いているような気がするのです。もし仮に、オシム監督の後にライカールトが日本代表の監督になった時にオランダ人から見て「技術レベルが低い」、「ウィンガーいない」なんて言われたら、今度は、テクニック志向、ウィンガー育成になるのでしょうか?そういうことをしていたら“日本のサッカー”ってのは少なくとも私が生きている間にはお目にかかれないような気がします。



≪追伸≫
「今回のリポート本体(試合のDVD付き)は11月10日から全国の書店で一般販売される」そうです。まぁ、個人的には、こういう初物はちょっとは興味あるんですけどね(笑)ちなみに、おいくら?!あとDVDって何が映っているんでしょうかね?!・・・ていうか、Webとかで公開して欲しいと思うのは、私だけではないと思うんですけどね。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
DVDで発売 (ユウナ)
2006-11-09 23:52:22
「JFAテクニカルレポート」っていうのだと思うんですが、税込み\6,300だそうですよ…。
私からしてみれば高い!!
協会の会見では誰でも想像出来そうな敗因を小出しにして「詳細はDVD」って事で、購買意欲を高めようとしているのでしょうか?^^;
なんでDVDなの?何が映ってるの? …確かに気にはなります(笑)
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コメントのお返事 (コージ)
2006-11-10 00:28:57
ユウナさん

>>こんばんは。教えてくれてありがとうございます。
え~~!!6,300円もするんですか?!
てっきり3,000円くらいかと思っていましたが、その辺のアーティストのCDより高いじゃないですかー!(DVDか・・・)こりゃ、よっぽどのことがない限り、みんな買わないな(-_-;)
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どうもです (doroguba)
2006-11-10 00:41:45
たびたびの引用ありがとうございます。私も「トータル的なバランス」が重要だと思ってます。というか、実際のところは育成はすでにクラブチーム主導であって、協会はあまり関係ないのかもって思っていたりしますが…。どうなんでしょうかね?
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コメントのお返事 (コージ)
2006-11-10 01:01:17
dorogubaさん

>>こんばんは。こちらこそ度々すいません。
育成がクラブ主導ってことであれば、各クラブの方針(カラー)がもっと反映された選手ってのが出てきて欲しいですよね。例えば、昨年の高校選手権の覇者、野洲高校みたいなテクニック志向とかね。まぁ、クラブは勝利の為の育成って部分があるので、理想と現実は違うんでしょうけどね・・・私もこの辺のバックグラウンド詳しくないんで、この辺で・・・(笑)
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UGさんのところに (るいがる)
2006-11-11 02:36:09
以前、GIFアニメの速度で要望を出した者です。GIFアニメ、大変見やすくなりました。

テクニカルリポートですが、UGさんのところで2002年版については軽く紹介していますね。参考までに。
http://soccerunderground.com/blog/archives/000771.html
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コメントのお返事 (コージ)
2006-11-11 13:07:49
るいがるさん
>>こんにちは。貴重な情報ありがとうございます。
早速、2002年度版を見ましたが・・・6,300円も出して購入するものでもなさそうな気がしました(苦笑)
あれくらいの分析ならば、色々な方もやっているのでね。

結局、下記のコラムで書いてあるように、先読みというのか先見をした方針をしないと駄目かもしれません。勿論、結果を検証・分析するのは必要ですが、それを踏まえて進むべきベクトルがサッカーの潮流に適合しているのか?って部分が重要なわけで・・・
しかし、欧州リーグを世界の潮流とするならば、日本人であることの様々なマイナス要素もあったりするわけですよね。この辺の折り合いというか、バランスをどういう風に取るか?ってのが難しいのかもしれませんね。
かなり話はそれましたが・・・(苦笑)
http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2006/11/w.html
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