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空想科学ロケット旅行

Let's Go Swanky Street, Singing The Kids Are Alright!

北野勇作「ハグルマ」

2006-11-23 04:39:20 | Reading
内容(「BOOK」データベースより)
男がテストプレイを頼まれたゲーム。それは、とてつもなく生々しくリアルなものだった。ゲーム世界に、のめり込んでいくに従い、現実との境目がどんどん曖昧になっていく男。彼の中で、何かが徐々に狂い始めていた。時を同じくして、男の妻が怪しげな会合に参加するようになる。ゲーム、謎の団体…全てに関わる『ハグルマ』とは―。ドグラ・マグラ的狂気が炸裂する破滅的ホラー!!


★★☆☆☆


うーん、確かに迷宮ではあるけど、文庫裏の紹介文にあるような「ドグラ・マグラ」的ではないな。

読んでいる途中でちょっと眠くなってしまったのが迷宮感増幅、という思わぬ効果を発揮したものの、気持ち悪いだけで何がなんだかわからないまま終わってしまった。

むかーし、この人のデビュー作「昔、火星があった場所で」(だったかな)を呼んだときにも途中からなんだかわからなくなって読むのをやめてしまったことがあったので、どうにも相性の悪い作家さんなのかもしれないなあ。



生物と機械の中間にいるもの

2006-11-17 18:42:21 | 日々のうたかた
だいぶ昔に下記の記事を見つけて、なんともいえないゾクゾク感を味わったんだけど、

「自力で歩く生物」を創造するアーティスト

今日ひょんなことから、この素敵な人工生物?と再会した。


すっかり忘れていたので会議中にもかかわらず「おおー!」と声を上げそうになってしまったが、やっぱりとにかくスゴイ!
デスクに戻ってさっそくyoutubeで検索したら、あったあった!

その1
その2

すごいです。やっぱりゾクゾクします。他にも「Theo Jansen」で検索するといろいろ出てきます。


なんていうかなー、こう、例えば人間や動物ってもちろん思考をするところが機械とは違うわけなんだけど、腕や足が動く仕組みっていうのは骨と筋肉があって「それを動かす」っていうインプットがあるから動くわけじゃないですか。

この『海浜動物』(と作者は呼んでいる)たちも、骨があって、筋肉とはちょっと違うけど風によって発生した動力を伝える仕組みがあって、突風とインプットがあって、と、その部分だけ見たら生物とそんなに変わらないんじゃないかな。


…って、そういうことを考え出すと、もうたまらなくゾクゾクするわけです。

しかも、こいつらの歩行ときたら、はっきりいってホンダのアシモよりもなめらかに生物っぽく歩いているように思います。

クー、やっぱりたまらん! はっきり言って「萌え」ます。


-----追記-----

友人はこれをみて「美しい」と表現した。

それを聞いて何で自分がここまでゾクゾクするのかっていう理由のひとつがわかったよ。「生物みたいなのに完璧に制御された調和」ってところにものすごく惹かれるんだな。

例えば馬が走っている姿はとても美しいんだけど、その脚の一歩一歩は完全に同じ動きじゃないよね。その動きやタイミングには少しずつだけど「ゆらぎ」があって、だからこそ(ロボットじゃなくて)動物らしい動きと脳が認識するんだと思う。

ところがこの「海浜動物」たちは生き物のような動作で歩きながらも、その動作やタイミングが完璧に制御されていて狂いのない調和のもと一連の動きが繰り返されているわけで、そこに生物と機械の中間という違和感というか異化作用というか、そういうなんともいえない不可思議な美しさを脳が感じているんだなあ、と。

こんな記事も見つけて、ますますグッときているわけです。


「砂浜動物 テオ・ヤンセン / 風で歩く“生命体”を創る」



というところで思い出したんだけど、「カラクリン」って知ってますか?

↓コレ。
http://blog.livedoor.jp/toto_ya/archives/cat_195864.html

「海浜動物」とはスケールが違うけど(笑)、これはこれで楽しいんだよね。昔、某ミュージアムで展示会があったときバイトで準備を手伝ったことがあってすっかり魅了されました。



映画「マイノリティ・リポート」

2006-11-14 04:33:04 | Watching
★★☆☆☆


広告の仕事、しかもITデジタルに近いところにいるせいか、この映画の中に出てくる近未来ターゲットセグメント広告とプロダクトプレイスメントについて何度も耳にする機会があったので、先週末、研修合宿帰りの疲れた頭と体ではあったがいきおいでレンタルしてみた。

でもって、うーむ、なるほど。

たしあかにこれだけ網膜スキャンされまくったら、ヤクの売人みたいに目ン玉取っちゃいたくなるのかも。


なんてところは置いといて、映画自体は、うーん…。とにかく映像が「すごいなー」と思わせるところは満載だったけど、「おもしろいなー」と思わせるところはそんなになかったというか…。原作がディックなので決してハズレではないんだけどね。



映画「ゆれる」

2006-11-06 04:36:15 | Watching
★★★★☆


なんの予備知識もなし、たまたまネットで見つけて観に行った。

おそらく観た人の誰もが言うことであろうが、やはり役者の演技が濃厚ですごかった。オダギリジョーもいいのだが、なんといっても香川照之の演技には圧倒された。最初のほうで部屋でひとり、洗濯物を畳んでいるあたりからそれはもう、っていうくらいに。

あとこの映画で初めて知ったのだが、真木よう子という女優さん。なんだかひっそりとした色気のようなものがあってこの映画の中でなかなかに存在感を発揮していたのも記憶に残った。

映画自体はオダジョー&香川の迫真の演技をベースに進んでいき、それはそれですごかったんだけど、どうしても僕は役者の演技力云々というよりも、ストーリーや演出が何を語ろうとしているかというところに注目して映画を観てしまうタイプなので、その意味では吊り橋での出来事の何が一体全体真実なのか? というところが気になりすぎてしまったため、結果として映画が終わった時点ではなんともいえず、「うーん、あれがこうで? でもそうするとそれはどれで?」みたいな、なんとも釈然としない気持ちだった。

でも家に帰ってネットでいろんな人の感想や解釈を読んでいるうちに「ふむふむ、なるほど、そういう見方もあるか…」ということで、ますますこの映画に対する興味が沸いてきた。監督の西川美和は自分でノベライス小説も書いているので、そちらもぜひ読んでみたい。

なんにしても観終わったあとでこれだけ気になってしまうということは、僕の中のある部分がそれだけ「ゆれる」ことになってしまったんだろうな。

ちょっと重いストーリーではあるけど、個人的にはオススメですのでぜひ。