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you are my sunshine

40代でblog始めてあらもう60代。
光陰矢の如し。年が明けたらあっという間に年の暮れ。

他人のアルバム ~松尾修~

2008-04-13 | 
書店の写真集のコーナーに平積みされていたので、手に取ってみました。

ページをめくる毎に、すごく懐かしい風景に出会ったような気持ちになり、
これは絶対に九州だ、どこかでみたことある!と思ったら、
それは佐世保の風景でした。

ちなみにあとでよくみたら、
表紙に佐世保・長崎・東京って書いてありました(爆)


話は変わりますが、
幼稚園のあるママを、入園式にみた時、
このひと九州の方じゃないかな~とお顔を見てなぜだか思いました。
でもお話するようになって聞いてみると、生まれも育ちも横浜なんだとか。

そしたらつい最近、ママのお父さんは佐賀県出身だと判明。
しかもご実家はうちの実家から車で30分くらい。

その土地の血が濃いひとっているのだな~と思った出来事でした。

八日目の蝉 ~角田光代~

2007-12-15 | 
このところ忙しくしていたのですが、久しぶりに何の予定もなかったので、
娘を幼稚園に送った後、そのまま散歩に出ました。
書店にぶらりと入り、本棚を眺めていたら、
わたしはこの本を読みたかったのだと気づき、手に取ってレジへ。

そのままスタバに入り、一番奥の席で早速読み始めました。
なのに途中、涙がでそうになりあわててお店を出てしまいました。

読売新聞の夕刊に連載されていたものです。
わたしが楽しみにしていた朝日新聞夕刊の吉田修一の『悪人』とほぼ同時期に連載されていたことを後で知りました。

偶然ですが、どちらも犯罪者が主人公です。
そしてこれまた『海』が共に象徴的に描かれています。ただそのイメージする色はまったく違います。
しかも『フェリー乗り場』でどちらの主人公も、それからの人生が大きく変わってゆくのです。

話を『八日目の蝉』に戻します。
内容は2部構成になっており、
1部は不倫相手の生まれたばかりの赤ん坊を誘拐した女が、逃げ回り、そして捕まるまでを、
そして2部はその誘拐された赤ん坊が親元に戻り成人になったところからはじまります。

いいように弄び堕胎させ子供を産めない体になった自分を、
最後は捨てた憎い不倫相手の子供なのに、血のつながりなんてないのに、
女はその赤ん坊をまるで自分が産んだ子のように、宝物のように愛情いっぱいに育てます。
それは、どうか捕まらないで!逃げ切って!という気持ちになってしまうくらいです。

そしてそんな事件に巻き込まれ、3歳でまた実の親の元に戻された少女には、やりきれない現実が待っています。

『なんで自分だけがこんな目にあわなくてはいけないの!』
すべての登場人物が抱えている思い。
それが表題の『八日目の蝉』につながっている気がします。

蝉は7年間土の中にいて、生まれてきたら7日間で死んでしまう。
でも7日間で皆死んでしまうのに、自分だけ生き残った蝉がいたら、その方が悲しいよね・・・。
そう言った誘拐された娘薫に、友人千草が言います。
『それは違う、八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものが見られるのだから。見たくないと思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ』

普通にそして平凡でいいのに、なにかが狂って人並みにはいかないどうしようもない人生。
でもそれは悪いことばっかりではないのだよと励ましてくれているように思うのです。

兄弟もなく、親も亡くし、妻のある男と恋愛し裏切られ、その子供を誘拐し、親の遺産も奪われ、犯罪者になって刑務所に入り・・・すべてをなくしてしまったかのような主人公希和子。
それでも彼女が希望を持って生きていけるのは、たった4年間だけど薫と過ごした記憶があるから。

どこかに、神様はいるかのもしれない・・・ただ勇気を出して前に踏み出したものにだけに、その姿を見せてくれるのかもしれない。
そんな思いにさせる最後は希望の持てる内容でした。
わたしが今年読んだ本の中でナンバー1かな!

角田光代恐るべしです。
以前『情熱大陸』でみた彼女はごくごく普通の女性。
オーラのない作家とか言ってました。
パート先で一度だけ傍で仕事をしたことがありますが、
その時も編集の人と他愛無い話をして、ちょっと煙草も吸って、
ほんとどこにでもいそうな特に目立たない可愛らしい女性。

なのに、彼女の描く作品は、読んでいて苦しくなるくらいリアルで、
女の嫌~な感じがこれでもかぁ~ってくらい書き込まれています。
ほんとすごいとしか云いようがありません。


希和子と幼い薫を岡山から、小豆島行きのフェリー乗り場まで乗せたタクシーの運転手は、
18年後、今度は身ごもった薫と友人千草をまた同じ場所へと乗せてゆく。
こんな遊び!?もありました。





これもなかなかおもしろかったです。


ホームレス中学生

2007-11-22 | 
こちらも話題の本ですね。

実は読んでいないのですが、
わたしの心をとらえたのは、本(スマン!)よりこっちのニュース!


漫才コンビ、麒麟の田村裕(28)による貧乏自叙伝「ホームレス中学生」(ワニブックス、1365円)に映像化の依頼が殺到していることが16日、分かった。所属する吉本興業が大阪証券取引所で行われた中間決算発表の席上、明かした。

 公園で暮らし、段ボールを噛んで飢えをしのいでいたホームレス中学生を描いた同書は発売2カ月余で110万部を突破。現在、10社以上から映画化、ドラマ化の依頼が殺到しているという。

 印税の額は公表されていないが、6%前後とみられており、いまのところ、9000万円前後が田村のフトコロに入る計算。今後の増刷や映像化の原作料などを含め、極貧だった田村は、年内にも億万長者となることが確実となった。(産経ニュースより)


思わず電卓出してきて、1,365×6%=81,9、1,100,000×81,9=90,090,000
すご~!!!!

ヒマな専業主婦が一攫千金掴むには、自分の体験書いて一発ベストセラー狙いっていうのもあり!
ってかなり飛躍しすぎ、世の中そんなに甘くないよね。
別にたいした人生でもないし



でもこの前、幼稚園のお母さんたちとお茶飲んでた時、この話題を振ってみました。
ママの中に、銀座で8年働いたというひとがいて、
わぁ~、絶対おもしろいネタ持ってそう~!
うん、いろいろあったわよ~なんて話で盛り上がりました。

が、結局最後は『年末ジャンボに懸けようね!』で終わりました。
チャンチャン!

ミシュランガイド東京 2008

2007-11-21 | 
明日出版される、今一番話題の本ですね。


~3つ星は「そのために旅行する価値がある卓越した料理」、2つ星は「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」、1つ星は「そのカテゴリーで特に美味しい料理」を表す。今日発表された東京版の概要では、欧米での和食人気を裏付けるかのように、すし店を含む日本料理が5店、フランス料理3店が3つ星を獲得したという。この盛り上がりを受けて、11月19日現在、アマゾンの予約ランキングで1位を獲得・・・~


星をもらったのは8店。

そのなかのひとつ銀座ロオジエにわたしは行ったことがあるのだぁ~!(かなり自慢)

以前の日記にも書いたことがあるのですが、
雑誌『メイプル』(すでに廃刊)の創刊3周年企画で、
センスアップ講座が開催されるというのでそれに応募したら、見事当選!

銀座資生堂ビルでファッションとメイクの講座、
そして夜は憧れのロオジエを貸し切ってのワイン講座とディナーだったのですよ~!

もう言葉では言い表せないくらい(単にボキャが貧弱なだけ)素晴らしく美味しかったです。
なんというか今までの人生で食べたことがない味・・・。
ひと口食べるごとに笑いがでるというか・・・。

あまりに感動した料理だったので、しっかりそのメニューもスクラップ帳に残しました。







わたしは2001年に行ったので、シェフはジャック・ボリー氏だったのですが、
彼はすでに引退し、2005年からブルーノ・メナール氏に変わっています。
短い期間でも彼の手腕が認められ、星3つ獲得になったのでしょうね~。

ただ星は、サービスも重要視されますよね。

ワイン講座ということで、ロオジエシェフ・ソムリエの中本氏(今もいらっしゃるのか!?)がいろいろ説明してくださったのですが、
いくつかいただいたワインのなかで、特に美味しいと感じた赤があったので、
機会があればぜひ夫にも飲ませてあげたいと銘柄を教えていただいたんですね。

で、食事も終わり、お店をでようとしたら、中本さんがそっと近寄ってきて、
『今日お出ししたものです、よかったらご参考になさってください』とくださったのがこれ↓。


さりげない心遣いに、最後まで感動しっぱなしの一日でした。

『ロオジエ』にはそんないい思い出があります。
あ~また行ける日が・・・きっとこないだろうな


あの日はいったいなんだったのだろうと思うくらい、
今の普段のわたしの毎日とはかけ離れた、
まるでシンデレラにでもなったような時間だったなぁ・・・

そんなことを思い出させてくれた今回のミシュラン騒動でした。

贖罪 ~イアン・マキューアン~

2007-10-03 | 
あるブックマスターがわたしの『究極の一冊』と言い切った、

『贖罪』(イアン・マキューアン著)

さっそくネットで取り寄せ、読んでみました。


内容は

1935年夏、13歳の少女ブライオニー・タリスは休暇で帰省してくる兄とその友人を自作の劇で迎えるべく、奮闘努力を続けていた。
娘の姿を微笑ましく見守る母、一定の距離を取ろうとする姉セシーリア、使用人の息子で姉の幼なじみのロビー・ターナー、そして両親の破局が原因でタリス家にやってきた従姉弟―15歳のローラ、9歳の双子ジャクスンとピエロ―らを巻き込みながら、準備は着々と進んでいるかに見えた。
だが練習のさなか、窓辺からふと外を見やったブライオニーの目に飛び込んできたのは、白い裸身を晒す姉と、傍らに立つひとりの男の姿だった…。
いくつかの誤解、取り返しのつかぬ事件、戦争と欺瞞。
無垢な少女が狂わせてしまった生が、現代に至る無情な時間の流れの果てに、切なくももどかしい結末を呼ぶ。
ブッカー賞最終候補。
全米批評家協会賞受賞。(紀伊国屋BOOK WEBより)


重厚な作品。
三部(第一部1935年、第二部・第三部1940年第二次世界大戦のさなか)と、
エピローグ(1995年)からなっているのですが、
とにかく第一部の内容が全然頭に入ってこない。
描写がとにかくまどろっこしくて、イライラしました。
古典の名作といわれるものをほとんど読んだことのないわたしにはつらすぎ・・・。
ただ目が文字を追っているだけだったりして、途中読むのをやめたくなりました。
しか~し、それにもめげず読み進んでいくと、
ある『事件』が起こります。
そのあたりから俄然集中し始めました。

第二部・三部に入ると、文章の感じそして内容が第一部と打って変わり、
とにかくぐんぐん引き込まれてゆきます。
一気に読み進み、そして衝撃のエピローグへ。

最後のたった4ページで語られる告白に言葉を失います。
(決して後ろからめくったりしないでね!)
その後、何度前のページに戻ったことか。
すべて読み終えた後、いたる所に伏線が仕掛けられていたことに気づかされます。

こういう本にはなかなか自分ではめぐり合えないな~。


小説家を志す方(←はブックマスターが言ってました)
そして『秋の夜長、たまには長編に挑戦してみるか!』なんて思っている、
そんなあなたにおすすめの一冊です!


映画化もすでにされています。
今年のヴェネチア映画祭のオープニングを飾り、絶賛されました。
日本でも来年の公開を予定しているそうです。

          

姉のセシリアをキーラ・ナイトレイが、
使用人の息子で幼なじみのロビーをジェームス・マカヴォイが演じています。
この小説がいったいどんな風に映像化されたのかすごく興味あります。

          

キーラ・ナイトレイのこの緑のドレス。
彼女が『あの日』に選んだもの・・・。


旅する本屋でみつけました!

2007-09-28 | 
COWBOOKSがやっている『旅する本屋』が二子玉川にやってきたので、
娘とでかけてみました。

雑誌でたまにみかける移動本屋さん、どんなものかと興味がありまして。

玉川SCの裏にあるリネンバードの前で営業。
店主の松浦弥太郎さんもいらしてました。
(これ嘘でした、雑誌見たらスタッフの方と書いてありました。いつも適当でごめん!)

思ったより少ない。
それが整然と並んでいて、森茉莉、向田邦子、あとランボーの詩集とかもあったかな~。
雑誌『LEE』の撮影がはいっており、伊藤まさこさんが夕方やってくる!ということだったので、
LEEとかまさこさん好きな女性がやってくることを見越しての品揃えだったのかしら???

すでに4人くらい並んでみていたので、裏に回ったら、
伊藤まさこさんが(まだ夕方じゃないのに)いらしてて、ファンらしき女性と記念撮影!?してました。
あまりまじまじと見るのも失礼かと、一瞬目に焼き付けただけですが、
リバティ柄のピンクのワンピースにベージュのブーツを履いておられ(記憶が間違ってなければ)、
なかなか素敵でしたよ。

で、肝心の本!
雰囲気的にゆっくり探せる感じではなく、直感で『迷子の天使』を選びました。
石井桃子(うさこちゃんの訳などやってます)さんのご本で、
昭和34年に出版された初版本です。
280円(当時)が、なんと2,100円くらいに!

でもこれが読んでみたらナイスチョイスでした!
舞台は戦後の東京杉並の住宅街。
主人公の念海(ねんかい)夫人は、捨て猫を見捨てられない心優しい女性。
日々ご近所を巻き込んでいろんな問題がもちあがりますが、
彼女は誠実に対処してゆきます。

ほんとなんでもない小説なのですが、ほのぼのとしていて、
読んだ後猫とか犬とか飼ってみたくなります!
猫好き、犬好きのかたにおすすめです!

絶版でしたが、今年の3月石井さんが100歳を迎えられたのを記念して、復刻版もでたみたいです。

もう1冊は娘からこれを買って~!とせがまれて。
最近まで娘はスヌーピーは知らなかったのですが、
この夏キャンプに連れて行ってもらった時、
車の中でずっとみたのがスヌーピーのDVDだったんですね~。
だからまたスヌーピーの絵本に再会してどうしても離さなくて・・・。

これなんか2,800円もしたんですよ~!
わたしのイメージだと古本は安いんですがね~。
雑誌でとりあげられるオシャレな古本屋は、たまにわたしのようなミーハーが紛れ込み『なんとなく』買っていくことを想定しての値つけなんですかね。
向田邦子とか須賀敦子の本もあったんで、すでに同じ本を持っているわたしは、
実際いくらの値がついているのか確認してくればよかったなんてケチくさいことを考えてしまったのでした。

支払いをする時に、後ろに回ったら、本が山積みされてました。
わたしこういうなかからひっぱりだすのが好きなんです。
ティファニーのマナーブックなんかもチラッとのぞいてたな・・・。

ちょっと今回はお行儀よい場所だったんでつまらなかった。
皆さん、全然長居しないの。
チラッとみてすぐさよなら~~~って感じ。
本はゆっくりじっくり探したいわたし。

どっかまた来たら行ってみようかしら!

舞姫 - テレプシコーラ -

2007-06-24 | 
とうとう10巻大人買いしちゃいました!

あの『のだめカンタービレ』を抑えて、第11回手塚治虫文化賞を受賞した山岸涼子の長編バレエ漫画です。
山岸涼子といえば『アラベスク』 こっちも
若い頃、何回も読み返しました。

またその山岸先生のバレエ漫画『舞姫』にすっかりハマってしまいました。

母親の経営するバレエ教室で、日々練習に励む小学5年生の六花(ゆき)と6年生の姉千花(ちか)。
プロのバレリーナを目指すというのはこれほどまでに過酷なのかということを思い知らされる内容です。
太らないないようにダイエットして拒食症になったり、陰湿ないじめがあったり、
思春期の少女達の実態も生々しく描かれています。
まだの方、目を背けたくなるような描写もありますんで、心して読んでくださいませ。



              

主人公の六花(これでなんでゆきって読むの~!?)ちゃん。
いつも自信がなくて、すぐ泣いちゃうおっとりした女の子。
バレエ向きの体型ではないことや優秀な姉の存在もコンプレックスの原因。
六花ちゃんのキャラクターがアラベスクのノンナと絶対被ってる~~~!


              

バレエの実力も、成績も優秀な姉の千花ちゃん。
気弱な妹をいつも励ますしっかり者のお姉ちゃん。
コンクールで優勝し、本人はもちろん皆が将来を楽しみにしていたが、
悲劇が待ちうけている・・・。

              

六花ちゃんのクラスの転校生、空美(くみ)ちゃん。
天才的なバレエの才能を持っている。
実は伝説のプリマドンナが伯母で、幼い頃から徹底的に指導を受けている。
家庭に問題があり、また転校してゆく。
(どっか『ガラスの仮面』っぽいところも
それにしてもかなり凄みのある空美ちゃんのお顔・・・



『ダ・ヴィンチ』に連載され、2006年、一部が完結。
これからきっと空美ちゃんの存在が六花ちゃんに大きく関わってくるんだと思う。
あ~、第二部も楽しみ!(もう連載は始まっているみたいです)

ただ気がかりなことがあります。
『アラベスク』をお書きになったのが30年前。
ってことは先生はもう50代!?
どうかどうか、途中で連載が途切れてしまわないよう、
お体には充分に気をつけてくださいませ!

『エースをねらえ!』の作者の『七つの黄金郷(エルドラド)』も確か途中で終わってしまったし、
『イタズラなKiss』もそうじゃなかったかしら!?
って縁起でもないことをすみません。

余談

さっき『七つの黄金郷』で検索したら意外な事が判明 → こちら
病気じゃなかったのね~。それにしてもネット恐るべし!


オリガ・モリソヴナの反語法 ~米原万里~

2007-04-24 | 
今日の朝刊は、ロシアのエリツィン前大統領の訃報が一面に。
ロシアつながりということで・・・。

たまたま日曜日に米原万里さんの『オリガ・モリソヴナの反語法』を図書館から借りてきてました。
彼女は9歳から14歳まで、お父さんの仕事の関係で、プラハのソビエト学校に通っています。
ロシア語の同時通訳としても有名で、93年エリツィン来日時には随行通訳も務めたようです。昨年お亡くなりになりました。彼女の本(エッセイが多いです)はどれもおもしろくて、彼女の書いたものをもっとたくさん読みたかったので、とても残念です。

ロシアというとロマノフ王朝、アナスタシアの伝説がすぐ頭に浮かびます。
謎が多い(わたしにとって)国なんで、興味津々。
といっても歴史とか詳しいわけでもないのですが、このよくわからない国のことを米原さんがエッセイや小説で教えてくれるんです。

『オリガ・モリゾヴナの反語法』
米原万里って文字を見つけ、借りてみたんですが、これがすごい傑作でした。
小説ですが、主人公は米原さんだと思います。

内容は

一九六〇年代のチェコ、プラハ。
父の仕事の都合でこの地のソビエト学校へ通う弘世志摩は四年生。
彼女が一番好きだったのは、オリガ・モリソヴナ先生の舞踊の授業。
老女なのに引き締まった肉体、ディートリッヒのような旧時代の服装で踊りは飛び切り巧い。
先生が大袈裟に誉めたら、要注意。
それは罵倒の裏返し。
学校中に名を轟かす「反語法」。
先生は突然長期に休んだり、妖艶な踊り子の古い写真を見せたり、と志摩の中の“謎”は深まる。
あれから30数年。
オリガ先生は何者なのか?42歳の翻訳者となった志摩は、ソ連邦が崩壊した翌年、オリガの半生を辿るためモスクワに赴く。
伝説の踊り子はスターリン時代をどう生き抜いたのか…。
驚愕の事実が次々と浮かび、オリガとロシアの、想像を絶する苛酷な歴史が現れる。
新大宅賞作家、米原万里、感動の長編小説。(紀伊国屋bookwebより)


登場人物が多いのと、行間がほとんどなく文字がぎっしりだったんで一瞬怯みましたが、読み始めたらどんどん引き込まれて、とうとう朝方までかかって1日で読みきりました。

時代に翻弄され、絶望のなかで、それでも生き延びていった女性達。
彼女達の壮絶な過去を主人公志摩がロシアのひとたちの力を借りて明かしてゆきます。
文庫本もでていますので、ぜひ興味を持たれた方読んでみてください!

余談ですが、
主人公はオリガ先生と出会い、踊りが大好きになり、バレエダンサーの道を目指しますが、この世界は才能だけではなく、お金がものをいう世界なのだと暗に教えてくれます。

『今やボリショイは観光名所にすぎないのよ。ブランドをたよりに見る目のない人が行くところ』

プレゼント攻勢でプリンシパルのステータスを確保するのは、日本の少なくない有名舞踊団で半ば公然と行われていることだ。
亜紀バレエ団で、藻刈富代が凡庸な才能とバレエには全く不向きな股関節の持ち主であるにも拘らずプリンシパルの座を射止めたのは、藻刈の父親が団長の亜紀雅美に都内一等地のリハーサルスタジオをプレゼントした見返りだということは、すでに日本バレエ界の常識になっていた。団を維持するための必要悪として団員達も諦めている。(本文より)

藻刈富代(名前も意味深)が誰だかすぐわかりますよね~。
さすが米原さん、辛辣です。

最後に
モリソヴナがどうしてもモリゾウ(愛知博)になってしまい困りました。



          

いわさきちひろのえほん

2007-03-09 | 

昨年末帰省した折、夫の実家の近くの図書室で借りたのが、
いわさきちひろの『ゆきのひのたんじょうび』

一度読んで、娘もわたしもとっても好きになりました。
娘は字はまだ読めませんが、何度も読み聞かせたので、いつの間にか覚えてひとりで読んだりしています。
  
ちいちゃんとぽちがでてきます。

最近それがシリーズだってことに気づきました。
『あめの ひの おるすばん』『ぽちの きた うみ』『となりに きた こ』などがあります。

『ぽちの きた うみ』もとってもいいおはなしです。

          

          


この2枚はポストカードを持っていました。

          


          

アンデルセンの『あかいくつ』もちひろさんの絵であったので借りました。
これはわたしも小学生の時図書館で借りたことがあったな~と絵を見て懐かしく思い出しました。

『悪人』終わっちゃいました・・・。

2007-02-01 | 
以前、毎回楽しみにしてると書いた朝日新聞夕刊連載、吉田修一の『悪人』
1月29日にとうとう最終回を迎えました。

こんなにハマったのは、毎日新聞日曜版に連載されていた東野圭吾の『手紙』以来。

舞台が、博多、久留米、佐賀、長崎とわたしにとっては馴染みの場所ばかりだったせいか、すごくリアルに伝わってきました。

加害者祐一と逃亡することになる光代が働いていたのは佐賀の紳士服販売店。
その場所の描写がでてきたとき、佐賀でまだ未解決の連続女性殺人事件が頭をよぎりました。
あの事件の被害女性の勤務先も紳士服製造会社だったなぁ~なんて思うと、まるで暗~い井戸の中をのぞきこんだようななんともいえない嫌な気持ちになりました。

以前住んでいた長崎からの帰省では、東脊振で高速を降りて、佐賀方面に走って実家に帰っていたのですが、きっと祐一も光代と会うためにあの道を走っていたのかななんて想像すると、実際に光代や祐一にすれ違ったことがあるかのような不思議な感覚さえしてきます。


年末で終了とばかり思っていたので、12月の中頃から毎日『え~この展開でいったいどうやって終わるの~』と心配していたら、1月29日までとわかり、ひと安心。
でも、やはり最後はなんだか強引に持っていった感じで、もうすこし余韻がほしかったなぁという気がしました。

最後は、出所してくる祐一、門のところで待っている光代・・・。
な~んて場面で終わるのを想像していたわたし、やっぱり甘かったわ。

でも首を締めたのは、祐一の光代に対する思いやりなのに、その気持ちは光代もわかっていたはずなのに・・・。
人の気持ちって、変わってしまうものなのですね~。

わたしが一番思いいれのあるのが、祐一の祖母。
自分の娘がフェリー乗り場に捨てた孫を引き取り、ずっと育て、
今度はその孫が殺人事件の犯人に。
田舎町で真面目に生きている人なのに、なんでこんなに不幸なことばかり起こるのかと読んでいてつらくなりました。

私自身九州の田舎町に生まれ育っただけに、特に『近所の目』のつらさがわかります。
『娘が子どもを捨ててでていかしたげな!』
『あそこの孫が今度は人殺ししたげな~!』
近所の陰口や冷たい視線は容赦ありません。
そのなかで生活していくのがどんなに大変なことか・・・。
でも、顔がみえる狭い社会だからこその温かさもあるんですよね。

夫が入院している病院に行くのにいつも利用していたバスの運転手に『あんたが悪いわけじゃない』といわせた著者吉田さんの優しさ。
彼も長崎という『田舎』を知っているからこそいわせることができた言葉ではないかなぁ~と思いました。



最後、被害者が亡くなった三瀬峠のガードレールにオレンジのスカーフ(祖母のもの)が結びつけてあったというところを読んだ時、
ただただ謝るしかない祖母の小さな背中や合わせる荒れた手が眼に浮かぶようでした。
これからはひとと大声で笑いあうこともないかもしれないこのおばあちゃんはきっと、
それでも孫を許して待ちつづけるのだろうなぁと、そんな思いで読み終えました。

4月には単行本として出版されるそうです。
きっと書き加えられる部分もあるかと思いますんで、ぜひ手にとって読んでみたいと思っています。

それにしても吉田さん、1年間お疲れ様でした。
午後4時過ぎ、一日の一番の楽しみでした!

晴れた日には鏡をわすれて ~五木寛之~

2006-12-16 | 
昨日の朝刊に『ダイアナ元妃は事故死、ロンドン警視庁陰謀説否定』という記事が載っていました。
97年・・・ダイアナ妃が亡くなってもうすぐ10年なんですね~。

ダイアナ妃は実は生きているなんて話がまことしやかに流れた時、
『晴れた日には鏡をわすれて』を思い出しました。

醜い女性が、ロシアで、まったく別の美しい女性に作り変えられる話です。
かなりの時間をかけて顔の整形はもちろん、頭骸骨から骨格から全部変えられ、
教養もエレガントな立ち振る舞いも身に付け、外見だけでなく内面も名前も戸籍も・・・
まったく別の人間に生まれ変わるのです。



ダイアナ妃も交通事故で死亡したということにして、全く別の人間に生まれ変わり、
パパラッチに追いかけられることもなく、どこかで幸せに暮らしていてくれればいいなぁ~と思ったりしました。



本のほうはそんな簡単なものではなく、容姿でひとはこんなに扱いが違うものなのか、美人は得なのか、そして本当の美しさとは何なのかということを考えさせてくれます。


      

もりのなか ~マリー・ホール・エッツ~

2006-12-15 | 


最近の娘のお気に入りです。
2ヶ月くらい前に図書館で借りてきて以来、夜の絵本はこれ!
もう何回もくり返し借りています。

今では、お話覚えちゃって、よくひとりでも昼間読んでいます。
夜もわたしに読んできかせてくれるようになりました。

モノトーンの絵なのですが、それがまたよくって。
主人公の男の子と森の動物達が『ハンカチおとし』をして遊ぶってくだりは、想像してクスッと笑えちゃいます。


『もりのなか』   続編の『また もりへ』

おすすめです!

     


楽しそうに読んでいるので、デジカメに音声いれてみましたが、残念ながらブログにアップするやり方がわかりませんでした・・・。

灰谷健次郎さん

2006-11-23 | 
お風呂からあがって、なにげなくテレビを見たら、
ニュースで、児童文学作家灰谷健次郎さんの訃報が流れていて、驚きました。
まだまだお元気でいらっしゃると思っていたのに・・・。

灰谷さんとの出会いは『兎の眼』です。
短大の時、授業で勧められました。
当時、灰谷さんは教師を目指すものの間では、いまでいうカリスマ的な存在だったようなところがありました。
わたしも当然読んで感動し、灰谷さんのファンになりました。

幼稚園に就職して、4年目くらいでしょうか、同じ仕事をしている友人から、『今度灰谷さんが妹の大学で講演するから行かない』と誘われました。
友人は前日から妹さんのところに泊まっており、
わたしはひとりで福岡から熊本の大学まで車を運転してでかけたのですが、初めての道で迷ってしまい、着いた時はすでに講演は始まっていました。
受付で、実行委員長と名乗る学生が、
『先生に失礼になるのでなかにいれることはできない』というのです。
『どうしても先生の話を聞きたくて、福岡からきました』と食い下がったけど、いれてはくれませんでした。
友人はすでに中にはいっていて、そのまま帰るわけにもいかず、外で待つことに。

そろそろ終わるという頃でしょうか、先ほどの実行委員長が近寄ってきて、
『お話は聞かせることはできなかったけど、先生にあわせてあげます』というのです。
彼女なりに気を使ってくれたのでしょう。
内心、灰谷さんに直接会うより、話を聞かせてほしかったと思いましたが、そのまま案内されて控え室へ。

わたしのほかに、手紙を持った親子がいました。
その人達が先生と話し終わられ、わたしの番になったのですが、突然のことになにを話していいかも分からず、さっきのいきさつを話したら、『それは気の毒なことをした、入ってもらってもよかったのに』と言ってくださり『わたしは福岡に戻るので、あなたよかったら送ってくれませんか』とおっしゃるのです。

これまた唐突な話によく考えもせず『ハイ』と答え、事情を聞いて驚いている友人も一緒に乗せて、福岡に戻ることに。

でもわたしの家は佐賀寄りで、先生の福岡の定宿は天神だったのです。
またまた慣れない高速をどうにか運転してホテルへ。
『お礼に食事をご馳走しますよ』と鯨料理のお店に連れて行っていただきました。
その時に、毎年夏に淡路島から沖縄までゆっくりクルーザーを使って行くのだけど、いろんな人が、好きな場所から乗船してきて好きなところで帰っていくのであなた達もよかったらどう?って誘ってもらったんですね。

結局休みが取れなくてクルーザーでの旅にはいけなかったんですが、お見送り方々、友人と淡路島の先生のご自宅に遊びにゆくことに。
1泊させていただいて、船を見送って帰ってきました。

その後も福岡に講演でいらした時、2度ほどお会いして、また食事をご馳走になったりしました。それからしばらくして結婚した友人には、祝電を送ってくださいました。

でも月日が流れるうちに、自然に疎遠になり、
わたしの中で、何年か仕事を続けていくと、灰谷さんの作品がなんとなく綺麗事のように思えてきて、あんなに読んでいたのに、ある日を境に全く興味を無くしてしまいました。
たまたま、なにかの雑誌で、灰谷さんが、東京足立区の女子高生コンクリート詰殺人事件の加害少年を庇う発言をされているのを目にしたのです。
わたしはどうしても納得できなくて、抗議めいたことを手紙に書き灰谷さんに送りました。
今考えてみれば、よくあんなことをしたな~と思います。
返事はいただけませんでした。

それからまた数年後、今度は神戸児童殺傷事件の加害少年の顔写真をフォーカスが掲載したとして、それに抗議すべく版元である新潮社のご自分の版権を引きあげるということをなさいました。

その後結婚したわたしは、夫の転勤で東京にでてきて、パートにでることになります。
その会社が偶然にも『兎の眼』を見出し、出版した会社だったのです。
『兎の眼』の出版社がどこかなんて知るはずもなく、その出版社がどんな本を出しているか等調べもせずに、ただ児童書の会社とだけ聞いて応募したのです。

わかった時、つくづく不思議なご縁だな~と思いました。

もしまたお会いできるなら、あの手紙での失礼を謝りたいと思っていたのですが、
在職中そういう機会もなく、そしてこれでとうとう永遠に機会を失いました。

『兎の眼』を読んでからもう20年以上の月日が流れました。
今のわたしが読んだらどのような感想を持つのでしょうか。
また久しぶりに手に取ってみようと思っています。



先生、ご無礼をお許しください。

そしてどうぞ安らかにお眠りください。

                       合掌


          



鏡の法則

2006-11-20 | 

なんだか薄くて読みやすそうなので買ってみました。
こういう自己啓発本はあんまり買うことはないのですが(売れてるわりには駄本も多いのでもっぱら立ち読み)なぜかレジへ・・・。
帯にジャガー横田さんも『ありがとうが自然に溢れ出た』とあったからかな。


心の中で不満ばかり抱いていると、その心を映し出すように、
ますます不満を言いたくなるような現実が起きてきます。
逆に、心の中でいつも感謝してると、さらに感謝したくなるような出来事が起きてくるのです。(本文抜粋)

『私たちの人生の現実は、私たちの心の中を映し出す鏡である』

それが『鏡の法則』なのだそうです。

この本では、
過去にこだわらず、相手を責めず、ゆるして、自分の精神的な自由と安らぎを手に入れましょうとも書かれています。

まさにわたしが一番苦手とすること。
そう、夫に対してです。
夫のことを愚痴ると、身内から、自分が変わりなさいとよく言われました。
でもなんでわたしが変わらなくてはいけないの、変わるのは夫だろといつも心の隅に思っていました。
なんでわたしが我慢しなくてはならないのかと。
でもそうじゃなかったのですね。
言ってくれた身内は、わたしが楽な気持ちになるように言ってくれていたのだと、改めて気づかされました。

別にすごいことが書かれているわけではなく、もしかしたら皆さん当たり前のこと、わたしはそうしているってかたも多いのかもしれません。
9割が涙したとあるけど、わたしはでませんでしたし。

『結果』には必ず『原因』がある。
必ずではないかもしれないけど、そういうこともありますね。

わたしは『ゆるす』ということが一番心に残りました。

いつも夫に不満たらたらのわたしが、思いがけず手に取ったってことは、もしかしたら偶然じゃないのかもしれないな~なんてのは言いすぎですかね。

わたし、3日過ぎたら忘れるかもしれないけど、
『鏡の法則』・・・読んでみるのもいいかもですよ。


読んだら、ちょっと優しい気持ちになれたので、
娘にドーナツを作りました。
あんこを入れた超簡単ドーナツです。
根本きこさんの『coya』のが美味しくて、
ちょっとはわたしもあの穏やかな笑顔のきこさんに近付きたいと、
そういう気持ちもありましてね。フフフ・・・。



幸福写真  ~荒木経惟~

2006-08-31 | 


regeregeさんが、荒木さんの本を紹介してらしたので、
わたしも本棚から持ってきました。

アラーキーといえば、脱がせる、縛る、撮る~!みたいな過激なヌード写真家っていうイメージがありました。

図書館の写真集のコーナーで『荒木経惟』の名前を見つけたとき、
『え~、いいの~、置いちゃって』と思いつつ、手にとったのが『さっちん』
こどもの写真も撮るんだ!意外!懐かし~!
といっても、彼がカメラマンになりたての頃と思われるもう40年以上前の作品です。

『東京日和』
こちらは、奥さんを撮っています。
エロさと深い深い愛情と哀しみが伝わってきました。

お詫び

(実はカラーって書いていました。先日図書館で見たら、なんとモノクロでした。最後に少しだけカラーあるのみ。すみませんでした。いったいなにを勘違いしているのでしょう。自分の記憶のいい加減さにゲンナリ。
これからはきちんと再度確認して書くように気をつけますので


そして、この『幸福写真』

普通の人たちの、日常での、弾けんばかりの笑顔があふれた写真、
そしてこちらも笑っちゃうアラーキーのコメント付き。
今回はモノクロにこだわっています。

― 写された人も、その写真見た人も『あ、これが幸せなのかもしれないな』と気づく、
  それが幸福写真なんだね。 ―

みたら、あなたもきっと幸せな気持ちになること間違いなし!


       


橋口譲二の『それぞれの時』という写真・インタビュー集。

東京でひとり暮らす若者達のポートレートと、
彼らの日々の生活や思いを聞いたもの。

独身の頃、いつも鞄に入れていて、
ひとりでお茶を飲んだりする時に取り出しては読んでました。
何回も、何回も。

ふと、そんなことも思い出しました。