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『脳の闇』中野信子著 -外食店での迷惑行為を考える上で参考となりました。-①

2023-02-13 12:24:06 | 書房

 脳科学者・中野信子さんが、自身の人生経験と脳科学にもとづいて書きおろしたとする、『脳の闇(新潮新書)』が好評で、発売1週間で大増刷ということです。私、”現代社会の病理と人の脳に備わる闇を解き明かす書”、という宣伝文に誘われて、読みました。いま世間を賑わせている外食店での客の迷惑行為を考える上で、大変参考となりました。参考となった点とその理由は、次の通りです。

▼問題の前提-外食店での客の迷惑行為と反響
 回転寿司店では、他人の注文した商品にわさびを塗ったり、しょうゆボトルをなめたり。うどん店やカレー店では、卓上に置かれた、天かす・福神漬けといった無料商品を、直接ムシャムシャと食べてしまう。カラオケボックスでは、除菌スプレーに火をつける危険行為も起きた。いずれも同伴者によって動画が撮られ、SNSに流出し炎上し、大問題となっています。
 こうした一連の迷惑行為に対して、『悪いことをしたやつを、みんなで晒上げした方がいい』という批判の一方、『やり返してこない弱い者いじめをみんなでして、正義感を満たしてるって言う感じ』、『行き過ぎた正義と他者へのバッシング』といった反発も出て、喧喧ガクガクです。 

  ┏┓
  ┗ どこが、参考になったか

 こうした迷惑行為に対する様々な意見の妥当性や正当性を考える上で、『脳の闇(新潮新書)』は、役立ちました。この本のどこが、共感したり参考になったかを、著作権侵害に留意して以下に書きとめます。詳しくは、本書を参照ください。

 ○ 正義中毒(p80)
 誰もが認める「正しさ」という空気のような何かがある。ポリティカルコレクトネス、と呼ぶ人も多いようだ。そこから逸脱した人を叩く行為が、この数年目立つようになっ た。「正しさハラスメント」とでも呼べばよいだろうか、時にはひどく息苦しく感じら れる現象でもある。「正義のためなら誰かを傷つけてもいい」一平和のためなら暴力を行使してもいい」という思考をもつ人を、私は好きになれない。

    (p81-p82)
 これだけ書くと、人間の行動を「正しい」側に持っていこうと制御する素晴らしいシステムであると捉える人が多いかもしれない。が、実際の運用上はそうなっているとも限らないのがやっかいなところだ。(中略)
 つまり、正しさを逸脱した人物に対して制裁を加えたいという欲求が生じるのだ。「正義のためなら誰かを傷つけてもいい」という、よく考えれば矛盾した思考の源泉の源泉の一つがここにあるといってよいだろう。(中略)

 「正義の味方」たちは、正義を執行する快楽に飢えていて、みんなの正義、みんなのルールが守られない事例をいつも探していて、冷静な言葉も論理的な思考もこの人たちを 止めることは難しい。遮ろうとする者に対しては、いかにそれが理性的であったとして も、むしろそれだからこそ、正義の鉄拳を寄ってたかって揮(ふる)いたがるものであるから、慎重に扱う必要があるだろう。


○糾弾は自省よりたやすい(p97-)
  本文 略--

○「不謹慎」を叩く快感(p99-100)
 ルールを破った誰かに対して制裁を加えることで、得をする人は一体誰なのかを考えてみよう。有り体に言って、制裁を加える本人ではない。むしろ、制裁を加える本人は、その制裁に対する仕返し(リベンジ)と周囲からの悪評のリスクを負わなければならないため (仮に匿名であっても特定される可能性は常に付きまとう)、客観的に見れば、制裁というのは、さほど割に合う行動ではなく、合理的な選択とは言えない。また、制裁に掛かる労力、そして時間的コストを支払う必要があるという問題もある。(以下略)
 
○民の裁きと訣別するために(p-103)
「不謹慎」=「汚染」 の検出は、人々にそれを判定する規範がなくては不可能である。ただ、規範は使われ方次第で、どんな人間でも断罪し得る、恐ろしいものともなる。(以下略)

○誰しもが陥る正義中毒(p104-)
 私はそもそも人間に一夫一婦制は向いていないという考え方なので、著名人の不倫報道に驚きもしないし、むしろ自分の意思をはっきりと世間に示すことができるのは心の健康の問題としては望ましいのではないかとすら思うのだが、世の中の大多数の人はそうではないようだ。
 こういったニュースが流れる中でよく聞かれるのが「許せない」という言葉である。
 会ったことも話したこともなく、利害関係にある相手でもないのに、よくそんなことが言えるな、と思うが、これが非合理的な人間の本質であると考えるとにわかに面白味を帯びてくる。

                                         (この稿続く 15日に掲載予定)

 

 

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