■ チェコを網に掛けたイタリア |
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チェコは、この試合を引き分けでも決勝トーナメントへ進出が可能であった。しかし、「アメリカ対ガーナ」の試合ガーナが勝利すれば、チェコは決勝トーナメントへ進めない。こういう考えもあったのだろう。チェコは、試合開始早々から積極的に攻撃を仕掛けてきた。しかし、「とにかく先制したい」気持ちがチェコの歯車を大きく狂わせた。
イタリアは、やや守備的な布陣と守備的な戦い方をしていた。低い位置での網を張って、奪って速攻!イタリアの得意の形でこの試合の序盤、前掛かりになったチェコを“網に掛け続けた”
◆ 選手層の薄さが最大の問題だった
チェコは、ネドベドに象徴されるように、熱いプレーを繰り広げていた。ところがそれが裏目となり、前半のロスタイムでのポラクの退場。
前述したコラーに変わって第1戦から出場していたロクベンツ、さらに中盤の守備の要ガラセクまでもこの試合出場出来なかった。以前から言われていた、“控えの層の薄さ”が「怪我」というチームに降りかかった事件に対応しきれなかった。たった2人が変わっただけで、ポルシェが軽トラになったくらい輝きがなかった・・・
■ 監督の采配。選手交代のタイミング |
イタリアの監督リッピは、後半15分ジラルディーノに変えてインザーギを入れてきた。スピードとスペース、そして得点感覚に優れた彼を入れることによってチェコのDF陣の意識にプレッシャーを掛けた。
一方、チェコのブリュックナー監督は、10人になって後半から中盤の選手を投入した。
とにかく厳しい状態だったと思う。DF陣は、ラインをペナルティエリア前に構えゾーンで守っていた。しかし、私が一番気になったのは、DFラインと前線&中盤との“間延び”である。イタリアは、無理せず時間を掛けてボールを繋いだり、イタリアDFラインの前に仕掛けた網にチェコの攻撃を捉えると、得意のカウンターを仕掛けた。対抗するチェコだったが、ネドベド1人だけが孤軍奮闘の活躍をするだけだった。10人で戦うチェコとしては、しょうがない状況だった。
チェコの監督ブリュックナーは、「アメリカ対ガーナ」の試合状況を把握していたと思う。前半2-1でガーナは、折り返していたのだから・・・しかし、この「4-4-1」で後半30分過ぎまで試合を進めた。そして、後半33分に選手交代をして「3-4-2」と動いた。
■ ブリュックナーのシナリオ「最後の賭け」 |
1つの仮説だが、「ガーナが引き分け、そして、チェコが同点にする」このようなシナリオを頭に描いていたのかもしれない。10人でイタリアから2点を奪い逆転することは、現在のチェコ代表のコンディションを考えると不可能に近い。
しかし、1-1へ同点とするのであれば、セットプレーからでも可能である。そして何よりも10人という状況、効果的な選手交代が出来ない状況を考えると、チェコのブリュックナー監督が描いたシナリオは、「最後の賭け」だったと思う。システムを変更しても変化・効果的なプレーが出来ないチェコ。そして、どんどん費やされるスタミナ。ついに、1-0の均衡が破れた。ハーフェーライン近くまで高くなったチェコDFラインの裏へインザーギが抜けた。その瞬間に、チェコ代表のW杯も幕を閉じた・・・
≪追記≫
試合後、ユベントスのチームメイトと健闘を称え合うネドベドの姿が切なかった・・・
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