過疎化と高齢化が進む人口約2万5千の鹿児島の阿久根市。そこに年中無休24時間営業の巨大スーパー「A-Z]があります。オーナー牧尾英二氏の著書,『利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学
』の「あとがき」には,次のように綴られています。
「・・・・現代のように,拡大・効率・成果を求めれば求めるほど,こうした二極化に拍車がかかり,安心立命からほど遠くなります。このあたりで社会の舵をきり,方向を変えなければならないでしょう。自分優先から他者優先,損得よりも善悪優先,利益よりもお客様優先など,そこにはいろいろなテーマがあると思われます。・・・・」
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効率,成果を負とする考え方には,いささかの異論・反論がありますが,「自分優先から他者優先,損得よりも善悪優先,利益よりもお客様優先」の姿勢には,共感です。
流通を専門分野とするコンサルタントの端くれ,「A-Z]の店づくり・売り場づくり,そして深夜営業には,多大の疑問を持ちますが,「アンチA-Z」ではありません。創業者牧尾 英二氏の公正と社会貢献を貫く姿勢経営には共感を覚え,尊敬の念を禁じえません。
同社の経営姿勢の負の側面を指摘する前に,地域社会への功績を確認しておきます。
▼スーパー「A-Z」は,鹿児島の流通業界近代化に大きく貢献
スーパー「A-Z」店の創業で,10年遅れているといわれていた“鹿児島の流通”は,いまや,近未来における高齢化日本の採るべき流通の姿のあるべき姿を示す場とも評価されています。流通の後進地・鹿児島が全国的にも注視の場となったのは,一にも二にも,創業者牧尾氏の功績です。
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流通業界で「鹿児島の流通は10年遅れている」といわれていた理由は,次の2点にありました。
1)小売店等に並ぶ日用品や食品の品ぞろえの幅は狭く,しかも値段も高い。物にもよるが,概して関東と比べて1~1.5割高であった。
2)メーカーや問屋の立場からすると,小売側からの値引き,返品,問答無用の理不尽な商慣行が横行していた
こうしたビジネス風土は,“利益第二主義”,“損得よりも善悪優先”かかげる「牧尾イズム」,「A-Z」スーパーの出店で大幅に改善されました。
*1「効率にに関する私の考え方- HP-マニュアル批判に応える」
【この項続く--次回掲載予定 22日(日)】
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