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日本代表 『W杯ドイツ大会、総括』

2006年06月23日 | 日本代表 (ジーコJAPAN)
■ サムライ、死す・・・

初めに、「サムライブルー」というキャッチフレーズ?は、初めから嫌いだった。侍は、“一刀にかける”ようなイメージがある。サッカーとは、むしろもっと“泥臭い”ものだと思っている。そして、それが面白みだと思っている。

私は、後半14分ジウベルトの3点目のゴールが決まった後から「もっとゴールを決めてくれ」、「本気でやってくれ」、「とどめを刺してくれ」・・・そう思った。そして、後半37分ブラジルに、これ以上ない屈辱を浴びた。

ブラジルは、交代枠3人の最後のカードをGKのジダに変えてGKロジェーリオ・セニを投入した。そして、この瞬間、屈辱と共に、「日本は、もう終わったんだ」と最後の引導を渡された。


悔しかった、情けなかった・・・そして、4年間築き上げたジーコJAPANが完璧に終わった瞬間だった。


 6月23日、早朝の日本では、私のように多くの国民が様々な思いを抱いただろう。そして、遠くドルトムントのグランドでは、日本側のベンチに座る選手達、そして、4年間積み重ねてきたものが、目の前のカナリヤ色のユニフォームを着た選手達に完膚なきまでに叩きのめされている選手達は、どう感じていたのだろうか・・・23人の最終メンバーに選ばれなかった選手達、そして、このチームを率いた監督ジーコは、どんな気持ちでこの光景を観ていたのだろうか・・・


他の日本代表の記事は、Bolgランキングで


■ 最後まで残った課題 「決定力」

試合後の記事日本vsブラジル 『悔しさ』で書いたが、この試合を決定したのは、前半ロスタイムでのロナウドのゴールだった。このゴールが決まった瞬間、私は、後半3-1と逆転出来るとは、微塵も思わなかった。その理由は、このロナウドのゴールこそが、王者ブラジルに、決定力不足という現実を突きつけられた瞬間だったからだ・・・

この大会、日本代表(以下、選手・国民の意味)は、「決定力不足」という、4年間、いや10年以上の課題を現実問題として、認識させられたことだろう。

第1戦のオーストラリア、同点に追いつかれた前後の采配など、そして、残り9分間での3失点。つまり、試合を決めることが出来ない事実。第2戦のクロアチア、互角の試合をしながらもゴール奪い試合を決めることが出来なかった事実。第3戦のブラジル、そして、“一縷の望み”に賭け、先制しながらも、1-0のまま後半を迎えることの出来なかった事実。
ゴールを決める力(=得点力)、勝利を引き寄せる力、そして、僅かな可能性を手にする力。これらすべては、「決定力」と言える。

94年W杯出場をかけた「ドーハの悲劇」を乗り越えて、98年W杯を掴んだ「ジョホールバルの歓喜」。日本代表は、常に「決定力」を求められてきた。それが、02年W杯予選免除・開催国でのベスト16という結果によって、この4年間すべての日本代表が幻想を見て来たのかもしれない。さらに、昨年のコンフェデレーションズカップ、ドイツとの強化試合と・・・


ここからは、今回の日本代表のドイツW杯を振り返ります
   
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■ 第1戦-危機管理不足

この試合、はっきり言ってしまえば、“危機管理不足”である。

この日の気温は、30度前後。私の友人は、「この暑さが後半になるとオーストラリア選手の体力を奪って、日本に有利に働くだろう」と予想していた。しかし、現実は、予想に反して日本の体力も消耗させた。こうなることは、事前に分かっていただろう、そこまで考えなかった監督・スタッフは“危機管理不足”だと言える。対照的にオーストラリアのヒディンク監督は違った、後半13分から選手交代を次々としてきた。

この試合、1-0とリードしながらの采配ミスも指摘に挙げられた。
私は、試合前に「リードしたケース」、「同点になったケース」、「リードされたケース」という単純に3つのケースについて、ジーコから選手達に事前に指示がなかったと思う。当時の試合後のインタビュー等から、この点を察するのは、容易なことであった。そして、TV画面からでも、同点にされた後の選手達の混乱状態が伝わってきた。

 極端な例だが、「学校や企業などで非難訓練を行わず、火災が発生して、人が亡くなったようなものだ」ジーコの采配は、“自由・自主性”という言葉で言われてきたが、ある側面では、“無計画・丸投げ”と捉えられてもおかしくない。実際、試合中の采配は、場当たり的な部分もあり、そして何よりも“強運”に恵まれてきた。
管理・決め事 =“自由・自主性”を奪うということではない。グループを統率するものは、時には“進むべき道”を示してやることも必要である。

■ 第2戦-選手達の実力

 この試合の分かれ目は、なんと言っても、後半6分「柳沢のゴールを外した瞬間」に集約されると思う。私は、クロアチアには、大会前から勝てると思っていた。実際の試合内容に関しては、ご覧になった方も多かったと思うので、割愛するが、この試合で、以前から私が感じていたあることが証明された。それは・・・

本番で、実力の100%を発揮出来ない!!

 例えるならば、「ピアノの練習を重ねてきて、それを演奏会で発揮出来ない子供」と同じと言える。日本の敏捷性、運動量、技術など、世界のサッカー関係者から評価される部分は、意外と多い。しかし、実際には100%の力のうち50~60%しか発揮出来ないのが現実だ。これもよく言われる「経験」に起因するように思われる。
 私はギターを演奏するのだが、猛練習をして曲を完璧にしたと思っても本番では、1,2つはミスをする。しかし、このミスは、練習量とライブ経験により大きなミスが小さなミスになる。つまり、本番で、実力の100%を発揮出来ない理由の一つは、練習量(質)と経験にあるのではないかと思う。

 また、機会があったら細かく書こうと思うが、日本人選手は、“プレー流れの中で、基本的な技術のミスが多い”と、以前から思っていた。基本的な技術とは、「パス・トラップ・ドリブル・シュート」この4つである。

■ 第3戦-戦う気持ち

 この試合の分岐点に関しては、前述した通り、前半ロスタイムでの失点である。玉田が得点するまで、日本は耐えていた。前半日本は、良い状態で試合を進めていた。川口が好セーブをしていたと言われているが、あれくらい川口にすれば、普通に出来るレベルだと思う。また、ブラジルは、ベストメンバーではなく、1%くらいは、「負けても痛くも痒くもない」という気持ちはあったはずである。

 玉田が試合後の会見で「あのゴールでブラジルを本気にさせちゃったかな・・・」的な内容のコメントをしていたが、ブラジルは本気になっていない。ギアを2ndから3rdへシフトチェンジしたくらいだ。本気ならば、アドリアーノなどレギュラークラスの選手を投入したはずだ。

 今大会、いや今回の日本代表には、“戦う気持ち”が欠けていると感じていた。失点したブラジルがシフトチェンジをしてかさになって掛かって来ることは分かっていたはずだ。しかし、リスクを恐れて少しずつ深くなる守備。
 この試合、余裕のロナウジーニョのへらへらした顔に初めてムカついた。「舐められている」そう選手達は感じなかったのだろうか?2点差以上付けてブラジルから勝利ももぎ取ることの難しさを実感していたのだろうか?
 この試合、ブラジル選手を“削る”タックルの一つも“潰そう”という気持ちの乗った当たりが日本にはなかった。もっとリスクを承知で後半開始から前線からプレスに行っても良かったのではないだろうか?「飛び込んだらテクニックで交わされる」そういう思いから、ずるずる後退して行く気持ちは分かる。慎重に戦っていて、結果的に前半ロスタイムまでは、0点に抑えていたのだから。しかし、後半は、試合が振り出しに戻っただけなにピッチ上の選手からは、戦う気持ちが感じられなかった。2人を除いて・・・

 皮肉にも、この2人とは、アトランタ五輪でブラジルから“勝ち点3”を挙げた、中田英寿と川口能勝だった。ドイツ入りしてから、怪我により戦線離脱した田中誠がいたら、もしかしたらこの試合、そして第1戦の結果も変わっていたかもしれない。なぜなら彼も中田、川口と同じピッチに立った男だったからだ・・・そして、もう一人、ベンチで悔しさを噛み締めてみていただろう、土肥もアトランタのメンバーだった。だが土肥は、アトランタ、そしてドイツと一度もピッチに立つことはなかった。

 誤解のないように言っておくが、私は、決して、アトランタ世代(中田、川口など)を盲目的に評価しているわけでもない。中田のチーム内での振る舞いやピッチ上のプレー等、異論がある。それに今の代表のメンバーでも加地などは、今後を期待しているし、評価している。但し、その一方で非常に失望している選手が多いのも事実である。また、私は、精神論者ではない。むしろ論理的なタイプだと思う。しかし、どうも“戦う気持ち”が失われていたと思えてしょうがない。きっと私と同じように感じていた人も少なくないであろう・・・

■ 最後に・・・

日本代表のドイツW杯は、これで終わりました。しかし同時に、次の“2010年W杯 南アフリカ大会”へ向けて、日本代表の新たな戦いが始まりました。

さっそく、次期日本代表監督候補が記事で出ていましたよ。(デシャン、オシム、ザマー、フェラーなど)ジーコ監督、そして今後の日本代表については、次期監督が決まった頃かW杯後に、改めて書こうと思っています。

また、中田英寿が“代表引退”という噂も出ています。(nakata.net繋がらないし・・・)もし、彼が今後の去就を明確にした際は、中田についての記事も書こうと思っています。

とりあえず、W杯は、終わっていません。
これからは、純粋なサッカーファンとして、W杯を楽しみたいと思います。日本代表にしか関心がなかった人は、ぜひ、決勝トーナメント意向もW杯を観るべきでしょう。久し振りに面白い大会になりそうな予感です。

それでは、最後まで、長文に付き合ってくれた方々感謝致しますm(__)m


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんわ^^ (ヤレヤレ)
2006-06-23 20:08:04
TB&コメントありがとうございました。

確かに後半37分のGK交代は屈辱ですね。これを忘れずに2010年に向かってスタートを切って欲しいと思います。
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TBありがとうございました!! (のうっち)
2006-06-23 21:49:47
予選で勝ち点を上げることの出来なかった理由は、本当に小さなことばかりなのだと思います。でも、その小さなことが積もりに積もって、今回の惨敗につながってしまったんでしょうね。

決定力不足については私のブログでも今後もう1度触れるつもりですので、良かったらまた覗きに来てくださいね!!
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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-23 22:11:28
ヤレヤレさん



>あの屈辱は、ずっと忘れないでしょう。

むしろ、もっと点を取って欲しかったです。

だけど、逆に、ボールを回される。あれも屈辱です。絶対、将来W杯でブラジルと再戦して、同じようにして欲しいです。

もちろん、私が生きているうちにですけど(笑)





のうっちさん



>そうですね。小さいことが積もり積もって・・・そう思います。技術的な面でもチーム構想としても、そして、日本サッカー界においても・・・

難しいことではないけど、コツコツ積み上げなければならないことでしょうね。
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Unknown (chi~【オンナのネットビジネス魂でGO!】)
2006-06-23 22:49:09
はじめまして、ランキングから来ました。

ド素人の私が見てても分かるくらい

ブラジルの選手はもう動きがぜんぜん違いましたね。

世界のレベルに到達するのって難しいことですね。

4年後は同じような結果にならないよう

頑張って欲しいです。

4年後はきっと世代交代しているんでしょうか?
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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-24 00:08:38
Chiさん



>はじめまして。

4年後の世代交代はしているはずです。

しかし、今のメンバーでどれくらい残っているだろうか?というと、多くて3人前後かと思います。

代表メンバーは、監督によって大きく変わるのでね・・・
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Unknown (よちおっくす)
2006-06-24 04:22:30
いい分析ですね↑
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TBありがとうございます (Ryon)
2006-06-25 00:46:44
日本代表のドイツでの戦いが終わってしまい残念です。

ジーコも選手も、楽観的に物事を進めすぎたのではないでしょうか。

ほんの少しだけ”最悪のケース”を想定しながらチーム作りをしていれば、ここまで醜い結果にはならなかったように思います。

日本の”日本らしさ”をもう少し沢山見たかったです。



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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-25 02:59:16
よちおっくすさん



>はじめまして。

お褒めの言葉、どうもありがとうございます。

但し、長過ぎます・・・自爆



Ryonさん

>“日本らしさ”・・・

正直、この4年で私は、日本らしいサッカーってなんだろうって考えています。

日本が世界と戦えるサッカーが“日本らしさ”になって欲しいです。
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監督の仕事 (サッカー人)
2006-06-25 23:55:15
とても良く書けてると思いました。危機管理はまさに同感。今回の敗退には様々な理由があると思いますが監督の仕事とは何でしょう?監督とはチームをマネジメントする立場にある人間であり、選手に自信を持たせ、選手が力を発揮させやすい環境を常日頃構\築する責任があります。結果に対する責任は辞任すれば誰でも取れます。ジーコは責任を全うしたかと問われると疑問符がつきます。丸投げしているリーダーのいるチームは間違いなく最後に破綻を迎えます。子供を指導するのとトーナメント大会を勝ち抜くのでは訳が違います。今大会の日本は明らかに戦略が欠けていました。サッカーに限らず、戦略抜きに敵を打ち負かした例を私は聞いたことがありません。闘いにおいて前線の選手に戦略を任せるのは指揮官として失格です。私は日本代表\の敗退の様々な原因の最たるは日本の戦略不足、監督の仕事の放棄と考えています。



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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-27 00:52:52
サッカー人さん



>初めまして、お褒めの言葉ありがとうございあますm(__)m

やっぱり、リスクマネージメントという部分では、田中誠の離脱、加地の怪我という事があった訳です。(忘れかけている人も多いけど・・・)

この辺は、W杯という特殊な大会では、命取りとなります。そういう意味では、田中、加地の変わりに入った坪井、駒野、茂庭は、頑張ったと思います。こういう二次的な部分にもしっかりした監督が次の監督をして欲しいって思います。

オシムって話が先行しているんですけどね・・・^^;

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