高齢化社会の進行,デフレ経済からの脱却もままならず,意気消沈の日本。そんな状況にあって,”高齢化社会は千載一遇のチャンスととらえ戦略的に経済成長を図るべき”と説く,『ハーバードでいちばん人気の国・日本 』は,日本人を元気づけてくれる本である。
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ハーバードでいちばん人気の国・日本 (PHP新書) |
世界最高峰の学び舎がハーバード大学であることに、異論のある人はいないはず。しかし、そのハーバードでいちばん人気のある国が日本と聞いて、にわかに信じられるだろうか。 本 書では自らもMBAホルダーである著者が、ハーバード大学経営大学院の教授陣を直撃取材。その肉声から「ハーバードはなぜ日本に学ぶのか」の核心を描いた ものである。企業の卓越した戦略、日本史の教訓、じつはすごい日本人のリーダーシップまで、彼らが語る「日本の強み」は私たち自身に驚きと誇りを与えてく れるだろう。 同時にそれは、日本がこれから世界をどうリードするかを考えるヒントにもなるはずだ。 |
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PHP研究所刊 価格:864円 |
◆ 日本の社会は,世界でも類をみないほど平和で安定している。---デビッド・モス教授(David A. Moss)
「日本はとてつもない力を秘めた国です。政治システムも安定しています。経済状態が悪くなっても,暴力的な事件や,暴動が起きるわけでもありません。日本がいかに平和で安定しているかというのは,経済問題を抱える他国と比較してみればよくわかります。日本は『平和で安定した国家をつくる』という偉業に成功した 国なのです」 。 - 37ページ
◆ ハーバードで日本がいちばん人気のワケ -奇跡-
ハーバードの教材にもなったという「新幹線お掃除劇場」。そこには,欧米にはない日本社会のポテンシャルが垣間見られるとする。--冒頭で,JR東日本が 運行する新幹線(東北・上越・北陸・山形・秋田)の清掃業務を請け負う「JR東日本テクノハートTESSEI」(テッセイ)を取り上げている。--
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階級社会が色濃く残る欧米で,清掃の仕事にやる気満々で取り組んでいる人はほとんどいないといってもいいだろう。(中略)ところがテッセイの従業員は皆, 情熱をもって仕事をしている。それはお金のためというよりは,「人のために役立っているのが楽しい」と感じているからである。3K(きつい,汚い,危険) と呼ばれ,一般的には敬遠されるような職場で,やりがいをもって仕事をしている。それこそがまさに「奇跡」なのだ。 -58~59ページ
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「新幹線お掃除劇場」以外では,トヨタのすごさ,世界最古の先物市場・堂島米市場,福島第二原発を救った「チーム増田」やアベノミクスと,多くの事例を取り上げ分析・評価している。
◆ いまの日本はイノベーションを起こすチャンスだ-
「ハーバードの教授陣も手放しで日本を絶賛しているわけではない」とし,日本のポテンシャルは評価しつつも,これからの日本の「課題」として,次の3つを提示している。
1)グローバル化」
2)イノベーションの創出
3)若者と女性の活用
高齢化社会とイノベーション
いまの日本はイノベーションを起こすチャンスだ,と前向きな意見を述べるのが、ロザベス・モス・カンター教授だ。
「日本は高齢化社会ですね。高齢化社会であることはイノベーションを生み出しやすいという利点があります。高齢者が多ければ 『若い労働者が不足しているから,道路も鉄道も思うように建設できない。それならどうしようか』と考えますね。それを解決するにはイノベー
ションを起こすしかありません」
日本が高齢化社会であることを逆手にとり,どのように戦略的に経済を成長させていくのか。どんなイノベーションでこの間題を解決するのか。ハーバードの学生だけではなく欧米諸国も注目しているのだ。
- 232~238ページ
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奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇り |
日本テレビ「世界一受けたい授業」でTESSEIの取り組みが ハーバード大学で研究対象となっていると紹介され話題に! |
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あさ出版刊 1470円 |
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![]() ハーバードでいちばん人気の国・日本 [ 佐藤智恵 ]
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